東京駅復原工事完成!ライトアップも開始!(2012年10月6日取材)

ライトアップが開始された東京役赤レンガ駅舎。超高層ビルと歴史的建造物が織りなす新しい風景。

2012年10月1日、5年間にわたり続いてきた東京駅赤レンガ駅舎の保存・復原工事が完成しました。今回は天井を覆っていた幕が取り払われた南北ドーム内部の様子と夜間の駅舎のライトアップの風景をお届けいたします。

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■東京駅赤レンガ駅舎復原工事の概要

東京駅丸の内北口ドームの復原前 復原完成後
東京駅丸の内北口ドームの復原前(左:2007年5月26日撮影)と復原完成後(右:2012年9月15日撮影)。
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 東京駅赤レンガ駅舎は1914(大正3)年に建築家辰野金吾の設計により「中央停車場」として完成しました。関東大震災でも無傷という堅牢さを誇ったこの赤レンガ駅舎ですが、太平洋戦争末期の1945(昭和20)年5月の東京大空襲により3階部分を焼失し、直後に行われた八角形屋根での仮復旧の状態のままで半世紀以上の間維持されてきました。
 2007(平成19)年からは国の重要文化財に指定されている赤レンガ駅舎の価値をさらに高め、後世永続的にわたりこの姿を保存・継承するため、創建当時の姿に復原する工事が進められてきました。復原に当たっては建設に使用された設計図がほとんど紛失していたため、創建当時に発行された雑誌などの写真なども元にし、駅舎内外が創建当時の形に完全に復原されました。
 また、復原に当たっては元々ある材料を極力活用することが目標とされており、中でも駅舎の屋根に使用されている天然スレート板には旧屋根から取り外し、宮城県石巻市で洗浄中に東日本大震災に遭い、津波で流出・回収されたものも含まれています。さらに、地震に対する耐久性を高めるため、駅舎地下全体にわたり既存の松杭を撤去して免震装置が組み込まれたほか(免震レトロフィット工法)、駅舎や商業施設を設けるため2層構造の地下階が新設されました。
 復原にかかった総工費は約500億円で、赤レンガ駅舎上空の空中権を周辺に売却することにより調達されています。
 なお、去る9月29日(土)にはNHK総合テレビでこの東京駅復原工事の記録を収めたドキュメンタリー番組独占公開!東京駅復活大作戦が放送されました。再放送は11月5日(月)1:35~の予定となっていますので、見逃してしまった方はこの機会でぜひご覧ください。

■お披露目されたドーム天井
2階より上を覆っていた幕が取り外された北口ドーム。初めての週末となり、お披露目された天井を一目見ようと多くの人が訪れた。
2階より上を覆っていた幕が取り外された北口ドーム。初めての週末となり、お披露目された天井を一目見ようと多くの人が訪れた。
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 訪問した10月6日(土)は復原工事完成後初の週末ということもあり、お披露目された駅舎内外を見学しようと全国から多くの人が訪れました。この時はあまりにも混雑が激しいため、丸の内北口を出口専用、南口を入口専用とした見学順路が案内されており、北口ドーム内は「長時間立ち止まっての撮影はご遠慮ください」とのアナウンスがなされるほどの盛況ぶりでした。ここまでの盛況となったのは筆者がこれまで6年間にわたり東京駅を見てきた中でも初めてと言っても過言ではないほど珍しい現象であり、いかにこの東京駅復原工事が注目されているかを知らしめる光景でもありました。

北口ドームを見上げる。壁や天井の美しいレリーフの数々に匠の技が光る。
北口ドームを見上げる。壁や天井の美しいレリーフの数々に匠の技が光る。
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 南北両ドーム内の天井は、復原前にあったジュラルミン製の板を組み合わせた半球形の天井が全て撤去され、創建当時の八角形状の天井が再現されました。天井や壁の黄土色の部分は漆喰(しっくい)で、天頂のに始まり、その周囲を取り囲む全長2.1mの鷲(わし)、側面の窓の両側に配置された豊臣秀吉の兜、剣、十二支など数々の美しいレリーフも現代の職人の技により完全な形で復原されています。また、南口ドームの側壁のうち1か所は戦災で焼け残り、天井の裏に埋められたままとなっていたレリーフが再利用されています。

「丑」のレリーフ 「寅」のレリーフ 「辰」のレリーフ 「巳」のレリーフ
左から順に「丑」「寅」「辰」「巳」のレリーフ
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「未」のレリーフ 「申」のレリーフ 「戌」のレリーフ 「亥」のレリーフ
左から順に「未」「申」「戌」「亥」のレリーフ
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十二支のレリーフは「子(ね)」「丑(うし)」「寅(とら)」「卯(う)」「辰(たつ)」「巳(み)」「午(うま)」「未(ひつじ)」「申(さる)」「酉(とり)」「戌(いぬ)」「亥(い)」のうち、「子」「卯」「午」「酉」(それぞれ「北」「東」「南」「西」に対応)を除く8種類で構成されています。

