東横線・副都心線直通に向けた車両の動き(2012年9・10月取材)

【クリックで拡大】東横線渋谷駅で顔を合わせた東京メトロ10000系とみなとみらい線Y500系

東急東横線・東京メトロ副都心線の直通運転開始まで半年を切り、直通先での試運転が本格化するなど車両の動きが活発化しています。今回はその中から「副都心線・有楽町線で営業運転を開始した東急5050系」「東横線内で営業運転を開始した東京メトロ10000系」「西武6000系の車内案内表示器のLCD化」の3点についてお伝えいたします。(なお、本記事の内容は複数の鉄道事業者に跨るものですが、特に東急電鉄との関わりが深いことから、「東急電鉄」のカテゴリに整理させていただきました。)

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■東横線・副都心線の車両融通経路
東横線・副都心線の車両の融通ルート。本来の直通ルートである渋谷~代官山間(赤色の矢印)が未開通であるため、南北線・有楽町線経由(ピンク色の矢印)で回送している。
東横線・副都心線の車両の融通ルート。本来の直通ルートである渋谷~代官山間(赤色の矢印)が未開通であるため、南北線・有楽町線経由(ピンク色の矢印)で回送している。
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 本題に入る前に、線路が直接つながっていない東急東横線と東京メトロ副都心線の間で、どのように車両を融通し合っているのかについて説明しておきます。
 東横線と副都心線を直接結ぶために現在進められている渋谷~代官山間の地下化工事は、現在の地上の渋谷駅の機能を残す必要があるため、双方の直通運転が開始される来年3月16日当日まで完成しません。このため、直通に向けた試運転を行うには両路線間を別のルートを使って車両を移送する必要があります。ここで登場するのが、市ヶ谷駅構内にある東京メトロ南北線・有楽町線の連絡線です。
 市ヶ谷駅は外濠の地下に南北線と有楽町線の線路が同一階層上に位置しています。南北線ホームの目黒方には、沿線に大規模な車両基地が確保できなかった代替として5編成収容可能な留置線が設けられています。一方、有楽町線ホームの和光市方には1974(昭和49)年の有楽町線池袋~銀座一丁目間の部分開業時に車両メンテナンス用に使用していた留置線が2本あります。前記した理由から、南北線の車両の大規模なメンテナンスは有楽町線の新木場車両基地や、有楽町線と連絡線でつながっている千代田線の綾瀬車両基地で行うこととされたことから、1996(平成8)年の南北線四ツ谷延伸開業時に双方の留置線を結ぶ連絡線が新設されました。

市ヶ谷駅有楽町線ホーム和光市方にある南北線との連絡線。 壁の向こうにわずかに見える南北線9000系の車体。
左:市ヶ谷駅有楽町線ホーム和光市方にある南北線との連絡線。
右:壁の向こうにわずかに見える南北線9000系の車体。2枚とも2012年6月2日撮影

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 南北線は東急目黒線を経由して東横線とつながっており、有楽町線は小竹向原駅で副都心線とつながっています。幸いなことに、この連絡線を通過しても車両の向きは本来の直通ルート経由と変わらないこともあり、渋谷~代官山間の地下化完成まではこのルートを使い、双方で車両の融通を図ることになりました。直通先での試運転は横浜高速鉄道(みなとみらい線)・東急・東京メトロの車両だけではなく、副都心線に乗り入れる東武・西武の車両についても実施されており、計5社の車両がこの連絡線を使って東横線と副都心線の間を行き来しています。

■副都心線・有楽町線で営業運転を開始した東急5050系
有楽町線・副都心線小竹向原駅に停車中の東急5050系。運行番号が「19S」であることから、東京メトロ車として運用されていることが分かる。
有楽町線・副都心線小竹向原駅に停車中の東急5050系。運行番号が「19S」であることから、東京メトロ車として運用されていることが分かる。2012年10月6日撮影
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 東急5050系(4000番台含む)は昨年9月頃より性能確認・乗務員訓練のため、相次いで東京メトロ・東武鉄道・西武鉄道に貸し出されており、副都心線内を中心に昼夜を問わず試運転が実施されてきました。そして、今年9月8日(土)以降、東京メトロに貸し出されている5050系第5編成(5155~5855の8両編成)、西武に貸し出されている5050系4000番台第4編成(4104~4004の10両編成)、東武に貸し出されている同第5編成(4105~4005の10両編成)の3編成が相次いで実際の営業運転に投入されました。これらの編成は各社が所有している自社車両と基本的に共通運用とされ、副都心線だけではなく有楽町線にも入線しています。10月6日(土)の調査時はこのうち5050系第5編成(5155~5855)を見ることができました。

