新木場駅 - りんかい線東臨トンネル(3)

東京臨海高速鉄道りんかい線東臨トンネル ~時代に翻弄されたもうひとつの京葉線~
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本レポートはりんかい線のトンネル区間をメインに取り上げるものであるが、地上区間に関してもいくつか特徴的な部分があることから新木場側から順に触れておくこととする。

■新木場駅 0km000m

▼参考
(1)臨海副都心線工事誌 - 日本鉄道建設公団東京支社2003年9月 1~2ページ
(2)臨海副都心線の工事概要 - 建設の機械化1992年12月号3~8ページ
(3)首都圏における新線開業 5、東京臨海高速鉄道臨海副都心線 - 日本鉄道施設協会誌1996年9月号20~31ページ
(4)京葉線工事誌 - 日本鉄道建設公団東京支社1991年3月 334・335・338~346ページ

●概説


より大きな地図で 東京臨海高速鉄道りんかい線東臨トンネル を表示

新木場駅はりんかい線の営業上の起点駅であり、京葉線・東京メトロ有楽町線(りんかい線建設当時は営団地下鉄)との乗換駅にもなっている。駅の構造は国道357号に並行する形で設けられた高架橋で、2階の北側(国道側)がりんかい線ホーム、南側が有楽町線ホーム、中3階が3社総合の改札口コンコース、3階が京葉線ホームとなっている。駅前広場は南側にあり、北側は高架橋と国道の間に空間が全く無いため、3階コンコースから地上に下りる階段は南側の1箇所のみの設置となっている。

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新木場駅の断面図 ※クリックで拡大
新木場駅はりんかい線と京葉線が一体の高架橋となっており、りんかい線のホームの真上に京葉線のホームが重なる構造となっている。これは京葉線の建設時に現在りんかい線として使用している部分も合わせて建設していたことを意味する。(りんかい線は京葉線開業よりも後に着工しているため。)このことは京葉線新東京トンネルのレポートで主たる参考文献となった「京葉線工事誌」に記載されている。
新木場駅の高架橋は2階が京葉湾岸線(現在のりんかい線)、3階が京葉都心線(現在の京葉線の本線)となっており、軌道高さは前者が13.415m、後者が24.215mとなっている。蘇我方は2階の京葉湾岸線が荒川橋梁へ向かって10パーミルの上り勾配となり、その両側に18パーミルの下り勾配で3階から京葉都心線が降りてきて合流するという構造となっている。高架橋の構造は主に駅部分がラーメン式高架橋、それ以外の部分が桁式高架橋となっており、明治通りと交差する駅の東京・台場方の部分には国内では初となるダブルデッキワーレントラス橋が採用された。(第1夢の島架道橋、全長72m)新木場駅一帯は埋立地で地盤が極めて軟弱であることから、ラーメン式高架橋とトラス橋以外の桁橋の基礎杭はいずれもある程度の地盤沈下に追随できる設計となっている。3階に設置する京葉都心線のホームは最大幅10m、全長は15両編成対応を想定した設計となっており、2階京葉湾岸線にも将来の旅客線化を考慮して同一位置にホームの設置スペースを確保した。(これが後にりんかい線新木場駅のホームとなる。)

新木場駅、1979(昭和54)年
新木場駅、1984(昭和59)年
新木場駅、1989(平成元)
新木場駅付近の航空写真。上から1979(昭和54)年、1984(昭和59)年、1989(平成元)年。
(C)国土交通省 国土情報ウェブマッピングシステムカラー空中写真データより抜粋

※クリックで拡大

新木場駅の建設工事は1983(昭和58)年の京葉線の旅客線化決定直後から開始され、南側を通る営団地下鉄有楽町線と同時並行で工事が進められた。この様子は1984(昭和59)年の航空写真で見ることができる。京葉線の工事に当たっては北側の国道357号側に作業スペースが取れないことから資材搬入は全て有楽町線の現場を横断して行うことや、トラス桁の仮設の際は周辺道路を全面的に通行止めにする必要があるなどかなりの苦労があった模様である。また、当地域はかつて天然ガスの採掘(南関東ガス田が行われていたことから、基礎杭の打ち込みに当たってはメタンガスの噴出対策を行う(溶接作業時の引火対策)など独特な工夫もなされている。
なお、1988(昭和63)年の京葉線開業時点では2階の高架橋は路盤のみが構築されただけにとどまっており(1989年の航空写真では蘇我方の京葉線上下線間に何も無い)、軌道やホームなど臨海副都心線乗り入れに必要な設備は1991(平成3)年以降のの臨海副都心線第一期区間建設時に改めて工事が行われている。この際、駅の蘇我方に既に営業中の京葉線との連絡線を設けることや、営業中の駅直下で工事を行うことから、JR東日本東京工事事務所に全面的に工事が委託されている。

▼脚注
※南関東ガス田:東京都江東区から千葉県の房総半島の地層中に埋蔵されている天然ガスのこと。昭和初期から東京都内でも採掘が行われたが、ガスとともに地下水をくみ上げることから、地盤沈下の主たる原因とされ、昭和40年代に東京都が鉱業権を買い取る形で採掘が禁止された。京葉線開業後の1993年には近隣のトンネル工事現場でこの地層から発生したガスによる爆発事故が発生している。2004年に千葉県山武郡の「九十九里いわし博物館」で発生した爆発事故や、2007年に東京都渋谷区の温泉施設「シエスパ」で発生した爆発事故もこのガスが原因と考えられている。

▼参考
泥土圧シールドトンネルのメタンガス爆発災害 - 失敗知識データベース(畑村創造工学研究所)

