品川駅・旧田町車両センター再開発(2014年5~8月取材/その2)

品川駅5・6番線ホームから見た旧田町車両センター跡地。検修庫はほとんどが取り壊された。

JR東日本では来る2015年3月に開業予定の東北縦貫線(上野東京ライン)の建設と並行して品川駅と隣接する車両基地(旧田町車両センター)の再開発を進めています。5月から8月にかけて再調査した現地の様子をお届けしています。2回目の今回は旧車両基地の現状と今後の品川駅の整備計画、そして現在検討が大詰めを迎えている旧車両基地を含めた品川地区全体の再開発計画について見てまいります。

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品川駅・旧田町車両センター再開発(2013年11月・2014年3月取材/その2)(2014年4月8日作成)

■東北縦貫線と品川駅・田町車両センター再開発の概要
■品川駅7・8番線改築と旧車両基地更地化が進行中
   (5月2日・6月22日・8月16日取材)

●品川駅臨時ホーム7・8番線

→「その1」の記事へ

●旧車両基地
山手線田町→品川の車内から見た旧田町車両センター。徐々に施設の撤去が進む。
山手線田町→品川の車内から見た旧田町車両センター。徐々に施設の撤去が進む。 京浜(急行)線用に準備されていた高架橋。
山手線田町→品川の車内から見た旧田町車両センター。施設の撤去が進む。右下(3枚目)は京浜(急行)線用に準備されていた高架橋。(この3枚は2014年6月22日に撮影したもので、現在は一部の詰め所を除き更地化されている。)

 昨年11月に使用を停止した品川駅北側の旧車両基地(旧田町車両センター・札の辻群線)はその後少しずつ施設の撤去が進められています。6月末時点では敷地内のレールは大方撤去が完了し、一部はアスファルトで舗装されて自動車の乗り入れが可能となっています。検修庫などはこの時点ではまだほとんど手つかずでしたが、7月以降解体作業が行われ、現在は一部の詰所を除いて更地化が完了しています。(冒頭写真参照)
 なお、品川駅寄りには作りかけの高架橋のようなものがありますが、これは戦前に計画されていた京浜急行線(=京浜線(現在の京浜東北線)の急行線。京急電鉄とは無関係。)が東海道線をオーバークロスするために建設されていたものです。戦後京浜急行線の建設は放棄され、用意されていた東京~品川間で用意されていた土地は山手線と京浜東北線の分離運転に流用されましたが、この高架橋は今日に至るまで車両基地の倉庫などに使用されてきました。今後この場所も再開発エリアとなるため、周辺の建物などとともに高架橋は解体・撤去されるものとみられます。

品川駅・新車両基地の完成時の配線図。(東海道線の部分のみ)
品川駅・新車両基地の完成時の配線図。(東海道線の部分のみ)

 今後の品川駅ですが、建設関係の専門雑誌である「土木施工」の2014年4月号において詳しく解説されています。
 それによると、今後は東海道線上りホーム5・6番線についても他のホームと同様に東京寄りを下り線側にカーブした形に改築する計画とされています。5・6番線ホームは臨時ホームとは異なり、駅北側の車両基地には出入りできない独立した配線になります。
 また、7番線の東京寄りの端からは8・9番線と合流して車両基地へ通じる線路の他に東海道線新上り本線に近い位置に合流する線路がもう1本新設されます。(以前この線路は6番線に接続するものと予想していましたが、その予想は外れたことになります。)これは車両基地から品川駅に出庫するルートと7番線から東京方面に発車するルートが重ならないようにするための処理であると考えられます。さらに、この線路から分岐する形で6番線と7番線の間に2本短い留置線が設けられる模様ですが、この線路の使途については言及されておらず不明です。

山手線1・2番線ホームで開始された可動式ホーム柵の設置工事。 山手線1・2番線ホームで開始された可動式ホーム柵の設置工事。
山手線1・2番線ホームで開始された可動式ホーム柵の設置工事。2014年8月16日撮影

 山手線・京浜東北線は後述する再開発のため、品川~田町間の線路が東側に移設される予定となっています。以前、某社がネット上に流出させた資料によると、当初は臨時ホームを1面削減して京浜東北線・山手線ホームを西側に移設することも考えられていたようですが、上記の新しい計画により品川駅については線路が現在の位置のまま不変となることが確定しました。これを受けて山手線ホームでは、現在のホームをそのまま継続使用することを前提にホームドア(可動式ホーム柵)の設置工事が開始されています。

