千葉駅改良工事(2010年11月~2011年11月取材まとめ)

カテゴリ:鉄道:建設・工事 | 公開日:2011年11月04日18:43
正面がまもなく解体されるペリエ1

JR千葉駅では現在駅舎の全面改築を含む大規模な改良工事が行われています。昨年7月にこの工事について記事を作成しましたが、今年9月にJR東日本からこの事業について新たな発表があったことや、西口駅前の再開発が本格的に着手されるなど進展がありました。今回はこれらの最新の情報を元に取材した内容をお伝えいたします。

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千葉駅改良工事(2010年5月~7月取材)(2010年7月11日作成)

■千葉駅改良工事の概要


現在の千葉駅は戦後復興に伴う区画整理の一環で1963(昭和38)年に現在の東千葉駅の位置から移転してきたものです。以後、千葉駅は東京方面に向かう総武線(緩行・快速)と内房・外房・総武・成田の4路線を接続する千葉県内の交通の要衝となり、現在は1日あたり10万6千人の利用があります。また、1963年の移転に際しては駅ビル「ペリエ」が併設され、千葉駅とその周辺は県内でもトップクラスの商業圏として発展してきました。しかし、完成から47年が経過した千葉駅は老朽化が進み、耐震補強が必要となっており、2008(平成20)年9月には駅舎の建て替えを含む大規模改良の計画が持ち上がっていました。
ここで問題となったのが千葉駅の立地条件です。千葉駅の駅舎の一部をなす駅ビル「ペリエ1」は北・南・西の3方向をJR各線のホームに囲まれており、開業当時唯一開けていた東側も1995(平成7)年の千葉都市モノレール1号線千葉みなと駅延伸に伴いモノレールの駅舎で塞がれ、工事に必要な重機や資材を搬入するのが大変困難な状態となっていたのです。加えて、取り壊される駅ビルの1階部分に改札口や通路があったため、工事期間中にこれらの通路をどこに迂回させるかなども大きな課題となっていました。このため、2008年の計画発表後も着工は延びに延び、2009(平成21)年12月にようやくJR東日本から千葉駅の改良工事着手について正式な発表が行われました。このとき発表された内容は以下の通りです。

1、駅ビル「ペリエ」の全面改築
築47年が経過し、老朽化が進んだ駅ビル「ペリエ1」を全面的に改築(建て替え)する。新しいビルは現在より1フロア多い地上7階、地下1階の構造となる。

2、東口改札口を橋上化
千葉駅は傾斜地に位置しており西口口改札が3階、東口改札が1階にわかれている。東口改札口と各ホームは高架下の通路で接続しているが、建設が古いため通路内に柱が林立し、見通しが悪くなっている。このため、線路上空の3階(橋上駅舎)を新設し、東口の改札口をそこに移動させる。これにより東西2箇所の改札口を同一フロアで連絡するとともに千葉都市モノレールの駅舎とも接続し、交通機関同士の結節を強化する。

3、「エキナカ」の展開など
橋上駅舎内には各種商業施設(「エキナカ」)を整備し、リニューアルされる駅ビル「ペリエ」には文化交流に利用できるホールを新設し、利用者へのサービス向上と地域活性化を図る。また、橋上駅舎はLED照明の導入や屋上緑化による環境負荷低減を図るほか、保育園など子育て支援施設を整備し地域社会へ貢献する。

駅構内に掲げられている改良後の千葉駅のイメージ。 ペリエ1の1階で開催された「ペリエ千葉思い出写真展」。
左:駅構内に掲げられている改良後の千葉駅のイメージ。2010年5月22日撮影
右:ペリエ1の1階で開催された「ペリエ千葉思い出写真展」。2011年1月23日撮影

