相鉄星川駅高架化工事(2011年9月10日取材)

カテゴリ:鉄道:建設・工事 | 公開日:2011年09月25日15:44
相鉄星川駅高架化工事

相鉄線(相模鉄道本線)星川~天王町間では現在連続立体交差事業(線路の高架化)が行われています。去る9月10日にその状況を取材してまいりましたので、事業の概要と現在の状況についてお伝えしたいと思います。

■相模鉄道本線星川~天王町間連続立体交差事業の概要


相模鉄道本線星川~天王町間連続立体交差事業は相鉄本線和田町~天王町間の全長1.9kmを高架化するものです。
星川駅周辺は保土ヶ谷区役所が存在し、保土ヶ谷区の行政上の中心地となっているほか、駅の南東側には1985(昭和60)年に閉鎖された日本硝子横浜工場跡地を利用して野村不動産が開発を行っている横浜ビジネスパーク(YBP)が存在し、星川・天王町両駅の乗降客数は1日当たり2万7千人に上っています。しかし、星川駅前の駅前広場は狭小でこれらの施設の利用者の受け皿としては不十分な施設となっている他、区間内に存在する踏切による交通渋滞・地域の分断が問題となっています。(特に、星川駅は優等列車の通過・接続待ちを行う駅であるため、踏切の遮断時間が延び問題が深刻化している。)このため相模鉄道と横浜市は和田町駅東側の横浜新道付近から天王町駅までの線路を高架化し、9か所の踏切を解消するとともに、交差する一部道路の拡幅、線路に並行する道路を新設し、交通渋滞の緩和、地域分断の解消、駅周辺の施設との連携強化を図ることとなりました。事業は2001(平成13)年に着工準備採択を受け、翌2002(平成14)年6月5日に都市計画決定が、同年9月13日に事業認可がそれぞれなされ、工事が開始されました。

星川駅の高架化前後
天王町駅の高架化前後
星川駅(上)と天王町駅(下)の高架化前後
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着工前の星川駅島式ホーム2面4線の外側に3本の留置線が取り巻く配線となっていました。高架化後は留置線は横浜方に移設されるため、駅本体部分は島式ホーム2面4線だけが並ぶ単純な配線となります。高架橋は2層構造で、2階が改札階、3階がホームという構造になります。一方、天王町駅は既に対向式ホーム2面2線を持つ高架駅となっていますが、今回の事業では高架橋を全面的に改築し、島式ホーム1面2線の構造に改められる予定となっています。
工事はいずれも現在線の北側に仮線を敷設し、線路を移設して空いたスペースに高架橋を建設するという手法が採られています。ただし、星川駅構内については留置線を含む7線全てを仮線に移設することはスペース的に困難であるため、留置線は2つ隣の西横浜駅構内に移転させたうえで、現在線の真上に高架橋を建設する方法が採られています。一方、天王町駅構内は現在線の南側に単線分の高架橋を新設し、下り線をそこに移設した後上り線を仮線化し、現在の高架橋の改築を行う予定です。(後述する事情により現在この部分は未着工となっている。)

■2011年9月10日の状況
横浜新道の先にある地上・高架の接続地点。仮線のため、線路はS字に急カーブしている。 星川駅ホームから海老名方面を見る。
左:横浜新道の先にある地上・高架の接続地点。仮線のため、線路はS字に急カーブしている。
右:星川駅ホームから海老名方面を見る。

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海老名方の地上・高架の接続地点は横浜新道との交差地点付近にあります。現在は上下線とも仮線への切り替えが完了しており、列車内から見ていると線路が急なS字カーブを描いて北側へ移動しているのがわかります。また、仮線の南側(左写真右側)ではすでに高架橋へ上るスロープの橋脚の構築が進んでいます。なお、この地上・高架の接続地点には2箇所踏切がありましたが、そのうち1箇所は民家に通じる私道であったことや完成後の高架橋の桁下高さが小さいことから、道路自体が廃止され線路を渡る際は線路沿いに新設される道路(区画街路4・5号線)で隣接する踏切に迂回する形となる予定です。さらに、星川駅の西側にある星川2号踏切で交差する市道鶴ヶ峰天王町線は道路幅が現在の6.6mから16.0mに拡幅される予定になっています。

高架橋の建設が進む星川駅構内。
高架橋の建設が進む星川駅構内。

星川駅構内は用地の関係上、下り線ホームの真上で高架橋の建設が行われています。高架橋は柱・梁・床とも全て鋼製の構造物となっています。橋脚の設置のため、ホーム中央は上下線の間隔が広くなっています。また、橋上駅舎も高架橋の工事に支障しない位置に設置した仮設駅舎に移動しているほか、ホーム自体も木や鉄骨で組んだ仮設のものとなっています。高架橋は2階が改札口、3階がホームとなる予定ですが、2階部分は地上の線路の建築限界に支障するため、梁・床面とも構築されていません。
なお、高架化完成後、星川駅の南側には駅前広場が(星川駅南口交通広場)が新設される計画となっており、その予定地は現在暫定的に駐車場として利用されています。

星川駅ホームから横浜方面を見る。 上り列車の後部から星川駅構内を見る。
左:星川駅ホームから横浜方面を見る。
右:上り列車の後部から星川駅構内を見る。

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星川駅の先も現在線の南側で高架橋の建設が進められています。この付近は新設高架橋のさらに南側に並行して道路が新設される計画(星川停車場線)となっており、南側はかなり広い空間が確保されているのが確認できます。星川~天王町間の中央にある天王町2号踏切で交差する市道天王町第93号線(都市計画道路岩間川線)も今回の事業に伴い、道路幅が16.1mから18.0mへ拡幅される予定となっており、該当する部分の高架橋は橋脚の間隔が広くなっています。

星川~天王町間の工事の様子。 天王町駅構内は変化は無い。
左:星川~天王町間の工事の様子。カーブの先にあるのが天王町2号踏切。
右:天王町駅構内は変化は無い。

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カーブを曲がり、勾配を上ると天王町駅に到着します。今回の事業に伴い天王町駅は現在の対向式ホーム2面2線から島式ホーム1面2線に改築される予定となっていますが、現在のところ工事は準備を含め一切行われていません。これは後述する通り用地買収が難航しているためのようです。

■用地買収が難航、完成が6年遅れ・総工費90億円増

相鉄線星川~天王町間の連続立体交差事業は2012(平成24)年度の完成に向けてこれまで工事が進められていました。しかし、事業を進めている中で

1、列車の運行・利用者の安全対策や環境対策に伴う追加工事が必要になった
2、用地買収が難航している(今年現在の買収率は89%)


といった理由から、予定通りの完成が困難な情勢となりました。このため、相模鉄道と横浜市が検討した結果、完成予定時期を6年遅れの2018(平成30)年度に遅らせることを今月14日に発表しました。また、これらの変更により総事業費は当初の379億円から90億円増の約470億円となり、増加分は国と横浜市が80億円、相模鉄道が10億円をそれぞれ負担することも併せて発表されました。
天王町駅前の用地買収は特に難航しており、横浜市では住民説明会を繰り返し開催して理解を求める方針としています。

▼参考
連続立体交差事業 - 相鉄グループ
横浜市 道路局 企画課 鉄道と道路の立体交差化
横浜市 道路局 お知らせ 相鉄線連続立体交差事業における事業計画の変更について
相模鉄道本線の天王町駅―星川駅周辺の高架事業6年遅れ、総事業費も90億円増/横浜:ローカルニュース : ニュース : カナロコ -- 神奈川新聞社 このエントリーをはてなブックマークに追加
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