京急蒲田駅連続立体交差化工事(2014年1・6月取材)

高架化が完了した大森町~梅屋敷間を走る2100形

京急線京急蒲田駅周辺では踏切解消と京急蒲田駅の構内配線の改良を目的とした高架化工事が行われています。2012年10月に線路の高架化は完了しましたが、その後も工事区間では各駅駅舎の仕上げ作業や工事区間両端の仮設の線路を本来の位置に付け替える工事が進められています。今年1月に各箇所の状況について再調査しましたので、今回はそれに加え、先週末調査した工事区間両端の切り替え箇所の様子についても追加してお伝えします。

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京急蒲田駅高架化完成(その1:事業概要・京急蒲田駅周辺・改札口の模様)(2012年10月24日作成)
京急蒲田駅高架化完成(その2:京急蒲田駅ホーム・記念乗車券について)(2012年10月25日作成)
京急蒲田駅高架化完成(その3:大森町・梅屋敷・雑色・糀谷の各駅の模様)(2012年11月6日作成)
京急蒲田駅高架化完成(その4:切替地点の模様・走行経路図解)(2012年11月8日作成)

■京急蒲田駅高架化の概要
地上時代の京急蒲田駅。背後では直接高架工法により高架橋を建設中。 都内屈指の渋滞個所だった空港線・第一京浜の踏切。
左:地上時代の京急蒲田駅。背後では直接高架工法により高架橋を建設中。2006年10月28日撮影
右:都内屈指の渋滞個所だった空港線・第一京浜の踏切。2008年8月23日撮影


 京浜急行本線及び同空港線(京急蒲田駅付近)連続立体交差事業は京急本線平和島~六郷土手間約4.7kmと京急空港線京急蒲田~大鳥居間約1.3kmを高架化する事業です。
 着工前は両線とも線路が地上にあり、合計28箇所の踏切で道路と平面交差していました。中でも京急蒲田駅付近にある第一京浜(国道15号)と環状8号線(都道311号線)の踏切は東京都内でワースト3に入る「開かずの踏切」と化しており、深刻な交通渋滞が社会問題となっていました。
 一方、京急蒲田駅は島式ホーム1面+片面ホーム1面の2面3線の構造でしたが、空港線については駅構内が単線かつ本線と平面交差で分岐していたほか、横浜方面と直通できない配線となっていました。(90年代末期に少数設定された横浜方面から羽田空港方面に直通する列車は品川方の本線上で折り返して空港線に入るという曲芸的な運行方法が採られていた。)羽田空港では2010(平成22)年に国際線ターミナルビルと4本目の滑走路(D滑走路)の供用が開始され、航空機の年間発着回数は約1.5倍の44.7万回まで増加すると見込まれました。京急蒲田駅の狭小な設備では、この空港拡張に伴う利用者の増加に耐えられないと判断されました。
 これらの問題を解決するため、2000(平成12)年より高架化工事がスタートしました。通常、鉄道の高架化は線路脇にあらかじめ確保した空き地に線路を移設し、元の場所に高架橋を建設する「仮線方式」が用いられます。しかし、前記した事情から京急蒲田駅付近では可及的速やかな高架化完成が要求されたため、移動式のクレーンを使用して現在線の真上に高架橋を建設していく「直接高架工法」がほとんどの区間で採用されました。

2012年10月21日に高架化が完成した京急蒲田駅。第一京浜の踏切には「高架化完成」の看板が誇らしげに掲げられていた。
2012年10月21日に高架化が完成した京急蒲田駅。第一京浜の踏切には「高架化完成」の看板が誇らしげに掲げられていた。

 これらの工夫により、着工から約10年後の2010年5月には上り線の高架化が完成し、さらにその2年後の2012(平成24)年10月には下り線も高架化が完成し、踏切の解消と京急蒲田駅の改良が完了しました。完成後の京急蒲田駅は上下線のホームが2層構造となり、空港線の線路が複線化され、横浜方面への直通運転も可能となりました。また、本線側には普通列車が待避可能な切り欠きホームが追加され、従来よりも余裕のあるダイヤ構成が可能となりました。完成と同時に行われたダイヤ改正では、品川方面・横浜方面双方から羽田空港に直通する優等列車が大幅に増発されています。
 なお、この事業は高架化による踏切の解消と京急蒲田駅の改良による羽田空港アクセスの改善という2つの側面を持っています。このため、国からの事業費の補助についても道路整備の一環である「連続立体交差事業」と駅施設の利便性向上を対象としている「駅総合改善事業」の2種類に分けて行われています。総事業費は約1892億円で、国・東京都・大田区・京急電鉄の4者が負担しています。

