東横線渋谷駅跡地イベント最終日(2013年5月6日)

1日数百本の列車が行き来した東横線渋谷駅のレール

3月16日に開始された東急東横線と東京メトロ副都心線の相互直通運転開始に伴い廃止された地上の東横線渋谷駅は、これまで約2ヵ月間イベントスペースとして利用されてきました。去る5月6日を以ってイベントスペースとしての利用が終了することになり、駅構内の線路を歩くことができる企画などが実施されましたので訪問してまいりました。今回はこの線路散策を中心にイベントの模様をお伝えします。

▼関連記事
東横線旧渋谷駅跡イベント“TOYOKO LINE SHIBUYA Station Park”

■東横線渋谷駅跡イベントスペース“SHIBUYA ekiato”
営業終了直前の東横線渋谷駅。2013年3月10日撮影
営業終了直前の東横線渋谷駅。2013年3月10日撮影

 2013年3月16日(土)、東急東横線と東京メトロ副都心線は相互直通運転を開始しました。これに伴い、東横線渋谷~代官山間は地下化され、地上の渋谷駅は85年に渡る歴史に幕を下ろしました。廃止となった地上の渋谷駅の跡地は、5月のゴールデンウィークまで線路部分に蓋をして巨大なイベントスペースとして利用されており、「SHIBUYA ekiato」という実に単純明快な愛称と東横線渋谷駅の特徴であるかまぼこ形の屋根をイメージしたロゴマークが制定されていました。
 「SHIBUYA ekiato」は廃止1週間後の3月22日(金)~24日(日)に開催された「TOYOKO LINE SHIBUYA Station Park」を皮切りに、概ね1~2週間毎に内容を変えながら5月6日(月)まで様々なイベントが開催されました。

<「SHIBUYA ekiato」で開催されたイベント>
3/22~24 TOYOKO LINE SHIBUYA Station Park(物販・トークショー・ライブなど)
3/28~4/7 UT POP-UP!TYO(アパレルメーカーユニクロの新作Tシャツ展示・販売会)
4/13・14 渋デジ!2013~SHIBUYA TV festival(ケーブルテレビ各社やテレビ局による展示・ライブなど)
4/27 Shibuya Sports Station powered by COOLCORE(繊維メーカーアントレイズによるスポーツ体験)
4/29 TAKENOKO!!! - GW SPECIAL - supported by yellow tail(ライブ)
5/1~5/5 Shibuya BEER Terminal -Shibuya DRY-DOCK 5DAYS(国内外各種ビールを集めたビアガーデン)
5/6 さよならekiato、渋谷区 復興支援・伝統芸能 in 渋谷パラダイス(ステージ、物販、線路散策)

■さよならekiato、渋谷区 復興支援・伝統芸能 in 渋谷パラダイス
「さよならekiato、渋谷区 復興支援・伝統芸能 in 渋谷パラダイス」イベント入口
発車案内板はイベントの案内が嵌め込まれていた。 ロゴマークは「さよなら」仕様
上:「さよならekiato、渋谷区 復興支援・伝統芸能 in 渋谷パラダイス」イベント入口
下左:発車案内板はイベントの案内が嵌め込まれていた。
下右:ロゴマークは「さよなら」仕様

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 SHIBUYA ekiato最終日となった5月6日(月)は「さよならekiato、渋谷区 復興支援・伝統芸能 in 渋谷パラダイス」と題し、東日本大震災により大きな被害を受けた東北各県の物産品の販売や伝統芸能の発表などにより復興支援を行うイベントが開催されました。開催時間は11時から17時30分で、入場は無料でした。
 会場入口はこれまでの各イベントと同じ2階旧正面改札口で、入場口の看板も3月の「Station Park」から引き続き同じ枠を使用していました。会場内外に掲出されていたSHIBUYA ekiatoのロゴマークは、かまぼこ型屋根の部分に「さよなら」の文字が入ったこの日限定のものが使用されていました。また、入口前天井の発車案内板は「本日最終日」のプレートが嵌め込まれ、イベントの案内に使用されていました。

