小竹向原~千川間連絡線新設工事(2013~2014年2月取材まとめ)

小竹向原駅2番線に停車中の東京メトロ10000系「急行元町・中華街行き」

東京メトロ有楽町線・副都心線小竹向原駅では、現在平面交差となっている両線の分岐・合流部分を立体交差化する工事が進められています。しばらくの間記事公開が途絶えていましたが、その間も調査を続けてまいりましたので、2013年・2014年上半期の総集編としてお届けいたします。

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小竹向原~千川間連絡線新設工事(2012年11月25日取材)(2013年12月23日作成)

■小竹向原駅立体交差化工事の概要
小竹向原駅4番出入口
小竹向原駅4番出入口。2008年6月14日撮影

 小竹向原駅は東京メトロ有楽町線・副都心線と両路線と直通運転を行っている西武有楽町線が乗り入れる、島式ホーム2面4線の地下駅です。有楽町線・副都心線の小竹向原~池袋間は全線に渡り要町通り(都道441号池袋谷原線)の地下を通っており、地下鉄建設と同時並行で用地買収・道路建設が行われました。小竹向原駅付近は要町通りがトンネルとなっており、その上に小学校が載る多層構造とし、限られた土地を有効に利用しています。
 小竹向原駅が開業したのは1983(昭和58)年の有楽町線池袋~営団成増(現・地下鉄成増)間と西武有楽町線小竹向原~新桜台間が開業した時のことです。以後、各方面とも延伸開業を続け、有楽町線は和光市駅で東武東上線に、西武有楽町線は練馬駅で西武池袋線と直通運転を行うようになりました。さらに、1994(平成6)年には有楽町線と同時に建設されていた13号線(現在の副都心線)の小竹向原~池袋間を先行供用する形で有楽町新線が開業し、現在の線路の形態が完成しました。

小竹向原駅東側の有楽町線と副都心線の平面交差のイメージ
小竹向原駅東側の有楽町線と副都心線の平面交差のイメージ

 有楽町線と副都心線が分岐・合流する小竹向原駅の東側(池袋方)は上下線がそれぞれ3線になっており、有楽町新線開業までは一部を留置線として使用していました。この分岐・合流部を走る列車のうち、小竹向原駅の外側2線から有楽町線に出入する場合と内側2線から副都心線に出入りする場合、必ず双方のルートが平面交差する配線となっていました。有楽町新線の開業時点は新線側の列車本数が極端に少なかったため、この平面交差が問題になることはありませんでした。
 しかし、2008(平成20)年に副都心線が池袋~渋谷間が全線開業し列車本数が増加して以降は、両ルートの平面交差による列車の遅延が多発するようになり、時には長時間に渡りダイヤに大幅な乱れが生じることもありました。(その最たる例は開業後初の平日となった2008年6月16日の大幅なダイヤ混乱。)

東急東横線綱島駅で並ぶ東急5050系と東京メトロ7000系。
東急東横線綱島駅で並ぶ東急5050系と東京メトロ7000系。2013年8月29日撮影

 副都心線は全線開業から約5年後の2013(平成25)年3月16日より、渋谷から東急東横線への相互直通運転を開始しました。小竹向原駅を改良することなく、この直通運転を開始した場合、平面交差による列車遅延がさらに深刻化することが危惧されました。そこで、東京メトロでは小竹向原駅の平面交差部分に関して以下のような検討を行いました。

1案:平面交差が発生する運行(和光市~有楽町線・西武有楽町線~副都心線)を削減する。
2案:小竹向原駅西側(練馬方)に有楽町線専用トンネルを増築し、立体交差化する。
3案:小竹向原駅東側(池袋方)に有楽町線専用トンネルを増築し、立体交差化する。

詳細な検討の結果、1案は利用者数に偏りが発生し、混雑悪化が懸念されること、2案は地上が住宅地であり、小竹向原駅本体の大規模な改良や用地買収が発生し、コストや工期が増大することが判明したため、既存の道路用地内で工事が完結する3案を基本に改良を進めていく方針とされました。

