目黒天空庭園(その2:5~9階)

カテゴリ:公園・風景 | 公開日:2013年08月28日22:09
目黒天空庭園

3月末にオープンした首都高速大橋ジャンクション屋上の「目黒天空庭園」の訪問レポートの続きです。今回は5階~9階にかけての公園本体の様子について見てまいります。

「その1:地上~5階」はこちら

■「目黒天空庭園」現地の様子(続き)
管理棟を過ぎると再び段々畑
管理棟を過ぎると再び段々畑

 管理棟を過ぎると、園内は再び段々畑になります。ここから先は上に被さる構造物も無いため、通路以外の部分は全て花壇となり、さまざまな植物を見ることができるようになります。管理棟前は花壇に人の背丈ほどの枠が数か所埋め込まれており、将来的にはここに植物を這わせてベンチの日除け代わりに利用するようです。

広場と菜園。公園は奥に向かってらせん状に登っていく。
広場と菜園。公園は奥に向かってらせん状に登っていく。
※クリックで拡大(1000*340px/94KB)

 段々畑が終わると広場のような空間とまだ植物が完全に植えられていない畑が見えてきます。この部分今回訪問時ははジャガイモ、トウモロコシなど収穫可能な植物が植えられており、周辺住民のための共同菜園となっている模様です。畑の脇の広場にはテーブルが設けられており、大勢の人が集まってミーティングなどができるようになっています。

散策路が階段になっている箇所は必ずスロープも併設されている。
散策路の両側には様々な花が植えられている。 散策路の両側には様々な花が植えられている。
上:散策路が階段になっている箇所は必ずスロープも併設されている。
下:散策路の両側には様々な花が植えられている。

※クリックで拡大

 菜園を過ぎると、散策路はしばらくの間2本に分かれて間に大きな芝生を挟む形になります。この部分は片側の散策路が所々階段、もう片側の散策路は緩やかなスロープになっています。これは階段のみにしてしまうと車椅子やベビーカーなどでの移動が困難になってしまうためです。散策路両側は目隠しを兼ねて高い木や花などが植えられており、四季折々の風景を楽しむことができます。散策路の間にある芝生内は自由に立ち入ることが可能となっており、所々に設置されている円柱型の椅子とあわせて、座って休憩をすることもできます。

1階「オーパス夢ひろば」に通じるエレベータ
1階「オーパス夢ひろば」に通じるエレベータ

 公園のほぼ中央(6階相当の高さ)まで来ました。ここにはループトンネルの内側の地上にある「オーパス夢ひろば」に通じるエレベータが設置されています。エレベータは公園の管理に必要な機材などを積むことも考慮して大型のものが採用されています。エレベータ塔屋の屋根には太陽電池パネルが設置されており、園内で使用する電力の一部を賄っています。

エレベータを過ぎると和風の庭園になる。
鉢に植えられた松の木と東屋 東屋の周囲は日本庭園風の造り
上:エレベータを過ぎると和風の庭園になる。
左下:鉢に植えられた松の木と東屋
右下:東屋の周囲は日本庭園風の造り

※クリックで拡大

 エレベータの先は東屋や松の木などを多用した和風のデザインに変わります。この部分は目隠しが必要な散策路両端以外は大きな木は無く、芝生主体となっています。東屋の周辺は特に「和風」を強く意識した造りとなっており、千鳥格子状に並ぶ石や、瓦を使った塀など、寺院や豪邸の庭のような光景が広がります。

東屋の先は芝桜の段々畑。
東屋の先は芝桜の段々畑。

 東屋を過ぎるとジグザグの散策路となり、その間に芝桜が植えられた畑が広がります。今回訪問時は完成直後だったことや、芝桜の開花時期は過ぎていたこともあって寂しい風景となっていましたが、今後芝桜が成長すれば開花時期には美しいピンク色のカーペットが見られるようになることでしょう。

末端部にある池は通常は開放されない。
末端部にある池は通常は開放されない。

 そして目黒天空庭園最上部の9階は、ループ内側に建つ大橋換気所の屋上を利用して池などが設置された「おおはし里の杜」があります。このエリアは目黒川流域の昔の姿を再現したもので、鳥類・昆虫類などの繁殖のための場所として位置付けられており、通常は柵で仕切られ入ることができません。このため、9階の広場には内部を見渡せるよう展望デッキが設けられています。このエリアは今後人間による環境や生態系の破壊が生じない期間や範囲に限定した上で開放がなされるものと思われます。