「和光市」の文字が入った東急5050系側面の行先表示器。 車内のLCDは右側の次駅・乗換案内の画面のみが稼働。
左:「和光市」の文字が入った東急5050系側面の行先表示器。
右:車内のLCDは右側の次駅・乗換案内の画面のみが稼働。2012年10月6日撮影

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 営業運転への投入に当たっては、車内外の情報設備が来年3月の直通開始時と同等のレベルに整備されており、自動放送も使用されていました。車内のドア上部にある液晶ディスプレイも2画面とも電源が入れられており、右側は駅名や乗換案内などを表示しています。表示内容は東横線内で通常表示しているものとも東京メトロ10000系のものとも異なるもので、丸ノ内線02系更新車や千代田線16000系に近いデザインとなっています。ただし、16000系とは異なりドア開閉のアニメーション表示などはありません。一方、左側のディスプレイは運行区間内に映像配信設備が無く、リアルタイムでの更新ができないため終始「ご乗車ありがとうございます」の文字のみを表示していました。なお、今回見ることができた東急5050系は東京メトロへの貸出扱いとなっていたため、車内の広告類や路線図はすべて東京メトロ仕様に統一されていました。

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小竹向原駅では西武6000系とも顔をそろえた。 和光市駅到着後引上線に入り東京メトロ7000系とすれ違う。この日はそのまま検車区へ入庫した。
左:小竹向原駅では西武6000系とも顔をそろえた。
右:和光市駅到着後引上線に入り東京メトロ7000系とすれ違う。この日はそのまま検車区へ入庫した。2012年10月6日撮影

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 なお、上記3編成は今回の調査と前後して東急に返却されており、現在は違う編成が貸し出されている模様です。現在は数編成のみの限られた運用である副都心線内を走る東急車ですが、半年後には日常的にみられることになります。

■東横線で営業運転を開始した東京メトロ10000系
東横線渋谷駅に入線した東京メトロ10000系。地上の渋谷駅は副都心線直通時に廃止されるため、貴重な風景となる。
東横線渋谷駅に入線した東京メトロ10000系。地上の渋谷駅は副都心線直通時に廃止されるため、貴重な風景となる。2012年9月16日撮影
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 一方、東横線内では武蔵小杉以西で地上設備の10両対応がおおむね完了したことから、今年春頃より直通先各社の車両を使用した性能確認・乗務員訓練のための試運転が昼夜を問わず実施されています。このうち、東京メトロ10000系第4編成が前記した東急5050系と同日の9月8日(土)より東横線で営業運転を開始しました。運行区間は東横線・みなとみらい線の全線(渋谷~元町・中華街)で、列車種別も特に限定することなく使用されています。現在の地上にある渋谷駅は副都心線直通時に廃止されるため、このホームへの乗り入れは今しか見られない貴重なものであり、入線時は特段鉄道に興味がないであろう利用者でも携帯電話のカメラで撮影する光景が多く見られました。

東横線での運用中は車内のLCDや自動放送はすべてOFFとなっていた。 運転台のTIS画面。右上には「東急・横高」の文字。
左:東横線での運用中は車内のLCDや自動放送はすべてOFFとなっていた。
右:運転台のTIS画面。右上には「東急・横高」の文字。2012年9月16日撮影

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 副都心線直通時に廃止される現在の渋谷駅が8両編成までしか対応していないため、今回営業運転に投入された編成は10404・10504の2両を抜いた8両編成となっています。東京メトロ10000系の初期編成は車両需給に合わせて10両編成と8両編成を柔軟に組みかえられる構造となっており、8両編成への短縮は特に珍しいものではありません。(副都心線開業当初は7000系の改造が未了だったため、頻繁に見られた。)また、車内の液晶ディスプレイや自動放送は前記した東急5050系とは異なり、全て電源が切られており、乗客への案内は車掌の肉声放送のみとなっています。これも渋谷駅が直通開始時と異なる配線であることと関係しているものと思われます。(現在の配線に対応した案内情報がTISにインプットされていない?)また、車内の広告類は東急への貸出扱いであることから、すべて東急電鉄仕様に統一されていました。
 なお、この10000系第4編成も前記した東急5050系と同様、10月上旬に東京メトロへ返却されており、現在は代わって7000系(7116~7016の8両編成)が貸し出され、営業運転に入っています。東横線における東京メトロ車の運行は来年2月中旬まで行われる予定となっており、東急電鉄が公開している「渋谷つながるプロジェクト」サイト内で全日程の運行時刻が公表されています。訪問される際の参考にどうぞ。

