100周年を迎えた東京都交通局(都電花電車など)

飛鳥山交差点を行く都電荒川線の最新車両8800形と花100形
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今年8月、東京都交通局は創立100周年を迎えました。これに合わせて東京都では江戸東京博物館で都営交通に関するコレクションの展示会「東京の交通100年博」を開催したほか、都電荒川線では記念の装飾を行った花電車が運行されました。今年最後の一般記事はこの都営交通100周年記念のイベントについてお伝えすることといたします。

■東京の交通100年博(江戸東京博物館)

江戸東京博物館。2011年8月16日撮影
江戸東京博物館。2011年8月16日撮影

東京都交通局の前身である東京市電気局は1911(明治44)年に開局し、現在の都電の始祖となる路面電車の運行と発電事業を開始しました。その後は関東大震災、東京都制の開始、太平洋戦争など幾度の困難や組織再編などを経て、都が開始した公営バス事業(都バス)や国鉄・民鉄などの鉄道路線網とともに東京の近代交通の主役を担うようになります。こうして都内を網の目のように走るようになった都電も高度経済成長期に入ると自動車の増加により交通渋滞の原因となったり、定時運行が困難になるなどの問題が出るようになりました。そこで、以後は帝都高速度交通営団(営団地下鉄、現在の東京メトロ)とともに路面電車を順次地下鉄に切り替える政策に転換し、1960(昭和35)年の都営地下鉄1号線(都営浅草線)の開業を皮切りに4路線の都営地下鉄が建設されました。さらに、モノレールや新交通システムなど新技術を利用した交通手段の整備も模索され、現在の東京都交通局は路面電車1路線(都電荒川線)、地下鉄4路線(浅草線・三田線・新宿線・大江戸線)、新交通システム1路線(日暮里・舎人ライナー)、モノレール1路線(上野動物園モノレール)、都営バスという5種類のシステムを保有しています。

屋外で展示されていた都電6000形6086号車 同じく屋外で展示されていた函館市電ササラ電車(元東京市電ヨヘロ1形)
左:屋外で展示された都電6000形6086号車
右:同じく屋外で展示された函館市電ササラ電車(元東京市電ヨヘロ1形)。2枚とも2011年8月16日撮影

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江戸東京博物館で7月14日~9月10日に開催された「東京の交通100年博」ではこの東京都交通局の100年間の歴史を象徴するコレクションが多数展示されました。展示室内は撮影禁止だったため写真はありませんが、展示物の一例としては初代東京市電の車両「ヨヘロ1形」の復元模型(1/2車体)、都電の系統板、都バスの模型、各種記録写真などがありました。この一部は鉄道博物館などで現在は展示していない収蔵物を借用したものもあります。
また、今回の展示会で特徴的だったのは屋外に実物の都電の車両が展示されたことです。展示されたのは都電6000形の6086号車と元東京市電ヨヘロ1形を改造した函館市電の排形(除雪車)の2両です。
都電6086号車は終戦からわずか4年後の1949(昭和24)年に製造され、以後都電の縮小・廃止に合わせて実に9回もの転属を繰り返しながら1978(昭和53)年まで活躍しました。引退後は個人宅に引き取られて保存されていましたが、経年劣化が進み維持管理が困難となったことから、2008(平成20)年に都電荒川線の荒川車庫に里帰りを果たしたものです。この里帰りの実現には、交通博物館・鉄道博物館で学芸員を務めた岸由一郎氏(2008年6月の岩手・宮城内陸地震に遭い死去)の多大な貢献がありました。
一方、函館市電の排形東京市電の初代車両ヨヘロ1形を改造した除雪車(ササラ電車)です。この車両は1934(昭和9)年の函館大火の際、東京市から譲渡された車両の一部で、現在も函館市電を運行する函館市企業局が除雪車として2両保有しています。今回は函館市企業局の協力により2両ある排形のうち1両(排4)が貸し出され、76年ぶりの東京への里帰りが実現したものです。
なお、2両の車両の背後には来る2012(平成24)年1月21日よりロードショーとなる映画「ALWAYS 三丁目の夕日'64」で使われたセットが置かれており、昭和30年代の街並みが再現されました。(同映画のプロモーションも兼ねていた模様。)

<(参考)「東京の交通100年博~都電・バス・地下鉄の“いま・むかし”」概要>
会期:2011年7月14日~9月10日(東日本大震災により当初6月21日~8月28日だったものを順延)
開館時間:9:30~17:30(土曜日は19:30、入館は閉館の30分前まで)
休館日:8月1・8・22日
※この他のデータは以下の江戸東京博物館の過去の特別展のページなどを参照。

▼参考
特別展「東京の交通100年博~都電・バス・地下鉄の“いま・むかし”」│展覧会情報│江戸東京博物館
「東京の交通100年博~都電・バス・地下鉄の“いま・むかし”~」の開催 | 東京都交通局

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■都電荒川線で花電車を運行
荒川車庫で出発準備中の都電花電車。隣には毎回違う装飾を施した車両が展示された。
荒川車庫で出発準備中の都電花電車。隣には毎回違う装飾を施した車両が展示された。2011年10月30日撮影 ※クリックで拡大

江戸東京博物館の展示会とは別に東京都交通局では都電荒川線で100周年記念の装飾を行った花電車の運行を行いました。都電荒川線で花電車が運行されるのは1978(昭和53)年の荒川線ワンマン化完了時以来33年ぶりの出来事です。
花電車の「土台」となったのは廃車となった一般車両7500形を改造した専用車両「花100形」で、当初は6月から花電車の運行が行われる計画だったため車両自体は今年3月上旬に完成した状態となっていました。しかし、直後に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)により発電所が被災し、電力不足が慢性化したため長らく運行が延期されていました。最終的に花電車が運行されたのは10月で、1日(土)、10日(月・祝)、16日(日)、23日(日)、30日(日)の計5日間、荒川車庫前~三ノ輪橋間と荒川車庫前~早稲田間をそれぞれ2往復しました。参考までに運行ダイヤは以下の通りです。

都電花電車運行ダイヤ(参考時刻)
三ノ輪橋町屋駅前熊野前荒川車庫前王子駅前大塚駅前早稲田
14:20←14:13←14:08←14:00
14:26→14:32→14:37→14:47
15:20→15:27→15:41→15:55
16:34←16:30←16:14←15:59
17:30→17:35→17:51→18:05
18:45←18:40←18:24←18:10
19:35←19:28←19:23←19:15
19:40→19:47→19:52→20:00


なお、荒川車庫では14時の出発前に待機中の花電車の隣に日ごとに違う装飾を施した車両が並べられており、車庫門は開放されないものの、事実上「即席の展示会」として機能していました。


都電荒川線都営交通100周年記念花電車 - YouTube 音量注意!

花電車はショートケーキをイメージした装飾となっており、装飾部分には照明も仕込まれていたため夜間はあたかもロウソクが灯されているかのごとくライトアップがなされていました。この花100形は12月にクリスマス仕様の追加装飾を施したうえで再度展示されています。今後は100周年記念以外の装飾を施してイベントに活用されることもあるかもしれません。

▼参考
都営交通100周年記念WEBサイト(イベント終了に伴い近日閉鎖予定)
編集長敬白: 都電 花電車復活。
都電荒川線の「花電車」にクリスマス飾り|鉄道ニュース|2011年12月23日掲載|鉄道ファン・railf.jp

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