▼関連記事
大多喜と天然ガスのはなし(2007年4月12日作成)

●現地写真
新木場駅蘇我方の場内信号機。右の「東臨」とプレートがある信号機がりんかい線への進路を示す。 その先の京葉線・りんかい線分岐点。下っていく線路の先にはかすかに埼京線205系が見える。
左:新木場駅蘇我方の場内信号機。右の「東臨」とプレートがある信号機がりんかい線への進路を示す。
右:その先の京葉線・りんかい線分岐点。下っていく線路の先にはかすかに埼京線205系が見える。
2枚とも2011年5月5日撮影。

※クリックで拡大(記事一番下に切り出す前の動画があります。)

京葉線の新木場駅は1988(昭和63)年の暫定開業時に終着駅であったことから、現在も蘇我方には折り返し用の両渡りポイントが残されている。このポイントは1990(平成2)年3月の東京延伸後は使用停止となっていたが、2006(平成18)年9月に発生した東京駅の信号機器室での火災の際、運転見合わせが長時間に及ぶことから急遽この新木場駅の折り返し機能を復活させ、以後はトラブルに備え使用可能な状態を維持している。
りんかい線の連絡線との分岐点はこの両渡りポイントの先にあり、京葉線の上下線の内側から単純に分岐していく配線となっている。分岐点のキロ程は資料にないので正確には不明だが、地図上で照らし合わせた距離では新木場駅の0kmポストからおよそ700mとなっている。京葉線の列車内から見ると連絡線が手前から引き続き同じ角度で下り勾配となっているのに対し、両側の京葉線の本線は急角度で3階へ上っており、このあたりはいかにも京葉線側が「後付け」の設計であることをうかがわせる構造となっている。なお、この連絡線はりんかい線の第一期区間開業時に車両の検査を京葉線の京葉電車区(現・京葉車両センター)に委託していたことから頻繁に使用されていたが、第二期区間開業後は自社で車両基地を確保したことや東京総合車両センターでの大規模検査時は大崎駅から入線することから、現在は一部の団体列車が使用するにとどまっている

新木場駅中3階のりんかい線改札口
新木場駅中3階のりんかい線改札口。2011年7月9日撮影

新木場駅の改札口コンコースはJR東日本(京葉線)・東京メトロ(有楽町線)・東京臨海高速鉄道(りんかい線)の3社が同一フロアに集まっており、有楽町線ホームの真上にあることから管理は東京メトロが一括して行っている。通路の内装には新木場の象徴である木材を多用しており、天窓が設置されていることとあいまって明るく温かみのある雰囲気となっている。改札口は西側から東京メトロ、JR東日本、東京臨海高速鉄道の順に並んでおり、りんかい線の改札口は東京ビッグサイトのイベント開催時の混雑などに備え、自動券売機を6台、自動改札機を9台設置している。また、定期券や各種チケットなどを販売する有人窓口もある。

2階りんかい線ホーム。2011年5月5日撮影
2階りんかい線ホーム。2011年5月5日撮影

中3階の改札口と2階のホームは階段1箇所、エスカレータ6基(3基で1組)、エレベータ1基で連絡している。改札口が駅の東(蘇我方)に偏っているため、昇降設備も東側に偏って設置されており、大崎方はエスカレータのみの設置となっている。ホームの最大幅は10mで、全長は工事費縮減のため全駅で10両編成ぎりぎりの205mとなっている。ホーム中央部は天井が異様に低く地下駅のような雰囲気があるが、これは上階にある店舗やトイレの排水管を収納すすためと思われる。南側には東京メトロ有楽町線のホームがあるが、ホーム全長に渡り防音壁があるためその様子を見ることはできない。

2番線の蘇我方を見る。 1番線の蘇我方を見る。隣には東京メトロ有楽町線の10000系が折り返しのため停車中。 ホーム大崎方は明治通りをまたぐトラス橋の中にある。
左:2番線の蘇我方を見る。
中:1番線の蘇我方を見る。隣には東京メトロ有楽町線の10000系が折り返しのため停車中。
右:ホーム大崎方は明治通りをまたぐトラス橋の中にある。3枚とも2011年5月5日撮影

※クリックで拡大

ホームの蘇我方は京葉線へ通じる連絡線となっており、2番線側には出発信号機が設置されている。この連絡線は年に数回しか利用されないためか、レールには全体的にさびが生じておりあまり状態はよろしくない。15両分のホーム設置を考慮しているため、ホームの先もしばらく上下線の間隔が広い状態が続いており、開いたスペースは信号機器室として使用されている。
一方、ホームの大崎方は明治通りをまたぐトラス橋の中にあり、ホーム上にもトラスの柱が食い込んでいる。軌道は2階のりんかい線、3階の京葉線ともにバラスト軌道となっており、列車走行時の騒音・振動は比較的少ない。こちら側もホームの延長は可能であるが、りんかい線の各駅はいずれも最大10両編成を前提に構造物を建設しているため、今後ホームが15両分に延長される可能性は無い

▼関連記事:3階京葉線ホームの様子
休日夕方の京葉線新木場駅(2006年7月12日作成)
京葉線新木場駅・その2(2007年12月8日作成)

●駅データ
駅名:新木場(しんきば)
住所:東京都江東区新木場1丁目6
乗車人員(降車客を含まない):26,437人(2010年、東京臨海高速鉄道ホームページによる)
Web:新木場駅|りんかい線


京葉線前面展望葛西臨海公園→新木場 - YouTube 音量注意!


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