JR東西線その他の特徴 - JR東西線(30)

JR東西線 前人未到の深さで大阪中心部を貫いた地下鉄道のすべて
※クリックすると目次ページを表示します。

前回まででJR東西線の構造物に関する解説はほぼ終了したが、JR東西線は国鉄分割民営化後に開業した地下路線ということもあり、特徴的なものがいくつか存在する。今回はそれらについて解説することとしたい。

■各駅のカラーとシンボル
▼参考
特集「平成9年開業新線」Ⅱ.JR東西線(片福連絡線) - 日本鉄道施設協会誌1997年7月号13~24ページ
大阪府メールマガジン“GEO(Global E-net Osaka) ”No.11~17

JR東西線は全て地下駅であることから、利用者がどの駅にいるのか判断できるようにするため、各駅に固有のカラーとシンボルを持たせている。いずれも駅周辺にある史跡や歴史上の事実などから決定されている。以下に各駅の駅名板・シンボルについて一覧表にして解説する。また、各駅には駅スタンプも設置されていることから、合わせてそれも掲載した。

駅名駅名板とシンボル
※クリックで拡大
駅スタンプ
※クリックで拡大
解説




大阪城北詰駅駅名板+シンボル大阪城北詰駅スタンプ<カラー>
青藍(あい)

<シンボル>
ひょうたん(薄茶色)
由来:豊臣秀吉の馬印




大阪天満宮駅駅名板+シンボル大阪天満宮駅スタンプ<カラー>
薄藍

<シンボル>
梅(薄紅色)
由来:大阪天満宮の梅の花


北新地駅駅名板+シンボル北新地駅スタンプ<カラー>


<シンボル>
稲穂(黄金色)
由来:堂島川沿いでかつて米の取引
が行われていたことから。


新福島駅駅名板+シンボル新福島駅スタンプ<カラー>
若緑

<シンボル>
松(深緑色)
由来:逆櫓(さかろ)の松
(浄瑠璃・ひらがな盛衰記)


海老江駅駅名板+シンボル海老江駅スタンプ<カラー>
ベージュ

<シンボル>
藤の花(藤色)
由来:野田藤


御幣島駅駅名板+シンボル御幣島駅スタンプ<カラー>
スカイグレー

<シンボル>
渡し舟(茶色)
由来:野里の渡し・大浦の渡し

加島駅駅名板+シンボル加島駅スタンプ<カラー> 
山吹

<シンボル>
青海波(群青色)
由来:駅付近がかつて「難波の八十島」と呼ばれるほど島が多かったことから。


このほか、JR西日本では各路線に固有のカラーを持たせており、JR東西線は桜桃色となっている。これは各駅の駅名板の下側のカラーとして見ることができる。なお、各駅のカラー・シンボルはホーム階のみに掲げられており、改札階・コンコースは全て壁・床・天井とも白を基本としたデザインに統一されている。

■剛体架線と第2パンタグラフの搭載
JR東西線の剛体架線 尼崎駅の停止目標に併記されている第2パンタグラフ上昇の指示
左:JR東西線の剛体架線
右:尼崎駅の停止目標に併記されている第2パンタグラフ上昇の指示

※クリックで拡大

JR東西線では電車に電気を送る架線に地上区間で使用されるカテナリ吊架式架線ではなく、剛体架線を使用している。剛体架線は地下鉄路線でよく見られるもので、銅やアルミの棒材にクリップでトロリー線(パンタグラフが接触する部分)を固定したものである。剛体架線はトロリー線が取り付け部と一体になっていることにより、断線のリスクが低減され、火災や感電などの事故防止が図れる。しかし、カテナリ吊架式架線のような柔軟性が無いため、高速走行時はパンタグラフのすり板が追随しきれず、すり板が架線から離れる「離線」という現象が発生し、高圧電気のスパークが発生して架線・パンタグラフの双方を傷める原因となる。このため、JR東西線では最高速度を90km/hに制限するとともに、乗り入れる車両に対してはパンタグラフを2基設置し、双方のパンタグラフを電気的に接続して離線によるスパークを防止している。なお、地上区間で2基パンタグラフを上昇させたままで走行すると、パンタグラフ・架線の消耗を早めることになるため、JR東西線の両端に当たる京橋・尼崎の両駅で第2パンタグラフの上昇・下降の操作を行っている。パンタグラフの上昇・下降を操作するスイッチは運転台に設置されており、両駅の停止目標にはパンタグラフの上昇状態を確認するよう指示する標識が設置されている。以下は尼崎駅における第2パンタグラフの上昇操作の様子を撮影した動画である。


JR東西線321系尼崎駅到着~発車シーン - YouTube 音量注意!

