日暮里駅常磐線ホーム拡幅工事(2013年4月29日取材)

カテゴリ:鉄道:建設・工事 | 公開日:2013年07月02日20:00
日暮里駅常磐線ホーム3・4番線

日暮里駅では現在常磐線ホーム(3・4番線)の拡幅工事が行われています。以前から現地で工事が行われているのは確認していましたが、この度鉄道・建設関連の専門雑誌の資料が手に入りましたので、詳細な計画と現状についてお伝えいたします。

■京成日暮里駅改良工事と常磐線ホーム拡幅の概要



 日暮里駅はJR山手線・京浜東北線・常磐線・京成本線・日暮里舎人ライナーの5路線が乗り入れる荒川区最大の交通の要衝となっています。各事業者の乗降人員は最新のデータ(2011・2012年度)によるとJR東日本が約10万人、京成電鉄が約9万5千人、日暮里舎人ライナー(東京都交通局)が約3万7千人となっていますが、JR東日本に関しては各路線間の乗り換え客が改札口を通過しないためこの中にカウントされておらず、実数としてはこれより遥かに多い利用があります。また、常磐線・京成線は上野駅が起終点ですが、上野駅は乗り換えの利便性に難があるため、日暮里駅で山手線や京浜東北線に乗り換える利用者も多く(特に京成に至っては利用者数が上野駅を2倍以上上回っている)、実質的な都心側のターミナル駅となっています。

激しく混雑する常磐線ホーム。この日は休日のため比較的空いているが、平日夕方の最混雑時間帯は下り列車の乗車待ちの列がホームの反対側の端まで到達してしまう。
激しく混雑する常磐線ホーム。この日は休日のため比較的空いているが、平日夕方の最混雑時間帯は下り列車の乗車待ちの列がホームの反対側の端まで到達してしまう。2013年4月29日撮影

 日暮里駅のホームのうち、常磐線が発着する3・4番線ホームは最大幅が6.4mと大都市圏の拠点駅としては異例の狭さとなっています。(参考までに2010年に拡幅された横浜駅横須賀線ホームは7.2mだった。)常磐快速線は最大で15両編成での運行となっており、昼夜を問わずホーム上が利用者で溢れ返っています。また、乗り換え客の多さ故に各ホーム間には乗り換え用の橋上通路が4本設置されており、階段・エスカレータも多数用意されていますが、この施設がかえってホーム上の混雑に拍車をかける結果となり、平日朝夕のラッシュ時はいつ転落事故が起きてもおかしくない状況となっているなど、いわば混雑のデッドロック状態に陥っています。

京成日暮里駅3階下り線ホーム 京成日暮里駅1階上り線ホーム
成田スカイアクセス開業に合わせて大幅に改良された京成日暮里駅。左は3階の下り線ホーム(2010年10月10日撮影)、右は1階の上り線ホーム(2010年6月26日撮影)。
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 一方、常磐線ホームの脇にある京成本線日暮里駅は2010年の成田スカイアクセス線(成田新高速鉄道)開業に合わせて大幅に改良され、それまで1階の島式ホーム1面2線で上下列車を捌いていたものが、下り線ホームが3階、上り線ホームが1階にそれぞれ分離されました。地上の下り線跡地は残された上り線ホームの拡幅などには充てられず、現在に至るまで空地のまま残されており、一連の改良工事も終了していることから今後も利用予定はありません。

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日暮里駅常磐線・京成線ホームの断面図。常磐線上り線を京成旧下り線跡地(図では右側)に移設し、ホームを拡幅する。
日暮里駅常磐線・京成線ホームの断面図。常磐線上り線を京成旧下り線跡地(図では右側)に移設し、ホームを拡幅する。
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 そこで、この京成旧下り線跡地に常磐線上り線の線路を移設し、混雑が激しい常磐線ホームを拡幅することが決定されました。これにより、特に朝ラッシュ時に混雑が激しい常磐線ホームの上り線側のスペース拡大が可能となり、混雑緩和、安全性の向上が図られます。また、来る2014年度には上野駅と東京駅を結ぶ東北縦貫線が開業し、当駅から上野駅を越えて東京・品川方面へ向かう列車も運行される予定です。ホーム拡幅により新たに加わるこの方向の利用者の増加にも対応可能となります。

線路移設・ホーム拡幅部分の位置
線路移設・ホーム拡幅部分の位置
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 線路が移設される区間は全長が約423mで、上野方はホーム端からわずかに駅中心側に入った地点から始まり、取手方はホーム先端から100mほど進んだ地点で終了します。上野方がホーム端まで拡幅されないのは京成線の上り線と旧下り線が一体構造のコンクリート高架橋となっており、使用されていない旧下り線側のみを撤去することが困難で用地の幅が制限されたためです。一方、ホーム中央から取手方は京成旧下り線が地平レベルを走行していたため、ほぼ全てを常磐線の線路用地に転用可能となっており、最大で2.4mホームが拡幅される予定となっています。なお、線路の移設予定地にはホーム上屋(屋根)の支柱や跨線橋の橋脚など支障となる構造物が多数存在したため、それらの移設・除去も行われます。(詳細後述)