※クリックで拡大

この発表直後の2010(平成22)年春には支障物撤去などの関連工事が着手され、今年1月には駅ビル「ペリエ1」が取り壊しに向けた準備のため閉店しました。(閉店に先立つ2010年12月16日から千葉駅の昔の写真を展示する「ペリエ千葉思い出写真展」が開催され話題となりました。)その後、今年9月になりJR東日本より千葉駅改良工事の本格着手に関する追加の発表がありました。前回発表時と比較して変更・追加された点は以下の通りです。


a、千葉都市モノレール千葉駅の接続方法
現在の千葉都市モノレール千葉駅は4階に相当する高さに改札口がある。3階に移動するJR千葉駅東口改札口とこのモノレール千葉駅改札口は東口の駅前上空に階段・エスカレータ付きの通路を新設して直接接続する。

b、橋上駅舎内にも東西自由通路
千葉駅の南北を結ぶ通路は現在駅舎外の高架下通路のみとなっているが、橋上駅舎化後は利用客の流れがこちらにシフトすると想定されることから、そのままでは駅の南北間の利便性が低下する。このため、駅周辺の土地を管轄する千葉市と連携し、橋上駅舎内にも南北を行き来できる通路を新設する。

c、駅ビル・エキナカの施設内容
千葉の魅力をPRするため、地元で生産された食材の直接販売(いわゆる「消」)に取り組む。また、様々な利用者のニーズに応えられる幅広い商品展開を行う。

d、特殊な立地条件に対応した新しい建設技術の導入
線路上空に建設される橋上駅舎は6階建てで高さが30mに及ぶが、工期短縮のため基礎に地中梁を設けないほか、既設の高架橋を貫通して柱を設けることや広い空間を確保するため柱の長さ・間隔は大きくなる予定である。このため、太い基礎杭(直径3m)が必要であるが、高架下という立地条件のため従来の技術では人力施工となり昼間の工事も不可能であった。このため、狭い場所で安全に杭の打ち込み可能な建設機械を開発し、工期短縮を図ることとした。

●孔壁(こうへき)防護併用場所打ち杭工法
基礎杭を打ち込む穴を掘削すると同時に周囲の土砂の崩壊を防止する防護壁を打ち込むことにより、線路脇でも昼夜を問わず安全に基礎杭を施工することが可能となる。

●超低空場所打ち杭工法
高さ1.8mの杭打ち機械で、高架下の限られたスペースでも太い杭を施工することが可能となる。

千葉駅の新旧施設概要
新駅ビル旧駅ビル
延床面積約70,000m2約27,000m2
階数地上7階、地下1階地上6階、地下1階
用途と面積駅施設・コンコース:約16,000m2
エキナカ:約8,000m2
駅ビル:約46,000m2
駅施設:約10,000m2
構内店舗:約2,000m2
駅ビル:約15,000m2


去る2011年10月31日に熊谷俊人市長出席の下起工式が行われ、本格的な工事が開始されました。今後はまず駅ビルペリエ1の解体工事に取り掛かり、その後新駅ビル・橋上駅舎の建設などが行われる計画となっており、当初計画よりも1年遅れの2016(平成28)年夏に新駅舎の一部が開業する予定となっています。その後、2017(平成29)年春に駅舎の全面開業と駅ビルの一部開業2018(平成30)年春に駅ビルの全面開業をそれぞれ行い、事業が完成する予定です。

▼参考
千葉駅 駅舎・駅ビルが生まれ変わります!(PDF) JR東日本プレスリリース(2009年12月8日発表)
千葉駅 駅舎・駅ビル建替え 本体工事の着手について(PDF) JR東日本プレスリリース(2011年9月6日発表)
千葉駅建て替え難航 複雑構造で「難工事」に流動路確保など課題 JR東日本 | ちばとぴ ちばの耳より情報満載 千葉日報ウェブ(2009年11月27日)

■現在の状況(取材日:2010年11月21日・2011年9月13日・11月3日)

●東口駅舎
駅の北側(弁天1丁目)から見た駅ビル「ペリエ1」。
駅の北側(弁天1丁目)から見た駅ビル「ペリエ1」。2011年9月13日撮影

1月の閉店から半年以上が経過した駅ビル「ペリエ1」ですが、11月3日の取材時点でも解体工事用の足場が組まれるなどの変化は無く、外見上は営業していた当時のままの状態となっていました。写真は駅北側の弁天1丁目から見たペリエ1の建物で、最上階の壁面には1990年代末にリニューアルされる前の“PERIE”のロゴが残っているのを確認できます。手前の白い膜屋根の構造物はホームの下を横切って東口駅前広場に出る地下道で、橋上駅舎完成後はこの地下道の脇に橋上駅舎側へ通じる階段が設置される計画となっています。