▼参考
渋谷つながるプロジェクト(2013年9月サイト閉鎖)

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【速報】東京メトロ10000系撮影会(2006年9月30日作成)
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■西武6000系の車内案内表示器のLCD化
車内の案内表示器がLCD化された西武6000系第6編成。 西武6000系車内の液晶ディスプレイ。
左:車内の案内表示器がLCD化された西武6000系第6編成。2011年10月9日石神井公園駅で撮影。
右:西武6000系車内の液晶ディスプレイ。2012年6月23日撮影

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 西武6000系は西武池袋線・営団地下鉄有楽町線直通運転用の車両として、1992(平成4)年から製造されました。2007(平成19)年からは副都心線開業に備えてワンマン運転対応のための改造が行われており、2010(平成22)年度までに改造対象外の試作車2編成を除く全23編成の改造が完了しています。
 2009(平成21)年からは新たに、車内のドア上部にある案内表示器を西武鉄道の最新型車両である30000系と同等の液晶ディスプレイ(通称「西武スマイルビジョン」)に交換する改造が進められています。昨年度は5編成、今年度は3編成の改造が予定されており、今年10月1日現在では9編成にこのディスプレイが搭載されています。表示内容は直通先を走る東京メトロ10000系や東急5050系と同等のものとなっており、東急東横線直通開始後の運行系統の複雑化に備えた多機能化と見ることもできます。

▼参考
6000系:西武鉄道Webサイト
2012年度 鉄道事業設備投資計画:西武鉄道Webサイト(PDF/376KB)

▼関連記事
西武6000系東京メトロ副都心線直通改造車(2007年5月11日作成)

■おまけ;東横線ヘッドマーク付き列車2種
4101編成に取り付けられた東横線キャラクターネーミング募集のヘッドマーク 5156編成に取り付けられた渋谷駅開業85周年記念イベントのヘッドマーク。
左:4101編成に取り付けられた東横線キャラクターネーミング募集のヘッドマーク
右:5156編成に取り付けられた渋谷駅開業85周年記念イベントのヘッドマーク。2012年9月16日撮影

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 最後におまけとして東横線5050系に最近装着されたヘッドマークを2種類ご紹介しておきます。
 左は先週作成した記事でも触れた東横線の新しいマスコットキャラクターのネーミング募集に関するもので、田園都市線の5000系でも同じヘッドマークが装着されました。ネーミングの募集は9月28日(金)をもって締め切られており、現在選考を行っている最中かと思われます。今後の活躍に期待したいと思います。
 右は8月28日(火)に東横線の渋谷駅が開業85周年を迎えたことを記念して行われたイベントに合わせて装着されたヘッドマークです。当日は鉄道写真家・中井精也氏が撮影した写真や渋谷駅のこれまでの記録写真などを使用した記念入場券も発売され、用意された3000部が当日中に完売しました。東急電鉄では「東横線渋谷駅メモリアル写真集プロジェクト」と題し、東横線渋谷駅にまつわる想い出写真集の制作を進めており、10月31日(当日必着)まで一般からも写真やエピソードを募集しています。締め切りまで残り2週間となっていますので、応募を考えている方はどうぞお急ぎください。

▼参考
8月28日(火)、東横線渋谷駅で開業85周記念イベントを開催します オリジナルデザインの記念入場券も販売(2012/8/20)|ニュースリース|東急電鉄
東急線のマスコットキャラクターが誕生!8月28日(火)から愛称を募集します(2012/8/20)|ニュースリース|東急電鉄 ※募集終了
「東横線渋谷駅メモリアル写真集プロジェクト」東横線渋谷駅にまつわる、想い出の写真とエピソードを募集します (2012/8/20)|ニュースリース|東急電鉄

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