加島駅 - JR東西線(27)

JR東西線 前人未到の深さで大阪中心部を貫いた地下鉄道のすべて
※クリックすると目次ページを表示します。

■加島駅 10km225m~10km415m(中心10km320m)
▼参考
JR東西線(片福連絡線)工事誌 - 日本鉄道建設公団1998年 断面図
特集「平成9年開業新線」Ⅱ.JR東西線(片福連絡線) - 日本鉄道施設協会誌1997年7月号13~24ページ

●概説

より大きな地図で JR東西線(片福連絡線)詳細版 を表示

JR東西線加島駅JR東西線と東海道線(JR神戸線)が合流する地点に設けられた地下駅である。工事は営業線の直下となるため、全てJR西日本が直接行っており、建設中の仮称は東海道線の南側の地名である「竹島」だった。(ちなみに、ここまでJR東西線のレポートをご覧いただいた方であれば、JR東西線で仮称がそのまま正式名称になった駅は1つも無いことをお分かりいただけるだろう。)
トンネルは主に開削工法を使用して建設されているが、一部は東海道線の線路下に食い込むため、その部分についてはパイプルーフ工法※1・URT工法※2・工事桁による軌道の仮受けなどを併用して非開削で掘削を行っている。


加島駅の断面図
加島駅の断面図

駅は地下2層構造で、地下1階が改札口、地下2階がホームという標準的な構成となっている。地下2階の線路は地上の東海道線よりも急な半径435mのカーブとなっており、地下1階のコンコースもこれに合わせてカーブしている。また、JR東西線は加島駅のすぐ西側で地上に出るため、地下2階の線路は尼崎方面へ向かって5パーミルの上り勾配となっているほか、軌道深さは9mとJR東西線の地下駅の中ではもっとも浅くなっている。このため、地下1階の上部が地上に露出してしまったが、これを逆に利用して地下1階の天井には全長に渡って天窓が設けられており、昼間の照明の使用を削減している。
地上出入口は全部で5箇所あり、他の駅とは異なる付番の方法がなされている。京橋方の端にある出口1階段のみ設置されている。出口2イ・出口2駅前ロータリーに出る階段で、出口2イの近くにはエレベータが設置されている。出口3イ・出口3ロ東海道線の線路をくぐった反対側に出るもので、出口3イはスロープ、出口3ロは階段となっている。なお、出口2イ・ロの地下1階部分ではJR東西線と同時に整備された駅前ロータリー地下にある大阪市の加島自転車駐車場(収容台数1200台)と連絡している。換気塔は駅の両端に1つずつ設置されており、京橋方のものは御幣島~加島間のトンネル(御幣島シールド)の吸気用、尼崎方のものはトンネル坑口から取り込んだ空気の排気用となっている。
改札口は地下1階の京橋方にあり、地下2階のホームとは階段3ヶ所、エスカレータ1機、エレベータ1機で連絡している。地下2階のホームは幅7mで、長さは8両編成対応の170mである。

▼脚注
※1 パイプルーフ工法:掘削に先立ち、トンネル天井部分にパイプを隙間無く打ち込み、上からの重量を支えながらトンネルを掘削する方法。
※2 URT工法:トンネルの外殻に相当する部分を鋼製エレメント(四角形の細長いパイプ上のもの)を地中へ押し込むことにより形成し、その後内部の土砂を撤去してトンネルを構築する方法。JR東日本が開発したHEP&JES工法と類似。

▼参考
URT工法の特徴 - URT協会
JR東日本:建設プロジェクトを支える新技術 > 線路下でトンネルを安全・低コスト・短期間に造る -HEP&JES工法-

▼関連記事
新橋駅(概説) - 総武・東京トンネル(19)(2008年8月8日作成)
→パイプルーフ工法の図解

●現地写真(地上)
駅前ロータリーと加島駅出口2
駅前ロータリーと加島駅出口2

JR東西線開通前の加島付近は工場や倉庫がひしめき合う典型的な工業地帯だったが、JR東西線建設に合わせて大阪市主導の下区画整理が行われ、現在はマンションや戸建住宅が立ち並んでいる。駅前ロータリーもこの区画整理の一環で新設されたもので、現在は大阪・梅田駅や阪急十三駅などへ向かう路線バスが発着している。加島駅のメインの出入口である出口2イ・ロはこのロータリー内にある。

京橋方にある出口1と換気塔 東海道線の反対側にある出口3イ。看板には「竹島東口」としか書かれていない。
左:京橋方にある出口1と換気塔(換気塔を線路反対側から見た写真
右:東海道線の反対側にある出口3イ。看板には「竹島東口」としか書かれていない。

※クリックで拡大

京橋方の端にある出口1は東海道線とマンションの間にある生活道路に出る形態となっている。出入口の脇には御幣島~加島間のトンネル(御幣島シールド)の換気塔がある。加島駅の換気塔は駅の両端にあるが、こちらは換気する区間が長いため、サイズも大きい。ルーバーは線路側と屋根にあるため、地上からは良く見えない。
東海道線の反対側にある出口3イ・ロはいずれも東海道線の線路と線路と並行する生活道路の間のわずかな空間に設けられている。注目すべきは出入口の上に掲げられている看板で、出入口3イは「竹島東口」、出入口3ロは「竹島西口」としか書かれておらず「加島駅」という表記はどこにも無い。このあたりの詳しい事情は資料には一切書かれておらず不明であるが、当駅の駅名の仮称が竹島で正式名称が加島となった経緯から、駅名を巡り周辺住民とトラブルになりこのような形に妥協したのかもしれない。

