首都圏鉄道各社でホームドア設置が進行中(その2-2:山手線・小田急線新宿駅)

山手線E231系500番台

首都圏の鉄道各社におけるホームドア整備の続きです。今回は山手線のホームドアの今後の整備予定と新たに調査した小田急線新宿駅のホームドア整備、さらにこれ以外の事業者で新たに発表されたホームドア整備についてお伝えします。

▼関連記事
首都圏鉄道各社でホームドア設置が進行中(2012年5月4日作成)

■JR山手線のホームドアの概要
■TASC整備・6ドア車の置き換え

その2-1の記事を参照

■今後の整備予定
ホーム下でケーブルラックの設置が進む大崎駅3番線。 ホームドア連動用地上子が設置された品川駅2番線。
左:ホーム下でケーブルラックの設置が進む大崎駅3番線。2012年6月15日撮影
右:ホームドア連動用地上子が設置された品川駅2番線。2012年5月12日撮影

※クリックで拡大

 恵比寿駅・目黒駅でのホームドア使用開始後は引き続き他の駅でもホームドア設置に向けた準備が進められています。このうち、大崎駅と池袋駅については2012年度中にホームドアの使用を開始する予定となっており、現在ホーム端の床面の改修やホーム下へのケーブルラックの設置などの工事が進められています。また、ホームドアの本運用開始に向けて各駅におけるTASCの動作のチューニングを行う必要があることから、今年春頃よりホームドアの有無にかかわらず全駅でTASCによる駅停車制御を行っています。
 2013年度は大塚駅・巣鴨駅・駒込駅・新大久保駅・目白駅・高田馬場駅・田町駅でホームドアの使用開始が予定されており、大規模改良工事中、または予定されている東京駅・新橋駅・渋谷駅・新宿駅を除く他の駅についても2017年度までにホームドアが設置される予定となっています。

ホーム土台の改修方法
ホーム土台の改修方法

 2013年度以降にホームドア設置が予定されている駅の中には建設が古く、ホームの土台が盛土やブロックになっているなど、ホームドア設置に耐えるだけの強度が無い箇所も多く存在します。当初、この部分の改修は盛土・ブロックを全面的に撤去し、鉄骨とコンクリート板を用いた桁構造とする計画でした。しかし、このままではコスト・工期ともに多く要するため、目黒駅での実施工では盛土・ブロックの一部を残し、その上にホームドアを支える桁・コンクリート板・ケーブルダクトを設置する形に変更されました。2013年度以降の施工駅ではこれをさらに変更し、ケーブルダクトを桁内部に埋め込むことによりさらなるコストダウン・工期短縮を図る計画です。また、工事期間中はホーム端の床に開閉式の板を設置し、可能な限り作業時間を確保できるような工夫も取り入れられています。
 このほかの変更点としては先頭車の幅広ドア部分に窓を追加することや、停止位置ずれを早期に確認できるよう車掌側に表示灯を追加することが挙げられます。

▼参考
山手線への可動式ホーム柵の導入について - JR東日本(PDF)(2008年6月3日発表)
山手線恵比寿駅、目黒駅のホームドア使用開始日について - JR東日本(PDF)(2010年3月4日発表)
山手線ホームドア 2013年度までの完成予定駅について - JR東日本(PDF)(2011年7月5日発表)
ホームドア実導入に向けた研究開発 - JR East Technical Review No.33(PDF)
ホームドア3次元安全センサーの開発 - JR East Technical Review No.33(PDF)
山手線E231系500番台 ホームドア導入に伴う車両改造概要 - R&M2010年9月号
山手線6扉車に代わる新造車のこと - 交友社「鉄道ファン」2010年2月号
可動式ホーム柵の設置に伴う6扉車置き換え用 山手線E231系中間車 - 交友社「鉄道ファン」2010年5月号
山手線用6扉車取換え計画 - 交友社「鉄道ファン」2010年11月号

