房総各線用209系の概要

幕張車両センターに留置中の房総各線用209系と113系

去る、2010年1月末をもって京浜東北・根岸線から209系電車が引退しました。この209系は廃車が多数発生する一方、先頭車と中間電動車のほとんどが改造の上他線に転用されています。今回はこの転用車のうち、千葉県の房総地区に配置された車両についてお伝えしたいと思います。

■房総地区へ転用された209系の概要
京浜東北・根岸線時代の209系0番台。2006年9月8日、有楽町駅で撮影。
京浜東北・根岸線時代の209系0番台。2006年9月8日、有楽町駅で撮影。

現在、房総地区(内房・外房・東金・総武・成田・鹿島の6線)では113系211系が運用されていますが、前者は一番新しい車両でも製造からおよそ30年が経過しており、鋼製車体と海が近い走行条件が災いし老朽化が著しくなっています。今回この113系と211系を置き換えるべく房総各線に転用されたのが京浜東北線の浦和電車区に配置されていた209系0番台です。この209系0番台は乗降扉が空気式駆動の1~3次車と電気式駆動の4次車以降に大別できますが、今回転用の対象とされたのは比較的車体の状態が良い4次車以降が中心となっています。ただし、これでは房総各線における短編成(4両・6両)での運行に際して先頭車が不足するため、先頭車のみ1~3次車からも転用が行われています。
転用に際しては車両自体の経年劣化や房総各線の線区の事情を考慮し、以下のよう改良が行われました。

1、走行機器更新
機能維持を目的として走行関係の半導体機器(VVVFインバータ・静止型インバータ)を全面的に交換した。内容は現在進行中の横須賀線・総武快速線E217系で行われているものとほぼ同じである。このほか、台車周りのゴム部品やブレーキ系統の摩擦部分など消耗品類の交換も行われている。

2、運転台関係の更新
運転台へのEB装置を追加し、モニタ装置をMON8形からMON19形に更新した。モニタ更新は房総各線での運用に必要となる編成の分割併合・長時間停車時の3/4ドア締め切り・運転状況記録装置に対応させるためのものである。(E217系でも同様の改造が行われている。) また、デジタル列車無線未登載車についてはその装置の取り付けが行われた。

3、保安装置の変更
保安装置を京浜東北線のD-ATCからATS-P・SNへ変更した。ATS-Pは中央・総武緩行線の209系と同じく2重系のTS159形を搭載している。

4、分割併合対応化
房総各線では4両・6両の各編成を需要の多寡に応じて分割併合しながら使用しており、作業の簡略化のため先頭車に電気連結器(車両間のジャンパー線を自動的に接続する)と自動解結装置(ブレーキ配管を自動的に接続する)が搭載された。

5、車内の座席配置の変更
長距離の乗車に配慮し、両先頭車の座席配置をロングシートからE217系などと同じドア間に1ボックスが入るセミクロスシートに変更した。セミクロスシートは後から追加することになるため、強度などの関係から通路側にも脚が付いている。

先頭車の車内。E217系と同じセミクロスシートだが、車体幅が小さいため通路もやや狭くなっている。2009年11月28日、千葉駅で撮影。 新設されたトイレ(左の窓がない部分)。先頭の1号車ではなく2号車に設置さているのがポイント。2010年3月30日、千葉駅で撮影。
左:先頭車の車内。E217系と同じセミクロスシートだが、車体幅が小さいため通路もやや狭くなっている。2009年11月28日、千葉駅で撮影。
右:新設されたトイレ(左の窓がない部分)。先頭の1号車ではなく2号車に設置さているのがポイント。2010年3月30日、千葉駅で撮影。
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6、トイレの設置
長距離乗車に配慮し、車いす対応トイレを設置した。なお、設置車両は車体強度などの関係から先頭車ではなく東京寄りから2両目のモハ208形となっている。このトイレは水タンクなどを含めるとそれなりの重量物となるため、トイレと反対側の車端床中にデッドウェイトを搭載し、重量バランスを確保している。

