八丁堀駅(概説) - 京葉線新東京トンネル(14)


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■高橋立坑:1km375m08~1km400m08(L=25.00m)
▼参考
京葉線工事誌 799~807ページ

工期:1985(昭和60)年4月~1990(平成2)年8月

●概説

八丁堀駅の位置
(C)国土交通省 国土情報ウェブマッピングシステムカラー空中写真データ(平成元年)に筆者が加筆

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新川トンネルを抜けると、京葉線は八丁堀駅に入る。建設中の仮称は「新八丁堀」といい、鍛冶橋通り(区道402号線)の高橋(亀島川)から新大橋通りとの交差点にかけての地下に設置されている。この鍛冶橋通りは幅員が22mと都内の主要道路の中では狭い部類に入るが、交通量は非常に多い。八丁堀駅はこの道路下30mの位置に建設されることとなったが、当初計画されていた全面開削では周辺のビルや道路交通への影響が大きく、施工が困難であると判断された。そこで、線路部分をシールド工法で建設しホーム・階段部分のみ地上から掘り下げるという前例のない特殊な工法を用いることとなり、1985(昭和60)年1月に計画決定された。

高橋立坑はこの八丁堀駅の一番新木場側に位置し、越中島~八丁堀駅間のトンネルの換気設備と非常階段を設置している。また、後述する八丁堀駅の「本体部」から連絡通路が伸びており、換気塔と併設する形で地上出入口(非常階段の出口と兼用)が設置されている。


高橋立坑の構造(京葉線工事誌800ページ 図3-7-99を元に作成)
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高橋立坑は2層の開削部とその下にあるシールドトンネルを接続する連結立坑からなり、以下のような順で施工された。

1、地上から1層目(地表面から10m)まで掘削する。(1次掘削
2、シールドトンネル(線路部分)を掘削する。
3、2層目を掘削した後、さらにトンネル間まで連結立坑を掘削する。(2次掘削
4、シールドトンネルのセグメントの一部を撤去し、連結立坑と接続する。
5、上層階の躯体を構築し、埋め戻す。

1次掘削を1層目で止めているのは下部のシールドトンネル(泥水加圧式)の掘削時に地盤を突き破って泥水が噴出するのを防止するためである。当立坑の地表面下24.5m付近には被圧地下水を持つ東京礫層があり、連結立坑建設時は湧水を防止するため地盤改良とディープウェル(深井戸)による揚水を行いながら工事を行った。また、トンネル間の切り拡げを行う際はトンネルの変形を防止するため鉄骨で組んだ仮の柱を設置しながら掘削を行った。なお、鍛冶橋通り南側の地表面下8m付近には直径2.4mの下水道管が埋設されており、1層目はこれを避けた構造となっている。

■八丁堀駅(本体部):1km075m18~1km375m08(L=299.9m)
▼参考
京葉線工事誌 743~799・962・963ページ

工期:1985(昭和60)年4月~1991(平成3)年3月

●概説

八丁堀駅(本体部)の構造(京葉線工事誌963ページ 図5-4-18を元に作成)

高橋立坑から新大橋通りの先にある西八丁堀立坑までの299.9mが八丁堀駅の「本体部」となる。この「本体部」は中央138mが開削トンネル(5層構造の駅舎)+シールドトンネル(線路・ホーム)、東京側72.9mと新木場側89mが上下線の完全に独立したシールドトンネルという構造になっており、東京方へ向かって3.0パーミルの下り勾配となっている。中央部のみを開削トンネルとした理由は東京側で地下鉄日比谷線と、新木場側で茅場町幹線下水道とそれぞれ交差するためである。地上出入口は既存の日比谷線八丁堀駅に通じる3か所(A1~A3)と京葉線開通に伴い新設された4か所(B1~B4、ただしB4は前述の高橋立坑にある)となっている。この開削部分は両端の立坑と完全に独立しているため、B2出入口はこの部分専用の換気塔も併設している。(JR東日本が所有するオフィスビルと一体構造)
地下5層目のホームは開削部が幅11m、シールドトンネル部が幅3mとなっており、長さは10両編成分の205mとなっている。新川トンネルの項で述べたとおり、この部分はホーム幅を確保するため線路を外側にずらした配置となっており、トンネル外径は8.1mと大きくなっている。同じ理由でこの区間のみ二次覆工も省略されており、強度の高いダクタイル鋳鉄製のセグメントが使用されているほか、止水シールを二重にすることで長期的な耐久性を確保している。なお、ホームは将来駅両端の立坑まで延長できる構造となっており、越中島駅と同様15両編成の停車に対応させることが可能である。