連絡線の建設位置とトンネルの構造
連絡線の建設位置とトンネルの構造 ※クリックで拡大

 小竹向原駅の立体交差化工事は、小竹向原駅東側の6線区間のさらに外側に有楽町線専用の連絡線を掘り、千川駅直前の地点で地下2階を通る有楽町線ホームに合流させます。連絡線が建設される小竹向原~千川間のうち、小竹向原駅寄りの一部は地上の道路がトンネル構造になっているため、この部分の改築を避けるべく、連絡線の建設区間は千川駅寄りの全長410mの区間とされました。連絡線の中央付近は既存のトンネルの外側に単線のトンネルを建設しますが、地上から掘り下げる開削工法や、一般的な正円形のシールド工法では既存の道路内に収まらないため、縦長の特殊なシールド工法(シールドマシンの模型写真を使って建設されています。また、小竹向原駅側・千川駅側の連絡線の取り付け区間は、既存のトンネルの側壁を取り壊してトンネルを拡幅します。

小竹向原~千川間の連絡線新設のイメージ
小竹向原~千川間の連絡線新設のイメージ

 工事は地上のスペースの問題などからA線(新木場方面)・B線(和光市方面)同時に行うのは難しいため、朝ラッシュ時の輸送力が問題となるA線側を先に建設することとなりました。A線側の工事は2010(平成22)年春に着工され、昼夜兼行の突貫工事を続けた結果、東横線との直通運転の直前である2013年2月9日に連絡線への切り替えが完了しました。
 なお、A線側は突貫工事ゆえに重大なトラブルが多発していたことから(後述)、当初2014年度に予定されていたB線側の工事は余裕を持たせるため完成が1年延期の2015年度末(2016年春)とされ、現在も工事が進行中です。地上の原状回復を含めたすべての工事が終わるのは2016(平成28)年度の予定です。

■A線側は連絡線が開通・B線側もトンネル掘削が進行中

 前記したとおり、A線側の連絡線は副都心線と東急東横線の相互直通運転開始を目前に控えた2013年2月9日(土)に切り替え工事が実施され、使用を開始しました。以後A線側は旧線路敷への柱の設置などの残工事、B線側はトンネルの掘削工事が本格化しています。以下、千川駅側から各地点の様子を見てまいります。

●千川駅(地上・地下)
連絡線切替から間もない頃の千川駅。ホーム先端はゴムマットになっていた 切替から9ヵ月後の同じ場所。徐々にホーム先端のタイル貼りが進んでいる。
左:連絡線切替から間もない頃の千川駅。ホーム先端はゴムマットになっていた。2013年2月23日撮影
右:切替から9ヵ月後の同じ場所。徐々にホーム先端のタイル貼りが進んでいる。2013年8月4日撮影


 千川駅側の連絡線分岐・合流部分は、千川駅有楽町線ホーム和光市方のすぐ先に設置されました。千川駅構内はこれに合わせて線形変更と分岐器(ポイント)挿入が必要となったため、2012年11月4日に小竹向原~池袋間を終日運休にした上で工事が実施されました。この工事では連絡線が完成したA線側だけではなく、B線側も将来に備えて連絡線を接続可能な位置に線路を移設する作業が同時に行われています。この工事の結果、千川駅和光市方のホームが拡幅されました。
 工事完了直後はホーム先端の床が鋼材などを用いた仮組み状態となっており、床面はゴムシートで覆われた状態となっていました。以後、約1年かけてホーム床の仕上げが行われ、従来と同じ色のタイルが貼り付けられました。

ホームドアが設置された千川駅有楽町線ホーム。ホームドアは今年2月8日に稼動を開始した。
ホームドアが設置された千川駅有楽町線ホーム。ホームドアは今年2月8日に稼動を開始した。2014年2月1日撮影

