相鉄線星川駅高架化工事(2013年9月・2014年4月取材)

カテゴリ:鉄道:建設・工事 | 公開日:2014年05月20日16:03
星川駅4番線に到着する相鉄9000系

相鉄線星川駅と天王町駅では現在高架化工事が行われています。昨年9月と今年4月にこの事業について調査を行いましたので、今回はこの2回分の内容をお届けいたします。

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相鉄線星川駅高架化工事(2012年9月8日取材)(2012年9月21日作成)

■相鉄線星川駅高架化工事の概要


 相模鉄道本線星川~天王町間連続立体交差事業は相鉄本線和田町~天王町間の全長1.9kmを高架化するものです。
 星川駅周辺は保土ヶ谷区役所が存在し、保土ヶ谷区の行政上の中心地となっています。また、駅の南東には1985(昭和60)年に閉鎖された日本硝子横浜工場跡地を利用して野村不動産が開発を行っている「横浜ビジネスパーク(YBP)」が存在し、星川駅の乗降客数は1日当たり2万7千人に上っています。しかし、星川駅は駅前のスペースが狭小でバスなどの乗り入れができず、地域の拠点駅としては不十分な施設となっています。この星川駅を含む和田町~天王町間には9箇所の踏切が存在し、星川2号踏切で交差する市道鶴ヶ峰天王町線を中心に常時激しい交通渋滞が発生しています。特に星川駅は優等列車と各駅停車が接続を行う駅であることから停車時間が長く、この問題は深刻です。
 このため、相模鉄道と横浜市は和田町駅東側の横浜新道付近から天王町駅までの線路を高架化し、踏切を解消するとともに、交差する一部道路の拡幅、線路に並行する道路を新設を行い、交通渋滞の緩和、地域分断の解消、駅周辺の施設との連携強化を図ることとなりました。事業は2001(平成13)年に着工準備採択を受け、翌2002(平成14)年6月5日に都市計画決定、同年9月13日に事業認可がそれぞれなされ、工事が開始されました。

星川駅の高架化前後の断面図 天王町駅の高架化前後(計画変更前後)の断面図
星川駅の高架化前後の断面図(左・1)と天王町駅の高架化前後(計画変更前後)の断面図(右・2)
※クリックで拡大

 高架化着工前の星川駅は島式ホーム2面4線の両側に留置線が3本取り巻く配線となっていました。高架化後は留置線を横浜方の本線脇に移設するため、島式ホーム2面4線が並ぶだけの単純な構造となります。高架橋は2層構造で、2階が改札口、3階がホームとなり、2階の改札口は駅南側の商業ビル(星川SFビル)と直結する予定です。
 一方、天王町駅は環状1号線の立体交差化のため40年前に対向式ホーム2面2線の構造で高架化済みとなっています。当初計画では天王町駅は現在の高架橋を取り壊し、新たに島式ホーム1面2線に全面改築することになっていましたが、用地買収が非常に難航し完成の目途が立たない事態になりました。これを受け、工期の確実性やコスト低減を重視し、現在の高架橋の大半を残したうえでホームや線路の形状を一部変更・かさ上げし、星川駅周辺の高架化区間へ接続する計画に変更されました。
 工事はいずれも現在線の北側に仮線を敷設し、線路を移設して空いたスペースに高架橋を建設するという手法が採られています。ただし、星川駅構内については留置線を含む7線全てを仮線に移設することはスペース的に困難であるため、留置線を2つ隣の西横浜駅構内に移転させたうえで、現在線の真上に高架橋を建設する方法が採られています。
 当初は2012(平成24)年度の完成を目指して開始された星川駅の高架化工事ですが、前述の天王町駅の用地買収難航による大幅な工事の遅れに加え、列車の安全運行に関する追加工事などが必要になったことから、2011年9月に完成予定時期を6年延期の2018(平成30)年度に変更することが決定されました。これに伴い事業費も当初より90億円増の約470億円となりました。

■2013年9月10日・2014年4月5日の様子

●星川駅
星川駅北口前を流れる帷子川から和田町駅方向を見る。(2013年9月10日) 星川駅北口前を流れる帷子川から和田町駅方向を見る。(2014年4月5日)
星川駅北口前を流れる帷子川から和田町駅方向を見る。左(1枚目)が2013年9月10日、右(2枚目)が2014年4月5日の様子で桁が全て繋がり、防音壁の設置が始まっていることが分かる。

