新橋駅改良工事(2013年12月~2014年6月取材)

カテゴリ:鉄道:建設・工事 | 公開日:2014年08月28日06:00
大屋根の設置が進む新橋駅

JR新橋駅では現在高架橋の耐震補強、コンコースの拡張などを中心とした大規模改良工事が進行中です。前回の記事公開からしばらく間が開いてしまいましたが、昨年12月と今年5月・6月にこの工事の様子について部分的に再調査をしてまいりましたので、今回そのまとめをお届けしたいと思います。

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新橋駅改良工事(2013年5月5日取材)(2013年5月24日作成)

■新橋駅改良工事の概要


 新橋駅は山手線、京浜東北線、東海道線、横須賀線のJR4路線と東京メトロ銀座線、都営浅草線、新交通ゆりかもめの3路線が接続する都内の交通の要衝となっています。また、駅の南には2000年代初めに汐留貨物駅跡地を再開発してできた「汐留シオサイト」のオフィスビル群があり、新橋駅の利用者数はJR東日本全体で第7位の約255,000人(2013年度)となっています。
 JR新橋駅の構造物は山手線・京浜東北線が明治時代にできたレンガアーチ高架橋、東海道線が大正時代にできた鉄筋コンクリート高架橋、横須賀線が昭和中期にできた地下駅により構成されています。このうち地上の高架橋は横須賀線地下駅建設時に一部が改築された以外は建設以来大きな改修がなされておらず、バリアフリー化への未対応やコンコースの狭さによる混雑が問題となっています。来年3月に予定されている東北縦貫線(上野東京ライン)の開業後は、東海道線ホームから上野方面への列車も発着するようになるため、この問題がさらに深刻化することが懸念されています。
 また、地上部分にある高架橋は建設以来一度も耐震補強がなされていません。首都圏では今後30年以内に直下型の大地震が70%の確率で発生すると予測されており、JR東日本では2012年より総額520億円を投じて高架橋や盛土の耐震補強、地震の観測も強化などの新たな対策を進めています。新橋駅についてもその対象に含まれており、先のバリアフリー・混雑緩和対策と合わせて耐震改修を実施することになりました。具体的な改修内容は以下の通りとなっています。

新橋駅の改修箇所
新橋駅の改修箇所
※クリックで拡大

1、駅中央の高架橋を改築し、コンコースを一体化
銀座口~烏森口間のレンガアーチ高架橋をスパンの長い鉄筋コンクリート製の高架橋に改築し、駅の南北で別々となっているコンコースを一体化し、混雑緩和を図る。また、SL広場に面した高架橋はレンガアーチのまま残し、文化遺産としての価値を後世に継承する。

2、バリアフリー対応
改築された高架橋部分を利用して各ホームにエレベータを設置する。

3、高架橋の耐震補強
現状のまま残す東海道線の高架橋とSL広場に面した京浜東北線のレンガアーチ高架橋は鋼板巻き、一面補強、内面にコンクリート巻き立て等により耐震性を向上する。

4、東海道線ホームの拡幅
東北縦貫線の乗り入れにより新たに東京・上野方面への利用者が発生し、混雑が予想される東海道線上り線のホーム中央110mを最大で0.8m拡幅する。また、東海道線ホームの中央に階段・エスカレータを1か所ずつ増設し、混雑緩和を図る。

5、ホーム上空に大屋根を設置
各ホームに設置されている屋根を撤去し、新たに駅全体を覆う鉄骨造の大屋根を設置する。

上記に加えて、東側の地下にある横須賀線ホームについても一般利用が可能なエレベータが無いため、地上~地下1階(改札口)と地下1階~ホームのエレベータが整備される予定となっています。都心部に位置する新橋駅は駅周辺に工事で使用する作業スペースが確保できなかったため、ホームの上空に仮設の作業台を建設し、そこに設置したクレーンを使用して資材の搬出入を行っています。