 さらに2014年に入ると、有楽町線各駅で設置が進められていたホームドア(可動式ホーム柵)が千川駅でも設置されました。このホームドアは当初2月22日(土)の稼動開始が予定されていましたが、実際には2週間前倒しされた2月8日(土)より稼動を開始しました。有楽町線の他の駅では2013年末までにホームドアが稼動済みとなっており、今回の千川駅での稼動開始を以って全駅へのホームドア設置が完了したことになります。
 ホームドア設置と並行して、ホーム先端の天井部分を移設後の線路の位置に合わせて拡幅する工事も進められています。

千川駅ホーム端から見たA線側連絡線の合流部分。
千川駅ホーム端から見たA線側連絡線の合流部分。2013年2月23日撮影
(同じ場所の2011年10月9日/2012年2月18日/2012年6月23日/2012年11月25日の様子)

※クリックで拡大(1000*750px/134KB)

 千川駅有楽町線ホーム和光市方の端からは開通した連絡線と既存の線路が合流する部分を間近に見ることができます。連絡線が通っている場所には元々保守用車両の留置線があり、トンネルを拡幅してシールドトンネルを接続し、連絡線を敷設しました。合流部分のポイントは通過本数が多い連絡線側が直線となっており、千川駅構内も含め従来よりも線路がトンネル外側に移設されています。また、ポイントを設置する分線路が若干嵩上げされたため、トンネルの天井はコンクリートが部分的に切り取られ、その上にフタをするように新しい天井が設置されています。


左:連絡線合流用ポイントの転轍機。電源ONを示す緑のランプが点灯している。2013年2月23日撮影
右:連絡線経由で千川駅に入線する列車(動画)。2013年8月4日撮影 音量注意!!
YouTubeでご覧になりたい場合はこちら→東京メトロ有楽町線千川駅入線シーン(連絡線経由列車) - YouTube


 後述する小竹向原駅側の連絡線の取り付け部分が2013年2月9日に連絡線側に切り替えられたことにより、同日から連絡線の使用が可能となるはずでした。しかし、完成時に行われた検査の結果一部区間で天井の高さが足りないことが判明し、該当部分の天井の切り取りが終わるまでの10日ほどの間徐行運転が必要という事態が発生しました。このため、切替直後は連絡線の使用が朝夕ラッシュ時の一部列車に限定され、本格的な使用開始は副都心線と東横線の直通開始後にずれ込むことになりました。
 この連絡線新設工事では2011年にも取り壊し中の換気口の一部がトンネル内に落下し、通信ケーブルを切断して8時間に渡る運休が発生しており、これらのトラブルがB線側の完成延期につながったものと考えられます。

▼参考
PDFファイル 有楽町線小竹向原→千川間における一部列車の徐行運転の実施について - 東京メトロニュースリリース(PDF/87KB)

千川駅地上部分の様子。 千川駅地上部分の様子。""
千川駅地上部分の様子。左が2013年2月23日、右が2014年2月1日の様子で、B線側に工事が移ったのが確認できる。
(同じ場所の2011年10月9日/2012年6月23日/2012年10月6日の様子)


 千川駅地上は2013年2月(左写真)の時点でB線側の掘削に向けた準備が開始されており、道路の左側でトンネルの掘削に支障となる水道管やガス管の移設作業が行われていました。右の写真はそれから1年が経過した今年2月1日の同じ場所の様子で、杭打ち機など重機が多数搬入され、B線側の地下掘削が行われていることが確認できます。

●小竹向原~千川駅間

※この先画像が16枚(726KB)とYouTube動画があります。画像はスクロールに従って自動で読み込まれます。(Javascriptが有効の場合のみ)データ容量にご注意ください。


B線側で埋設物の移設作業が行われている。 工事区間両端の路面には埋設管の種類がカラーでペイントされていた。
【2013年2月23日の様子】
左:B線側で埋設物の移設作業が行われている。
右:工事区間両端の路面には埋設管の種類がカラーでペイントされていた。