9階東口広場。背後はクロスエアタワー。
9階東口広場。背後はクロスエアタワー。

 9階はベンチなどが多数設置された広場になっており、その周囲を散策路が取り囲む形となっています。写真左に行くと、真下に中央環状線から3号渋谷線に向かうランプが左右に分岐している様子を見ることができます。

クロスエアタワーに通じる9階出入口
クロスエアタワーに通じる9階出入口

 東口広場の裏手でクロスエアタワーの9階に通じており、エレベータで1階に降りることができます。クロスエアタワーの低層部分には前回の記事でお伝えしたスーパーマーケット「ライフ」のほかに、目黒区立大橋図書館や各種行政サービス施設が入居しています。

■その他見つけた珍しいもの
いくつも並ぶ鉄格子の下は貯水槽 落ち葉は溜めて肥料に
地中埋め込み型スピーカー 高い構造物には避雷導線

最後に目黒天空庭園で見つけた珍しいものについて簡単に見てまいりたいと思います。

(1)左上:地面にいくつも並ぶ鉄格子
公園内を歩いていると、芝生や散策路の脇などあらゆる場所に異常な数の排水溝や鉄格子があるのが確認できます。実は、この鉄格子の下には雨水を貯める貯水槽が設置されています。目黒天空庭園は大橋ジャンクションの屋上にあるという構造上、雨水が直接地中に浸透せず、排水管を通じて隣を流れる目黒川に排出されてしまいます。このままでは大雨の際目黒川を増水させてしまうため、目黒天空庭園の床下の各所に貯水槽を設置し、降った雨が急激に流出しないシステムとしました。貯水槽は山岳部の洪水防止対策として設置されている「穴あきダム」と同じ仕組みで、床下設置された多数の壁により雨水をせき止め、雨が止んだ後に壁の下にあいている小さな穴から少しずつ水が排出されます。(→仕組みを解説したプレート(1200*900px/124KB)

(2)右上:落ち葉は肥料に
公園内で発生した落ち葉はそのまま廃棄するのではなく、公園内にある箱に貯めて腐葉土化し、肥料として利用します。目黒天空庭園ではこの箱のことを「落ち葉ンク(おちばんく)」と呼んでいます。

(3)左下:地中埋め込み型スピーカー
公園内には緊急時に管理棟から一斉放送ができるよう各所にスピーカーが設置されています。このうち、芝生内に設置されているものは高級オーディオメーカーとして有名なBOSE(ボーズ)の地中埋め込み型スピーカー(品番:FS360P-Ⅱ)が採用されています。このスピーカーは拡声器部分のみが地上に飛び出した構造となっており、地表に近い位置から斜め50度の向きでスピーカー周囲全方向に音が広がる設計になっています。地中埋め込み型スピーカーを採用した理由は不明ですが、周囲が住宅街であることから音漏れ防止の目的があるのではないかと考えられます。

▼参考
FS360P-II 製品概要 | 全天候型スピーカー | Bose ボーズ

(4)右下:避雷導線?
管理棟や東屋などの建物の屋根には、このような太い導線が全周に渡り張り巡らされています。同じ高さで公園中央に設置されているエレベータ塔には避雷針が設置されていることから、この導線は雷対策で設置された避雷導線であると考えられます。近年、東京都心では超高層ビルの増加により落雷発生時の避雷針の効果が出にくくなっていると言われています。また、夏場を中心に都心上空で急速に雷雲が発生するいわゆる「ゲリラ豪雨」も多発しています。目黒天空庭園の周辺には高層マンションが2棟ありますが、予期しない突然の雷発生時の安全性確保、電気機器の故障防止、火災防止などの観点からこのような厳重な設備が設置されたものと思われます。


 2記事に渡り目黒天空庭園の様子を見てまいりました。完成して間もないことから、植物に関してはやや寂しい感もありますが、一方で新しいゆえに最新技術を駆使した誰でも利用しやすい設計にもなっており、都心のオアシスとして魅力的な施設となっています。
 今年度予定されていた中央環状品川線の開通は、工事中の出水事故の影響により1年遅れてしまいましたが、この路線が開業すると大橋ジャンクション、そして中央環状線の全線が完成し、首都高速の混雑緩和に寄与する見込みです。大橋ジャンクションの隣を流れる目黒川は毎年春に桜の名所として賑わいます。お近くを訪れた際にはぜひ寄り道されてはいかがでしょうか?

▼参考
目黒天空庭園・オーパス夢ひろば 目黒区

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