■東海道線ホームの階段移設完了・大屋根の設置が進行中

※ここから先の写真は特に記載の無い限り2013年12月1日撮影

昨年4月に拡幅された東海道線上り2番線ホーム。軌道の固定や笠石の仕上げが完了した。
昨年4月に拡幅された東海道線上り2番線ホーム。軌道の固定や笠石の仕上げが完了した。

 2013年4月21日に東海道線ホームの拡幅工事が実施されました。東海道線ホーム拡幅工事は上り2番線中央付近約110mの線路を京浜東北線側に移設し、ホームを最大で78cm拡幅するというものでした。78cmという寸法は東京寄りの銀座口上部を通る二葉橋架道橋(外堀通り)と品川寄りの烏森口上部を通る烏森橋架道橋を改修せずに済むギリギリの位置として決定されたものです。
 拡幅直後はホーム先端が仮設となっていましたが、その後順次仕上げの工事が進められ、秋頃には先端の笠石(滑り止めタイル)の貼り付けが完了しました。また、移設のため通常のバラスト軌道のままになっていた2番線の線路がホーム全長に渡りTC型省力化軌道に更新されました。この区間はコンクリートの高架橋と鋼製桁の区間が混在しているため、2種類のPCまくらぎが混用されています。

▼脚注
※TC型省力化軌道:バラスト軌道軌道全体をモルタルで固定し、省メンテナンス化を図ったもの。


東海道線ホームに新設されたエレベータ ホーム中央付近に新設された階段とエスカレータ
左(1):東海道線ホームに新設されたエレベータ
右(2):ホーム中央付近に新設された階段とエスカレータ


 拡幅が完了した東海道線ホームの下では、銀座口側のコンコースと烏森口側のコンコースをつなぐ通路を設置する工事が進められています。この工事の一環で2013年9月1日より銀座口からホーム中央付近の下までコンコースが拡張され、合わせて東海道線ホームに通じる新しい階段・エスカレータとエレベータが使用を開始しました。

銀座口から東海道線ホーム中央の下まで拡張されたコンコース。 途中には日比谷口付近からトイレが移設されている。
コンコースの突き当たりに東海道線ホームへ上がるエレベータ。Uターンすると階段・エスカレータ。
左上(1):銀座口から東海道線ホーム中央の下まで拡張されたコンコース。
右上(2):途中には日比谷口付近からトイレが移設されている。
下(3):コンコースの突き当たりに東海道線ホームへ上がるエレベータ。Uターンすると階段・エスカレータ。

※クリックで拡大(1200×429px/53.1KB)

 銀座口から拡張されたコンコースは銀座口改札前の東海道線ホームへ上がる階段の脇から高架下に入り、そのまま真っすぐ進んで東海道線ホーム中央の真下まで延びています。突き当りには東海道線ホームへ上がるエレベータ、Uターンすると階段とエレベータがあります。コンコース内に建つ東海道線ホームを支える橋脚は全て鋼板巻きにより補強されています。また、日比谷口前の改札内にあったトイレがレンガアーチ高架橋の改築に伴い閉鎖されたため、この新しいコンコースの途中に移転しています。
 当初の計画では2013年度中にさらにこのコンコースを奥に拡張し、烏森口側のコンコースと接続する予定になっていました。しかし、工事が計画より遅れている模様で、現在もコンコースの接続は行われていません。(拡張後のコンコースは、2012年11月に移設された烏森口から東海道線ホームへ上がる階段付近に接続されるものとみられます。)

東海道線ホームの一番東京寄りにある階段の移設工事着工前。 同じ場所の工事中。
移設(階段の向きの入れ替え)工事完了後。
左上(1):東海道線ホームの一番東京寄りにある階段の移設工事着工前。2013年5月5日撮影
右上(2):同じ場所の工事中。
下(3):移設(階段の向きの入れ替え)工事完了後。2014年5月2日撮影


