青梅市梅の公園・・・今年限りで見納め

カテゴリ:公園・風景花・植物 | 公開日:2014年03月28日23:45
青梅市梅の公園

3か月ほどブログの更新を休止している間に季節は春になってしまいました。
更新再開最初の記事は先週末(3月23日(日))に訪問してまいりました、東京都青梅市の「青梅市梅の公園」で現在見頃を迎えている梅の花の様子をお届けいたします。

■首都圏屈指の梅の名所



 東京都西部に位置する青梅市の山間にある「吉野梅郷(よしのばいごう)」は茨城県の水戸偕楽園、静岡県の熱海梅園などと並び首都圏では屈指のウメの名所として有名です。中でも、JR青梅線日向和田(ひなたわだ)駅から西に1kmほどのところにある青梅市梅の公園には4ヘクタールの敷地に60種類、約1200本のウメの木が植えられ、毎年3月に赤や白の花が斜面全体を覆い尽くします。この梅の公園は青梅市が観光振興の一環として1972(昭和47)年に整備したもので、開花時期に合わせて開催される「梅まつり」も40年あまりの歴史を誇ります。
 ちなみに、「青梅」の地名の由来は青梅駅近くにある金剛寺に伝わる「あおうめ青梅」伝説に由来するといわれています。「新編武蔵風土記稿」によると、金剛寺の梅ウメ平安時代に平将門が植えたとされており、将門が戦に敗れ青梅に逃れた際、寺のウメの木を指して「私の願いが成就するのならば芽をふけ だめになるのなら枯れよ」と誓ったところ、実を付けるだけではなく、成熟しても落ちなかったことから、不思議に思った人々がこの地を「青梅」と呼ぶようになったと言われています。青梅の町と梅の関係はこのように大変長い歴史を持つようです。

青梅市梅の公園入口の「梅の橋」
青梅市梅の公園入口の「梅の橋」

 青梅市梅の公園は日向和田駅から多摩川を越えて西に1kmほど進んだ住宅地の奥にあります。公園は谷状になった自然の山の斜面を利用して作られており、公園入口の内外には小さな川(多摩川の支流)が幾つも流れています。入口前の橋は御影石を用いた立派なもので、青梅市が観光振興としてこの公園に注いできた熱意が感じ取れます。梅まつり期間中は公園入口にプレハブ小屋が建てられ、中学生以上は入場料(200円)が徴収されます。(ただし、9~17時以外の時間帯は無人となるため実質的に無料となる)

散策路の始点付近。谷を取り囲むように無数のウメの木が植えられている。
散策路の始点付近。谷を取り囲むように無数のウメの木が植えられている。
高解像度画像1500*515px/264KB


 公園の散策路は谷状の地形をコの字型に囲むように配置されており、往復ともに反対側の斜面を見ながら歩く形となっています。両側とも斜面を埋めるようにウメの木が植えられており、赤・ピンク・白など色とりどりの花に覆われた美しい光景が見られます。斜面は上に行くほど角度が急になっており、ちょっとした山登りのような雰囲気です。土がむき出しの箇所もあるため、訪れる際は滑りにくい靴を履くことをお勧めします。(低地の散策路は十分な広さが確保されており、車いすやベビーカーで周回することも可能です。)

散策路の中腹付近から最奥部分を見る。低地に覆いかぶさるようにウメの木々が並ぶ。
散策路の中腹付近から最奥部分を見る。低地に覆いかぶさるようにウメの木々が並ぶ。
高解像度画像1000*750px/294KB


 水戸の偕楽園は東京都心の庭園などと同様に比較的平坦な場所に公園が造られており、奥に向かってどこまでもウメの木が続くような光景が広がっていました。一方、ここ青梅市梅の公園は急峻な斜面を覆うようにウメの木が植えられていることから、山の下から見ると覆い被さるようにウメの木がびっしりと植えられており、かなり違った印象を受けます。また、斜面が急であることから早朝・夕方は影が落ちやすいため、写真撮影には注意を要します。

様々な梅の花 様々な梅の花 様々な梅の花
様々な梅の花。一番右は外来品種。

園内には約60品種のウメが植えられており、色・花の形・香りなども様々です。外来品種も植えられており、一例として上の写真の一番右の黄色い花は朝鮮半島・中国大陸原産の「山茱萸(さんしゅゆ)」というものです。

最上部から公園内を見下ろす
最上部から公園内を見下ろす
高解像度画像1000*750px/289KB

 公園の最高地点は入口から50m近く登ったところとなっており、公園全体が見下ろせるばかりでなく、その奥にある住宅地や遠くにある山々も一望することができます。

東側の散策路には広場がある。
東側の散策路には広場がある。
高解像度画像1000*750px/194KB


東側の散策路は比較的平坦な場所が多く、このような広場もあります。この日は天気が良かったことから、レジャーシートを広げて弁当を食べる家族連れなども多く見受けられました。ただし、山間部ということで今の時期はスギ花粉に十分注意が必要です。(筆者はこれがダメでした)

<青梅市梅の公園その他写真>
青梅市梅の公園その他写真 青梅市梅の公園その他写真 青梅市梅の公園その他写真
青梅市梅の公園その他写真 青梅市梅の公園その他写真 青梅市梅の公園その他写真