▼関連記事
山手線ホームドア導入と課題(2008年7月18日作成)
山手線ホームドア設置工事とE231系改造の現況(2010年4月5日作成)
山手線恵比寿駅ホームドア使用開始(2010年6月26日取材)(2010年9月19日作成)

■小田急:新宿駅急行ホームに設置
小田急線新宿駅5番ホーム。ホーム下にホームドア用のケーブルラックの設置が進む。 同4番ホーム。床面にホームドア設置用の穴が設けられている。
左:小田急線新宿駅5番ホーム。ホーム下にホームドア用のケーブルラックの設置が進む。
右:同4番ホーム。床面にホームドア設置用の穴が設けられている。2012年6月23日撮影

※クリックで拡大

 小田急線新宿駅では地上の急行ホーム(4・5番ホーム)にホームドア(可動式ホーム柵)を設置します。これは東京都が2011年度から3年間限定で試験的に実施している「ホーム柵等整備促進事業」の一環で行われているもので、設置にかかる費用(約8億円)は国が1/3、東京都と新宿区が1/6ずつ補助を行っています。(5月の記事でお伝えした東急大井町線大井町駅のホームドアもこの事業の一環で設置された。)工事は2011年7月より開始されており、現在はホーム先端の床の補強がおおむね完了し、床下にケーブルラックを設置する工事が進められています。ホーム床面には既にホームドア固定用の穴が準備されれており、今後ホームドア本体の取り付けを行い今年9月に使用を開始する予定となっています。
 なお、小田急線では現在新しい保安装置であるD-ATS-Pの整備が進められており、多摩線では今年春より使用を開始しています。このD-ATS-Pは将来ホームドアを導入することを見越してTASCを追加可能な設計となっており、多摩線では実際にTASCを用いた走行試験が進められています。新宿駅出のホームドア使用開始に際しては、終端駅であり進入速度が極めて低いことや、D-ATS-Pの整備がまだ完了していないことからこの機能がすぐに使用されることは無いと思われますが、長期的には連動させていくことも考えられることから今後の動向も注視してまいりたいと思います。

▼参考
新宿駅急行ホームに可動式ホーム柵を設置します。 - 小田急電鉄ニュースリリース(PDF)(2011年6月30日発表)

▼関連記事
小田急の新しい信号・保安装置「D-ATS-P」(2011年4月5日作成)

■今後のホームドア整備

 上記の事業者のほか、来月19日より地下化される京王線調布駅・布田駅・国領駅でも先日ホームドアの使用を開始することが正式に発表されました。(このうち布田駅はフルハイトタイプのホームドアとなる。)また、今月11日には新たに東急東横線中目黒駅1番線(東横線下りホーム)にもホームドアを設置することが発表されました。東急東横線は今年度末から東京メトロ副都心線と直通運転を開始する予定となっており、既に副都心線の駅として開業済みの渋谷駅の地下ホームにはホームドアが設置され、車両側もそれに対応したシステムとなっています。このため、中目黒駅以外の駅についてもホームドアを設置すること自体は比較的容易であり、今後急速に整備が進む可能性もあります。(ただし、日比谷線直通列車は車体長・ドア数が異なることから、運行自体を廃止するか、残す場合はホームドアの幅を可変にするなど特殊なシステムの導入が必要となる。 副都心線直通開始と同時に日比谷線直通は廃止されることが決定しました。これにより、東横線の営業列車は全て20m・4ドア車に統一されます。)
 また、このほかにもホーム上での人身事故が多い駅を中心に自治体などからホームドア設置を求める声が相次いで上がっています。5月の記事でもお伝えした通り、コスト面・運行面でのハードルはまだまだ高いのが現状ですが、公的補助の拡充や利用者の理解の浸透により、将来的に安全対策のトレンドとして定着することを期待したいと思います。

▼参考
調布駅付近連続立体交差事業 - 京王グループ
京王線調布駅付近の地下線への切り替えに伴い、8月19日(日)一部列車を運休します - 京王電鉄ニュースリリース(2012年5月24日発表)
東急東横線の中目黒駅にホームドアを設置します - 東急電鉄ニュースリリース(2012年7月11日発表)