東海道線東京方面から品川駅で折り返す場合の進入・進出ルート
東海道線東京方面から品川駅で折り返す場合の進入・進出ルート

 来年3月から運行される東北縦貫線(上野東京ライン)は品川駅で折り返す列車が多数設定されるものとみられています。前出の専門誌の記事によると品川駅終着列車は、東海道線下りホーム11番線および臨時ホーム9・10番線で折り返すこととされています。実際の配線上もこの3本の線路のみが東京方面から進入可能となっており、この点は以前の記事で予想していた通りとなっています。臨時ホーム7・8番線は東京方面の本線からは直接進入できないため、これまでと同様東海道線や横須賀線の当駅始発・終着列車が使用するものとみられます。

▼脚注
※車両基地の中は信号システムが営業線とは異なるため、原則として営業列車を通過させることはできない。

■山手・京浜東北線に新駅設置・京急品川駅地平化・泉岳寺駅改良も

 昨年11月に品川駅の旧車両基地が閉鎖されたことを受け、跡地の再開発計画に関する議論も活発化しています。以下は東京都やJR東日本が発表している跡地の再開発計画の検討案です。

●品川車両基地跡地再開発のアウトライン
 品川地区の再開発にあたっては、着手に先立ち2011年に「アジアヘッドクォーター特区」に指定されたのに加え、2012年1月には東京駅や渋谷駅周辺地区と合わせて「特定都市再生緊急整備地域」にも指定されています。事業エリアは車両基地跡地のみならず北は田町駅付近、南は北品川駅付近まで及んでおり、合計約180haが開発対象となっています。事業エリアは以下の地図のように「品川駅北周辺地区」「芝浦水再生センター地区」「品川駅街区地区」「品川駅西口地区」の4つのエリアに大別されています。


より大きな地図で 品川・田町地区再開発エリア を表示
<凡例>

茶色のエリア:特定都市再生緊急整備地域
オレンジ色のエリア:品川駅北周辺地区
緑色のエリア:芝浦水再生センター地区
黄色のエリア:品川駅街区地区
ピンク色のエリア:品川駅西口地区
青色のエリア(電車アイコン):山手線新駅
赤色の線:京急線地平化
水色の線:環状4号線延伸部

 再開発は羽田空港へ至近であることや、2027年にリニア中央新幹線の開通が予定されていることから、オフィスビルを中心に建設を行い、外国企業を積極的に誘致していくこととされています。品川駅周辺は西側の駅前広場を改良することに加え、駅北側(旧車両基地)にも高速バスの乗り入れが可能な駅前広場を整備し、交通機関同士の結節機能を強化します。また、旧車両基地を横断する形で山手線の東西を結ぶ道路(環状4号線延伸部)を整備し、全国各地・都内各地双方へのアクセス向上を図る計画です。
 一方、東側は移転が不可能な芝浦水再生センター(下水処理場)が大半を占めていることから、基本的には現状維持になりますが、施設の屋上を利用した公園の整備や、排熱を利用した地域冷暖房システムの拡充などが計画されています。芝浦水再生センターの東側には東京湾に通じる運河が豊富に存在することから、建設されるオフィスビルは形状や位置を工夫し、東京湾からの風を取り込めるよう配慮することになっています。

●山手線・京浜東北線田町~品川間への新駅設置
 再開発エリアへのアクセスを確保するため、山手線・京浜東北線田町~品川間への新駅設置が以前から検討されてきました。そして、今年6月3日のJR東日本の定例社長会見において新駅設置が正式に発表されました。現在発表されている資料によると新駅は田町駅から1.3km、品川駅から0.9kmの地点に設けられ、島式ホーム2面4線で、山手線と京浜東北線がそれぞれ別のホーム(品川駅と同形態)となる計画です。

●都営浅草線泉岳寺駅の拡張
 一方、これとは別に再開発エリアの西側を通る都営浅草線泉岳寺駅についても本事業に合わせて駅施設の大規模改良が計画されています。泉岳寺駅の乗降客数は現在1日当たり約9万人ですが、品川車両基地の再開発完了後は現在の2倍に増加すると予測されています。しかし、泉岳寺駅のホーム幅が5mと狭く、改札口もホームの両端にしかないなど、利用者の増加に対応できない構造となっています。計画では現在の1・2番線(西馬込・京急線方面)ホームを東側に移設してホーム幅を8~10mに拡幅し、合わせてエレベータなどのバリアフリー設備を新設する計画となっています。ホームを拡張する場合、現状の国道15号(第一京浜)の地下に収まりきらないため、周辺の再開発と合わせて用地を確保することも検討されています。

