東横線・副都心線直通工事(1)新・渋谷駅(2013年2・3月取材)

“のるるん”の中から85年の歴史に幕を閉じる東横線渋谷駅を眺める。

いよいよ今週末の2013年3月16日(土)より東急東横線と東京メトロ副都心線の相互直通運転が開始されます。2月・3月も東横線・副都心線の全線に渡り少しずつを調査してまいりましたので、直通前最後のレポートとして数記事にわたり各地点の状況と1月末に発表された直通開始後の運転計画を合わせて解説してまいります。第1回目の今回は副都心線渋谷駅の状況についてです。

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■東急東横線渋谷~代官山間の地下化工事の概要
東横線渋谷~代官山間の地下化前後の断面図
東横線渋谷~代官山間の地下化前後の断面図。
平面図は→こちら(別ウィンドウ)

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 現在の渋谷駅は東急東横線が地上2階、東京メトロ副都心線が地下5階にホームがあります。直通にあたっては東横線渋谷~代官山間(約1.5km)を地下化し、双方の線路を接続します。これにより、現在の東横線渋谷駅は廃止となり、JR埼京線のホーム移設など再開発の用地に転用されます。東横線と副都心線の直通は副都心線の着工後に決まったため、2008(平成20)年の同時開業とはならず、今年までずれ込むこととなりました。
 地下化後の新線は未完成となっていた副都心線渋谷駅の終端を延長する形で始まります。副都心線渋谷駅から約220mは地上から掘り下げる開削工法で建設された箱型トンネルで進み、国道246号南側の明治通りに至ります。そこから先は地中を機械で掘り進むシールドトンネルとなり、民有地や渋谷川の下をS字に横切った後現在の東横線の直下に入ります。シールド区間の全長は約500mで、民有地の占有や埋設物の移設を最小限にするため、上下線一体の四角形断面となっています。また、渋谷川を横断した後の現在線直下の区間は代官山駅に向けて一貫して25~35パーミルの急な上り勾配と半径160mの急カーブが介在する厳しい線形となっています。
 JR山手線との交差地点から代官山駅手前までの約510mは箱型トンネルに戻り、代官山駅の手前にある渋谷1号踏切(地下化時に廃止)の直後に地上に出ます。代官山駅構内は地下線と接続するため、地下化切替時に現在よりも低い位置に線路・ホームが付け替えられます。地下化切替は現在線が載っている仮設桁を取り外すことにより、一晩で完了させる予定となっています。(詳細後述)
 なお、この工事は次回お伝えする予定の東横線10両対応化工事とともに特定都市鉄道整備事業の対象となっており、2005(平成17)年度から半期ごとに運賃収入の2%を事業費として積み立てています。2012(平成24)年度上期までの累積積立額は189億600万円となっており、社団法人日本民営鉄道協会に積み立てを行ったうえで今後工事費の支払いに充当されます。

■直通・切替準備が完了!

副都心線渋谷駅、東横線代官山駅ともに1月の調査時には直通・切替に向けた準備が本格化しており、2月末~3月第1週にはほぼすべての箇所で準備が完了し、当日の工事を待つだけの状態となりました。今回は2月9・24日・3月10日の3回に渡り調査した各地点の状況をお伝えしてまいります。

●副都心線渋谷駅(ホーム)
架線やホームドアの取り付けが完了した内側2線。
架線やホームドアの取り付けが完了した内側2線。2012年11月24日撮影
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 副都心線渋谷駅は東横線直通に備えて2008年の開業時より島式ホーム2面4線の形態で建設されており、現在は外側2線のみを使用して運行されています。内側2線は開業時は使用しないため軌道上に仮設の床面を設置し、1つの巨大な島式ホームとして使用していました。仮設の床面は直通に向けた準備の本格化に伴い、昨年7月に全て撤去されています。内側2線は今年1月までにホームドア取り付けや信号設備の設置も完了しており、以降大きな変化はありません。
 一方、ホームの横浜方2両分は2008年の開業時点では未完成でコンクリートの壁により塞がれており、池袋方に仮設のホームを設置して10両分の長さを確保していました。この未完成部分についても昨年末までに完成しており、3月16日東横線直通開始時より供用を開始し、10両編成の停止位置が横浜方に2両分移動する予定です。さらに、この延長部分のホームには階段・エスカレータも設置されており昨日3月11日(月)初電より後述する「渋谷ヒカリエ2改札口」とともに先行して使用が開始されています。