渋谷区公式キャラクター「あいりっすん」 東急電鉄公式キャラクター「のるるん」
会場入口で来場者を出迎えた渋谷区公式キャラクター「あいりっすん」(左)と東急電鉄公式キャラクター「のるるん」(右)
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 今回のイベントは東急電鉄、渋谷区などの共催となっており、会場入口では渋谷区の公式キャラクター「あいりっすん」、東急電鉄の公式キャラクター「のるるん」、出展している東北各県の公式キャラクターなどが来場者を出迎えました。入口の広告枠はSHIBUYA ekiatoのロゴマークが挿入されており、キャラクターたちはこの付近を中心に登場し、来場者との記念撮影を行いました。また、営業当時人気を博した「のるるん」のモニュメントも今回入口脇に復活展示され、多くの人が「のるられる」姿を見ることができました。

▼脚注
※のるられる:のるるんの口に手や顔を突っ込むこと。アニメ魔法少女まどか☆マギカの登場人物「巴マミ」が戦いを挑んだ魔女に首から上を呑み込まれてしまう様を「マミられる」と称したスラングをもじったもの。


会場内は前日と同じくベンチやテーブルなどが置かれており、休憩をすることができた。
会場内は前日と同じくベンチやテーブルなどが置かれており、休憩をすることができた。

 会場内は前日まで開催されていたビアガーデン「SHIBUYA BEER Terminal」と同じく椅子やテーブルなどが多数置かれており、出店している東急ストアのブースで軽食類を購入して食べたり、ステージで披露される伝統芸能を座って見物することができました。

ステージでは東北各県の伝統芸能や観光に関する宣伝などが行われた。 ステージでは東北各県の伝統芸能や観光に関する宣伝などが行われた。
ステージでは東北各県の伝統芸能や観光に関する宣伝などが行われた。
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ステージでは東北地方を中心に伝統芸能が披露されました。今回参加したのは以下の伝統芸能・団体です。

麻績(おみ)太鼓:座光寺麻績太鼓保存会(長野県飯田市座光寺地域)
大谷大漁唄い込み:大谷大漁唄い込み保存会(宮城県気仙沼市)
じゃんがら念仏踊り:福島県立いわき海星高校チームじゃんがら(福島県いわき市)
そば切り踊り:谷山芸能保存会(鹿児島県鹿児島市)

いずれも午前と午後2回ずつ披露され、各ステージの合間では各県の観光に関するPRも行われました。また、会場の反対サイドでは東北各県の食品や工芸品などの物産品の販売も行われました。(今回販売されていたものは冷蔵が必要な食品が多かったため、今回は物産品の購入はパスしました。)

旧4番線の壁面には最終日を記念して寄せ書きコーナーが設けられた。
旧4番線の壁面には最終日を記念して寄せ書きコーナーが設けられた。

 SHIBUYA ekiatoがこの日最終日で今後は取り壊されてしまうということで、旧4番線降車ホーム側の広告スペースは前面に紙が貼られ、お別れを記念した寄せ書きスペースとして開放されていました。筆者は12時半頃着きましたが、その時点で寄せ書きスペースは書き込みで埋め尽くされており、渋谷駅に対する利用者の方々の思い入れの強さを物語っていました。

この日の目玉であった線路散策イベント。
この日の目玉であった線路散策イベント。 線路散策イベントの入場パス
この日の目玉であった線路散策イベント。人数制限があるため、右下の写真のような入場証が用意された。
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 そして今回のイベントの目玉である線路散策イベントに向かいます。線路散策イベントは3月22~24日の「Station Park」と同じく、ホーム代官山寄りの線路に降りて線路上を歩ける(バラストを拾うことはできない)というもので、入場料は大人300円となっていました。参加人数は前回の「Station Park」とは異なり無制限でしたが、安全の観点から一度に線路に降りることができる人数は100名に制限されており、入場時に右下の写真のような入場パスが渡され、退場時に返却するというシステムになっていました。入場パスは制限人数分用意されており、パスが全て出払っている間は入場を待つことになっていましたが、筆者が会場に着いた時点ではほぼ待ち時間無しで入ることができました。

代官山寄りのホーム先端から駅構内を見る。
代官山寄りのホーム先端から駅構内を見る。

東横線渋谷駅は列車の長編成化に合わせてホーム延長を繰り返した歴史から、ホームは代官山方向に向かって徐々に狭く、カーブした配置となっています。代官山寄りのホーム先端付近に立つとその様子がよくわかります。

