品川駅・旧田町車両センター再開発(2013年11月・2014年3月取材/その1)

人海戦術。(クリックで拡大・1000*750px/208KB)

現在、JR東日本では東京駅と上野駅の間に東北縦貫線(上野東京ライン)の建設を進めています。この新線建設に関連して品川駅では駅構内の大規模な配線変更と隣接する車両基地(旧田町車両センター)の整理縮小を進めています。去る2013年11月23・24日には、列車を大規模に運休して線路の切替工事が実施されました。今回は2回に渡り、この品川駅・旧田町車両センターの再開発事業についてお伝えします。1回目の今回は再開発事業の概要、昨年11月に実施された線路切替工事と東海道線・横須賀線の運転変更の模様です。

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品川駅・田町車両センター再開発(2013年7・8月取材)(2013年09月23日作成)

■品川駅の配線変更車両基地の整理再開発事業の概要
神田駅付近で建設中の「上野東京ライン」の高架橋。 2013年3月ダイヤ改正を以って上野口から引退した211系。
左:神田駅付近で建設中の「上野東京ライン」の高架橋。2014年3月16日撮影
右:2013年3月ダイヤ改正を以って上野口から引退した211系。2013年9月9日撮影


 現在、JR東日本では東海道線東京駅と宇都宮・高崎・常磐線上野駅の間に2015年の開業を目指して「東北縦貫線(愛称:上野東京ライン)」の建設を進めています。この新線の建設の主たる目的は混雑率が全国で最高レベルとなっている山手線・京浜東北線の混雑緩和ですが、副次的な効果として車両運用の効率化も期待されています。
 東海道線と宇都宮・高崎線は現在は品川駅と上野駅の近傍に車両基地(田町車両センター・尾久車両センター)があります。2001(平成13)年に湘南新宿ラインの運行が開始され、両路線間を恒常的に車両が行き来するようになりました。これに合わせて、車両形式もE231系1種類にほぼ統一されていますが、車両基地がこの系統からは外れた位置にあるため、引き続き別々の車両基地を置くことを余儀なくされています。東北縦貫線が開業するとこの両車両基地が直接結ばれるため、両車両基地を一体的に運用することが可能となります。このため、品川駅側の車両基地を大幅に縮小し、上野駅側に機能を統合する計画となっています。
 去る2014年3月ダイヤ改正で、上野駅に出入りする宇都宮・高崎線から211系が全廃され、この系統を走る車両はE231・E233系に統一されました。両形式は連結して運転可能なシステムとなっており、将来の車両運用の一体化を意図したものとなっています。

再開発される車両基地のエリアと新駅設置予定位置
再開発される車両基地のエリアと新駅設置予定位置
航空写真:(C)国土交通省 国土情報ウェブマッピングシステムカラー空中写真データ(昭和63年 ※2014年3月でサービス終了済)より抜粋


 車両基地統合により品川駅付近に生まれる用地は10~15ヘクタールに及ぶとみられています。品川駅は東海道新幹線の全列車が停車し、京急線により国際空港である羽田空港まで15分で結ばれています。また、2027年の開通が予定されているリニア中央新幹線は品川駅を東京都心側のターミナルとする計画となっており、完成すれば東京~大阪間が1時間で結ばれ、全国各地へのアクセス性が飛躍的に高まる見込みです。
 東京都ではこれに合わせる形で「東京サウスゲート計画」の名の下、車両基地を含めた品川地区全体の再開発計画を始動させています。この再開発では品川地区の東側に豊富に存在する運河などの水辺を生かした街づくり、ヒートアイランド現象の抑制を目的とした超高層ビルの建築制限(海からの風の通り道を作る)などを設けることが特徴となっています。さらに、2011(平成23)年12月には、この再開発地区が新たに国の国際戦略総合特別区域「アジアヘッドクォーター特区」の指定を受けました。この制度は外資系企業を対象に税率軽減や入国審査の簡素化などを図るもので、ビジネスのグローバル化による日本経済のさらなる活性化が期待されています。
 なお、車両基地跡地の利用に当たってはより多くの土地を対象エリアに含めるため、山手線・京浜東北線の線路を現在よりも東側に移設することが計画されています。これに合わせて、移設される区間の途中に新駅を設けることが検討されています。山手線への新駅設置は1971(昭和46)年の西日暮里駅以来40年ぶりのことで、開業すれば品川駅との間は2分で結ばれ、再開発地区の国際競争力強化に大いに貢献します。新駅を含めた再開発は来年春の東北縦貫線開業後に本格化する予定で、東京オリンピックが開催される2020年頃の完成が見込まれています。