■現在の状況(2013年4月29日取材)
常磐線上り3番線の取手方から上野方を見る。左の京成線上りホームとの間にある空間に常磐線の線路を移設し、ホームを拡幅する。
常磐線上り3番線の取手方から上野方を見る。左の京成線上りホームとの間にある空間に常磐線の線路を移設し、ホームを拡幅する。

 常磐線ホームの拡幅は常磐線上り3番線を京成線旧下り線(旧2番線)ホーム側に移設することにより行われます。上の写真の通り現状では京成線旧下り線跡地は空地となっており、ホーム拡張に必要な資材を仮置きする場所として使用されています。常磐線新上り線の予定地のうち、ホーム中央付近には京成日暮里駅改良に合わせて橋上駅舎が拡張された際撤去されたホーム屋根の基礎の一部が残存しており、現在はこれらを取り壊す作業が進められています。常磐線上り線の軌道は移設準備のためロングレールから継目がある定尺レールに変更されており、新ホームの基礎などが埋め込まれる予定です。

上野方は古レールで組まれた屋根が撤去され、移設後の線路に掛らない位置に新しい屋根の支柱が建てられた。
上野方は古レールで組まれた屋根が撤去され、移設後の線路に掛らない位置に新しい屋根の支柱が建てられた。

 ホーム中央付近の橋上駅舎が無い部分はこれまで古レールを加工して組まれた古い屋根がありました。この屋根は支柱が線路を取り囲むように建てられており、線路側の支柱は現在線の建築限界ギリギリの寸法となっていました。このままでは線路を移設できないため、昨年夏頃から今年初めにかけて既存の屋根をすべて取り壊し、移設後の線路に支障しない位置に支柱がある新しい屋根が設置されました。現在は橋上駅舎下の部分と同じく古い屋根の基礎の残骸を取り壊す工事が続いています。なお、前記した通りホーム上野方は拡幅されないため、屋根の改築は行われません。

▼脚注
※建築限界:電車に接触するのを防止するため、それ以上内側に建築物を設置してはいけない限界寸法のこと

紅葉坂跨線人道橋橋脚の撤去・補強
ホーム中央付近で交差する紅葉坂跨線人道橋。中央の支柱が撤去される。 同じ場所の2008年1月6日の様子。古レールで組まれた屋根は撤去された。
上:紅葉坂跨線人道橋橋脚の撤去・補強
下左:ホーム中央付近で交差する紅葉坂跨線人道橋。中央の支柱が撤去される。
下右:同じ場所の2008年1月6日の様子。古レールで組まれた屋根は撤去された。

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 ホーム中央では南改札口と駅の東西を結ぶ紅葉坂跨線人道橋(荒川区管理)が交差しています。紅葉坂跨線人道橋の橋脚のうち、常磐線上り線と京成線ホームの間にある橋脚1基(P9)が常磐線新上り線の予定地と重なっており、撤去が必要となりました。単純にこの橋脚を撤去してしまうと人道橋の耐震強度が不足してしまいますが、常磐線ホーム側、京成線ホーム側ともに新たに橋脚を立てるスペースはありません。そのため、代わりとして常磐線ホーム上に建つ門形橋脚(P8)の地中に柱同士を結ぶ梁を設け、さらに常磐線現上り線直下にある現在は使用されていない荷物運搬用のトンネルとコンクリートで結合することにより、P9橋脚を撤去した分不足する強度を補うこととされました。
 また、P9橋脚の撤去に伴い、その部分で分割されている跨線橋の主桁を完全に連結する必要があり、現在はその連結工事が行われています。工事の途上で主桁の一部を切断・撤去する必要がありますが、この部分も建築限界に極めて接近しており仮の柱を立てる場所が無いため、撤去予定のP9橋脚にL字型のブラケットを取り付けて支えるという独特な工夫が見られます。

取手方のホーム端は京成旧下り線跡地の整地中
取手方のホーム端は京成旧下り線跡地の整地中

 取手方のホーム端は上空を下御隠殿橋(しもごいんでんばし・車道)が交差していますが、線路の移設予定地には特に支障となる構造物は存在しなかったため、路盤の整地のみが行われています。掘削された溝の形状は移設後の常磐線上り線の線形に沿っているように見えることから、今後はこの部分にバラストを敷き詰めて軌道を移設するものと思われます。


 この常磐線日暮里駅ホーム拡幅工事は現在のところ今年秋頃の線路移設・ホーム拡幅が予定されています。線路移設量が小さいことから、横浜駅辻堂駅などと異なり、事前に移設後の位置に新しい軌道を敷設することはできません。このため、東海道線新橋駅と同じく切替当日に列車を運休したうえで全ての作業を実施する必要があり、工事に要する時間も長くなると予想されています。なお、常磐線では利根川橋梁の架け替え工事が進行しており、奇しくも同時期に上り線の新橋梁切替が予定されていることから、双方で日時を合わせて工事が実施されることも考えられます。工事当日の運行計画についても今後注目してまいりたいと思います。

▼参考
日暮里駅常磐線ホーム拡幅工事 - 日本鉄道施設協会誌 2012年9月号
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コメント

ホーム拡幅工事日決定
工事は10月20日(日)の始発~17時40分頃までで、その間は上野~北千住間で運休となるようです。
2013/08/28 22:58 | URL | 投稿者:東西線快速西船橋行
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