内房・外房線新聞輸送列車が廃止に



千葉県の内房・外房線では長らく普通列車の一部を利用して新聞(夕刊)の輸送が行われていましたが、この列車が来る2010年3月13日(土)のダイヤ改正で廃止されることが決まりました。過去に作成した記事の焼き直しとなってしまい恐縮ですが、今回は残り2カ月弱の運行となった新聞輸送列車についてもう一度ブログ上で採り上げたいと思います。

■房総地区の鉄道と新聞輸送列車を取り巻く状況
かつて、新聞に限らず貨物類の多くは鉄道で輸送されており、今回採りあげるような荷物列車は房総地区に限らず全国各地で見ることができました。これらの列車の多くは国鉄の分割民営化に前後して廃止されましたが、房総地区の新聞輸送列車に関しては1996(平成8)年に専用車両「クモユニ143形」から普通列車(113系)の後部1両を締め切る形に縮小されながらも現在に至るまで残されました。このように例外的な取扱いがなされた理由は房総半島に高速道路網が整備されていないなど道路事情が悪く、渋滞等で所要時間が正確に予測できないトラック輸送に切り替えることが不可能だったためです。
この列車は新聞輸送を行うという特殊な列車でありながら臨時扱いではなく「荷2331M」という独自の列車番号が与えられており、夕刊が休刊となる日以外は毎日運行されています。新聞の積み込みは現在営業用としてはほとんど使われていない両国駅の列車線ホーム(3番線)で行われており、1999(平成11)年には総武快速線から、2006(平成18)年には東海道線からそれぞれ113系が引退した今では定期的に都内に乗り入れる唯一の113系使用列車となっていることから注目度は高く、鉄道関係の雑誌でも度々採りあげられています。


大きな地図で見る
千葉県木更津市付近の地図(Googleマップ)内房線と館山自動車道は完全に競合状態にあることが分かる。

しかし、ここ数年の間に内房・外房線を取り巻く状況は一変しました。2007(平成19)年7月4日に館山自動車道が全線開通し、長年の懸案であった道路事情が劇的に改善されたのです。特にこの道路と並走する内房線への打撃は大きく、ETC(ノンストッブ自動料金収受システム)を利用した大幅な通行料金割引や、去る2009(平成21)年3月の選挙で千葉県知事に当選した森田健作氏のマニフェストであった東京湾アクアラインの通行料金800円への値下げなどの効果により観光客が鉄道から自動車へ大幅にシフト。内房線は特急を中心にダイヤ改正ごとに減便が続くという状況となっています。(来る3月のダイヤ改正でも特急「さざなみ」が現在のほぼ半分に減便される予定。)
そして、この道路整備による影響は今年ついに新聞輸送にも表れることとなりました。今年度をもって業者との契約が解除されることになり、列車自体が廃止されることが決まったというものです。

■新聞輸送列車“荷2331M”を追う
この新聞輸送列車は以前から機会があるごとに撮影を続けていました。今回はそれらの写真を集めて擬似的に「荷2331Mの追っかけレポ」を作ってみたいと思います。

<内房・外房線新聞輸送列車のダイヤ>
回2331M 津田沼12:29→両国12:50
荷2331M 両国13:20→津田沼13:41→千葉13:52

使用される車両は後述するように千葉駅で内房線・外房線2系統に分割されるため113系4両編成を2本繋いだ8両編成となっています。


幕張車両センターから回送された後、12:29に回2331Mとして津田沼駅2番線を出発。
2008年10月4日撮影



12:50、両国駅3番線に到着。ここで新聞を積み込む。
2007年9月5日撮影



13:20に両国駅を発ち、一路千葉駅へ向かう。
2008年2月15日下総中山駅で撮影



西千葉~稲毛間にある「黒砂信号場」。快速上下線間に両方向に進出可能な線路が1本挟まる形態。「1両」や「2両」の停止位置があるのはクモユニ143形が走っていた名残だろうか?
2007年4月10日撮影