<2012年7月24日追加>
東急東横線と東京メトロ副都心線 相互直通運転の開始日が2013年3月16日に決定!(2012/7/24)|ニュースリース|東急電鉄
→副都心線直通開始と日比谷線直通廃止について


▼関連記事
ホームドア設置目前!東京メトロ丸ノ内線(2006年10月3日作成)
ATOの仕組み(2008年6月29日作成)
副都心線の特徴・その他 - 地下鉄副都心線全線全駅レポート(14・終)(2008年7月2日作成)
北新地駅のホームドア - JR東西線(32)(2011年10月19日作成)
首都圏鉄道各社でホームドア設置が進行中(2012年5月4日作成) このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサード リンク

カテゴリ:ホームドア整備 の最新記事

首都圏鉄道各社でホームドア設置が進行中(その2-1:山手線)(2012年07月22日作成)
首都圏鉄道各社でホームドア設置が進行中(その2-2:山手線・小田急線新宿駅)(2012年07月22日作成)
首都圏鉄道各社でホームドア設置が進行中(2012年05月04日作成)
東京メトロ有楽町線ホームドア設置工事(2011年1月9日取材)(2011年02月24日作成)
山手線恵比寿駅ホームドア使用開始(2010年6月26日取材)(2010年09月19日作成)
山手線ホームドア設置工事とE231系改造の現況(2010年04月05日作成)
山手線ホームドア導入と課題(2008年07月18日作成)
ホームドア設置目前!東京メトロ丸ノ内線(2006年10月03日作成)
その他の記事はこちら

Facebookのコメント

コメント

コメント機能をご利用の際は必ず注意事項のページをご覧ください。
不適切な投稿内容は修正・削除される場合があります。また、内容によっては管理人からのレスが付かない場合がございます。確実に返信が欲しい場合はEメールをご利用ください。

管理者にだけ表示を許可する(管理人からの返信が付きません)


最新記事

首都圏外郭放水路庄和排水機場(2016/10/02)
相鉄・東急直通線建設工事(2016年取材②新綱島~日吉)(2016/09/10)
相鉄・東急直通線建設工事(2016年取材①羽沢~新横浜)(2016/09/07)
相鉄・JR直通線建設工事(2016年6月取材)(2016/08/27)
茨城県・守谷市のマンホール(2016/08/26)
東京メトロ千代田支線北綾瀬駅ホーム延伸工事(2016年6月4日取材)(2016/08/21)
東武伊勢崎線竹ノ塚駅高架化工事(2016年6月4日取材)(2016/08/14)
次期「書籍化」プロジェクトへの道すじ(2016/08/12)
JR飯田橋駅ホーム移設工事(2016年6月取材)(2016/08/06)
東急東横線10両化&関連工事(2015・2016年取材)(2016/08/03)
月別アーカイブ

全記事タイトル一覧

お知らせ

【総武・東京トンネル書籍化プロジェクト】COMIC ZIN様で欠品しておりました「総武・東京トンネル(上・下)」の販売を再開しました。詳しくは→こちら(2016,04,10)
さらに前のお知らせ

おすすめ&スペシャル

「総武・東京トンネル」書籍化プロジェクト 当サイトの前身であるYahoo!ブログから運営通算10周年を記念し、2008年に連載した「建設史から読み解く首都圏の地下鉄道① 総武・東京トンネル」についてほぼ白紙から書き直し、自主制作本(同人誌)にまとめるプロジェクトです。2015年3月のコミケットスペシャル6で総武線区間について取り上げた「上巻」、12月のコミックマーケット89で横須賀線区間について取り上げた「下巻」をそれぞれリリースし、昼過ぎに完売となる大好評となりました。現在書店(COMIC ZIN)様にて絶賛発売中です。

おすすめ記事

@takuya870625 Twitter