ホーム先端から線路散策イベントの様子を見る
ホーム先端から線路散策イベントの様子を見る

 線路散策では1番線ホーム上を歩き、現役当時からホーム先端に設けられていた作業用の階段から線路上に降りました。線路散策の参加者は鉄道ファンのみならず、親子連れや老夫婦など年齢層が大変広く、この駅の歴史の長さと思い入れを持った人の多さを表していました。各参加者とも線路の上を歩いたり、線路の上に寝そべったり、持参した模型をレールの上に並べて撮影したりと、この日だけしか体験できない貴重な時間を思い思いの方法で楽しんでいました。
 なお、線路散策の模様はTOKYO MXなど報道各社も取材に来ており、この日夕方のニュースなどで放送されたようです。

線路内から渋谷駅ホームを見る。営業中は見ることができなかった光景。 入れたのは代官山寄りのシーサスクロッシングまで。この先の廃線跡の使途は発表されていない。
左:線路内から渋谷駅ホームを見る。営業中は見ることができなかった光景。
右:入れたのは代官山寄りのシーサスクロッシングまで。この先の廃線跡の使途は発表されていない。

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 今回の線路散策ではいることができたのは代官山寄りにあるシーサスクロッシング(両渡り分岐器)の手前まででした。廃線から約2ヶ月が経過し、レールの表面はすっかり錆で覆われてしまっていました。ここから先は代官山駅まで高架橋の廃線後が続きますが、この部分の使途については現在のところ公式な発表はありません。廃線跡の大半は地下に新しい線路が通るトンネルが埋まっていることから、重量の大きな高層ビルなどは建てることができないため、2004年のみなとみらい線直通により廃線となった横浜駅付近と同様遊歩道などとして活用されることが予想されます。

幾重にも分岐していく線路
幾重にも分岐していく線路
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ポイントと転轍機 列車種別表示器、手信号代用器、インピーダンスボンド
山積みになった交換用レールが列車本数の多さを物語る。 ホーム端床面の高さから駅構内を見る。
左上:ポイントと転轍機
右上:列車種別表示器、手信号代用器、インピーダンスボンド
左下:山積みになった交換用レールが列車本数の多さを物語る。
右下:ホーム端床面の高さから駅構内を見る。

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 このほかにも普段は触ることができない鉄道用の機材を間近に見ることができました。線路脇に積まれた交換用レールの多さは、東横線渋谷駅に発着していた列車本数の多さとそれによるレールの消耗の激しさを物語っています。

■渋谷駅の再開発がいよいよスタート

 線路散策を終えた後は隣にある渋谷ヒカリエ8階のアートギャラリー「8/(はち)」で開催中の、渋谷駅の歴史やこれからに関する展示会「SHIBUYA VISION 進化するエンタテイメントシティ」を見物しました。この展示は現在渋谷ヒカリエがある場所にあった東急文化会館を中心に渋谷地区の開発の歴史や、今後十数年かけて行われる渋谷駅全体の再開発に関して解説するものです。展示物の中には今は無き東急文化会館の詳細な設計図面や、現在とは異なる地下施設の建設構想図など貴重な資料も多数あり、都市開発などに興味を持つ方必見の内容となっています。展示会は5月13日(月)まで開催されていますので、まだご覧になっていない方はこの週末に是非どうぞ。

▼参考
8/02/CUBE/SHIBUYA VISION 進化するエンタテイメントシティ

渋谷ヒカリエ9階展望スペースから渋谷駅を見下ろす。今後はここに地上43階建ての超高層ビルが建設される。
渋谷ヒカリエ9階展望スペースから渋谷駅を見下ろす。今後はここに地上43階建ての超高層ビルが建設される。

 ギャラリーを見物した後は1フロア上にある展望スペースに向かいました。展望スペースからは渋谷駅一帯を見下ろすことができます。今後この眼下に広がる東急百貨店東横店東館や急騰横線ホームは全て取り壊され、東急電鉄・東京メトロ・JR東日本の3社共同により地上10~43階建ての高層ビルが3棟建設されることになっています。また、右下を通る銀座線の渋谷駅は手前のロータリーの上に移設され、東急百貨店東横店の裏を通るJR山手線のホームも拡張・移設される計画です。全ての施設が完成するのは今から14年後の2027年の予定です。
 当分の間はこの展望スペースが渋谷駅再開発の「定点観察ポイント」となりそうです。

▼参考
渋谷つながるプロジェクト
SHIBUYA ekiato
「SHIBUYA ekiato(エキアト)」における全期間のイベント内容が決定 (2013/4/25)|ニュースリース|東急電鉄

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東横線旧渋谷駅跡イベント“TOYOKO LINE SHIBUYA Station Park”(2013年4月21日作成) このエントリーをはてなブックマークに追加
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