京成3050形(3000形7次車)

成田空港駅のアクセス特急専用ホーム(1番線)に停車中の3050形

先週作成した記事で開業後の成田スカイアクセスの施設について解説しましたので、今回からは成田スカイアクセス線開業に合わせて一新された成田空港のアクセス鉄道の車両について、実際に乗り比べしたレポートをお送りしたいと思います。1回目の今回は成田スカイアクセス線の一般特急(アクセス特急)に使用されている3050形(3000形7次車)についてレポートいたします。

■京成グループ標準車両

京成3000形 新京成N800形 北総7500形
京成グループ各社の3000形同一設計車両。
左:京成3000形。2006年6月10日、京成高砂駅で撮影
中:新京成N800形。2010年3月2日、京成千葉線幕張本郷駅で撮影。
右:北総7500形。2006年6月10日、京成高砂駅で撮影

※クリックで拡大

3050形のベースとなった京成の3000形「人と環境にやさしい車両」をコンセプトに2003(平成15)年に営業運転を開始した車両です。この3000形では前世代の3700形とは異なり日本車両が開発した軽量ステンレス車体の組み立て手法である「ブロック構体」※1を採用しており、車体構造簡素化と大幅なコストダウンを実現しています。この3000形は昭和40~50年代に製造された3200形・3300形・3500形(未更新)などの古い車両の置き換え車両として増備が続けられており、2007(平成19)年には3200形が全廃されています。また、3000形の車体はJR東日本の209系などの例に倣い、京成グループ各社の標準設計としても位置づけられており、北総鉄道では7500形、新京成電鉄ではN800形の形式で導入が進められています。これらの車両の導入により北総鉄道では創業以来使用してきた7000形(通称「ゲンコツ電車」)を、新京成では昭和40年代に導入された800形の完全淘汰を達成しています。

▼脚注
※1 ブロック構体:車体の乗降ドア部分を別パーツとして組み立てるもの。他社の採用例としては小田急電鉄3000形、京王電鉄9000系などがある。

▼関連記事
「げんこつ電車」北総7000形・「C-Flyer」北総9100形ほか(2006年5月23日作成)
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■3050形の変更点

青砥駅に停車中の3050形アクセス特急成田空港行き。2010年10月10日撮影
青砥駅に停車中の3050形アクセス特急成田空港行き。2010年10月10日撮影

成田スカイアクセス線開業に合わせて増備された3000形7次車は車体の基本構造・性能は6次車以前の3000形と同一ですが、空港アクセス列車に使用目的が特化されているためそれに合わせた仕様変更が行われており、形式を+50として区別しています。6次車以前との変更点は以下の通りです。

1、外装・内装の変更
車体の構造は6次車以前と同一だが、前面・側面の塗装や車内の床・壁・座席の配色は空をイメージしたブルーに変更し、空港アクセス列車であることを強調した。

2、旅客案内機器の充実
外国人の利用が多くなることを考慮し、車内のドア上部には液晶ディスプレイを設置し、停車駅や乗り換え路線などをきめ細かく案内する。また、京成電鉄では初めて本格的な自動放送を設置した。さらに、側面の行先表示器はフルカラーLEDと切替表示を導入した。

3、安全性向上対策
2006(平成18)年に改正された省令※2に対応するため、運転台に運転状況記録装置が設置された。

▼脚注
※2 運転状況記録装置:2005(平成17)年の福知山線脱線事故発生後に鉄道の技術上の基準を定める省令が改正され、「1、曲線・行き止まりなどの危険箇所に自動的に速度を制限する装置(ATC/ATS)を設置すること」「2、運転士の体調に異変が生じた際自動的に列車を停止させる装置(デッドマン/EB装置)を設置すること」「3、万一の事故発生の際の原因究明のため運転操作の履歴を記録する装置を設置すること」の3点が義務付けられた。

なお、運転機器についてはコンプレッサが変更された以外は6次車以前と大きな違いはありませんが、設計上の最高速度は10km/h増しの130km/hに向上しており、将来の更なるスピードアップに向けて余裕を持たせてあります。以下、実際の車両の写真をもとにこれらの変更点について解説してまいります。

3050形の側面。青のグラデーションの中を航空機が行き交う。 3050形の行先表示器。行先と経由路線を交互に表示する。
左:3050形の側面。青のグラデーションの中を航空機が行き交う。2010年10月10日、京成高砂駅で撮影
右:3050形の行先表示器。行先と経由路線を交互に表示する。2010年7月25日、成田空港駅で撮影

※クリックで拡大(右画像はGIFアニメ/233KB

車体前面は6次車以前とは異なり、ブラックの部分が大きく減少し代わりにフロントガラス下部に青のグラデーションとその中に赤色で航空機が大きく描かれています。また、側面も6次車以前とは異なりドア・窓間の部分全体が空をイメージした青のグラデーションのフィルムが貼られています。グラデーションの中には航空機が2機飛行機雲をたなびかせながら飛ぶ様子が描かれており、空港アクセス列車であることを表しています。前面の航空機の赤色や側面の赤いラインは京成電鉄のコーポレートカラーを示しているもので、デザインの大幅な刷新を図りつつも企業のイメージカラーをきちんと残しています。
各車両片側1箇所ずつ設置されている行先表示器はフルカラーLEDとなり、京成線内のみならず直通先の都営浅草線・京急線に存在する多種多様な種別・行先に対応できるようになっています。(行先表示器のフルカラーLED化は6次車以前の3000形や3700形でも一部行われています。)また、都心~空港間の経由路線が京成本線と成田スカイアクセス線の2つに増えたことから、行先と経由路線を交互に表示させることで誤乗防止を図っています。