下段右は青梅市梅の公園から道路を挟んで反対側にある曹洞宗系の寺院「天澤院」です。この境内から梅の公園をまた違った角度で見ることができます。


青梅市梅の公園最寄り、JR青梅線日向和田駅
青梅市梅の公園最寄り、JR青梅線日向和田駅

 先にも書いたとおり、青梅市梅の公園の最寄りはJR青梅線日向和田駅です。梅まつり開催期間中の土日祝日(今年は3月15・16・21・22・23・29・30の各日)は朝夕合わせて3往復運転されているホリデー快速「おくたま」が臨時停車しています。また、既に終了しましたが、3月15・16日には485系お座敷列車「華」を使用した臨時列車「お座敷青梅梅まつり号」が千葉駅から運行されました。

■感染症のため今春で全て伐採に

園内にはPPV感染木を伐採した跡が既に無数に存在していた。

 このように毎年大変見事な花を咲かせ、人々を楽しませてきた青梅市梅の公園のウメですが、実はこの春を以って全ての木が伐採されることが決定しています。
 発端となったのは2009(平成21)年に市内の梅の木で国内では初となる「プラムポックスウイルス」(PPV)の感染が確認されたことです。プラムポックスウイルスはウメやモモなどに感染するウイルスで、主にアブラムシにより媒介されます。感染すると葉や果実の斑紋、奇形、果実が熟せずに落ちてしまうなどの影響が発生します。人体への害はありませんが、商品としての価値が激減してしまうため、植物防疫法に基づきこれまで感染木の伐採を繰り返してきました。しかし、感染拡大は止まらず、2010(平成22)年には梅の公園でも感染が確認されたことから、農林水産省・青梅市・農園業者などの協議の結果、梅の公園の木を全数伐採するという判断が下されました。伐採後も3年間は新たな感染が無いことを確認しなければ新たな植樹はできないため、現在のような風景が再び見られるのは相当先のことになることが予想されます。大きな観光資源を失うことから、今後の地域活性化をどのように進めていくのかが課題となりそうです。
 なお、国内で最初の感染が確認されてから5年が経過したプラムポックスウイルスは、その後東京都のみならず兵庫県・和歌山県などでも感染が確認されており、全国の農業関係者が感染動向に注目するところとなっています。


▼参考
吉野梅郷【梅まつり もくじ】関東・東京屈指の梅祭り
東京新聞:青梅の梅 見納め 「梅の公園」1260本も伐採へ:社会(TOKYO Web)
梅の名所、1300本伐採要望…東京・青梅 : 新おとな総研 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
農林水産省/ウメ輪紋ウイルス(プラムポックスウイルス)の防除について

▼関連記事
水戸偕楽園(2007年3月25日作成) このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサード リンク
テーマ:花・植物 ジャンル:写真
タグ:  青梅市  吉野梅郷  梅  公園

カテゴリ:花・植物 の最新記事

青梅市梅の公園・・・今年限りで見納め(2014年03月28日作成)
千葉公園の大賀ハス2012(2012年07月12日作成)
靖国神社・千鳥ヶ淵の桜 - 2012年桜めぐり(2)(2012年04月17日作成)
目黒川の桜 - 2012年桜めぐり(1)(2012年04月09日作成)
清水公園(2011年5月8日取材)(2011年10月01日作成)
昇仙峡の紅葉(2010年11月21日取材)(2010年12月01日作成)
昭和記念公園の花々(2010年5月2日取材)(2010年09月13日作成)
神代植物公園(2010年5月2日取材)(2010年08月03日作成)
神宮外苑の銀杏並木(2008年12月15日作成)
養老渓谷の紅葉(2008年12月07日作成)
その他の記事はこちら

Facebookのコメント

コメント

コメント機能をご利用の際は必ず注意事項のページをご覧ください。
不適切な投稿内容は修正・削除される場合があります。また、内容によっては管理人からのレスが付かない場合がございます。確実に返信が欲しい場合はEメールをご利用ください。

管理者にだけ表示を許可する(管理人からの返信が付きません)


最新記事

首都圏外郭放水路庄和排水機場(2016/10/02)
相鉄・東急直通線建設工事(2016年取材②新綱島~日吉)(2016/09/10)
相鉄・東急直通線建設工事(2016年取材①羽沢~新横浜)(2016/09/07)
相鉄・JR直通線建設工事(2016年6月取材)(2016/08/27)
茨城県・守谷市のマンホール(2016/08/26)
東京メトロ千代田支線北綾瀬駅ホーム延伸工事(2016年6月4日取材)(2016/08/21)
東武伊勢崎線竹ノ塚駅高架化工事(2016年6月4日取材)(2016/08/14)
次期「書籍化」プロジェクトへの道すじ(2016/08/12)
JR飯田橋駅ホーム移設工事(2016年6月取材)(2016/08/06)
東急東横線10両化&関連工事(2015・2016年取材)(2016/08/03)
月別アーカイブ

全記事タイトル一覧

お知らせ

【総武・東京トンネル書籍化プロジェクト】COMIC ZIN様で欠品しておりました「総武・東京トンネル(上・下)」の販売を再開しました。詳しくは→こちら(2016,04,10)
さらに前のお知らせ

おすすめ&スペシャル

「総武・東京トンネル」書籍化プロジェクト 当サイトの前身であるYahoo!ブログから運営通算10周年を記念し、2008年に連載した「建設史から読み解く首都圏の地下鉄道① 総武・東京トンネル」についてほぼ白紙から書き直し、自主制作本(同人誌)にまとめるプロジェクトです。2015年3月のコミケットスペシャル6で総武線区間について取り上げた「上巻」、12月のコミックマーケット89で横須賀線区間について取り上げた「下巻」をそれぞれリリースし、昼過ぎに完売となる大好評となりました。現在書店(COMIC ZIN)様にて絶賛発売中です。

おすすめ記事

@takuya870625 Twitter