開削部の施工順序(京葉線工事誌783ページ 図3-7-83を元に作成)
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八丁堀駅中央の開削部は上から1層目が改札口、2層目が改札~ホームの連絡階段と換気機械室、3・4層目が階段(駅舎との連結部)、5層目がホームという構成になっており、各寸法は高橋立坑に準じたものとなっている。当初この部分は高橋立坑と同様地上から順番に掘り下げるという工法が予定されていた。しかし、八丁堀駅の線路・ホーム部分を施工するシールドマシン(新川トンネルも施工)の発進基地である隅田川立坑の着工が遅れたことにより工期の短縮が必要となったため、地下5層目のトンネル間の切り拡げを坑内から先行して行い、その後地上から掘り下げてきた開削部と合体させるという複雑な順序に変更された。施工順序の詳細は以下のとおりである。

1、開削部の1層目を掘削する。(1次掘削
2、シールドトンネル(線路部分)を掘削する。
3、開削部を2層目まで掘削し、床を構築する。(2次掘削
  また、並行してシールドトンネル内からトンネル間の切り拡げを行う。
4、連結部を掘削し既に出来上がっているシールド間の天井部分と接続する。
5、上層階の躯体を構築し、埋め戻す。

高橋立坑との違いは開削部の掘削とトンネル間の切り拡げを並行して行う点だけである。しかし、この変更により開削部の掘削が完了する前にトンネル内の軌道敷設や電気設備を施工することが可能となり、全体の工期を半年以上も短縮することが可能となった。

ちなみに、京葉線工事誌ではこの八丁堀駅の構造について以下のように評している。

●駅舎と線路が別々に設計できるため、地下空間を有効に活用できる。
●開削部の幅を縮小することで地上構造物への影響を最小限にできる。
●掘削量を削減できるためコストが削減できる。
●開削部を浅く、線路部を深くすることで大深度地下鉄道への応用が可能である。

このような優れた特徴から、八丁堀駅の工法は以後他の地下鉄道でも採用されている。その例として挙げられるのが現在地下化工事が進められている京王線布田駅小田急線下北沢駅である。

■西八丁堀立坑:1km050m18~1km075m18(L=25.00m)
▼参考
京葉線工事誌 807~813ページ

工期:1986(昭和61)年10月~1990(平成2)年3月

●概説

西八丁堀立坑の構造(京葉線工事誌808ページ 図3-7-102を元に作成)
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八丁堀駅の一番東京側にあるのが西八丁堀立坑である。この立坑の役割は高橋立坑と同じく八丁堀~東京駅間トンネルの換気設備と非常階段の設置スペースとなっている。換気塔と非常階段の出口は立坑の南側に設置されることとなったが、その場所に丁度オフィスビルの建設計画があったため、ビル1階の一部を区分所有することとし、ビルと合築(工事は同時並行)することとなった。
立坑本体は高橋立坑と同じ構造であるが、施工は上部の開削部2層を完成させた後下部のシールドトンネルと連結立坑を掘削するという順序がとられた。また、本レポートで後述する八丁堀~東京間の「京橋トンネル」の構造上シールドトンネル外面の間隔は高橋立坑や駅本体部よりもかなり狭い80cmとなっている。このため、シールドトンネル掘削時はトンネル間の土砂が崩壊するのを防止するため地盤改良を行っている。

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