大井町駅(現地写真) - りんかい線東臨トンネル(26)

東京臨海高速鉄道りんかい線東臨トンネル ~時代に翻弄されたもうひとつの京葉線~
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■大井町駅 10km550m
▼参考
臨海副都心線工事誌 - 日本鉄道建設公団東京支社2003年9月 200~231・356・357ページ

●概説
前回の記事を参照。

●現地写真(地上)
大井町駅東口・西口駅舎。りんかい線は駅舎前の道路下を通る。
大井町駅東口・西口駅舎。りんかい線は駅舎前の道路下を通る。2012年1月28日撮影

りんかい線と直交するJR京浜東北線の大井町駅は駅の中央と北側(品川方)の駅端にそれぞれ駅舎があり、北側の駅舎では東急大井町線大井町駅にも連絡している。JR大井町駅の南側には暗渠化された立会川が流れているため、地形はこの川に向かって低くなっており、駅中央にある中央口は地上2階、北端にある西口・東口は地上1階という構造となっている。駅前ロータリーは低地にある中央口の東西両側に設置されている。また、中央口と東口にはJR東日本系列の駅ビル「アトレ」が併設されている。りんかい線は北側の西口・東口駅舎の前を通る都道420号線(区役所通り)の地下に上下2層構造で建設されている。

東口前のペデストリアンデッキ下にあるりんかい線の非常口。 非常口の脇には消火用水の連結送水口がある。
左:東口前のペデストリアンデッキ下にあるりんかい線の非常口。
右:非常口の脇には消火用水の連結送水口がある。2枚とも2012年1月28日撮影

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りんかい線の大井町駅は前回の記事で解説した通り、「ホーム・線路を構成するシールドトンネル」「新木場方の非常階段・換気塔(開削トンネル)」「駅中央の駅施設・換気塔(開削トンネル)」「大崎方の非常階段(開削トンネル)」の4つにより構成されている。このうち、新木場方の非常階段と換気設備は都道420号線から直角に分岐する道路の下に設置されている。非常階段の出入口は東口駅舎前から中央口へ向かうペデストリアンデッキの下にある公衆トイレの突き当たりという変わった場所に設けられている。扉の脇にはトンネル内での火災時に消火用水を送水するための送水口があるが、扉本体には「前に物を置かないでください」以外の表記はなく、一目見ただけではりんかい線の非常口であることは分からない。

東口駅前ロータリーにある換気塔A。りんかい線は左奥で交差する道路の下を通る。
東口駅前ロータリーにある換気塔A。りんかい線は左奥で交差する道路の下を通る。2011年7月9日撮影

非常階段から分岐した換気設備のダクトは道路下をそのまま進み、東口駅前ロータリーの中央にある換気塔Aに接続している。この換気塔は大井町駅と品川シーサイド~大井町間の駅間のトンネルの換気を行うため、給気と排気の両方の機能が併設されており、換気塔本体にはこれに対応して上空へ向かう開口部(排気口)と側面に開いたルーバー(吸気口)が確認できる。

中央口駅前ロータリーから東急大井町線大井町駅がある西口方向を見る。りんかい線の駅施設は手前の道路下にある。
中央口駅前ロータリーから東急大井町線大井町駅がある西口方向を見る。りんかい線の駅施設は手前の道路下にある。2011年7月9日撮影

りんかい線大井町駅の改札口などがある中央部の駅施設はJR大井町駅とイトーヨーカドー大井町店が入るK-1ビルの間を南下する区道の下にある。この区道は都道420号線から中央口駅前ロータリーに出入りするだけでなく、駅を越えて南北方向を縦断する道路の一部にもなっているため、片側2車線の車道と2車線のタクシープールが併設された幅の広い道路となっている。りんかい線の駅施設はこの道路の幅を目一杯使って建設されている。

JR大井町駅中央口に直結したA1出入口(エスカレータ)
JR大井町駅中央口に直結したA1出入口(エスカレータ)。2011年7月9日撮影 ※クリックで拡大

地上出入口は駅施設の南端、中央、北端に合計で6箇所設けられている。
南端にあるA1・A2出入口はJR大井町駅中央口付近に通じている。A1出入口は地下1階の改札口から地上2階のJR大井町駅中央口改札まで一気に上り下りするもので、エスカレータが3機設置されている。エスカレータの全長は53m44m、高低差は22m(ビルの6~7階分に相当)で、鉄道関係の施設では国内最長を誇る。ちなみに、駅以外を含めた日本一長いエスカレータは香川県のニューレオマワールドに設置されており、全長は96m、高低差は42mである。