千葉駅はまず外房線ホーム5番線に入線します。ここで内房線へ向かう後部4両は一旦切り離し、バックして西千葉~稲毛間にある「黒砂信号場」に退避します。これは千葉駅が路線ごとのホームになっており、内房線へ向かう後部4両を改めて別の線路に入れ直す必要があるためです。


千葉駅の場内信号機に併設された誘導信号機(矢印の先)。新聞輸送列車とは無関係の別の連結作業で撮影。
2006年10月10日撮影



最徐行で進入し、連結相手の10mほど手前で一旦停止。係員が乗り込み、貫通扉を開ける。
2006年9月26日撮影


千葉駅5番線に残された4両は一部の新聞を下しつつ蘇我方から到着してきた外房線270M(千葉14:04着)と連結を行います。かつて270M側は乗客を乗せたまま連結作業を行っていましたが、千葉駅は他線との乗り換えがギリギリの列車が数多くあるため、現在は先に乗客を降ろした後連結作業を行っています。(ただし、千葉駅進入時は既に列車が在線している線路に入るため、誘導信号機(制限速度15km/h)に従い進入しており、所要時間が通常より2~3分長くなる。)こうして8両編成となった列車は14:11に安房鴨川行き(269M)として出発します。
一方、黒砂信号場に退避した編成は内房線ホーム4番線に入ります。ここですでに入線している4両編成と連結を行い、8両編成となった後14:26にこちらも安房鴨川行き(187M)として出発します。


千葉駅5番線に停車中の新聞輸送列車。新聞が積み込まれている後部1両はこのようにすべてのドアに「荷物専用」と書かれた黄色い幕が張られ、封鎖される。事情を知らない客が右に見える階段から駆け込み乗車をしようとして乗れずに列車を逃してしまうという光景も時折見られる。
2007年4月11日撮影


以下の動画は上記の作業をホーム上から見たものです。制作が2007年であるため低画質となっております。ご了承ください。


千葉駅内房・外房線新聞輸送列車連結作業(YouTube)

房総各線では2009年末より209系の導入が開始されていますが、この新聞輸送列車は209系への置き換えが行われる前に廃止されることとなります。これはイコール都内に定期列車として乗り入れる113系の全廃を示すものであり、同時に両国駅の列車線ホームを使う定期列車が消滅することを意味します。残された期間は短いですが、この列車を一目見たいという方はどうぞお早めに千葉までお越しくださいませ。

▼参考
日刊動労千葉No.6921「館山派出廃止と、内房線特急の大幅削減を許すな!」 - 国鉄千葉動力車労働組合

▼関連記事
113系新聞輸送列車(2006年4月4日作成)
千葉駅113系連結作業Ⅱ(車内から)(2006年10月10日作成)
西千葉公園と総武線黒砂信号場(2007年4月15日作成)
内房線・外房線新聞輸送列車~千葉駅での分割併合一覧(動画)~(2007年4月17日作成)
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コメント

内房、外房、総武の車両交代
内房線と外房線、総武本線、成田線、東金線のアイヴォリーカラーとアクアブルーのスカ電と呼ばれる車両は近いうちに廃車となるだろう。千葉県内のスカ電こと113系電車は本数の少ない線区で活躍してるからだ。総武・横須賀線の車両は置き換えとなったが、113系から房総・総武地域で活躍する京浜東北線と根岸線の車両と置き換えとなるだろう。
2010/05/22 14:41 | URL | 投稿者:タクロウ [編集]
Re: 内房、外房、総武の車両交代
タクロウさま>
これまで労働組合の事情などにより取り残されてきた感が強い千葉地区のJR線の車両ですが、ようやく21世紀にふさわしい姿を整えることになります。いつも大学への通学の際、総武線で幕張車両センターの脇を通過しますが、毎週のように113系が廃車のため搬出され、代わりに209系が入るという動きを繰り返しています。一応「3年後の置き換え完了」が謳われていますが、これまでのJR東日本における新車導入の実績を見ているとそれよりも早い時期に置き換えが完了する可能性も考えられるでしょう。

2010/05/23 14:47 | URL | 投稿者:takuya870625(管理人)
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