 星川~和田町間は2011年夏頃より高架橋の橋脚工事が開始され、2012年以降は完成した部分から床面の設置が行われています。高架橋は鉄道の高架橋で多く見られる柱・梁・床が一体化した構造(ラーメン構造)ではなく、コンクリートの橋脚の上に鋼製の橋桁が載る構造が採用されています。橋桁は桁の下半分を含む全ての面を薄いコンクリートで覆った構造になっており、鋼板をそのまま使う場合に比べて列車が走行する際の騒音・振動の低減が可能となっています。
 2012年以降は道路と交差する部分の橋桁の架設も進んでおり、今年1月には星川駅構内から星川~和田町間の中央にある星川3号踏切までの高架橋がつながりました。高架橋本体の工事が完了した部分から高欄(防音壁)の取り付けも開始されており、遠くからでも高架橋の存在が確認できるようになりつつあります。

星川駅南口の星川SFビル2階のデッキから見た工事中の高架駅。ホーム階はガラスの風防の取り付けが進む。
星川駅南口の星川SFビル2階のデッキから見た工事中の高架駅。ホーム階はガラスの風防の取り付けが進む。2014年4月5日撮影

 星川駅は2007年11月に4番線(上り副本線)が北側の仮線に切り替えられたのを皮切りに、2010年までに4本の線路とホーム全てが仮線への切り替えを完了しています。仮線切り替えと並行して2010年以降は下り線側を中心に高架橋の橋脚を立てる工事が開始されました。星川駅構内の高架橋は橋脚・梁が鋼製で、その上にコンクリートの床板(スラブ)を載せる構造となっています。
 2012年以降は出来上がった橋脚の上に3階の床となるコンクリート板を載せる工事が行われています。この工事は営業中の下り線ホームの真上で行われることから、事故防止のため工場で予め製作したコンクリート板をクレーンで搬入する方法が採られています。床板の設置が完了した2013年以降はホーム本体の工事が進められており、屋根や南側のガラス製風防の取り付けが進んでいるのが確認できます。

星川駅北口前プラザダイゴ2階のデッキから仮設ホームと工事中の高架駅を見る。 ホーム横浜方の端にある天王町3号踏切から駅構内を見る。
左(1):星川駅北口前プラザダイゴ2階のデッキから仮設ホームと工事中の高架駅を見る。
右(2):ホーム横浜方の端にある天王町3号踏切から駅構内を見る。2014年4月5日撮影


 現時点では高架橋の下り線側のみ建設が行われているため、駅の北側からは半分だけ完成したホームの断面がよく見えます。今年4月の調査時にはホーム全長に渡り屋根の設置が完了し、ホーム上では待合室などの付帯設備の工事が行われている様子が見られました。

工事中の高架下にある仮設下りホーム。
工事中の高架下にある仮設下りホーム。2013年9月10日撮影

 一方、高架橋の2階部分はほとんどが地上の線路の走行範囲に重複するため、床板の設置は行われておらず、線路を横断する方向の梁も一部未取り付けとなっています。高架ホームの出入りに必要な階段以外は、下り線が高架化されてスペースができた後に行われるものと思われます。

天王町3号踏切上部の橋桁架設工事。 同じ踏切から横浜方面を見る。
左(1):天王町3号踏切上部の橋桁架設工事。2013年9月10日撮影
右(2):同じ踏切から横浜方面を見る。2014年4月5日撮影


 天王町~星川間は、天王町駅の都市計画変更手続きを待つ必要があったため、一時工事がストップしていましたが、星川駅に近接する部分は進行速度は遅いものの橋桁の架設などが少しずつ行われてきました。2013年9月には星川駅横浜方のホーム端にある天王町3号踏切上部の橋桁、今年1月には駅間中央にある天王町2号踏切上部の橋桁がそれぞれ架設され、現時点で施工可能な部分の高架橋はすべて工事が行われている状況です。踏切以外の高架橋は一般的なラーメン構造となっています。

●天王町
天王町駅の計画変更前後の線形比較。新しい計画ではホーム途中から上り勾配になる。
天王町駅の計画変更前後の線形比較。新しい計画ではホーム途中から上り勾配になる。

