東急東横線代官山~渋谷間地下化工事(2011年1・6月取材)

ついに東横線側の間仕切り撤去が始まった副都心線渋谷駅。(2011年6月20日撮影)

神奈川県の横浜駅と東京都の渋谷駅を結ぶ東急東横線では、来る2012年の東京メトロ副都心線直通運転開始に備えて設備の改良工事が進められています。前回の取材からおよそ1年が経過し、進展が見られましたのでその状況について1月と6月に取材を行いました。今回はまず、その工事の中から渋谷~代官山間の地下化工事を中心にお伝えしたいと思います。

■東急東横線代官山~渋谷間地下化工事の概要
地下化区間の断面(再掲)
地下化区間の断面(再掲)

この工事は東急東横線渋谷~代官山間を地下化し、2008(平成20)年に開業済みの東京メトロ副都心線渋谷駅と接続し、同線と直通運転を可能にするものです。東横線との直通は副都心線の工事開始後に決まったため、2008年の同時開業とはならずに2012(平成24)年までずれ込むこととなりました。地下化されるのは代官山~渋谷間のほぼ全区間で、副都心線渋谷駅を出発したトンネルは200mほど明治通りの下を進んだ後、渋谷川沿いの民有地の下を斜めに横切り、その後は代官山駅まで現在線の直下を通ります。このうち、明治通り直下からJR山手線との交差部分手前までの508mの区間は、地上の民有地や現在線への影響を避けるため、長方形をした特殊なシールドマシン(アポロカッター工法)を用いてトンネルを建設するという手法が用いられています。なお、地上に出るのは代官山駅の直前であるため、地下化完成時には代官山駅の渋谷寄りの部分も現在より低い位置に移設される予定です。
工事は2008年の副都心線の開業以前からすでに開始されており、昨年1月にはシールドトンネル部分の建設が完了しています。また、それ以外の区間についても順調に工事は進んでおり、予定通り2012年に開業が迎えられるものと思われます。

※シールド区間の詳しい工事の内容については2009・2010年に作成した記事をご覧ください。

▼関連記事
東急東横線代官山~渋谷間地下化工事(2009年3月21日取材)(2009年11月12日作成)
東急東横線地下化&10両編成対応化工事(2010年3月20日取材ほか)(2010年4月19日作成)

■地上の現況(2011年1月9日取材)
代官山駅構内の様子。 代官山駅構内を駅上空をまたぐ歩道橋から見下ろす。
左:代官山駅構内の様子。
右:代官山駅構内を駅上空をまたぐ歩道橋から見下ろす。

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現在の代官山駅構内は横浜寄りのトンネル部分以外はすべての構造物が鉄骨で仮受けされた状態となっています。鉄骨の下はすでにバラストなどがすべて撤去されて大きな空間が開いており、路盤の掘り下げが順調に進んでいることをうかがわせています。地下化完成時の代官山駅はホーム中央付近から下り勾配となり、そのまま渋谷方面に向かって地下に入っていく線形となる予定です。

渋谷1号踏切から横浜方面を見る。 同じ踏切から渋谷方面を見る。
左:渋谷1号踏切から横浜方面を見る。
右:同じ踏切から渋谷方面を見る。

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現在線は代官山駅からJR山手線との交差部分手前まで地平(武蔵野台地上)を通っています。新設地下線ではこの付近が地上から地下へのアプローチ部分となるため、開削工法で掘削が行われており、代官山駅構内と同様すべての構造物が鉄骨で仮受けされています。完全に地下に入るのは代官山駅の200mほど渋谷寄りにある渋谷1号踏切道付近で、踏切付近の線路はすべて仮設の構造物となっているのが確認できます。また、この踏切は重機や資材の搬入地点にもなっているようで、踏切脇には重機を収納するためと思われるプレハブ小屋が新設されていました。

低地の降りた後の高架橋。高架下はすべて板や幕で覆われており、内部を見ることは出来ない。 JR山手線との交差部分。交差部分は4線とも仮受けになっている。
左:低地の降りた後の高架橋。高架下はすべて板や幕で覆われており、内部を見ることは出来ない。
右:山手線との交差部分。交差部分は4線とも仮受けになっている。2枚とも2011年1月9日撮影

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JR山手線の交差部分から先の現在線は高架橋となります。新設地下線はこの先並木橋付近まで現在線の直下を通るため、高架橋の基礎を一時的にトンネル断面外に移設して仮支えしながらトンネルを建設するという難工事となっています。山手線交差部分手前の高架下は現在すべて柵や幕で覆われており内部の様子を見ることは出来ません。
また、JR山手線との交差地点の現在線は鉄橋(トラス橋)となっており、高架橋の仮受けは不要ですが、下を通るJR山手線の線路の防護が必要であるため、4線ある山手線の線路はすべて鉄骨で仮受けされています。

山手線交差部分の先の高架橋。高架下の作業はほぼ終了している。 シールドの発進立坑があった明治通り。機材はすべて撤去されている。
左:山手線交差部分の先の高架橋。高架下の作業はほぼ終了している。
右:シールドの発進立坑があった明治通り。機材はすべて撤去されている。2枚とも2011年1月9日撮影

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JR山手線の交差部分から先の新設地下線はシールドトンネルとなります。すでにシールド掘進は2010年初めに完了しているため、現在この部分での作業は行われておらず、地下化完了後の高架橋取り壊しを待っている状況です。
並木橋を過ぎると新設地下線は渋谷川と雑居ビルが建つ民有地を斜めに横切り明治通りに出ます。明治通りに出ると程なくしてシールドトンネルが終了して開削トンネルに移行します。シールド掘進はこの明治通り地下の立坑から行われており、工事最盛期の2009年には掘削土の処理を行う大きな防音ハウスが中央分離帯に仮設されていましたが、掘進が完了した現在はそれらがすべて解体・撤去されており、道路上で目立った作業は行われていません。ただし、現在も路面はすべて鉄板の覆工板となっており、引き続き地下で工事が続いているものと思われます。