着工前の品川駅・車両基地の配線図
着工前の品川駅・車両基地の配線図
※クリックで拡大(1200*400px/31KB)

 再開発着工前の品川駅は、既に運行が終了している客車列車に最適化された構内配線となっており、各所に機関車付け替え用の短い引上線や、交差箇所全方向を連絡するポイントが存在する極めて複雑な配線となっていました。また、東海道線の上下線間には、高速道路や新幹線が未整備だった昭和中期の帰省シーズンに、全国各地へ向かう臨時列車を発着させるために使用していた「臨時ホーム」と称する2面のホームがありました。この臨時ホームはその役割ゆえに現在ではほとんど使う機会が無かったほか、東京方面からは進入できない配線となっており、そのままでは東北縦貫線の乗り入れができませんでした。
 そのため、2009(平成21)年より東海道線ホーム・臨時ホームの東京寄りを東側にカーブさせ、東京方から進入可能にする工事が開始されました。合わせて不要となっていた各種ポイントの撤去や、駅北側(東京方)にある車両基地を電車列車に最適化された設備へ全面改修する工事も進められました。このうち、品川駅東海道線下りホーム(11・12番線)と臨時ホーム10番線の改修は2012(平成24)秋までに完成しました。
 なお、品川駅の車両基地の中核をなしていた田町車両センターは昨年3月で単独の組織としては廃止となり、現在は東京総合車両センターの下部組織(田町センター)となっています。

■2013年11月23・24日の線路切替工事と運転変更の模様

 2012年秋以降は臨時ホーム9番線の改築が進められ、完成を迎えた昨年11月23日(土)・24日(日)に使用開始に向けた線路切替工事が実施されました。この工事では合わせて東京方で整備が進められていた新車両基地(26線)の使用開始と、南側(横浜方)の東海道線・横須賀線のポイント入れ替え(構造が複雑な特殊分岐器を普通分岐器化する工事)も実施されました。その結果、これまでの切替工事とは比較にならないほど作業量が多くなったため、1日では工事が終わらず、11月22日(金)終電後から24日(日)の午前10時頃までの合計約34時間に渡る超長時間の切り替え作業となりました。このため、23日は東海道線が東京~横浜間で終日運休、24日は東海道線の同じ区間に加え、横須賀線も東京~西大井間で午前10時頃まで運休となりました。

●品川駅の工事の模様
人海戦術によりポイントの入れ替え作業が行われている品川駅横浜方の東海道線・横須賀線の連絡線。
人海戦術によりポイントの入れ替え作業が行われている品川駅横浜方の東海道線・横須賀線の連絡線。

 11月23日(土)は品川駅横浜方にある東海道線・横須賀線の連絡線と東海道線下り線と臨時ホームの合流部分のポイント交換田町駅近くの入出庫線の新車両基地側への付け替えの2か所の工事がメインとなりました。前者は横須賀線の線路にも手を加える必要がありますが、横須賀線側は通常のダイヤで使用しない部分であることから、短期間使用停止扱いにしたうえでかなりの部分が事前施工されており、23日は横須賀線の運休はありませんでした。一方、東海道線は横浜方・田町駅付近ともに車両基地の入出庫に必要な部分であることから、長時間使用停止にすることができず、1.5日の運休期間中に一気に線路の入れ替えを進めることになりました。写真は11月23日昼過ぎに撮影した品川駅横浜方の様子で、大勢の作業員がポイントの交換作業にあたっています。

