新橋駅改良工事(2012年3月3日取材)

カテゴリ:鉄道:建設・工事 | 公開日:2012年03月26日18:16
新橋駅SL広場より

JR新橋駅では現在、高架橋の耐震補強、バリアフリー化、コンコースの拡張などの改良工事が行われています。当ブログでは昨年3月にこの工事について調査しましたが、それから1年余りが経過し、進展が見られましたのでこのたび再調査を行いました。今回も工事が行われている地上部分の状況を中心にお伝えしていきます。

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新橋駅改良工事(2011年3月26日取材)(2011年8月21日作成)

■新橋駅改良工事の概要


新橋駅は山手線、京浜東北線、東海道線、横須賀線のJR4路線と東京メトロ銀座線、都営浅草線、新交通ゆりかもめの3路線が接続する都内の交通の要衝となっています。また、駅の南には2000年代初めに汐留貨物駅跡地を再開発してできた「汐留シオサイト」のオフィスビル群があり、新橋駅の利用者数はJR東日本全体で第7位の244,916人(2010年度)となっています。
JR新橋駅を構成する構造物は山手線・京浜東北線が明治時代に建設されたレンガアーチ高架橋、東海道線が大正時代に建設された鉄筋コンクリート高架橋、横須賀線が昭和中期に建設された地下駅から成っています。このうち、地上にある山手線・京浜東北線・東海道線の高架橋は建設以来大きな改修が行われていないため、バリアフリーへの未対応や狭隘なコンコースによる混雑といったサービス面での問題が生ています。来る2013(平成25)年度には東北縦貫線開通による宇都宮・高崎線の列車の乗り入れが予定されており、これらの問題のさらなる悪化が懸念されています。また、新橋駅付近の高架橋はこれまで一度も耐震補強が行われていません。昨年の東日本大震災以後、東日本全体では地震活動が活発化しており、首都圏直下を震源とする地震についても今後30年以内に70%の確率で発生すると試算されるなど大規模地震の発生の危険性が高まっています。これを受け、JR東日本は先日首都圏における地震観測体制の強化と、高架橋・切取・盛土などの線路構造物の耐震補強を柱とした、総額520億円に上る対策を実施することを発表しました。新橋駅の高架橋もこの対象に含まれており、駅構内のコンコースの拡張と併せて高架橋の大規模な改築を行うことになりました。具体的な改修内容は以下の通りです。

新橋駅の改良部分
新橋駅の改良部分
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1、駅中央のレンガアーチ高架橋を鉄筋コンクリート高架橋に改築
駅中央付近(現在の銀座口・日比谷口改札口から烏森口側の改札内コンコース付近まで)のレンガアーチ高架橋を鉄筋コンクリート高架橋に改築する。これにより、柱の間隔が広がり(最大スパン長=18m)高架下の空間を有効に利用できるようになる。なお、西側のSL広場に面した高架橋はレンガアーチ高架橋のまま残し、文化遺産としての価値を後世に伝えることとする。

2、コンコースの拡張・バリアフリー対応
改築された高架橋の下は全面的に改札内コンコースとして利用し、現在は駅の南北で分かれているコンコースを一体化する。また、現在は2つにわかれている駅北側の銀座口・日比谷口の改札口を1か所に統合し、改札口前にあるホームへ上がる階段は駅の中央寄りに移設し、混雑緩和を図る。さらに、全ホームにエレベータを整備しバリアフリー化を図る。

3、高架橋の耐震補強
現状のまま残す東海道線の高架橋とSL広場に面した京浜東北線のレンガアーチ高架橋は耐震補強(前者は鋼板巻きまたは一面補強、後者は内面にコンクリート巻き立て)を行い、大地震に対する安全性を向上する。

4、東海道線ホームの拡幅
東北縦貫線の乗り入れにより混雑が予想される東海道線上り線のホーム中央110mを最大で0.7m拡幅する。0.7mという幅は交差する道路の橋桁(東京寄りの二葉橋Bv(外堀通り)・烏森橋Bv(品川寄りの烏森口コンコース))を移設しないで済むギリギリの寸法ということで決定されたものである。また、東海道線ホームの中央に階段・エスカレータを1か所ずつ増設し、混雑緩和を図る。

このほか、駅東側の地下にある横須賀線ホームについても一般利用可能なエレベータが無いため、地上~地下1階(改札口)と地下1階~ホームのエレベータが整備される予定となっています。工事に必要な作業スペースは駅の外にはほとんど確保できなかったため、やむを得ず高架下の店舗を退去させることになっており、今回対象とされたエリアについてはおおむね退去が完了しています。工事のスケジュールはまず東北縦貫線が開業する2013年度までに南北のコンコース一体化と東海道線の高架橋の耐震補強を完了させ、その後2016年度までに全体の工事を完了させる計画となっています。
なお、今回工事の対象となっていない駅西側の一部区画についても「継続して検討するエリア」とされており、駅構内の混雑や高架下を利用している店舗のオーナーとの交渉次第では追加で工事が行われる可能性もあります。

▼脚注
※駅の外からこのエリアを見たところ、パチンコ店が入居していることを確認した。今回工事の対象外となったのは店舗のオーナーが退去に難色を示しているためと思われる。