※全長53mはエスカレータ前後の通路も含めた長さで、エスカレータ単体の全長は44mが正しいようです。お詫びして訂正いたします。(2016年6月12日追記)

▼参考
鉄道・運輸機構 | 鉄道の建設 | これまでの実績 | 開業実績 | りんかい線
日本一のエスカレーター | NEWレオマワールド
悲願達成!? 「東洋一のエスカレーター」に乗ってきた(Excite Bit コネタ) - エキサイトニュース
しながわ観光協会(東京都品川区) - 日本一長いエスカレーター

A1出入口のエスカレータの全長は44mで、駅では日本一の長さを誇る。 A1出入口直下の地上1階にはA2出入口がある。
左:A1出入口のエスカレータの全長は53m44mで、駅では日本一の長さを誇る。
右:A1出入口直下の地上1階にはA2出入口がある。2枚とも2011年7月9日撮影
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A1出入口直下の地上1階には駅前ロータリーに出入りするA2出入口が設置されている。出入口は階段と上りスカレータが設置されており、途中で屈曲し地下1階ではA1出入口ののエスカレータの隣に出る。

K-1ビル前にあるC1出入口(階段)と換気塔B K-1ビル前にあるC2出入口(上りエスカレータ)と換気塔C 区道を挟んだ反対側にあるエレベータ
左:K-1ビル前にあるC1出入口(階段)と換気塔B
中:K-1ビル前にあるC2出入口(上りエスカレータ)と換気塔C
右:区道を挟んだ反対側にあるエレベータ。3枚とも2011年7月9日撮影

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駅施設中央の区道沿いにはC1・C2出入口とエレベータが設けられている。C1・C2出入口はいずれもイトーヨーカドー大井町店(K-1ビル)の敷地内にあり、換気塔B・Cが併設されている。地上のスペースが限られているため、C1出入口は階段、C2出入口は上りエスカレータ1機のみの設置となっており、C2出入口から地下に降りることはできない。このC1・C2出入口は地下で合流した後、駅施設の上部を大きく迂回して後述するB出入口へ通じる通路の途中に接続しており、一般向けには両方をまとめてC出入口として案内を行っている。C1・C2出入口と区道を挟んだ反対側にはエレベータが単独で設置されている。このエレベータは地下1階の改札口の正面に直接出ることができる。

東急大井町線の改札口とJR大井町駅西口の間にあるB出入口
東急大井町線の改札口とJR大井町駅西口の間にあるB出入口。2011年7月9日撮影
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駅施設北端にあるB出入口は東急大井町線・JR京浜東北線の乗換え口である西口に通じている。現在の西口駅舎はりんかい線の建設にあわせて全面的に改築されたものである。改築前の駅舎は現在とは異なり、東急・JRの連絡改札口があり改札を出ることなく両社間の乗換えが可能であった。また、東急大井町線のホームは幅が狭く、北側(東京総合車両センター側)に片面ホーム1面があるという構成であった。りんかい線の建設に際しては両社の改札口を完全に分離した上で、その間に地下へ通じるB出入口が新設され、大井町線のホームも幅が広い島式ホーム1面に統合された。この際、将来の急行運転に向けて6両編成化の準備も済ませている。
なお、西口駅舎の床面と駅前の道路の間には階段数段分程度の段差があり、B出入口の脇にはこれを埋めるためのエレベータが設置されている。このエレベータは地下のB出入口の途中にも通じている。(地下1階の改札口には通じていない。)

▼参考
東急線の取り組み>大井町駅改良工事の概要(2006年2月完成) - 東急電鉄

▼関連記事
東急大井町線・急行運転に向けた改良工事(補遺)+6000系(2008年3月21日作成)
東急田園都市線複々線化・大井町線溝の口駅延伸(2010年1月10日取材)(2010年2月17日作成)