東海道線は東京~品川間が全面運休とされたためホームは封鎖された。 東海道線に関連する発車案内板には運休に関する告知が掲出。
左:東海道線は東京~品川間が全面運休とされたためホームは封鎖された。
右:東海道線に関連する発車案内板には運休に関する告知が掲出。


 工事期間中、東海道線は東京~横浜間が全面運休となったため、東京・新橋・品川・川崎の各駅の東海道線ホームは閉鎖となりました。東海道線東京~横浜間は全線に渡り京浜東北線が並走していることから、他の工事運休とは異なり、他鉄道事業者による振替輸送は実施されませんでした。
 翌24日(日)は出来上がったポイントや信号設備が正しく動作することを確認する作業がメインとなりました。新車両基地は26本ある線路全てに列車を出入りさせる必要があるため、午前10時の運休期間終了後もしばらく試運転列車が行き来する光景が見られました。工事完了後の様子については次回詳しくお伝えする予定です。

●東海道線は横浜駅折り返し(23日()終日・24日()朝)
大船駅東海道線上りホームの発車案内板は全て「横浜」の表示 コンコースにある大型発車案内板もいつもより表示密度が少なめ
左:大船駅東海道線上りホームの発車案内板は全て「横浜」の表示
右:コンコースにある大型発車案内板もいつもより表示密度が少なめ


 11月23・24日に東京~横浜間が運休となった東海道線は寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」が2日とも全区間運休、特急「踊り子」「スーパービュー踊り子」は始終着駅を横浜駅または新宿駅に変更して運転されました。また、普通列車は全列車横浜駅での折り返し運転とされました。東海道線の横浜駅折り返しは現在通常ダイヤでは行われておらず、貴重なものです。

常では見られない東海道線の横浜行き。 常では見られない東海道線の横浜行き。
通常では見られない東海道線の横浜行き。右は側面の行先表示。いずれも大船駅で撮影。

●横須賀線は新宿駅に迂回運転(24日()朝)
9年ぶりに新宿駅に入線した横須賀線E217系
9年ぶりに新宿駅に入線した横須賀線E217系
※クリックで拡大(600*800px/102KB)

 24日は東海道線に加え、横須賀線も初電から午前10時頃まで東京~西大井間が運休となり、直通する総武快速線は東京駅で全列車東京駅で折り返し運転、横浜方面からの横須賀線は新宿駅への迂回運転が実施されました。横須賀線の列車(E217系)が一般の営業列車として新宿駅に入線するのは2004(平成16)年に湘南新宿ラインが全列車E231系に統一されて以来9年ぶりとなります。

東京駅では地上と地下でホームが分かれているため見えない中央線E233系との離合 お隣3・4番線には最新形式埼京線E233系7000番台が入線
左:東京駅では地上と地下でホームが分かれているため見えない中央線E233系との離合
右:お隣3・4番線には最新形式埼京線E233系7000番台が入線


 新宿駅に迂回運転された横須賀線は通常特急列車用となっている5・6番線で折り返しを行いました。E217系が新宿駅から離れていた9年間で新宿駅を出入りする列車は大きく様変わりし、中央線・埼京線のE233系と初めてすれ違う光景が見られました。


横須賀線E217系@新宿駅 - YouTube 音量注意!!
※埋め込み動画はHTML5を使用しているため、古いブラウザ(Internet Explorer8以下など)では表示されません。その場合はリンクをクリックし、YouTubeのページでご覧下さい。

ここまでは11月23・24日の工事中の模様をお伝えしてまいりました。次回の「その2」の記事では工事が完了し使用が開始された品川駅9・10番線や新車両基地の様子や、その後の変化についてお伝えする予定です。

「その2」の記事に続く→

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