■駅舎の仕上げと切り替え箇所の本設化画進行中

 冒頭でもお伝えしたとおり、京急蒲田駅の高架化区間では引き続き各駅駅舎の仕上げ工事と、工事区間両端の平和島駅付近と六郷土手駅付近で仮設となっている切り替え部分の線路を本来の位置に移動させる工事が進められています。今年1月4日と5日に工事区間全体の再調査を行いました。また、読者の方から頂いた情報を元に、先週末(6月22日)に平和島・六郷土手の両駅付近の切り替え箇所について再々調査を行いました。ここから先はこれら2回分の調査時の様子をお届けします。
※ここから先の各写真は特に注釈の無い限り2014年1月4・5日に撮影したものです。

●平和島~大森町(新旧接続部)
平和島→大森町の下り列車前面展望。左は旧地上下り線跡地で、今後本設下り線が敷設される。 同じ場所の2014年6月22日の様子(上り列車前面展望)。本設下り線の軌道敷設が進んでいる。
左:平和島→大森町の下り列車前面展望。左は旧地上下り線跡地で、今後本設下り線が敷設される。
右:同じ場所の2014年6月22日の様子(上り列車前面展望)。本設下り線の軌道敷設が進んでいる。


 平和島~大森町間の新旧切り替え箇所は半径1000m前後のカーブとなっています。2012年の高架化完了後は現在に至るまで下り線は本来上り線となる場所を、上り線は高架橋外側に設置した仮設の桁の上をそれぞれ走行しています。これらの線路は仮のものであるため、カーブ半径が700m前後と小さくなっており、95km/hの速度制限が設けられています。高架化完了後は地上へ通じていた旧下り線のスロープを取り壊して床板で塞ぎ、下り線の線路を本来の位置に移動させる(高架化前と同じ平面線形に戻す)工事が進められています。
 今年1月の時点では床板の設置作業がまだ続いていましたが、先週末再訪した際は床面の設置が完了して軌道敷設が進められていました。地上線から高架線への切り替えとは異なり、この工事は当該箇所単独で切り替えが可能であるため、今後は架線や信号設備が完成次第新しい線路への切り替えが実施されるものと思われます。切り替え後はカーブ半径が大きくなるため、以前と同様最高速度(120km/h)での走行が可能となります。下り線の切り替え後は上り線についても同様に現在下り線が走っている場所へ移設し、外側にある仮設の桁を取り壊すことになります。

●大森町駅
高架下から見た大森町駅のホーム
高架下から見た大森町駅のホーム

 高架化区間の途中駅は京急蒲田駅を除き全て対向式ホーム2面2線となっており、完成後は高架下に改札口などが収容されます。2012年の高架化完成時点では直接高架工法を用いて高架化工事が行われたため、各駅とも地上には線路やホームなどが残されており、その撤去を行った後跡地に改札口や新しい階段などを設置する工事が進められています。

大森町駅高架下に移設された改札口(改札内側から見たところ) 旧線路敷側に付け替えられたホームへ上がる階段
左:大森町駅高架下に移設された改札口(改札内側から見たところ)
右:旧線路敷側に付け替えられたホームへ上がる階段


 大森町駅2010年の上り線高架化から2012年の下り線高架化までの間、下り線ホームを旧上り線の線路跡に移設していました。これは高架化された上り線ホームと地上に残っていた下り線ホームを同じ改札口に接続するためでした。下り線高架化完成後もこの改札口はしばらくの間使用され、高架のホームに通じる階段は旧地上ホームを分断して設置された中2階を経由する形となっていました。
 大森町駅の地上ホーム撤去は高架化区間の駅の中では最速で進捗しており、昨年12月8日からは跡地に新しい改札口が開設されました。同時に旧下り線ホーム裏手を経由していた通路は閉鎖され、高架ホームに通じる階段は中2階が廃止されて旧線路敷に直接降りる形状に変更されました。

●梅屋敷駅
現在も使用中の梅屋敷駅上り線側改札口 廃止された下り線側の改札口建屋はトイレがあるため残されている
左:現在も使用中の梅屋敷駅上り線側改札口
右:廃止された下り線側の改札口建屋はトイレがあるため残されている


 梅屋敷駅は下り線高架化直後の時点ではも地上時代の改札口を流用しており、上下線のホームで改札口が分離していました。その後、地上ホームの撤去が進み、中2階で双方の改札内をつなぐ通路が完成したため、このうち下り線側の改札口が昨年5月末に廃止されました。廃止された下り線側の改札口建屋にはトイレがありましたが、上り線側にはそれが無いため、改札口統合後下り線側の建屋は残されています。このトイレは改札外からのみ利用可能となっています。