東急大井町線大井町駅ホーム。りんかい線建設にあわせて拡幅された。 大崎方の端にある非常口。
左:東急大井町線大井町駅ホーム。りんかい線建設にあわせて拡幅された。2008年3月16日撮影
右:大崎方の端にある非常口。2012年3月3日撮影
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K-1ビルの反対側にはホーム大崎方の端にある非常階段の出口がある。こちらは換気設備が無いため、地上の構造物は階段を覆う建屋だけである。やはりこちら側もりんかい線の非常口であることを示す表記は無く、一見すると何の施設なのかはわからない。(背後に地下駐輪場の入口があることから、その非常口ではないかと勘違いするかもしれない。)

●現地写真(地下)
地下1階の改札口。乗り換え路線が2路線あるため、自動改札機の台数も多い。 地下3階の下り線ホーム・コンコース。手前のエスカレータを降りると地下5階の上り線ホームに出る。
左:地下1階の改札口。乗り換え路線が2路線あるため、自動改札機の台数も多い。
右:地下3階の下り線ホーム・コンコース。手前のエスカレータを降りると地下5階の上り線ホームに出る。2011年7月9日撮影

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改札口は地下1階の中央にある。乗り換え路線がJR京浜東北線・東急大井町線の2本あるため、自動改札機は11台と多くなっている。改札口を出て右側がA1・A2出入口、左側がB・C出入口に通じる。改札口の前にはJR東日本系列のコンビニ「NEWDAYS」がある。
改札口とホームへの連絡通路は改札口を入って正面にあるエレベータと、右側に進んで突き当りを左右にUターンしたところにある階段・エスカレータである。エスカレータは左右ともに3機ずつ設置されている。このエスカレータを降りると地下3階の下り線(大崎方面)ホームに出る。地下5階の上り線ホームに行くには地下3階の中央にあるエスカレータ・階段を降りる必要がある。

地下3階の下り線ホームと改札口へ向かうコンコースの接続部分。
地下3階の下り線ホームと改札口へ向かうコンコースの接続部分。2011年7月9日撮影
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地下3階の下り線ホーム 地下5階の上り線ホーム
左:地下3階の下り線ホーム
右:地下5階の上り線ホーム。2枚とも2011年7月9日撮影

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エスカレータを降りて幅の広いコンコースを進むとホームに出る。ホーム・線路部分のトンネルシールド工法で建設されており、上下線とも南側に幅5m、長さ205mの片面ホームがある。(下り線は進行方向左側、上り線は進行方向右側にホームがある。)線路側にある壁とコンコース接続部分の天井は下り線(大崎方面)ホームがオレンジ色、上り線(新木場方面)ホームが紫色となっているが、これはそれぞれ「地上」と「地下」を表しているものである。

新木場側の非常口と天井の排気口。ホーム端には換気機械室がある。 大崎側のホーム端にある非常口とトンネル換気機械室。
左:新木場側の非常口と天井の排気口。ホーム端には換気機械室がある。
右:大崎側のホーム端にある非常口とトンネル換気機械室。2枚とも2011年7月9日撮影

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ホームの両端には上下線ともに非常階段がある。新木場側の非常階段はホーム先端の数十メートル手前にあり、換気口を兼用しているため階段へ続く扉の前の天井には空調の排気口が設置されている。また、ホーム先端にもトンネルの換気を行う送風機の機械室が設置されている。大崎側の非常階段はホームの先端にあり、やはりトンネルの換気機械室が設置されている。大崎側の非常階段は換気の機能はないため、トンネルの換気はホームの下や天井内部に設置したダクトを通じて行っているものと思われる。

新木場側はシールドトンネルの地中接合を行ったため、トンネルの直径が途中で変化している。
新木場側はシールドトンネルの地中接合を行ったため、トンネルの直径が途中で変化している。2011年7月9日撮影

新木場寄りは駅ホームのシールドトンネルと隣接する駅間のシールドトンネルを地中でドッキングした個所である。ホーム端から見るとこの部分はトンネル内壁が場所打ちコンクリートとなっており、突然直径が小さくなっていることが確認できる。また、駅側のシールドトンネルは線路がトンネルの片側に偏っているため、接合地点の直前でトンネルを急激に蛇行させ、軸心を合わせていることもわかる。

●駅データ
駅名:大井町(おおいまち)
住所:東京都品川区大井1丁目2-10
乗車人員(降車客を含まない):33,495人(2010年、東京臨海高速鉄道ホームページによる)
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