 現在の天王町駅は、対向式ホーム2面2線で、星川駅に向かって下り勾配になっています。当初の計画ではこの高架橋は全て取り壊し、新たに星川駅に向かって上り勾配になった島式ホーム1面2線(図中の赤い線)を建設することになっていました。しかし、前述の通り高架橋の拡幅に必要な用地買収が非常に難航し、完成の目処が立たないことから、大幅に計画を見直すことになりました。
 新しい計画では横浜方3分の1の高架橋を残し、上り勾配の開始地点を駅の中央に変更します。(図中の青い線)この際、星川方のホーム先にある天王町1号踏切の桁下高さを当初より下げる必要が生じますが、駅から外れている部分の線路の上り勾配を急にすることにより、道路構造令で定められている最低3.8mの桁下高さを確保できる見通しです。また、現行の高架橋を一部流用するため、ホームの形状も島式1面2線から現行と同じ対向式2面2線に変更されます。星川駅側の高架橋は天王町駅が島式ホームになることを前提に南側に寄った形で完成してしまっているため、天王町駅構内の線路を南側にS字にカーブさせ、完成済みの高架橋に接続する予定です。
 この計画変更により、2018年度の完成予定の確実性が増すほか、5億円程度の事業費縮減が可能とされています。今年1月24日に行われた横浜市の都市計画審議会において、この計画変更案は諮られ無事可決されました。

天王町駅横浜方に建設された仮設ホーム。(2013年9月10日) 天王町駅横浜方に建設された仮設ホーム。(2014年4月5日)
天王町駅横浜方に建設された仮設ホーム。左(1枚目)は建設中(2013年9月10日)、右(2枚目)は使用開始後(2014年4月5日)。

 計画変更後も天王町駅の星川方半分の高架橋は改築が必要であるため、2013年9月に横浜方に2両分仮設ホームを新設し、10両編成の停止位置が横浜方に2両分移動しました。

天王町駅ホーム星川方。 同じ場所の閉鎖後。ホーム本体の取り壊しが進んでいる。
左(1):天王町駅ホーム星川方。2013年9月10日撮影
右(2):同じ場所の閉鎖後。ホーム本体の取り壊しが進んでいる。2014年4月5日撮影


 使用を停止した星川方の旧ホームはその後解体が進められています。現在解体作業が行われているのはホームのみですが今後は線路部分についても軌道を仮設桁に改造した上て解体が行われるものと思われます。

天王町駅停車中の下り列車の前面展望。(2013年9月10日) 天王町駅停車中の下り列車の前面展望。(2014年4月5日)
天王町駅停車中の下り列車の前面展望。左(1枚目)が2013年9月10日、右(2枚目)が2014年4月5日の様子で、右は高架橋の工事が手前に伸びてきていることが分かる。

 天王町駅に近接する駅間の高架橋は、計画変更の確定を待つため一切工事が行われていませんでした。今回計画が確定したことにより、この付近もようやく高架橋の本体工事が着工されました。今後は手前に向かってS字にカーブしながら現在線につながる高架橋が建設されます。

天王町駅構内の架線柱は高さ調整可能な金具に交換された。
天王町駅構内の架線柱は高さ調整可能な金具に交換された。2014年4月5日撮影

 天王町駅構内は現行の高架橋を残す部分を含め、線路や架線の高さが変わるため、架線柱が新品に交換されました。新しく設置された架線はき電線が吊架線で兼用されている「インテグレート架線」が採用されています。架線の支持金具は縦棒が長く、ボルト穴が複数開けられています。このことから、東急東横線代官山駅の工事と同様に工事の進捗に合わせて架線の高さを調整可能にしているものと考えられます。

 一時は完成が危ぶまれた相鉄線星川駅の高架化工事ですが、原因となった天王町駅の計画変更が正式に決定したことから、今後は急速に事業が進展することが予想されます。相鉄線は来る2018年度にJR湘南新宿ラインと東急東横線・目黒線への直通運転を開始しますが、枝線となる横浜~西谷間も重要度は現在とさほど変わらないと見込まれています。星川駅の高架化工事は直通線開業と同じ年の完成が予定されており、相鉄にとって大変革の年になることが予想されます。両事業ともに今後の進捗に引き続き注目してまいります。

▼参考
踏切を減らす(連続立体交差事業)|未来への取り組み|相鉄グループ
横浜市 道路局 企画課 鉄道と道路の立体交差化
相模鉄道本線(星川駅~天王町駅)連続立体交差事業 天王町駅部の計画変更について - 横浜市道路局(PDF/2.23MB)

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