梅屋敷駅の旧地上線路跡では中2回から地上に降りる階段やエスカレータの設置作業が行われている。
梅屋敷駅の旧地上線路跡では中2回から地上に降りる階段やエスカレータの設置作業が行われている。

 旧線路敷では中2階から地上に降りる階段やエスカレータの設置作業が進められていますが、作業は遅々として進んでおらず、今月の時点でも使用開始には至っていません。

●京急蒲田駅
※この先画像が22枚(818KB)あります。画像はスクロールに従って自動で読み込まれます。(Javascriptが有効の場合のみ)データ容量にご注意ください。



京急蒲田駅3階下り線ホーム
京急蒲田駅3階下り線ホーム

 京急蒲田駅は上下線のホームが2層構造になっており、2階が上り線ホーム、3階が下り線ホームになっています。各ホームとも本線と空港線がそれぞれ片面を使用する島式ホームに加え、本線側には主に当駅始発・執着の普通電車が使用する6両編成対応の切欠きホームが設置されています。改札口は中2階に設置されており、現在進められている駅周辺の再開発(後述)の完成後は周辺のビルとペデストリアンデッキで直結される予定です。

京急蒲田駅中央付近にある改札口・上り線ホーム・下り線ホームをつなぐエスカレータ。左列の奥が新たに使用開始になった上り線ホーム→下り線ホームのエスカレータ。
京急蒲田駅中央付近にある改札口・上り線ホーム・下り線ホームをつなぐエスカレータ。左列の奥が新たに使用開始になった上り線ホーム→下り線ホームのエスカレータ。

 2012年の高架化完成時点では、京急蒲田駅のホーム上には地上の駅舎やホームに通じてい仮設の階段やエレベータが残存していたため、中2階・2階・3階を結ぶエスカレータや階段の一部が未完成となっていました。残存していた仮設階段は高架化完成直後から撤去が開始されており、昨年8月にはホーム中央付近で新たに上り線ホーム(2階)→下り線ホーム(3階)を結ぶエスカレータが使用を開始しました。

2階4番線ホーム横浜方の端に新設された階段とエスカレータ。その奥には空調付き待合室。 待合室前の仮設階段跡は完全に埋められた。
左:2階4番線ホーム横浜方の端に新設された階段とエスカレータ。その奥には空調付き待合室。
右:待合室前の仮設階段跡は完全に埋められた。(同じ場所の2012年10月21日の様子


 使用を開始したエスカレータの下にも新たに改札口がある中2階と上り線ホーム2階を結ぶ階段とエスカレータが新設されました。また、その隣には小規模ながら空調付きの待合室も新設されており、優等列車と普通列車の乗り換えの際の暑さ・寒さをしのぐことができるようになりました。待合室の前のホーム上には下り線高架化と同時に廃止された地上へ通じる階段の開口部がありましたが、これについてもコンクリートで完全に閉塞されています。

中2階の改札口周辺は内装がほぼ完成した。
中2階の改札口周辺は内装がほぼ完成した。

 中2階の改札口フロアも階段と同様の理由から、2012年の高架化完了時点では改札口周辺以外内装が未完成となっていました。その後、地上との連絡階段などの撤去が終了し、天井や壁のパネル取り付けがほぼ完了しています。

第一京浜に架かる歩道橋から本線と空港線の分岐部分を見る。右の空地は駅前広場になる。
第一京浜に架かる歩道橋から本線と空港線の分岐部分を見る。右の空地は駅前広場になる。
※クリックで拡大(3枚合成/1500×508px/86.1KB)

 京急蒲田駅前を通る第一京浜(国道15号)は空港線と踏切で交差しており、都内屈指の渋滞の名所となっていました。2012年の高架化完成によりの踏切も廃止され、渋滞は解消されました。2012年の下り線高架化直後は踏切前に設置された門型の警報機に「高架化完成」と書かれた巨大な看板が設置されていましたが、その後残っていた遮断機などとともにこれらの設備は撤去されており、路面もレールが引き抜かれ、アスファルトで整地されています。
 なお、踏切の南側は高架化工事の作業基地が設けられていましたが、工事の終了に伴いこの部分も更地化されています。今後この空き地にはバスの乗り入れが可能な駅前広場が整備され、第一京浜を跨いで建設される歩道橋により、京急蒲田駅の改札口と直結される予定です。第一京浜南側には見本市や会議などが多数開催される「大田区産業プラザPiO」があり、歩道橋の拡張により駅からの利便性が向上することが期待されます。