なお、改造に伴い各車両とも車両番号が変更されており、ドアの駆動方式を区別するため空気式が2000番台、電気式が2100番台にそれぞれ改番されています。

■運行開始とその後
運用開始に備え、幕張車両センターに待機する房総各線用209系。2009年7月19日撮影
運用開始に備え、幕張車両センターに待機する房総各線用209系。2009年7月19日撮影

改造はJR東日本管内の各工場で行われ、4両・6両に編成された各車両は2009年春から順次配属先である幕張車両センターへ回送されました。運用開始は2009年10月1日となっており、それまでは2007年の211系投入時と同様センターの千葉寄りの線路にまとめて留置されました。

運用開始からおよそ2カ月が経過した時点で撮影した209系。 ホームの発車標に表示された「10両4ドア」の文字(左)。この時点では10両固定での運用だった。
左:運用開始からおよそ2カ月が経過した時点で撮影した209系。
右:ホームの発車標に表示された「10両4ドア」の文字(左)。この時点では10両固定での運用だった。
いずれも2009年11月28日、千葉駅で撮影。
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10月1日の運用開始は38両という少ない配属車両でのスタートとなりましたが、その後も新しく回送されてきた車両から順次運用に入るという方法が取られ、2010年に入る頃には幕張車両センターの3分の1ほどが209系に変わっているという状況になっていました。なお、この時点ではまだ両数が少なく運行途中での分割併合などに支障が出るため209系は全列車とも6両+4両の10両編成に固定した状態で運用されていました。209系と交代する形で113系の廃車回送も開始され、一部は上越線経由で解体場所である長野車両センターまで自走しての回送も行われているようです。

■今後は
6両編成までしか入れない東金線直通の運用もスタート。 千葉駅のホームにある209系用の乗車位置案内板。
左:6両編成までしか入れない東金線直通の運用もスタート。
右:千葉駅のホームにある209系用の乗車位置案内板。いずれも2010年3月30日撮影

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去る、2010年3月13日のダイヤ改正では最低限必要な209系の編成数が出そろったことからいよいよ4両編成・6両編成単独での運用が開始されました。(この中には千葉駅のホーム上で連結作業を行う運用も含まれています。)房総各線用の209系は2011年度末までに合計324両が投入され、113系・211系をすべて置き換える計画となっています。老朽化が進んでいる113系246両は全て廃車になる予定ですが、211系に関しては付随車(サハ211)を抜き取った3両編成としたうえで中央本線への転用が予定されています。

国鉄時代から時が止まったまま」といわれてきた千葉地区のJR線の状況もようやく改善される日が見えてきたようです。

▼脚注
:2005年に発生した福知山線脱線事故を受けて、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」が改正された。この改正では運転士の体調に異変が生じた場合自動的に列車を停止させるため、EB装置(走行中に一定時間運転機器の操作がないとブザーが鳴り、反応がない場合非常ブレーキがかかる)を搭載することや運転操作の履歴を自動的に記録する運転状況記録装置の搭載が義務化された。

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▼参考
普通列車の車両変更について - JR東日本千葉支社(PDF)
交友社「鉄道ファン」2009年11月号(通巻583号)58~73ページ
鉄道に関する技術上の基準を定める省令等の一部を改正する省令(平成18年国土交通省令第13号)の公布について(国土交通省2006年3月24日発表) このエントリーをはてなブックマークに追加
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コメント

オール209系だお!
今は211系も房総各線から撤退し、オール209系です。211系は、八王子支社と長野・大宮と高崎支社で活躍するとか。
田町電車区所属の211系も、E233系の投入により、捻出の計画があります。
2012/01/08 16:42 | URL | 投稿者:東葛地区の住人
Re: オール209系だお!
東葛地区の住人様

中央線への転用は既に雑誌上でも発表されており、これに関連してかここ数カ月は東海道線の211系が新製されたE233系と入れ替わりで長野へ持っていかれて廃車対象のサハが抜かれるということが繰り返されているようですね。外房線・内房線での運用が無くなり、車両数にも余裕が出始めているようですので年内には改造に着手するのではないでしょうか?
2012/01/15 17:50 | URL | 投稿者:takuya870625(管理人)

房総の209系は広告が少ないです。都心の電車と同じように広告を貼ってほしいです。
2013/05/10 19:52 | URL | 投稿者:入力してください [編集]
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