横須賀線武蔵小杉駅(2011年1月9日取材)

工事中の南武線連絡通路のエスカレータと横須賀線E217系

2010(平成22)年3月13日に開業した横須賀線武蔵小杉駅ですが、引き続き南武線ホームとの連絡通路の工事が続けられています。去る2011年1月9日にその状況について取材を行いましたので解説したいと思います。

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横須賀線武蔵小杉駅(2010年4月3日取材)(2010年5月31日作成)

■横須賀線武蔵小杉駅の概要


武蔵小杉駅周辺は近年工場の移転が進み、大規模な再開発が行われています。これに伴い、川崎市では2005(平成17)年3月に「川崎フロンティアプラン」を制定し、横須賀線の新駅新設による武蔵小杉駅の交通結節機能の強化と魅力ある市街地の形成に向けた取り組みを行っていくことを決定しました。同年4月には川崎市都JR東日本との間で早速新駅設置に関する覚書が交わされ、工事が開始されました。
横須賀線武蔵小杉駅は西大井駅から6km、新川崎駅から3kmにある南武線との交差地点に設置されており、ホームの設置にあたっては地下の武蔵野線トンネルと一体になった高架橋の改築を避けるため、東側にあるNEC玉川事業場の土地を一部譲り受けて高架橋を拡幅し、島式ホーム1面を新設しました。また、横須賀線の高架下には駅西側の再開発地区に出られる新しい改札口(新南改札(横須賀線口))が設置され、南武線ホームとの間には全長300mの連絡通路が設置することで、南武線・東急線との乗り換えの利便性向上が図られることになりました。
この横須賀線武蔵小杉駅は去る2010年3月13日に開業し、以後は特急を含め横須賀線(品鶴線)を走る定期旅客列車のほぼ全てが停車しています。

武蔵小杉駅横須賀線ホーム 高架下に新設された新南改札(横須賀線口)
左:武蔵小杉駅横須賀線ホーム
右:高架下に新設された新南改札(横須賀線口)。2枚とも2010年4月3日撮影

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当初、横須賀線の武蔵小杉駅は2010年開業時に南武線との連絡通路を含めた全面的な使用開始が予定されていました。しかし、南武線ホームとの連絡通路については横須賀線と並行する東海道新幹線の盛土を掘削してトンネルを設置することになっており、工事の途中で新幹線を運行するJR東海から安全確保のための対策を要求されたため、工事が遅延することとなりました。そのため、2010年の横須賀線ホーム使用開始にあたっては南武線の線路脇に仮設の通路を設けて両ホーム間を連絡することとなりました。この仮設通路は最小幅が3mと狭いため、2010年の開業時にはJR東日本では初となる改札外乗り換えの制度を併用することとなりました。これは東京都内の地下鉄駅で見られる方式で、一方の路線の改札口を出て30分以内にもう一方の路線の改札口に入れば改札口を出たとは見なさない(通し乗車をしたと見なし、新たに初乗り運賃を徴収しない)というシステムです。

南武線ホーム川崎寄りに新設された横須賀線ホームへの連絡通路 横須賀線高架下の新南改札。改札外乗り換え対応を示すため自動改札機がオレンジ色になっている。
左:南武線ホーム川崎寄りに新設された横須賀線ホームへの連絡通路
右:横須賀線高架下の新南改札。改札外乗り換え対応を示すため自動改札機がオレンジ色になっている。2枚とも2010年4月3日撮影

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■南武線ホームとの連絡通路の現状
通路の壁面にある武蔵小杉駅の南武線・横須賀線ホーム間の連絡通路のイメージ図 横須賀線ホーム上にある本設通路へ通じるエスカレータ。冒頭の写真の通りこの部分には今回訪問時も変化はなかった。
左:通路の壁面にある武蔵小杉駅の南武線・横須賀線ホーム間の連絡通路のイメージ図
右:横須賀線ホーム上にある本設通路へ通じるエスカレータ。冒頭の写真の通りこの部分には今回訪問時も変化はなかった。

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2010年3月の横須賀線ホームの供用開始後、武蔵小杉駅では引き続き南武線ホームとの連絡通路の整備が続けられています。本設の通路は綱島街道の手前で現在の仮設通路から斜めに外れて盛土高架となっている綱島街道、東海道新幹線、横須賀線をトンネルでくぐり、横須賀線の東側に出ます。横須賀線の東側に出た後は、横須賀線高架下の通路を通じて横須賀線ホームの東京寄りに新設されるエスカレータに接続する構造となります。

2010年4月訪問時の本設通路と仮設通路の分岐部。 今回(2011年1月)訪問時の同地点。トンネルへ向かう通路が見えるようになった。
左:2010年4月訪問時の本設通路と仮設通路の分岐部。2010年4月3日撮影
右:今回(2011年1月)訪問時の同地点。トンネルへ向かう通路が見えるようになった。

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本設通路の工事は順調に進んでいるようで、今回訪問時は南武線側の仮設・本設の通路の分岐部分の柵が取り払われており(正確には網状の柵に交換されており)、内部ではエスカレータ・動く歩道の設置工事が行われているのが確認できました。現地の案内看板によると、本設の連絡通路は綱島街道・新幹線・横須賀線をくぐる部分が低くなっており、階段が2か所挟まる構造となっています。また、段差の解消のため通路に並行する形で動く歩道が2基(順方向と逆方向)×3組の計6基、エレベータが2基併設される予定です。また、高架の横須賀線ホームへ上がる部分は階段は無くエスカレータ3基(上下の運転方向は現時点では不明)が設置される予定となっています。

南武線ホーム側から柵の内部を見たところ。窪みの部分は動く歩道の設置スペース。 仮設・本設の分岐部分の先には階段がある。この地点では右側の動く歩道とかなり高低差が付いている。
左:南武線ホーム側から柵の内部を見たところ。窪みの部分は動く歩道の設置スペース。
右:仮設・本設の分岐部分の先には階段がある。この地点では右側の動く歩道とかなり高低差が付いている。

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南武線ホーム側の動く歩道は現在の仮設通路の途中から設けられることになっており、綱島街道下のトンネルまで緩やかな傾斜で高度を下げていく構造となる模様です。このため、仮設通路と本設通路の分岐部付近では階段のある通路とかなりの高低差が付くことになります。なお、動く歩道があるにもかかわらずエレベータが併設されるのは、このように動く歩道に傾斜があり車いすなど逸走する恐れのある場合では利用できないためと思われます。

この武蔵小杉駅横須賀線ホームと南武線ホームの本設の連絡通路は今春の使用開始が予定されています。工事は順調に進んでいることから3月から4月頃には利用できるようになるものと思われます。完成後は両ホーム間の距離が100mほど短縮され、乗り換えに要する時間も短縮される見込みです。来る3月のダイヤ改正では「東京メガループ」の輸送改善の1つとして32年ぶりに南武線の快速列車が復活する予定となっており、武蔵小杉駅もその停車駅となっています。東京都・神奈川県の多摩地区から東京都心へ向かうメインルートとして武蔵小杉駅は今後も発展し続けてゆくことでしょう。

▼参考
横須賀線武蔵小杉新駅設置に関する基本覚書の締結 - 川崎市
2010年3月ダイヤ改正について(PDF) - JR東日本
2010年12月ダイヤ改正について(PDF) - JR東日本
横須賀線西大井新川崎間武蔵小杉新駅設置計画について - 第32回土木計画学研究発表会・講演集 - 土木学会(PDF)

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