解体が進む地上の仮設駅舎
横浜方の踏切付近の橋脚は正規位置に支柱が完成した 正規の位置に設置された支柱(左)と切断された仮設支柱の跡(右)
上:解体が進む地上の仮設駅舎
左下:横浜方の踏切付近の橋脚は正規位置に支柱が完成した(下り線地上時代の写真
右下:正規の位置に設置された支柱(左)と切断された仮設支柱の跡(右)


 地上の線路やホームは2012年の高架化完了直後から解体が開始されており、今年1月時点ではホームや線路はほぼ消滅し、仮設橋上駅舎の支柱や呑川を跨ぐ橋桁の一部が残るのみとなっています。地上の仮設ホームの跡地は今後第一京浜の拡幅や東西自由通路などのスペースに充てられる予定です。
 一方、横浜寄りは環状8号線の踏切を早期に廃止するため、現在使用されている高架橋の西側に仮設の高架橋が設置されていました。高架橋の支柱がこの仮設高架橋に通じる線路と重なったため、正規の位置に設置できず、梁に部品を追加して側道の予定地に仮設の支柱を建てていました。下り線の高架化完了により、地上を自由に使用できるようになったため、正規の位置に支柱が設置され、仮設の支柱と梁は取り外されました。1月の時点では完成した支柱の脇にはバーナーで切断された仮設の支柱の残骸が残っていました。

西口駅前は再開発のためスーパーなどが無くなり更地となった。 架け替え工事中の弾正橋の仮橋。
架け替え工事中の弾正橋。新しい橋は3車線に拡幅される。
左上:西口駅前は再開発のためスーパーなどが無くなり更地となった。
右上:架け替え工事中の弾正橋の仮橋。
下:架け替え工事中の弾正橋。新しい橋は3車線に拡幅される。

※クリックで拡大(3枚合成/1200×474px/80.2KB)

 京急蒲田駅西口では高架化に合わせて小規模な店舗が集まる商店街の一部を20階建のマンション・商業施設に集約し、バスが乗り入れ可能な駅前広場を新設する再開発が予定されています。下り線の高架化完成から半年が経った昨年春以降、この再開発の工事が開始されており、スーパー「ライフ」などがあった一角は完全に更地化されています。
 また、京急蒲田駅に並行する形で呑川に架かっていた「弾正橋」は、再開発で設けられる駅前広場と駅の北側を通る多摩堤通りを結ぶルートになる予定ですが、元々あった橋は1.5車線ほどの幅しかなく大型車両の通行が困難でした。そのため、昨年2月より車道3車線の両側に歩道を設けた新しい橋に架け替える工事が行われました。架け替え工事中は旧橋の西側に歩行者専用の仮橋が設置されていましたが、今年春に工事は完了しており、現在は元の位置に設置された新しい橋が使用されています。

●雑色駅
完成した雑色駅下り線ホームのエスカレータ
完成した雑色駅下り線ホームのエスカレータ

 雑色駅は2012年の下り線高架化完成時点では地上と下り線ホームを結ぶエスカレータが未完成となっていました。その後、地上のホームの解体と合わせてエスカレータの設置が進められ、高架化から1年が経過した昨年11月末に使用を開始しました。

雑色駅高架下の改札内コンコース。右が新たに完成した下り線ホームのエスカレータ。
雑色駅高架下の改札内コンコース。右が新たに完成した下り線ホームのエスカレータ。
※クリックで拡大(3枚合成/1200×512px/73.7KB)

 高架下のコンコースは下り線ホームのエスカレータの使用開始に伴いその部分が拡張された以外は現在のところ大きな変化はありません。改札口は地上時代に上下線ホームで分かれていたものを現在もそのまま流用しており、わずかな距離を置いて西口(旧上り線ホーム)と東口(旧下り線ホーム)の2箇所設置されています。梅屋敷駅と異なり改札口が統廃合されていないのは、当駅の乗降客数が他の普通列車のみ停車の駅と比べて多いためと考えられます。

旧上り線ホームの改札口(西口) 旧下り線ホームの改札口(東口)
左:旧上り線ホームの改札口(西口)
右:旧下り線ホームの改札口(東口)


●雑色~六郷土手(新旧接続部)
六郷土手駅のホーム端から見た切り替え箇所。右の空きスペースが本設下り線の敷設予定地。
六郷土手駅のホーム端から見た切り替え箇所。右の空きスペースが本設下り線の敷設予定地。
(同じ場所の2010年5月16日/2012年10月27日の様子)


