東急東横線地下化工事&渋谷ヒカリエ開業(2012年4月取材・その1)

東横線渋谷駅の天井に掲げられた渋谷ヒカリエオープンの広告

東急東横線渋谷~代官山間では今年度中に東京メトロ副都心線との直通運転開始が予定されており、現在線路の地下化や既設の副都心線渋谷駅と接続する工事が行われています。また、渋谷駅では東横線の地下化にあわせて周辺を含めた大規模再開発が計画されており、その第一陣として去る2012年4月26日に「渋谷ヒカリエ」がオープンしました。今回は東横線直通に向けて工事が始まった副都心線渋谷駅構内の様子と渋谷ヒカリエを中心に現在の状況を2記事に分けてお伝えいたします。(取材日:2012年4月21・30日)

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東急東横線代官山~渋谷間地下化工事(2011年1・6月取材)(2011年6月30日作成)

■東急東横線地下化工事の概要と現況

東横線地下化前後の断面図
東横線地下化前後の断面図(平面図はこちら

 東急東横線地下化工事は東横線渋谷~代官山間1.5kmを地下化し、2008(平成20)年6月に開業済みの東京メトロ副都心線渋谷駅と接続するものです。東横線と副都心線の直通は副都心線の着工後に決まったため、2008年の同時開業とはならず、今年度末までずれ込むこととなりました。
 地下化されるのは渋谷~代官山間のほぼ全区間で、副都心線渋谷駅を出たトンネルは明治通りの下を200mほど進んだ後、民有地と渋谷川の下を斜めに横切り、並木橋付近から先は25~35パーミルの急勾配で登りながら代官山駅まで現在線の直下を進みます。このうち、民有地の下を横切る部分からJR山手線との交差地点までの508mは長方形状の断面が2個組み合わさった特殊な断面のシールドトンネルとなっており、この部分の掘削には前面に高速回転(最大50回転/分)する円錐状のカッターが装着されたシールドマシンを使用する「アポロカッター工法」と呼ばれる方法が採用されています。このような特殊な方法が用いられたのは、明治通りの地下にある下水道幹線を露出させずに掘削することや、民有地(区分地上権)の買収面積を最小限に抑えるためです。渋谷1号踏切付近で地上に出た地下線は代官山駅の中央で現在線に接続する計画で、代官山駅の渋谷寄りは地下化時に現在よりも低い位置に軌道が付け替えられます
 なお、この工事は次回お伝えする予定の東横線10両編成対応化工事とともに特定都市鉄道整備事業の対象となっており、2005年度から半期ごとに運賃収入の2%を事業費として積み立てています。2011年度までの累積積立額は163億4500万円となっており、社団法人日本民営鉄道協会に積み立てを行い、今後は工事費として充当される予定となっています。

明治通りと玉川通り(R246)の交差点。地下のトンネルの形状に合わせて路面が覆工板になっている。 目黒方面に向かう明治通り。工事の最盛期には道路の中央に防音ハウスがあったが、現在は撤去されており、歩道部分は原状復旧が始まっている。
左:明治通りと玉川通り(R246)の交差点。地下のトンネルの形状に合わせて路面が覆工板になっている。
右:目黒方面に向かう明治通り。工事の最盛期には道路の中央に防音ハウスがあったが、現在は撤去されており、歩道部分は原状復旧が始まっている。

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 渋谷駅を出たトンネルは明治通りの下を200mほど進みます。この部分は開削工法で建設されており、トンネルの形に沿って路面が覆工板に置き換えられています。開削トンネルの端はシールドトンネルの発進立坑となっており、工事が最盛期を迎えていた2009年春頃には道路の中央に防音ハウス付きの作業帯が設置されていましたが、シールドトンネルの掘削は2010年初めに完了したため現在は全て片づけられています。また、開削トンネルについても本体の建設はほぼ完了しており、現在は内部で軌道敷設や電気設備の設置が進められています。工事に伴い舗装アスファルトに置き換えられていた明治通りの歩道も今後は大きく掘り返すことが無いため、元のタイル舗装への復旧が開始されています。

並木橋付近の状況。高架下には仮設の支柱が多数設置されている。 JR山手線との交差部分。橋脚が補強されている。
左:並木橋付近の状況。高架下には仮設の支柱が多数設置されている。
右:JR山手線との交差部分。橋脚が補強されている。

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 並木橋から先のトンネルは現在線の高架橋の真下に建設されています。ここから先の区間は2009年頃から大きな変化はありません。
 高架橋は沈下防止のため、渋谷側の450mは基礎部分に地盤改良を行い、橋脚間に仮設の支柱を多数設置しており、シールドトンネルの到達立坑となる残り50mは地下に添え梁を仮設してトンネルの断面外に杭を移設しています。その先、JR山手線の交差地点から先は開削トンネルに戻ります。電車線・貨物線の計4線ある山手線の軌道は地下の掘削に備えて全て鉄桁で仮受けされています。