空調機械の建屋が撤去された6・7番線の分岐部分。 床下に鉄骨が埋め込まれた5・6番線ホーム。
左:空調機械の建屋が撤去された6・7番線の分岐部分。2011年9月13日撮影
右:床下に鉄骨が埋め込まれた5・6番線ホーム。2010年11月21日撮影

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駅構内は構造物に手を加えるような大きな変化はありませんが、「ペリエ1」の解体準備のため6・7番線の間隔が広がる地点にあった空調機械の建屋が解体されたのが目立っています。また、ホームの一部も今後の工事で仮受けに備えて床面の一部に鉄骨(H鋼)を埋め込んでいる場所がありますが、数自体は少なくよく見ないと気づかないような変化となっています。

2010年11月に閉鎖された東口改札内の通路。 閉鎖された通路の迂回路は撤去された7・8番線の階段跡地から接続している。 7・8番線ホームの階段撤去跡。床面の矢印と頭上にある案内板が階段があったことを示している。
左:2010年11月に閉鎖された東口改札内の通路。2010年11月21日撮影
中:閉鎖された通路の迂回路は撤去された7・8番線の階段跡地から接続している。2011年9月13日撮影
右:7・8番線ホームの階段撤去跡。床面の矢印と頭上にある案内板が階段があったことを示している。2010年11月21日撮影

※クリックで拡大

駅中央の高架下にある乗り換え通路と東口改札口はこれまで「ペリエ1」直下の通路で接続しており、解体工事の支障となっていました。このため、2010年11月初めから7・8番線ホーム直下に新設された仮設の通路に迂回させる措置がとられています。この仮設通路はは以前飲食店などがあった場所を通っており、東口改札口側は2010年7月に閉鎖された7・8番線ホームへ通じる階段があった地点で既設の通路に接続しています。(言い換えれば、階段を閉鎖したのはこの迂回路を確保するためだったといえます。)7・8番線ホーム上の階段跡はアスファルトで完全に埋められており、床面の表記などがわずかにその名残をとどめている状態です。

東口駅前広場。モノレール千葉駅の接続通路は画面右上に新設される。 モノレール千葉駅改札口。JR千葉駅橋上駅舎からの通路は右のミスタードーナツがある位置に接続する。
左:東口駅前広場。モノレール千葉駅の接続通路は画面右上に新設される。
右:モノレール千葉駅改札口。JR千葉駅橋上駅舎からの通路は右のミスタードーナツがある位置に接続する。
2枚とも2011年9月13日撮影

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9月にJRから発表された情報で新たに橋上駅舎とモノレールの駅舎の具体的な接続方法が明らかになりました。接続施設は現在の東口駅前広場の上空に設置され、L字に曲がってモノレールの改札口前に直接出ることができるようになる予定です。モノレール駅舎側の接続予定地点には現在ミスタードーナツが入居しており、そう遠くない時期に閉店・撤去されるものと思われます。なお、モノレール駅舎の構造物はこの接続施設の支持を前提にした構造にはなっていないため、接続施設は駅前広場内に独立した支柱を設けて建設される模様です。

●西口駅舎
エレベータの工事が完了し、階段部分にも屋根が新設された西口駅舎。
エレベータの工事が完了し、階段部分にも屋根が新設された西口駅舎の北口側階段。2011年11月3日撮影

西口駅舎は一足早い2011年春に全面的なリニューアルが完了しています。これは千葉駅本体の改良工事ではなく後述する西口駅前の再開発に関連して工事が行われたためで、前回の記事でお伝えした跨線橋のアーチ屋根の追加に加え、今回北口ロータリーへ下りる階段にエレベータと屋根を追加する工事が完了しています。

リニューアルされた西口改札口。東口橋上駅舎からの通路は正面のトイレのある位置に接続する予定だが、現在のところ変化はない。 リニューアルされた西口改札内の通路。
左:リニューアルされた西口改札口。東口橋上駅舎からの通路は正面のトイレのある位置に接続する予定だが、現在のところ変化はない。2011年11月3日撮影
右:リニューアルされた西口改札内の通路。2011年9月13日撮影