 小竹向原駅側は既存の箱型トンネルの側壁を取り壊し、トンネルを左右に拡幅して連絡線の取り付け部分を構築します。なお、今回の連絡線新設により、前記した千川駅付近の保守用車両留置線が無くなってしまったため、小竹向原駅側のトンネル拡幅部分を利用して新しい留置線が設置されています。
 2013年2月時点ではA線側のトンネル工事は完了しており、B線側で地下掘削に向けて埋設物の移設作業が進められていました。B線側の路面はあちこちが覆工板(掘削した部分に被せるフタ)に置き換えられており、掘削区間の端には移設対象となる埋設管の種類がカラーでペイントされていました。

B線側の掘削に向けて杭打ちが行われている。 地中連続壁を造る重機とその刃先。回転式の刃が4つ搭載されている。
【2013年8月4日の様子】
左:B線側の掘削に向けて杭打ちが行われている。
右:地中連続壁を造る重機とその刃先。回転式の刃が4つ搭載されている。


 2013年夏以降はトンネル本体の掘削に先立ち、トンネル掘削部分の外側に地中連続壁を構築する工事が行われました。地中連続壁とは地下を掘削する際に周りの土砂が崩れてこないように支える壁(土留め壁)のことです。
 2010~2011年に工事が行われたA線側の工事では「柱列式地中連続壁」呼ばれる工法を用いていました。これは地面にドリルで縦穴を掘り、そこに芯となる鉄骨を挿し込んだ上でセメントを流し込んで周囲の土砂と混ぜ合わせることにより、地中に連続して円柱を形成するものです。この工法では一度に作れる柱のサイズが小さい、壁の仕上がりにムラが生じる、寸法の精度が悪いといった欠点がありました。
 今回工事が行われたB線側では愛知県のテクノス(株)が開発した「CSM(Cutter Soil Mixing)」と呼ばれる新しい工法が採用されました。CSM工法は四隅に回転式の刃が付いた板状の掘削機で地面を壁状に掘削するもので、従来の柱列式と比べて

●刃が4枚あるため硬い地盤にも対応できる※1
施工速度や精度が優れている
●巻き取り式のワイヤーで掘削機を吊り下げるため、重機がコンパクト
●掘削機本体は地中に隠れるため、低騒音

といった特長があり、住宅地の中に現場が位置する今回の連絡線建設に適した工法となっています。
 このCSM工法は2007(平成21)年に東京メトロ副都心線雑司が谷駅の地上出入口建設の際初めて使用され、以後渋谷ヒカリエの地下階、首都高速中央環状新宿線大橋JCTのランプトンネルなど、大深度地下工事を含め急速にその採用例が増えつつあります。

▼参考
基礎事業 - テクノス株式会社
【開発物語】テクノス「CSM工法」 4つの回転カッターで地盤を掘削 (1/7ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)

▼脚注
※1:現場の作業員氏曰く、それでも今回は大きな礫(れき)により掘削に難航する場面があったとのこと。

B線側の地下の掘削に移り、地上は大型の重機の数が減少した。 ダンプカーで掘削で出た土砂を搬出中。
【2014年2月1日の様子】
左:B線側の地下の掘削に移り、地上は大型の重機の数が減少した。
右:ダンプカーで掘削で出た土砂を搬出中。


 年が変わって2014年に入ってからは、出来上がった地中連続壁と既存のトンネルの間の地面を掘削する工事が本格化しています。掘削した土砂はクレーンで地表に吊り上げ、ダンプカーに積み込んで搬出しており、覆工板の開口部の近くでその積み込み作業が行われているのを見ることができました。


東京メトロ有楽町線小竹向原→千川(連絡線経由列車)前面展望 - YouTube 音量注意!!