フルカラー4段の大型表示器に交換された副都心線ホームの発車案内。
工事中の表示器と3色3段の旧表示器(奥)。 4番線は線路の数字がシールになっており、下に「5」「6」が隠れている。
上:フルカラー4段の大型表示器に交換された副都心線ホームの発車案内。2013年2月9日撮影
下左:工事中の表示器と3色3段の旧表示器(奥)。
下右:4番線は線路の数字がシールになっており、下に「5」「6」が隠れている。2013年1月27日撮影

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 東横線直通を間近に控え、副都心線のホーム・コンコースでは案内板を東横線直通に対応したものに交換する工事が急ピッチで進められています。最初に交換されたのはホーム天井に設置されている発車案内板で、2月上旬に従来の3色LED・3段表示のものから、フルカラーLED・4段・停車駅のスクロール表示も可能な大型表示器に交換されました。交換後の発車案内板はLED表示の欄外にある数字や方面に関する表記がシールになっており、3番線側のものは「中目黒 自由が丘 横浜 元町・中華街方面」、4番線側のものは「5」「6」の文字が隠れているのが確認できます。

副都心線渋谷駅の配線図と発着方向
副都心線渋谷駅の配線図と発着方向

 東横線直通開始後のホームの使用方法は1月の記事で「予想」としてお伝えしたものとほぼ一致しており、外側2線(3・6番線)が東横線・副都心線直通列車専用、内側2線(5・6番線)が各駅停車の待避・折り返しに使用されます。3月16日から始まる直通運転では副都心線からの列車は全て東横線に直通する一方、東横線からの列車は1時間に2~6本の渋谷折り返しが設定されます。折り返し列車は発車方向別にホームを分けるため、主に4番線に発着しますが、夜間帯と休日朝の一部列車は例外的に5番線発着となります。これはこの時間帯に下り優等列車の一部が渋谷駅で各駅停車の追い抜きをするためで、3・4番線両方が埋まってしまうことからやむを得ず5番線で折り返しを行うことによります。これ以外の時間帯では5番線は副都心線に直通する上り優等列車の追い抜きに使用されます。

東横線用に交換された3番線線路側の案内板
東横線路線図 駅名板も東横線の駅番号と「代官山」の文字が入ったものに交換。
上:東横線用に交換された3番線線路側の案内板
下左:東横線路線図
下右:駅名板も東横線の駅番号と「代官山」の文字が入ったものに交換。3枚とも2013年2月24日撮影

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 2月末にはさらに固定式の案内板の交換も開始されました。交換された案内板のうち、東横線に関係するものは利用者に誤解を与えないよう直通開始日までシールで覆うのが基本となっていますが、3番線の線路側の壁に設置されているものだけは「2013年3月16日東横線へ相互直通運転」の但し書きを加えた上で東横線用のものがそのまま掲出されています。これは案内板が線路内にあり、床から高さもあることから、当日夜に全てシールを剥がすのは大変であることや、利用者へのPRも兼ねてこのような形をとったものと考えられます。なお、前記した通り3・4番線は全列車が東横線方面行きになるため、副都心線関係の案内板は設置されていません。

●副都心線渋谷駅(コンコース・地上出入口)
自動改札機の増設が完了した渋谷ヒカリエ1改札口
自動改札機の増設が完了した渋谷ヒカリエ1改札口。2013年3月10日撮影
※クリックすると2013年2月9日に撮影した工事中の状況を表示

 地下3階のほぼ中央にある渋谷ヒカリエ1改札口(新正面改札口)は東横線直通開始後の地上のJR山手線・銀座線・京王井の頭線の乗り換えルートとして案内されており、利用者の大幅な増加が見込まれます。このため自動改札機が4通路から8通路に倍増させる工事が行われました。また、改札口天井に設置されている発車案内板は東横線直通に備えてフルカラー5段式の大型LED表示器に交換され、台数も2台に増設されました。

横浜方に完成した渋谷ヒカリエ2改札口
横浜方に完成した渋谷ヒカリエ2改札口。2013年3月10日撮影
※クリックすると2013年2月9日に撮影した工事中の状況を表示

 これとは別に渋谷ヒカリエ1改札口からホームへ続く吹き抜けを挟んだ反対側の定期券売り場脇には、新しい改札口「渋谷ヒカリエ2改札口」が新設され、3月11日(月)より使用が開始されました。渋谷ヒカリエ2改札口を入った先は「ヒカリエ1改札口」と同様にエスカレータ・階段で地下4階に降りた後、Uターンして前記したホーム横浜寄りの階段・エスカレータに通じています。地下4階フロアは使用開始済みのエリアにも通じており、副都心線開業以来関係者以外立ち入ることができなかった地下4階の吹き抜け周りの部分も、ようやく一般に開放されたことになります。