※クリックで拡大

2011年春に完了したリニューアルでは駅構内の通路も徹底的に改修されており、スレート屋根から膜屋根への交換に始まり、床・壁の全面張替え、トイレのリニューアル、7・8番線ホームのエレベータ新設などそのメニューは多岐に渡っています。なお、この西口駅舎は今後建設される東口の橋上駅舎と通路で直接接続する予定ですが、接続予定地点は現在トイレとなっており、大きな変化はありません。

■千葉駅西口再開発の状況

再開発ビルの建設が開始された西口。画面中央の歩道橋の周囲にビル3棟が建つ。
再開発ビルの建設が開始された西口。画面中央の歩道橋の周囲にビル3棟が建つ。2011年11月3日撮影

千葉駅では東口駅舎の改良工事とは別に千葉市主導で西口駅前約1.9haの再開発(事業名:千葉都市計画事業千葉駅西口地区第二種市街地再開発事業)が進められています。この再開発は1988(平成元)年にすでに計画されていたものの、バブル崩壊に伴う景気低迷により長らく事業が開始されていませんでした。2008(平成20)年には民間事業者がビルを建設し、テナントが入らなかったスペースを市が買い取る「特定建築者制度」を活用してようやく事業主体が決定しましたが、直後にリーマンショックが到来しその企業が辞退を表明するなど混乱が起きました。このため、千葉市では要件を緩和して再度事業主体となる企業を募集し、2010(平成22)年に大成建設(株)・ロイヤルリース(株)の共同企業体がビル3棟を建設することが決定しました。再開発で建設されるビルの施設概要は以下の通りとなっています。

再開発ビルの施設概要
建物名A1棟A3棟A2棟
階数RC造 地上11階・地下1階SRC造一部S造 地上11階RC造 地上13階・地下1階
延床面積約10,560m2約6,030m2約8,990m2
用途店舗(1~2F)
事務所(3~11F)
駐車場(63台)
店舗・駅コンコース(1~5F)
事務所(6~11F)
店舗(1~3F)
ホテル(4~13F、客室数224)
備考事務所部分は富国生命が自社ビルとして使用。事務所部分は千葉市と地権者が取得。ホテル部分はロイヤルリースが取得し、ホテルサンルートに賃貸。


この再開発ビルは去る2011年10月5日に起工式が行われ、現在は基礎杭の打ち込みなど本格的な工事が開始されています。

未開通のため放置されている市道千葉港黒砂台線と京成千葉線の交差部分。 西口駅前の歩道橋から更地になった道路予定地を見る。
左:未開通のため放置されている市道千葉港黒砂台線と京成千葉線の交差部分。
右:西口駅前の歩道橋から更地になった道路予定地を見る。2011年11月3日撮影

※クリックで拡大

千葉駅西口再開発の鍵を握るのが再開発地区の中央を縦断する都市計画道路3・6・88号千葉港黒砂台線の整備です。この道路は再開発計画が持ち上がった1988(平成元)年から事業が続けられていましたが、用地買収が非常に難航したためこれまでほとんど工事ができていませんでした。2010(平成22)年6月には土地収用法に基づく裁決(強制収用)の手続きが行われ、計画策定から23年の時を経てようやく本格的な工事が開始されています。10年以上前に工事が完了していた京成千葉線のアンダーパス部分では暫定的に設置されていた歩行者用の階段を撤去して、車道・歩道の構造物を構築する準備が進められています。

▼参考
千葉市:西口再開発事務所トップページ
千葉駅西口再開発 めど立たず 市街地活性化 誘致阻む経済危機|ちばとぴ ちばの耳より情報満載 千葉日報ウェブ(2009年5月28日)


現在行われている千葉駅とその周辺の工事は1990年代初めに行われた千葉都市モノレールの建設とそれに伴う周辺の整備を上回る規模のものとなりつつあります。今後も地元民としてその様子を逐一皆様に報告したいと考えております。

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