 駅間のトンネル内の様子はホームからは見えないため、連絡線を通過する列車内から動画で撮影しました。連絡線を通過するのは小竹向原駅1番線から発車する有楽町線新木場方面行き列車です。以下、上記動画についての解説です。

<0:00~0:45:出発・6線区間>
小竹向原駅1番線を発車し、これまでは副都心線のみが使用していた6線区間左端の線路を進みます。

<0:45~0:57:小竹向原駅側分岐部>
左へS字にカーブしながら今回新しく建設された連絡線に入ります。旧線はここでS字に曲がらず、直進して右に曲がり、副都心線に入っていました。S字カーブの途中で左から線路が合流してきますが、これが千川駅付近にあった保守用側線の代替となる線路です。(横取り装置でつながっているため通過する際の揺れや音はありません。)

<0:57~1:08:シールドトンネル>
既存のトンネルから離れ、単線のシールドトンネルに入ります。トンネルの断面は四隅が丸くなった長方形状になっています。

<1:08~1:15:千川駅側合流部>
再び箱型トンネルとなり、右から既存の有楽町線の線路が合流してきます。この合流部分は有楽町線の外側にあった保守用側線の跡地をさらに拡幅して設置したものです。

<1:15~1:51:千川駅構内>
既存の有楽町線と合流直後から千川駅構内に入ります。合流直後のホームは線路を移設したため、ホーム先端が鉄骨で組まれています。

なお、今回の連絡線開通により有楽町線新木場方面行きは小竹向原駅から千川駅の直前まで2本線路が存在することになりました。この区間は千川駅を含め、信号システム上ひとまとめで「小竹向原駅構内」という扱いとなっており、線路脇には千川駅の先まで連続して第○出発を表す「○出」と書かれた八角形の閉塞境界標識が置かれています。千川駅の先にある標識は「10出」(第10出発)となっており、史上稀に見る巨大駅扱いとなっています。

切替直後の小竹向原駅側の連絡線取り付け部分。旧線は直進して右の線路と合流していた。 同じ場所の中柱設置後。
左:切替直後の小竹向原駅側の連絡線取り付け部分。旧線は直進して右の線路と合流していた。2013年8月4日撮影
右:同じ場所の中柱設置後。2014年2月1日撮影


 さて、小竹向原駅側の連絡線分岐部分はS字に曲がる新しい線路に接続されましたが、移設前の旧線路敷の跡ではその後柱を設置する工事が進められています。これは新しい項目ですので少し詳しく解説したいと思います。

小竹向原駅側のトンネル拡幅と中柱設置のイメージ
小竹向原駅側のトンネル拡幅と中柱設置のイメージ

小竹向原駅側の連絡線分岐部分は以下のような順序で工事が進められました。

Step1:既存のトンネルの外側を掘削し、連絡線用の新しいトンネル(赤色の部分)を建設する。
Step2:既存のトンネルの側壁(ピンク色の部分)を取り壊す。
Step3:③の線路を③´に移設し(緑色の→)、連絡線と接続する。(2013,02,09完了)
Step4:元の③の線路の跡地に中柱(紫色の部分)を建設する。

 小竹向原駅側は上下各3線になっているトンネルをさらに拡幅して連絡線の分岐を造ります。この際、トンネル中央と端の壁の間隔が長くなり、そのままでは上層階の天井を支え切れなくなってしまうため、移設前の線路跡に柱を増設する必要が生じました。柱の増設が完了するまでの間は、トンネルのさらに上部に鉄骨を渡し、トンネルの天井に穴を開けて天井を棒で吊るすこと(図中の青い部分により落下を防止していました。(このあたりの経緯は2012年7月6日作成の記事で詳しく解説しています。

中柱を構成する部材。コンクリートのブロックや金属の箱を組み立てることにより中柱を造る。 中柱を構成する部材。コンクリートのブロックや金属の箱を組み立てることにより中柱を造る。
中柱を構成する部材。コンクリートのブロックや金属の箱を組み立てることにより中柱を造る。

 中柱の構築は営業線に挟まれた空間で行うため、終電から始発までの数時間で完了させる必要があります。そのため、生のコンクリートを型に流し込んで柱を造るような時間がかかる工法は使うことができず、予め工場で作成したコンクリートや金属製のブロックを組み立てる方式が採用されています。

