加島駅~尼崎駅 - JR東西線(28)

JR東西線 前人未到の深さで大阪中心部を貫いた地下鉄道のすべて
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■箱型トンネル~掘割 10km415m~10km861m(坑口10km650m付近)
▼参考
JR東西線(片福連絡線)工事誌 - 日本鉄道建設公団1998年 断面図
特集「平成9年開業新線」Ⅱ.JR東西線(片福連絡線) - 日本鉄道施設協会誌1997年7月号13~24ページ

●概説

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加島駅を出たJR東西線は34.2パーミルの上り急勾配で200mほど地下を進んだ後、東海道線(JR神戸線)の内側線・外側線の間の地上に出る。この部分のトンネルについては工事誌・関連雑誌ともに記述が無く、詳しい工法については不明であるが、断面が四角形になっていることから各種補助工法を利用した開削工法ではないかと推測される。そして京橋起点10km900m地点で掘割が終わり、以後は尼崎駅まで東海道線と並走する。JR東西線の工事終点は神崎川橋梁直前の10km861m地点である。

●現地写真
東海道線内側縁・外側線の間にあるJR東西線のトンネル入口(上り列車の前面展望) 加島駅からトンネル出口を見る。ホームからも外光が射し込むのが確認できる。
左:東海道線内側縁・外側線の間にあるJR東西線のトンネル入口(上り列車の前面展望)
右:加島駅からトンネル出口を見る。ホームからも外光が射し込むのが確認できる。

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加島駅先のJR東西線のトンネル出入口は東海道線の内側線・外側線の間にあるが、この付近の線路は盛土高架となっており、線路敷地外から直接トンネル坑口を見ることはできないため今回は上り列車の前面展望により確認した。坑口付近の線路は加島駅が東海道線の北側にあるため、北側の上り線が直線に近く、下り線はS字にカーブしている。トンネル坑口から加島駅までの距離は短く、ホームから尼崎方を見るとすぐ先に外光が射し込むのを確認できる。
ちなみに、今回前面展望を撮影したのは夏ということもありフロントガラスには虫が衝突して潰れた跡が多数残っており、写真にもそれが写り込んでしまった。JR東西線の直通先のうち、福知山線(JR宝塚線)側は西宮市郊外の山中を走る区間もあり、夜間はヘッドライトの光に引き寄せられて前面に虫が頻繁に衝突しているものと思われる。

■東海道線並走区間 10km861m~12km452m(神崎川橋梁~尼崎駅)
▼参考
JR東西線(片福連絡線)工事誌 - 日本鉄道建設公団1998年 断面図
片福連絡線に関連した橋梁の概要 - 土木技術1994年5月号51~58ページ

●概説

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神崎川橋梁から先の区間はJR東西線の工事の対象区間ではないが、運行会社であるJR西日本の手により線路や橋梁の増設などJR東西線の乗り入れに適した施設となるよう改良が行われた。ここではその中から比較的大規模な工事となった神埼川橋梁の増設について解説する。

神崎川橋梁の横断面図
神崎川橋梁の横断面図

JR東西線建設前の神崎川橋梁には東海道線の内側線・外側線が上下線で2組、計4本の橋梁が掛かっていた。このうち、下り線は1921(大正10)年、上り線は1926(大正15)年にそれぞれ架設されたもので橋桁はいずれも単線ガーター橋、径間数は12となっている。橋脚は上下線とも内側線・外側線が一体になっており、下り線は木杭基礎、上り線は井筒基礎でいずれも深部の硬質地盤(上部洪積層)には到達していない。
JR東西線建設に際しては次の記事で述べる尼崎駅構内の配線の関係からJR東西線の線路を上下線とも東海道線の内側線・外側線の間に入れることになったため、神崎川橋梁については東海道線の外側線の脇に新しい橋梁を建設し、外側線をその橋梁に移動させて開いた橋梁をJR東西線が使用することとした。東海道線外側線用の新橋梁は全長268m、径間数4、最長径間71.5mの単線下路トラス橋である。橋梁の架設位置は前後の取り付け部分で新たな用地買収を避けるため、東海道線外側線に近接した位置(軌道中心間隔で8.0~8.5m)位置とされ、4つある橋脚の位置は川の流れをさえぎらぬよう流路方向に向かって現在線の橋脚と同一線上に配置した。また、橋梁の高さは将来の堤防かさ上げなどを考慮して現在線より若干高い位置とされた。

トラスの架設方法
トラスの架設方法

新橋梁の建設に当たっては近接する現在線の橋梁への影響をどう抑えるかがポイントとなった。これは通常の橋脚建設で使用される工法を用いた場合、掘削深度が深くなり根入りが不完全な現在線の橋脚が傾斜・変形する恐れがあったためである。また、河川構造令に従い、新橋梁の橋脚本体は最低でも計画河床から2m以上の深さまで埋める必要があり、それに伴う被圧地下水の処理も工法上の制約となった。このため、新橋梁ではトラスの長手方向の力(温度差によるトラスの伸縮など)は全て両端の橋台が負担するものとし、橋脚は垂直過重(トラスの自重・列車過重)とトラスの幅方向の力(横風など)を負担するものとして、橋脚の負荷を低減することにより基礎の構造を簡素化することとした。基礎はまず地上から地下17mまで直径2mの鋼管杭を打ち込み、次にその内部から直径1.8mの場所打ち杭を打ち込み、規定の深さまで基礎杭を延長するという建設手法がとられた。
一方、トラス桁は現在線に近接していることに加え、川幅が狭いことや僅かにある低水敷(川の両側にある岸の部分)は道路として利用されていることから架設作業に使えるスペースがほとんど無かった。このため、トラス桁は尼崎駅側から一方通行で架設していくことになり、4径間あるうちの最初の1径間は河川内に架設の橋脚(ベント)を設置してトラベラークレーンにより桁を架設し、残りの3径間は同じくトラベラークレーンにより片持ち状態で架設を行った。片持ち架設時はそのままだとク自重により桁が大きくたわんでしまうため、完成した後方の桁と連結してカウンターウェイトとして利用することによりたわみ量を最大で20cmに抑えた。
なお、完成した橋梁は周辺が工場であり騒音に関する問題が少ないことから無道床(軌道と橋桁が直結)とされた。

●現地写真
尼崎駅先の東海道線並走区間(上り列車の前面展望) 神崎川橋梁
左:尼崎駅先の東海道線並走区間(上り列車の前面展望)
右:神崎川橋梁(同上)

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東海道線外側線が使用している新橋梁は既設橋梁より目測で2mほど高い位置にあり、橋梁前後は緩い勾配で接続している。橋梁付近の線路は北側に向かって大きく膨らむような線形となっているが、いずれの曲線半径も緩く、外側線を最高速度130km/hで走行する新快速も速度制限なしに走行可能となっている。なお、神崎川橋梁から尼崎駅までの間は既存の盛土高架を拡幅して6本の線路を収めている

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