■2012年3月3日の状況

SL広場からホーム上空に出現した鉄骨を見る。 ホーム上から同じ鉄骨を見る。
左:SL広場からホーム上空に出現した鉄骨を見る。
右:ホーム上から同じ鉄骨を見る。
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今回訪問時に確認できた一番の変化は山手線・京浜東北線ホーム上空に謎の鉄骨の骨組みが組まれたことです。骨組みが出来上がっていたのはホーム中央付近で、ちょうどレンガアーチ高架橋を残す部分と、取り壊して鉄筋コンクリート高架橋に改築する部分の境目に位置しています。今回確認した限りでは骨組みの端は線路方向には延長不可能で、幅方向には延長可能な造りとなっており、その狭さから完成後に(駅ナカなどの)商業施設として使用するのを意図したものではない模様でした。この骨組みに関しては資料に記載が無いため詳細は不明ですが、今後行われるレンガアーチ高架橋の撤去などに際し、資材を搬出入するためのクレーンを設置する作業台ではないかと思われます。

骨組みの支柱はホームの床を貫通して設置されている。 骨組み真下の高架橋の一部は仮設駐輪場として使用されていた。
左:骨組みの支柱はホームの床を貫通して設置されている。
右:骨組み真下の高架橋の一部は仮設駐輪場として使用されていた。
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この骨組みの支柱は当然のことながらホームの床を貫通して設置されています。着工前、この骨組み直下の高架下は京急ストアが入居していた場所で、現在は工事用の作業スペースとして利用されており、作業員やトラックが頻繁に出入りしています。今回訪問時、作業に使用していない一部の区画は仮設駐輪場として利用されていました。

銀座口・日比谷口コンコース内では引き続き店舗の撤去工事が進行中。 東海道線の高架橋は耐震補強が始まった。
左:銀座口・日比谷口コンコース内では引き続き店舗の撤去工事が進行中。
右:東海道線の高架橋は耐震補強が始まった。
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銀座口・日比谷口の改札内コンコースは前回と同様、店舗の跡地で設備の撤去工事が続いているほか、東海道線の高架橋については一足先に鋼板巻きによる耐震補強に着手しています。山手線・京浜東北線コンコース部分の内装には大きな変化はなく、まだレンガアーチ高架橋に手を加えるような段階までは至っていない模様です。

烏森口改札口前。やはり東海道線の高架橋の耐震補強が始まっている。 改札内も同様に耐震補強工事中。
左:烏森口改札口前。やはり東海道線の高架橋の耐震補強が始まっている。
右:改札内も同様に耐震補強工事中。(前回訪問時の同じ場所
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烏森口の改札口付近でも銀座口・日比谷口と同様に東海道線の高架橋への耐震補強工事が開始されています。工事は内装を最小限に取り外して柱に鋼板を巻くだけにとどまっており、「とりあえずできるところから始める」といった印象が強いものでした。烏森口側についてはこれ以外前回とは特段の変化はなく、コンコースの拡張予定地にあるトイレも引き続き利用可能となっていました。

地上から地下の横須賀線コンコースに降りる階段。 地下のコンコース。エレベータの工事の気配は特に感じられない。
左:地上から地下の横須賀線コンコースに降りる階段。(前回訪問時の同じ場所
右:地下のコンコース。エレベータの工事の気配は特に感じられない。
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地下の横須賀線ホームへ降りるエレベータの整備も前回と同様全くの未着手で大きな変化は見られませんでした。今回参考にした資料では地上1階と地下1階をつなぐエレベータは現在ある階段の左側、地下1階の改札口と地下5階のホームをつなぐエレベータは地下1階の汐留口改札口前付近に新設される模様です。しかし、前者に関しては東海道新幹線の高架橋直下での工事になること、後者に関しては途中階にある空調の機械などの移設が必要になるため、すぐには取り掛かれないものと思われます。既に総武快速線・横須賀線の地下駅で一般利用可能なエレベータが無いのは新橋駅のみですが、実際にエレベータが出来上がるのはもう少し先のことになりそうです。

▼脚注
※東海道新幹線は日本の交通の大動脈であることから、運行会社であるJR東海は近接工事に関して安全上特別の配慮を払うよう求めることが多い。最近の例では横須賀線武蔵小杉駅新設工事に際して、東海道新幹線下のトンネル建設に対して注文を付けており、この結果工期が1年以上に渡り延びることとなった。

▼参考
大川,坂本,山後 - 新橋駅改良計画 - 日本鉄道施設協会誌2011年3月号45~47ページ
東海道線新橋駅改良工事の着手について - JR東日本プレスリリース(PDF)
首都直下地震に備えた耐震補強対策等の着手と地震観測体制の強化について - JR東日本プレスリリース(PDF)
首都直下地震対策‐内閣府防災情報のページ

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コメント


新橋駅をよく利用する者ですが、ホーム上の骨組みはホーム屋根のためのものではないでしょうか。現地掲出のパースをみると、全ホームにわたって巨大な屋根をかけるとされています。
まぁ屋根のためにしてはずいぶん丈夫ですし、私の推測にすぎないのですが…
この工事についてはモノレールの延伸計画との関連も気になるところですね。
2012/05/04 18:28 | URL | 投稿者:20120429
Re: タイトルなし
20120429投稿 様

> 新橋駅をよく利用する者ですが、ホーム上の骨組みはホーム屋根のためのものではないでしょうか。現地掲出のパースをみると、全ホームにわたって巨大な屋根をかけるとされています。

完成予想図については現地の調査時に見落としていました。気になってネットで探したところ、大阪駅の大屋根のようにホーム全体を覆いつくしてしまうようですね。工事中はクレーンの積載スペースとして使い、完成後は屋根として使うつもりなのかもしれません。

> モノレールの延伸計画との関連も気になるところですね。

東京モノレールは御承知の通り将来東京駅まで延伸する計画があります。ただ、現在の柱を見ると電車の重量を支えるにはやや細いようにも見受けられますので、実際にモノレールを延伸する際は別途支柱を設けて対応するのではないかと思われます。
2012/05/04 18:33 | URL | 投稿者:takuya870625(管理人)
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