●京急品川駅地平化・2面4線化と北品川駅付近の高架化
京急品川駅。 品川~北品川間にある品川第1踏切(通称八ッ山踏切)。
左(1):京急品川駅。2007年4月15日撮影
右(2):品川~北品川間にある品川第1踏切(通称八ッ山踏切)。2008年2月14日撮影


 JR品川駅に隣接している京急品川駅についてはこれまで特に改良の計画が発表されていませんでしたが、先月東京都より発表された「(仮称)品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン2014(案)」において、駅の地平化・2面4線化が新たに盛り込まれました。
 現在京急品川駅はJR品川駅西側の高架橋上(2階)にホームがあります。京急線のホームは通過可能な対向式ホーム2面2線の西側に行き止まりのホーム1線が付く配置となっています。JR品川駅の橋上駅舎とは下り線ホームのみにつながる構造となっており、京急の上り列車とJR各線を乗り換える場合、ホーム上下にあるコンコースを経由して下り線ホームに出る必要があり、混雑の原因となっています。また、京急品川駅が高架橋上にあるため、JR線の上空を東西に横断する自由通路が西端で分断されており、駅西側にあるホテルなどへ向かう場合、国道15号の横断歩道を利用する必要があるなどアクセス性に難があります。
 京急品川駅が地平化されると、JR線と同様ホーム上空にコンコースが集約されJR・京急間での乗り換えの利便性向上がしす。地平化に合わせてホームの2面4線化も行われる計画となっており、普通・優等列車の接続・追い抜きが可能になるなどがダイヤの柔軟性が増すことが期待されます。また、東西自由通路についても国道15号を越えて駅西側まで延長することが可能となり、周辺の活性化が期待されます。
 さらに、京急品川駅の地平化に合わせて、北品川駅付近の線路を高架化し、品川~北品川間にある品川第1踏切(通称:八ッ山踏切)の廃止と踏切付近の線形改良(半径100m前後の急カーブの緩和)が計画されています。北品川駅が高架化される場合、鉄道の勾配の上限と交差する道路の関係で京急品川駅を現在の位置のままにすることは難しいため、大幅に移設される(恐らく北側に移設される)ことが見込まれます。


品川駅の再開発に関しては今年春以降週単位で次々と新しい情報が発表されており、当ブログでも情報の整理や記事の作成に苦慮しているところです。品川駅の再開発が注目を集める一方、近々新しい答申が発表されると予想される交通政策審議会の検討会議ではJR東日本が休止中の貨物線を利用した羽田空港へつながる新しいアクセス路線の建設を示唆するなど、新たな動きも見られます。2020年のオリンピック開催決定を受けて、激しい変化が起きつつある東京の交通インフラから今後も目が離せません。

▼参考
宇都宮・高崎・常磐線の東京駅乗り入れについて(東海道線との相互直通運転) - JR東日本(2002年3月27日発表)
宇都宮・高崎・常磐線の東京駅乗り入れ工事の着手について - JR東日本(2008年3月26日発表・PDF/62KB)
田町~品川駅間に新駅を設置し、まちづくりを進めます - JR東日本(2014年6月3日発表・PDF/1.41MB

品川駅改良工事(第1回・第2回切換)について - 鉄道と電気技術2012年5月号33~38ページ
東北縦貫線「上野東京ライン」開業に向けて-東北縦貫線計画と開業を見据えた駅改良計画- - 土木施工2014年4月号42~44ページ
品川駅乗降場改修工事-配線変更に伴う供用中の駅ホーム改修- - 土木施工2014年4月号52~54ページ
「アジアヘッドクォーター特区」の指定について|東京都
特定都市再生緊急整備地域の指定の申入れについて/東京都都市整備局
品川・田町駅周辺まちづくりガイドライン2014意見募集|東京都
東京都/浅草線泉岳寺駅(港区)改良/ホーム移設、再開発による用地取得検討 - 日刊建設工業新聞2014年6月4日号
東京都交通局/泉岳寺駅ホーム移設計画/島式から相対式へ、改良設計入札公告 - 日刊建設工業新聞2014年7月10日号

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コメント

7、8番の今後と9,10番の使い方
こんにちは
記事にも書かれてましたが結局7/8番ホームは南北にずれて伸びる形で落ち着きましたね。でもここへ来てホーム上に何やら隔壁が設置されました。8番のみ使用開始して7番は後回しにするようです。8番を先に使用開始し、一方で6番線の使用を止め、6、7番線を同時に仕上げようという意図かもしれません。
ところで改めて全体を見渡すと9/10番線の広さはやはり異様です。常磐特急が乗り入れるので、ここに待合室や売店でも作るのでしょうか?
2014/11/09 23:18 | URL | 投稿者:てつなべ [編集]
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