3050形の車内。青色の色遣いが印象的。 座席のモケットにも航空機が描かれている。
左:3050形の車内。青色の色遣いが印象的。
右:座席のモケットにも航空機が描かれている。2枚とも2010年7月25日、成田空港駅で撮影

※クリックで拡大

車内も外装と同じく床面・車端部の壁面・ブラインドの色が6次車以前のベージュから青に変更されています。また、座席のモケット(表地)も青色をベースに航空機が描かれており、空港アクセス列車であることを強調しています。座席で変更されたのはモケットの柄だけで、片持ち式の支持方法や詰め物などは6次車以前の車両と同一であり、座り心地も変化はありません。

各ドア上部にある液晶ディスプレイ。4ヶ国語で案内を行う。 各ドア上部にある液晶ディスプレイ。4ヶ国語で案内を行う。
各ドア上部にある液晶ディスプレイ。4ヶ国語で案内を行う。2枚とも2010年10月10日撮影
※クリックで拡大

各ドア上部には6次車以前の2段式のLED表示器に代わり、15インチの液晶ディスプレイが設置されています。この液晶ディスプレイでは次駅・停車駅・乗り換え路線などについて日本語・英語・中国語・韓国語の4ヶ国語で案内を行っており、外国人の利用も十分考慮されています。また、この3050形では京成電鉄では初めて自動放送がビルトインされており、京成線内のアクセス特急に限り駅発車時・到着時に日本語と英語で案内放送を行います。成田スカイアクセス線開業前も英語の放送は行われていましたが、これは車掌が持っているICレコーダーを車両側に接続して行うもので、放送内容は十分とは言い難かったため大きな進歩といえます。今後望まれるのは直通先を含めた全区間での自動放送設置といったところでしょうか。

■3050形に実際に乗車(乗車日:2011年9月18日)


成田スカイアクセス成田空港→印旛日本医大 - YouTube 音量注意!
※再生リストです。4本の動画を順に自動で再生します。
※1本ずつご覧になりたい場合は以下のリンクよりどうぞ。

成田スカイアクセス アクセス特急前面展望・1/4 成田空港→空港第2ビル - YouTube
成田スカイアクセス アクセス特急前面展望・2/4 空港第2ビル→新根古屋 - YouTube
成田スカイアクセス アクセス特急前面展望・3/4 新根古屋→成田湯川 - YouTube
成田スカイアクセス アクセス特急前面展望・4/4 成田湯川→印旛日本医大 - YouTube

この3050形は成田スカイアクセス線を経由する「アクセス特急」にメインで充当されており、京成上野~成田空港間のほか、都営浅草線・京急線経由で羽田空港へ直通する列車にも頻繁に使用されています。(都営線・京急線直通列車については京急600形・新1000形が入る場合もある。)今回取材時は成田空港発のアクセス特急でこの3050形乗車しました(乗車区間は成田空港→東松戸)。成田スカイアクセス線の成田湯川~空港第2ビル間は単線であるため、アクセス特急の多くは途中にある新根古屋信号場で上下列車の行き違いを行います。現状ではダイヤにかなり余裕を持たせているためか、信号場では10分前後止まることが多く、成田湯川駅でのスカイライナーの待避とあわせ大きなタイムロスとなっている感があります。
成田湯川駅以西はは複線で途中駅もないため最高速度120km/hを維持したまま印旛沼沿いの高架橋を疾走します。この区間は弾性まくらぎ直結軌道で安定した軌道条件となっているはずですが、100km/h以上の高速になるとどういうわけか上下にふわふわと浮くような周期的な上下動が発生してしまう傾向があります。軌道と台車の特性(固有振動数など)がややマッチングしていないのかもしれません。印旛日本医大駅から先は既開業区間の北総線を走りますが、千葉ニュータウンの中を走る印旛日本医大~西白井間は極めて線形が良く(当初計画では小室付近まで成田新幹線が並走する予定だったためでもある)、速度制限を受ける箇所は存在しません。現在のアクセス特急の日暮里~空港第2ビル間の所要時間は最速で59分となっていますが、前述の無駄な待避時間の削減や最高速度130km/hへの向上などによりさらに数分程度の所要時間短縮は期待できそうです。現状は日中40分間隔となっている運転本数の増加も含め、このあたりは今後の需要次第で変わってくることでしょう。

▼参考
京成電鉄3000形7次車 - 交友社「鉄道ファン」2010年6月号
京成3000形通勤電車 - 日本車両 事業・製品紹介
新京成電鉄N800形通勤電車 - 日本車両 事業・製品紹介
北総鉄道7500形 - 日本車両 事業・製品紹介
京成3000形7次車(通称3050形)通勤電車 - 日本車両 事業・製品紹介

次回は成田スカイアクセスのメイン、特急「スカイライナー」のAE形の乗車レポートをお送りします。

▼関連記事
成田スカイアクセスの概要…成田スカイアクセスまもなく開業!(1)(2010年6月23日作成)
北総線の改良工事と運賃問題…成田スカイアクセスまもなく開業!(2)(2010年6月25日作成)
新線区間と空港第2ビル・成田空港駅…成田スカイアクセスまもなく開業!(3)(2010年7月1日作成)
【動画有】新型スカイライナーAE形…成田スカイアクセスまもなく開業!(4)(2010年7月4日作成)

(つづく)

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