■地下(副都心線渋谷駅)の現況(2011年6月20日取材)
間仕切りの撤去が開始された副都心線渋谷駅の終端側 改札口の吹き抜けから下階を見下ろす。地下4階も資材置き場になっている。
左:間仕切りの撤去が開始された副都心線渋谷駅の終端側
右:改札口の吹き抜けから下階を見下ろす。地下4階も資材置き場になっている。2枚とも2011年6月20日撮影

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2008年に開業した東京メトロ副都心線渋谷駅は当初から東横線との接続に備えて島式ホーム2面4線の構造で建設されており、発着本数が少ないことから暫定的に中央2線の線路上に通路を設置して大きな島式ホーム1面2線として運用されています。また、2008年開業時から現在に至るまで東横線と接続するホームの横浜寄りが未完成となっているため、池袋寄りに仮設のホームを設置して10両分のホーム長さを確保しています。
横浜側の工事中部分とはコンクリートの間仕切り壁により仕切られていましたが、この部分の工事も順調に進展していることから、去る2011年5月末よりついにこの間仕切り壁を取り壊す工事が開始されました。工事は使用中のホームに埃が飛ばないよう仮設の衝立を設置した裏側で行っており、音が聞こえたり足場が組まれているのは見えるものの、撤去工事そのものを直接見ることは出来ません。なお、一般には開放されていない地下4階の一部についてもこの工事の作業スペースとして利用されており、換気用の吹き抜けからは床面をブルーシートで保護した上で資材が積まれているのが確認できます。
この間仕切り撤去の開始により2008年の開業以来変化が無かった副都心線渋谷駅でも、いよいよ東横線直通に向けた準備が開始されたことになります。

▼参考
東京メトロ副都心線との相互直通運転に伴う東横線渋谷~横浜間改良工事 - 東急電鉄
鹿島:KAJIMAダイジェスト:ザ・サイト:(13号相直)東横線渋谷~代官山間地下化工事(土木工事第1工区):
円形・矩形・馬蹄形など多様な断面を掘れるシールド掘進機が完成 - 川崎重工PR誌「Kawasaki News」

■建設が進む「渋谷ヒカリエ」
渋谷駅東口ロータリー前に建設が進む「渋谷ヒカリエ」
渋谷駅東口前に建設が進む「渋谷ヒカリエ」
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東横線地下化完了後、現在の地上駅跡地は再開発が行われる計画となっています。この再開発事業は東横線の駅跡地のみならず、渋谷駅周辺一帯、総面積は5.5ha、事業期間は2010(平成22)年~2026(平成38)年の実に16年に及ぶ大変規模の大きいものとなっており、JR東日本・東急電鉄・東京メトロ・都市再生機構(UR)の4者が共同で事業を進める計画となっています。この事業では度重なる増築により複雑となった渋谷駅の構造物を整理・統合し、高い安全性と回遊性の確保を目標としており、具体的には以下のような内容となっています。

●東急文化会館跡地に超高層ビルを建設(後述)
●現在の渋谷駅駅舎の全面改築(建て替え)
●東横線地上駅跡地を利用して現在は南側にずれて設置されているJR埼京線・湘南新宿ラインのホームと同位置に移設する。
●山手線ホームを拡幅し、片面2面から島式1面に統合する。
●東京メトロ銀座線ホームを東口ロータリー上空に移設する。
●西口駅前広場を通り抜け(R246←→道玄坂方面)ができないようレイアウトを変更
●西口地下にタクシー乗り場を新設、東口地下に水害対策施設(雨水貯留施設、渋谷川に付帯)を新設


となっています。
このうち、東急文化会館跡地の再開発については2008(平成20)年に副都心線の作業スペースとしての利用が終了したことから、新しいビルの建設が本格化しています。新しいビルは地下4階、地上34階建てで以下のようなフロア構成となる予定です。

B3~5F:東急百貨店
6・7F:レストラン・カフェ
8F:多目的スペース(アートギャラリー)
9・10F:展示・会議スペース
11~16F:劇場「東急シアター・オーブ」
17~34階:オフィス


また、地下3階では東京メトロ副都心線渋谷駅、地上3階には東口ロータリー上空にホームが移転する東京メトロ銀座線渋谷駅とそれぞれ連絡する予定となっています。去る2010(平成22)年4月にはビルの名称が「渋谷ヒカリエ(Hikarie)」に決定したことが発表されました。「ヒカリエ(光へ)」には「渋谷から未来を照らし、世の中を変える光になる」という意味が込められており、未来の渋谷の街のシンボルとなることが期待されています。
2011年6月時点ではすでに最上階まで建物の構造体が完成しており、引き続き内装の工事が進められている模様です。オープンは東横線地下化完成と同じ2012(平成24)年の春となっており、渋谷駅再開発の第一陣としてその姿が見られる日も目前に迫っています。

次回は東京メトロ副都心線直通に関するもう1つの改良工事である東急東横線・みなとみらい線の10両編成対応化工事についてお伝えする予定です。

▼参考
渋谷ヒカリエ|Shibuya Hikarie
「渋谷ヒカリエ」-東急文化会館跡地の高層複合ビル、名称決まる - シブヤ経済新聞
「渋谷駅街区基盤整備方針」の公表について/東京都都市整備局
東京都市計画事業 渋谷駅街区土地区画整理事業の実施について - JR東日本(PDF)

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