●小竹向原駅
連絡線切替直後は有楽町線小竹向原→千川が手動運転となっていた。 連絡線切替と同時期に小竹向原駅1・2番線の出発側信号設備に追加されたLED表示器(右上)。
左:連絡線切替直後は有楽町線小竹向原→千川が手動運転となっていた。2013年2月23日撮影
右:連絡線切替と同時期に小竹向原駅1・2番線の出発側信号設備に追加されたLED表示器(右上)。2013年2月23日撮影


 小竹向原駅のホームに関しては連絡線の工事範囲ではないため、大きな変化はありません。ただし、連絡線切替直後はATO(自動列車運転装置)のプログラムを連絡線対応に調整する必要があったため、有楽町線小竹向原→千川の全列車が手動操縦となっており、1・2番線ホーム先端に運転士へスイッチ切替を促す標識が設置されていました。また、ホーム先端にある出発用信号設備に連絡線切替とほぼ同時期に使途不明の縦型のLED表示器が追加されました。連絡線と関係のある設備なのかどうかは現在のところ不明です。(この表示器は遅延時の運行整理に使用するためのものとの情報を頂きました。詳しくはコメント欄をご覧下さい。2014年5月13日追記)

■副都心線千川駅折り返しの仕組み
副都心線千川駅折り返し設備は小竹向原~千川間の6線区間の真ん中に追加されたシーサス。
副都心線千川駅折り返し設備は小竹向原~千川間の6線区間の真ん中に追加されたシーサス。

 今回の小竹向原~千川間連絡線新設工事のもう1つの目玉は「副都心線千川駅への折り返し設備新設」です
 小竹向原駅の東側は線路が上下各3線になっているのは何度も述べているとおりですが、この中で上下線(図では上3線と下3線)を相互に結ぶ線路は、これまで小竹向原駅寄りのシーサスクロッシング(両渡り交差)1箇所のみとなっていました。従って、新木場・渋谷方面から来た列車が折り返しを行うには必ず小竹向原駅2・3番線に入る必要がありますが、小竹向原駅から西武有楽町線につながる線路も同じ2・3番線しかありません。そのため、小竹向原駅で無理に折り返し運転をしようとすると西武線のダイヤにも影響を及ぼしてしまうことから、以前はダイヤ混乱が発生すると副都心線の小竹向原~池袋間を運休(池袋折り返し)にすることが通例となっていました。しかし、池袋駅は有楽町線と副都心線のホームが離れた場所にあるため、乗り換えが不便でありサービス上好ましくありませんでした。
 そこで、連絡線建設に並行して2012年末に小竹向原駅の6線区間の千川寄りにもう1箇所上下線をつなぐシーサスが増設さました。これにより、これまでダイヤ混乱時に池袋駅で打ち切っていた副都心線を千川駅まで延長することが可能になります。千川駅は有楽町線と副都心線のホームが上下に重なる構造となっており、階段・エレベータを上下するだけで双方の乗換えが可能となり、ダイヤ混乱時のサービス低下を抑えることができるようになります。
 千川駅に到着した副都心線の具体的な折り返し手順は以下のとおりです。

副都心線千川駅折り返しの手順
副都心線千川駅折り返しの手順

①副都心線渋谷方面から千川駅4番線に到着し、乗客を降ろす。車内点検後ドアを閉めて小竹向原駅方向に発車。
②小竹向原駅東側の6線区間の千川駅寄りに新設されたシーサスで有楽町線新木場方面本線に転線し停車。
③折り返して副都心線渋谷方面に進出し、千川駅3番線に据え付け後ドアを開けて乗客を乗せ、渋谷方面に発車。

②の手順の最中は有楽町線新木場方面行きの本線が副都心線の折り返し列車で塞がることになりますが、この間有楽町線は外側に建設された連絡線を経由して千川駅に向かうため、双方のルートが支障することなく運行が可能となります。2015年度末に有楽町線B線側の連絡線が開通すると、有楽町線和光市方面行きの本線でも同じ方法が可能となるため、さらに折り返し可能な本数が増加することが期待されます。

千川駅副都心線ホームの当駅始発用乗車目標(右下のタイルに貼られたテープ)。
千川駅副都心線ホームの当駅始発用乗車目標(右下のタイルに貼られたテープ)。2013年8月4日撮影