改札内通路に面した壁面も公開された。
改札内通路に面した壁面も公開された。

 このほか、中央線ホーム下の改札内通路に面した壁面も工事用の幕が取り外され、赤レンガ駅舎の壁面に直に触れることができるようになりました。この部分は復原前はパネルなどで隠されていた部分です。床面は先に幕が取り外された中央通路付近の駅舎と同様、免震化用のエキスパンションジョイント(伸縮継目)が設けられており、北口付近は赤レンガ駅舎側の壁面に自動精算機が埋め込まれているため、その部分は橋を渡したような構造となっています。

■ライトアップも開始
行幸通りからライトアップされた赤レンガ駅舎を見る。
行幸通りからライトアップされた赤レンガ駅舎を見る。(6枚合成)
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 復原工事の完成に伴い、夜間の駅舎のライトアップも再開されました。初日の10月1日(月)に予定されていた完成記念式典とライトアップの点灯式は台風17号通過による危険防止のため残念ながら中止されてしまいましたが、以後新しい東京駅の夜の姿を見ようと丸の内に勤めるビジネスマンをはじめ、連日多くの人が訪れています。
 新しい赤レンガ駅舎のライトアップは「和やかな景色」をコンセプトにしており、東京国際フォーラム、六本木ヒルズ、JR京都駅(烏丸口駅舎)などのライトアップの設計で実績を持つ、照明デザイナーの面出薫(めんでかおる)氏が担当しています。照明器具は三菱電機製のLED照明を全面的に採用しており、従来の電球を使用した照明と比べて約56%の省電力化を実現しています。また、照明器具は白色・黄色のLEDを用いたものと、赤色・緑色・青色(三原色)のLEDを組み合わせた2種類があり、季節やイベントに合わせたカラーの変更なども容易になっています。ライトアップの照明は日没と同時に点灯し、21時の消灯に向かって徐々に照度を落とすプログラムとなっています。

ライトアップされた北口ドーム。
ライトアップされた北口ドーム。
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ライトアップされた南口ドーム。
ライトアップされた南口ドーム。
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 新しいライトアップは従来と同様のレンガを使用した壁面に加え、復原されたドーム部分のスレート屋根も重点的にライトアップされるようになりました。照明は白色を中心に使用しているため、電球を使用していた従来のものと比べ、かなり明るい印象を受けます。参考までに下の写真は復原前のライトアップで、壁のみがライトアップされており、色も電球特有の赤みの強いものとなっていることが分かります。今回は日没直後(18時頃)だったため、最大照度で点灯していましたが、消灯間際にはまた違った雰囲気となっているものと思われます。このあたりは追々また調査したいと思います。

参考までに復原前の南口ドームのライトアップ。光源に電球を使用していたため、赤みの強い色合いとなっていた。
参考までに復原前の南口ドームのライトアップ。光源に電球を使用していたため、赤みの強い色合いとなっていた。2006年11月4日撮影

南口から北口方向を見る。左端の高層ビルは旧国鉄本社ビル跡地に建設された丸の内オアゾ。
南口から北口方向を見る。左端の高層ビルは旧国鉄本社ビル跡地に建設された丸の内オアゾ。
※クリックで拡大(800*600px/74KB)

天皇皇后両陛下の御利用のため開放された貴賓室の扉。奥にシカの装飾が見える。
天皇皇后両陛下の御利用のため開放された貴賓室の扉。奥にシカの装飾が見える。

 今回訪問した10月6日は天皇皇后両陛下が山梨県甲府市の「武田の杜(もり)保健休養林」(元皇室所有林)の視察のため、東京駅を御利用されました。復原工事完成後に東京駅を皇室関係者が利用されるのは今回が初めてのことです。両陛下がお召し列車で帰京された19時頃には普段は閉鎖されている車寄せ部分の貴賓室入口扉が開放されており、わずかながら内部を見ることができました。東京駅赤レンガ駅舎が次の時代へ向け、新たな時を刻み始めたことを実感させる出来事でした。

JPタワーとライトアップされた東京駅赤レンガ駅舎。
JPタワーとライトアップされた東京駅赤レンガ駅舎。
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 東京駅ではこの赤レンガ駅舎のほかにも来年の完成を目指して八重洲口の歩行者用デッキ(グラン・ルーフ)の建設や駅前にある東京中央郵便局(JPタワー)の再開発が続いています。これらについても調査を続けていますので、まとまり次第お伝えする予定です。

▼参考
東京駅が街になる Tokyo Station City
東京駅丸の内駅舎ライトアップについて - JR東日本(PDF/323KB)
鹿島:東京駅丸の内駅舎保存・復原工事
東京駅丸の内駅舎 保存・復原工事 ライトアップLED照明器具 - 三菱電機照明株式会社(PDF/261KB)

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