●現地写真(地下)
地下1階改札口
地下1階改札口

地下1階の改札口コンコースは北側が改札外、南側が改札内という配置になっている。天井部分が地上に露出していることを生かして改札外側はコンコース全長に渡り天窓が設けられており、昼間は外交が射し込む。写真は電力不足とは無縁だった昨年の撮影であるが、ご覧の通り天井の蛍光灯は半数が消灯されており以前から節電が徹底されていた。

地下1階コンコースと加島自転車駐車場入口
地下1階コンコースと加島自転車駐車場入口
※クリックで拡大

地下1階コンコースの中央には出口2イ・ロと駅前ロータリーの地下にある加島自転車駐車場へ通じる通路が分岐している。御幣島駅と異なり地盤高があるため、防水扉は無く駐輪場へ向かう通路の両側に階段が直接付く形態となっている。エレベータは階段の脇ではなく少し離れた通路上から直接分岐した場所に設置されており、ややわかりづらい。

地下2階ホーム
地下2階ホーム

地下2階のホームはJR東西線のほかの駅と同じような意匠であるが、全長にわたり急なカーブとなっているためホームの下には回転灯が設置されており、電車到着時には足元を照らすことで利用者に注意を促している。また、電車接近時と到着時の放送でも足元の隙間が大きいことをアナウンスしている。

●駅データ
駅名:加島(かしま)
住所:大阪府大阪市淀川区加島3丁目10番
乗車人員(降車客は含まない):7497人(2008年度、大阪市の統計資料による)
みどりの窓口:営業時間5:30~23:00

(つづく) このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサード リンク

カテゴリ:《番外編》JR東西線 の最新記事

JR東西線(インデックスページ)(2011年11月02日作成)
北新地駅のホームドア - JR東西線(32)(2011年10月19日作成)
JR東西線の車両 - JR東西線(31)(2011年10月07日作成)
JR東西線その他の特徴 - JR東西線(30)(2011年09月23日作成)
尼崎駅 - JR東西線(29)(2011年09月06日作成)
加島駅~尼崎駅 - JR東西線(28)(2011年08月23日作成)
加島駅 - JR東西線(27)(2011年08月10日作成)
御幣島駅~加島駅(現地写真) - JR東西線(26)(2011年08月05日作成)
御幣島駅~加島駅(概説) - JR東西線(25)(2011年08月04日作成)
御幣島駅(現地写真) - JR東西線(24)(2011年07月27日作成)
その他の記事はこちら

Facebookのコメント

コメント

コメント機能をご利用の際は必ず注意事項のページをご覧ください。
不適切な投稿内容は修正・削除される場合があります。また、内容によっては管理人からのレスが付かない場合がございます。確実に返信が欲しい場合はEメールをご利用ください。

管理者にだけ表示を許可する(管理人からの返信が付きません)


最新記事

首都圏外郭放水路庄和排水機場(2016/10/02)
相鉄・東急直通線建設工事(2016年取材②新綱島~日吉)(2016/09/10)
相鉄・東急直通線建設工事(2016年取材①羽沢~新横浜)(2016/09/07)
相鉄・JR直通線建設工事(2016年6月取材)(2016/08/27)
茨城県・守谷市のマンホール(2016/08/26)
東京メトロ千代田支線北綾瀬駅ホーム延伸工事(2016年6月4日取材)(2016/08/21)
東武伊勢崎線竹ノ塚駅高架化工事(2016年6月4日取材)(2016/08/14)
次期「書籍化」プロジェクトへの道すじ(2016/08/12)
JR飯田橋駅ホーム移設工事(2016年6月取材)(2016/08/06)
東急東横線10両化&関連工事(2015・2016年取材)(2016/08/03)
月別アーカイブ

全記事タイトル一覧

お知らせ

【総武・東京トンネル書籍化プロジェクト】COMIC ZIN様で欠品しておりました「総武・東京トンネル(上・下)」の販売を再開しました。詳しくは→こちら(2016,04,10)
さらに前のお知らせ

おすすめ&スペシャル

「総武・東京トンネル」書籍化プロジェクト 当サイトの前身であるYahoo!ブログから運営通算10周年を記念し、2008年に連載した「建設史から読み解く首都圏の地下鉄道① 総武・東京トンネル」についてほぼ白紙から書き直し、自主制作本(同人誌)にまとめるプロジェクトです。2015年3月のコミケットスペシャル6で総武線区間について取り上げた「上巻」、12月のコミックマーケット89で横須賀線区間について取り上げた「下巻」をそれぞれリリースし、昼過ぎに完売となる大好評となりました。現在書店(COMIC ZIN)様にて絶賛発売中です。

おすすめ記事

@takuya870625 Twitter