この副都心線千川駅折り返しは東横線直通開始後は異常時だけでなく、平日朝ラッシュ時に定期列車として2本(記事作成時点のダイヤでは平日8:33発元町・中華街行きと8:49発武蔵小杉行き)設定※2されています。千川駅3番線ホームの床には始発列車用の乗車待機場所がテープで示されています。ちなみに、この折り返し運転は副都心線と東横線の直通開始前の2013年1月に発生した和光市駅での車両故障の際に「初披露」され、突然の「千川行き」の出現に驚いた利用客も多かったようです。

▼参考
【130121】和光市駅でのパンタグラフ破損による、長時間運転見合わせ - Togetterまとめ

▼脚注
※2:千川終着の列車は無く、池袋終着列車を回送し千川始発としている。

2013年3月から始まった東京メトロ副都心線、東急東横線、みなとみらい線、西武池袋線、東武東上線の5社に渡る相互直通運転は、その複雑さから鉄道事業者のダイヤ作成担当者の間で「奇跡の直通運転」と評さているという話も耳にします。副都心線と東横線の直通運転ということで渋谷駅周辺の変化が注目されがちですが、その一方で小竹向原駅の連絡線建設のような列車内からでは目立たない部分の改良についても是非目を向けてみたいところです。

▼参考
東京メトロ:小竹向原駅~千川駅間(有楽町線)連絡線設置工事のご案内
→東京メトロによる連絡線工事の解説。トンネル内での工事の写真なども。
東京メトロ有楽町線・副都心線の安定運行を目的とした線路交差解消の連絡線を計画 - 日本鉄道施設協会誌2010年12月号
東京メトロ有楽町線(小竹向原駅~千川駅)連絡線設置工事について(現地配布のパンフレット)
[現場ルポ]東京メトロ有楽町線小竹向原駅~千川駅間連絡線設置工事 - DOBOKU技士会東京第52号(PDF)

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(2014年5月18日:表示高速化のため画像の読み込み方法を改良しました。) このエントリーをはてなブックマークに追加
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縦型LEDについて
初めまして。
いつも拝見させていただいております。

非常に細かく解説されており、とても勉強になります。

さて、本文にありましたLED表示器ですが、考え方は違いますがJR東のATOSのようなもので、いわゆる時間調整が必要になった場合に、乗務員、ホーム駅員に調整時間を表示するものです。
調整が生じた場合、「調」と調整時間(5秒刻みでカウントダウン、残り25秒で消滅し、0になると「終了」が点滅)が表示されます。
有楽町線・副都心線全駅(東急管理の渋谷を除く。和光市は見てません)の運転士、車掌、ホーム駅員の見やすい位置に設置されています。
縦長なのは運転士用(建築限界のため)で、車掌・駅員用は横長です。
この2路線以外のメトロ線では今のところ見かけませんが(都営新宿線には似たようなものが最近設置されました)、全路線に普及するかもしれません。

長文失礼しました。
2014/04/12 20:06 | URL | 投稿者:おーたま [編集]
補足、訂正
先ほどの表示器ですが、他の路線の一部駅にも車掌用として古いですが設置されておりました。
通常は到着列車の停車時間を5秒刻みで表示しております。
逆に言うと、副都心線は開業当初表示器無しで運行管理していたということになり、かなり無茶していた(?)ことになります。
2014/04/12 20:15 | URL | 投稿者:おーたま [編集]
Re: 縦型LEDについて
おーたま様

情報のご提供ありがとうございます。
同様の表示器は東西線等でも設置はいくつか確認していましたが、今回情報を頂いたのを機に少し気に留めてみたところ有楽町線・副都心線でも東横線直通開始を機に全線で設置されたのを確認しました。運行系統が複雑なだけに運行整理にはハード面・ソフト面ともにかなり気を使っていることが伺えます。
本文中にも本件について書き足ししました。
2014/05/13 12:45 | URL | 投稿者:takuya870625(管理人)
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