 雑色~六郷土手間の新旧切替箇所も平和島駅側と同様に下り線が本来上り線になる場所を、上り線が高架橋外側に設置した仮設桁上を走行しています。下り線の高架化完成後は地上へつながっていた旧下り線の跡地を塞ぎ、そこに下り線を移設する工事が進められています。先週末調査時には床面の設置はほぼ完了しており、まもなく軌道敷設が開始されるものと思われます。

●糀谷駅・糀谷~大鳥居(新旧接続部)
糀谷駅ホーム。2012年の高架化以降大きな変化はない。 糀谷駅高架下のコンコース。旧線路敷で高架橋支柱の設置作業などが続いている。
左:糀谷駅ホーム。2012年の高架化以降大きな変化はない。
右:糀谷駅高架下のコンコース。旧線路敷で高架橋支柱の設置作業などが続いている。


 糀谷駅を含む空港線の京急蒲田~大鳥居間は品川方面・横浜方面双方に列車が走行するため、2010年5月の上り線高架化から2012年10月の下り線高架化までの間単線並列となっていました。この間、地上と高架のホームで列車の走行方向が一定しないため、双方のホームを同一の改札口に接続する必要があることから、現在下り線となっている線路の上に仮設の床面を設置し、下り線のホームを先行して使用していました。また、ホームと地上をつなぐルートは地上のホームを残す必要があったことから、高架橋の外側に仮設の階段とエレベータを設置していました。
 2012年の高架化完了後は単線並列は解消され、上り線ホームも使用を開始しました。高架下では正規の位置に設置できていない橋脚の工事などが続いており、下り線ホームは現在も仮設の階段とエレベータが使用されています。エスカレータの設置用の開口部などは2010年の完成時より準備されていますが、本体の取り付け工事はまだ開始されておらず、いつ完成するのかは不明です。

糀谷~大鳥居間の踏切から高架化区間の終点を見る。右側の高欄も完成した。 同じ踏切から大鳥居駅方向を見る。高架化工事中に設置されていたシーサスは撤去された。
左:糀谷~大鳥居間の踏切から高架化区間の終点を見る。右側の高欄も完成した。
右:同じ踏切から大鳥居駅方向を見る。高架化工事中に設置されていたシーサスは撤去された。


 糀谷駅を出るとすぐに線路は高架橋から地上に降ります。地上との接続部分は2012年の高架化完成時点では高架橋の高欄などが一部未完成でしたが、現在は全て完成済みとなっています。また、糀谷~大鳥居間のほぼ中央には前記した工事途中に品川方面と横浜方面の列車を振り分けていたシーサスクロッシング(両渡り分岐器)が設置されていましたが、これについても不要となったため全て撤去されました。

京急蒲田駅の高架化と並行して行われていた第一京浜と環状8号線の立体交差化も2012年12月に完成を迎えた。
京急蒲田駅の高架化と並行して行われていた第一京浜と環状8号線の立体交差化も2012年12月に完成を迎えた。

京急蒲田駅の脇を通る第一京浜では、京急線の高架化と同時並行する形で環状8号線と交差する南蒲田交差点をアンダーパス(地下)化する工事が進められてきました。京急線の高架化完了から2カ月後の2012年12月9日にこちらの工事もアンダーパス部分が開通を迎えました。空港線の踏切廃止と併せて第一京浜の渋滞はほぼゼロとなり、走行時間の短縮、騒音・大気汚染の低減、緊急車両の現場到達の迅速化による安全性向上など様々な効果が発揮されています。高架化された各駅の仕上げ作業も大詰めを迎えていますので、引き続き完成までの間推移を注目してまいりたいと思います。

▼参考
京急蒲田駅付近の上下線が全線高架化します! - 京急電鉄ニュースリリース(PDF/911KB)
大田区ホームページ:京浜急行線の連続立体交差事業と関連する街路事業
京急本線・空港線の全線高架化による効果|東京都
京急蒲田西口駅前地区第一種市街地再開発事業 | keikama-saikaihatsu.com
12月9日(日)、蒲田立体開通 | 記者発表 | 国土交通省 関東地方整備局

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梅屋敷駅は既に新改札に変更になり、中二階に繋がる階段およびエスカレーター、トイレも使用可能になっています。
糀谷駅は7/19に下り階段とエレベーターと片側(おそらく上り)エスカレーターとトイレが使用開始となるみたいです。
2014/07/07 12:33 | URL | 投稿者:蒲田近隣住民 [編集]
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