渋谷1号踏切から渋谷方面を見る。中央に見える煙突は渋谷清掃工場。 同じ踏切から代官山駅ホームを見る。地下線はここから地上に出る。
左:渋谷1号踏切から渋谷方面を見る。中央に見える煙突は渋谷清掃工場。
右:同じ踏切から代官山駅ホームを見る。地下線はここから地上に出る。

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JR山手線と交差すると東横線は武蔵野台地の上を走るようになります。この部分の軌道は2010年頃から鉄骨や木材による仮受け構造に変更されており、現在も大きな変化はありません。地下線が地上に出る渋谷1号踏切付近には工事用の重機を格納する倉庫が設けられており、深夜、終電後にここから軌道上を通じて作業場所まで重機を搬入している模様です。

駅の外の歩道橋から見た代官山駅ホーム 代官山駅と地下入口の切替イメージ
左:駅の外の歩道橋から見た代官山駅ホーム
右:代官山駅と地下入口の切替イメージ

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 代官山駅は地下化時にホーム中央付近から渋谷寄りの軌道・ホームが現在よりも低い位置に付け替えられる予定となっています。現在は線路下の掘削がほぼ完了し、軌道敷設や新しいホームの床面を構築する工事が進められています。地下線への切り替えは2006年に地下化された目黒線の不動前~洗足間と同じく、軌道が載っている桁を上下に移動させることにより一晩で完了させる予定となっています。(ホーム部分は桁を降下、それ以外の部分は桁を引き上げた状態で固定し、後日撤去する。)

地下化まで残り1年を切りましたので、今回は地上を走る東横線の様子や前面展望を動画で撮影しました。


渋谷の街を走る東急東横線(渋谷~代官山間・地上時代) - YouTube 音量注意


東急東横線中目黒→渋谷前面展望(副都心線直通前) - YouTube 音量注意

■副都心線渋谷駅のホーム間通路撤去工事

次の記事へ→


▼参考
東京メトロ副都心線との相互直通運転に伴う東横線渋谷~横浜間改良工事 - 東急電鉄
特定都市鉄道整備事業実施状況(2011/11/10)|ニュースリース|東急電鉄
鹿島:KAJIMAダイジェスト:ザ・サイト:(13号相直)東横線渋谷~代官山間地下化工事(土木工事第1工区)
April 2012:特集「都市と鉄道の昨日,今日,そして明日」| KAJIMAダイジェスト | 鹿島建設株式会社
円形・矩形・馬蹄形など多様な断面を掘れるシールド掘進機が完成 - 川崎重工PR誌「Kawasaki News」(PDF)
津守,永持,関,山崎 - 東急東横線渋谷駅~代官山駅間地下化工事の概要 - 地下空間シンポジウム論文・報告集第14巻 - 土木学会2009年1月(リンク先:CiNii)

▼関連記事
地下鉄副都心線建設状況4・・・東急東横線へ(2007年6月10日作成)
渋谷駅 - 地下鉄副都心線全線全駅レポート(13)(2008年6月25日作成)
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渋谷は「大人の街」に変身中 第一弾ヒカリエは大盛況―【私の論評】コンクリートがなければ始まらない!!これは民間主導の構造改革だ!!
こんにちは。渋谷駅周辺再開発事業がすすんでいます。その一環として、先月ヒカリエがオープンしまし大盛況です。実際にこのようなプランを見たり、できあがった施設をみれば、これに大反対する人はほとんどいないと思ます。これは、ある意味、民間主導による構造改革です。民間主導のものよは、このように理解しやすいところがあります。ハードとソフトは、互いに補いあうものであり、両方そろって、はじめて、意味があるのです。ハードを否定していては、いくら、ソフトを充実させても人をおろそかにします。しかし、このような愚かなことが、ずっと行われているところがあります。それは、日本です。日本では、過去にこうしたハードをおろそかにしつづけてきました。それは、現在と過去の公共工事の対GDP費、総額や、諸外国との比較でもはっきりしています。今こそ、「渋谷駅周辺地域再開発」のように、全国各地で、大規模な都市開発などを含む大々的な公共工事を行い、箱物や、交通機関その他を充実して、それだけではなく、ソフトも充実するべき時期に日本は来ています。詳細は是非私のブログを御覧になってください。
2012/05/13 10:02 | URL | 投稿者:yutakarlson [編集]
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