■全線でATS-Pを採用
尼崎駅出発信号機のATS切替確認指示 ATS-P地上子(参考)
左:尼崎駅出発信号機のATS切替確認指示
右:ATS-P地上子(参考)

※クリックで拡大

JR東西線は道路下にトンネルを建設していることから、半径300m以下のカーブが数多く存在し、見通しが悪い箇所があるため、全線で信号保安装置にATS-Pを採用している。JR東西線のATS-Pは基本機能である停止信号の冒進防止に加え、停車駅誤通過防止、半径300m以下の全カーブの制限速度超過防止の機能を組み込んでいる。
JR東西線建設当時、JR西日本では信号保安装置にATS-SWを使用している区間がほとんどで、ATS-Pを採用していたのは東中野駅列車追突事故後の規定改定に対応できないATS-Bを使用していた大阪環状線、阪和線(天王寺~日根野間)などごく一部であった。また、その後整備されたJR神戸線・JR京都線などでは駅やカーブ近傍のみでATS-Pを使用し、それ以外の区間では従来のATS-SWを使用する「拠点P」と呼ばれるシステムを採用しており、全線でATS-Pを使用している区間は珍しい存在である。
なお、JR西日本ではATS-SW・ATS-Pの切替を運転台のスイッチを手動で切り替えることにより行っている。また、拠点Pの区間ではスイッチをATS-SW側に切り替えて運転しており、JR東西線の入口である京橋・尼崎の両駅の出発信号機にはATSの切替を確認するよう指示する標識が設置されている。

(つづく) このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサード リンク

カテゴリ:《番外編》JR東西線 の最新記事

JR東西線(インデックスページ)(2011年11月02日作成)
北新地駅のホームドア - JR東西線(32)(2011年10月19日作成)
JR東西線の車両 - JR東西線(31)(2011年10月07日作成)
JR東西線その他の特徴 - JR東西線(30)(2011年09月23日作成)
尼崎駅 - JR東西線(29)(2011年09月06日作成)
加島駅~尼崎駅 - JR東西線(28)(2011年08月23日作成)
加島駅 - JR東西線(27)(2011年08月10日作成)
御幣島駅~加島駅(現地写真) - JR東西線(26)(2011年08月05日作成)
御幣島駅~加島駅(概説) - JR東西線(25)(2011年08月04日作成)
御幣島駅(現地写真) - JR東西線(24)(2011年07月27日作成)
その他の記事はこちら

Facebookのコメント

コメント

コメント機能をご利用の際は必ず注意事項のページをご覧ください。
不適切な投稿内容は修正・削除される場合があります。また、内容によっては管理人からのレスが付かない場合がございます。確実に返信が欲しい場合はEメールをご利用ください。

管理者にだけ表示を許可する(管理人からの返信が付きません)


最新記事

首都圏外郭放水路庄和排水機場(2016/10/02)
相鉄・東急直通線建設工事(2016年取材②新綱島~日吉)(2016/09/10)
相鉄・東急直通線建設工事(2016年取材①羽沢~新横浜)(2016/09/07)
相鉄・JR直通線建設工事(2016年6月取材)(2016/08/27)
茨城県・守谷市のマンホール(2016/08/26)
東京メトロ千代田支線北綾瀬駅ホーム延伸工事(2016年6月4日取材)(2016/08/21)
東武伊勢崎線竹ノ塚駅高架化工事(2016年6月4日取材)(2016/08/14)
次期「書籍化」プロジェクトへの道すじ(2016/08/12)
JR飯田橋駅ホーム移設工事(2016年6月取材)(2016/08/06)
東急東横線10両化&関連工事(2015・2016年取材)(2016/08/03)
月別アーカイブ

全記事タイトル一覧

お知らせ

【総武・東京トンネル書籍化プロジェクト】COMIC ZIN様で欠品しておりました「総武・東京トンネル(上・下)」の販売を再開しました。詳しくは→こちら(2016,04,10)
さらに前のお知らせ

おすすめ&スペシャル

「総武・東京トンネル」書籍化プロジェクト 当サイトの前身であるYahoo!ブログから運営通算10周年を記念し、2008年に連載した「建設史から読み解く首都圏の地下鉄道① 総武・東京トンネル」についてほぼ白紙から書き直し、自主制作本(同人誌)にまとめるプロジェクトです。2015年3月のコミケットスペシャル6で総武線区間について取り上げた「上巻」、12月のコミックマーケット89で横須賀線区間について取り上げた「下巻」をそれぞれリリースし、昼過ぎに完売となる大好評となりました。現在書店(COMIC ZIN)様にて絶賛発売中です。

おすすめ記事

@takuya870625 Twitter