発車案内板が増設された宮益坂中央改札口。 発車案内板が増設された副都心線B2F~B3Fコンコース。
左:発車案内板が増設された宮益坂中央改札口。
右:発車案内板が増設された副都心線B2F~B3Fコンコース。

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 このほか、半蔵門線~副都心線の乗り換えコンコース上にも東横線・副都心線の発車案内板が多数増設されています。
 なお、東横線直通開始後は田園都市線と東横線が同じ改札口を共有することになるため、普通乗車券(ICカードを含む)・回数券ではどちらの路線経由で乗車したかを判別するのが困難になります。このため、3月16日よりJRの大都市近郊区間と同様に実際の乗車経路にかかわらず最短経路で運賃を算出するよう運賃制度が変更されます。(具体的な例:大井町線等々力駅から渋谷駅に向かう場合、実際の乗車経路が遠回りとなる田園都市線経由(11.5km・210円)であっても、運賃は最短となる東横線経由(9.0km・190円)で算出します。)また、定期券は乗車経路を指定して購入するため、従来通りルートに沿った運賃で算出され、それ以外のルートの利用は認められません。
 上記の制度変更や直通開始に伴い定期券や回数券を買い直す場合、3月16日(土)~4月30日(火)の間東急線各駅の定期券売り場で無手数料(定期券の場合はかつ日割り)で払い戻しが受けられます。

3月16日より使用が開始される副都心線渋谷駅16番出入口(国道地下歩道) 16番出入口の通路は渋谷ヒカリエ2改札口脇に通じる。
左:3月16日より使用が開始される副都心線渋谷駅16番出入口(2013年1月2日の様子
右:16番出入口の通路は渋谷ヒカリエ2改札口脇に通じる。2013年3月10日撮影

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 1月の調査時に渋谷駅から国道246号を挟んで反対側の明治通り上に地下へ降りる階段ができつつあるのをお伝えしましたが、3月16日よりこの階段が副都心線渋谷駅の16番出入口として使用されることがわかりました。16番出入口は国道を横断する地下歩道として整備されているもので、渋谷ヒカリエ2改札口の改札外側から見て右側(定期券売り場脇)に接続します。地上出入口の建屋はプレハブ様の非常に簡素な造りとなっていますが、これは将来渋谷駅一帯の再開発に伴い位置が移動することを考慮したためと思われます。


次の「(2)渋谷~代官山間」の記事では渋谷駅から先の地下化区間と代官山駅の切替準備の状況、そして直通開始に合わせて開催されている各種イベントの予定についてお伝えします。

→「(2)渋谷~代官山間」の記事へGO!


▼参考
東京メトロ副都心線との相互直通運転に伴う東横線渋谷~横浜間改良工事 - 東急電鉄
特定都市鉄道整備事業実施状況(2012/11/9)|ニュースリース|東急電鉄
鹿島:KAJIMAダイジェスト:ザ・サイト:(13号相直)東横線渋谷~代官山間地下化工事(土木工事第1工区)
April 2012:特集「都市と鉄道の昨日,今日,そして明日」| KAJIMAダイジェスト | 鹿島建設株式会社
円形・矩形・馬蹄形など多様な断面を掘れるシールド掘進機が完成 - 川崎重工PR誌「Kawasaki News」(PDF/819KB)
津守,永持,関,山崎 - 東急東横線渋谷駅~代官山駅間地下化工事の概要 - 地下空間シンポジウム論文・報告集第14巻 - 土木学会2009年1月(リンク先:CiNii)
原,長倉,鈴木,小野 - 東京急行電鉄東横線渋谷~横浜間改良工事 - 日本鉄道施設協会誌2012年10月号(リンク先CiNii)
渋谷つながるプロジェクト(2013年9月サイト閉鎖)
3月16日東横線・副都心線 相互直通運転開始!東横線ご利用案内

▼関連記事
地下鉄副都心線建設状況4・・・東急東横線へ(2007年6月10日作成)
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東急東横線・東京メトロ副都心線直通工事(2012~2013年取材)&再開発の現状 (2013年1月19日作成) このエントリーをはてなブックマークに追加
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