 一方、従来銀座口から東海道線ホームに上がるために使用していた階段は、上記のホーム中央への階段・エスカレータ増設により迂回路が確保されたことから、コンコース拡張と同時に使用停止となり、階段の向きを逆向き(従来は品川駅方向に向かって上りだったものを東京駅方向に向かって上り)に入れ替える工事が行われました。工事は今年4月13日に完了し、使用を開始しています。この階段の向きの変更により、従来ホーム中央付近に固まっていた乗降客が東京寄りのホームにも分散するため、混雑緩和が期待されます。

3~5番線のレンガアーチ高架橋改築の手順
3~5番線のレンガアーチ高架橋改築の手順
※クリックで拡大

 山手線・京浜東北線(3~5番線)ホームについては、現在線路を鉄桁による仮設構造に変更した上で、真下にあるレンガアーチ高架橋を解体し、スパンの長い桁橋に作り替える工事が進められています。レンガアーチ高架橋はワイヤーソー(ダイヤモンドの粉が付いた糸鋸状のカッター)により、高架橋全体を大きく輪切りにすることで解体を行っていますが、基本的に高架下のみで完結する工事であるため、ホーム上からはその様子を見ることはできません。

品川寄りのホーム上空に出現した大屋根。
品川寄りのホーム上空に出現した大屋根。

 一方、高架橋の改築とは別にホーム上空では、駅全体を覆うトラス構造の大屋根の設置工事が行われました。大屋根は日比谷口(外堀通り)から烏森口の上部に設置され、1~4番線の中央付近と、5・6番線の東京寄りの一部を覆う巨大なもので、完成後は現在の各ホーム上に独立して設置されている屋根の一部が撤去されます。

東京寄りの大屋根設置前の様子。 支柱の設置が完了し、大屋根を展開中のところ。
左(1):東京寄りの大屋根設置前の様子。
右(2):支柱の設置が完了し、大屋根を展開中のところ。2014年5月2日撮影


 大屋根の設置に関しても、駅の外で屋根を組み立ててクレーンにより屋根を設置するといった方法はスペースが無いためとれず、ホーム中央の上空に仮設された作業台で組み立てを行い、完成した部分からホーム上空に展開するという方法が採られています。大屋根の設置に先立ち、山手線・京浜東北線ホームでは高架橋の床を貫通する形で支柱を設置する工事が2012年初めより行われ、支柱が完成した品川寄りについては2013年2月~10月にかけて屋根本体の設置が行われました。続いて今年2月からは東京寄りについても屋根の設置作業が行われ、下の写真の通り7月までにその作業がほぼ完了しました。

西側のSL広場から見た大屋根展開中の新橋駅。
西側のSL広場から見た大屋根展開中の新橋駅。2014年6月22日撮影
※クリックで拡大(1200×445px/85.6KB)

 このように新橋駅では駅上空に大屋根が設置される一方、JR東日本の子会社である東京モノレールでは羽田空港アクセス向上策として山手線の線路上空を利用した東京モノレールの東京駅延伸構想を打ち出すといった新たな動きが見られます。新聞社等の報道によると構想は浜松町~新橋間は道路や周辺のビルの上空などに、新橋~東京間山手線西側にそれぞれモノレールの軌道を敷設することとされており、実現した場合新橋駅前や駅本体の上空にも新たにモノレールの軌道が通過することが予想されます。今後の構想の推移に注目したいところです。

▼参考
新橋駅改良計画 - 日本鉄道施設協会誌2011年3月号45~47ページ
新橋駅改良工事-東北縦貫線開業に向けて、より安全で快適な駅へ- - 土木施工2014年4月号48~51ページ
東海道線新橋駅改良工事の着手について - JR東日本プレスリリース(PDF)
首都直下地震に備えた耐震補強対策等の着手と地震観測体制の強化について - JR東日本プレスリリース(PDF)

▼関連記事
新橋駅(概説) - 総武・東京トンネル(19)(2008年8月8日作成)
新橋駅(現地写真(改札外)) - 総武・東京トンネル(20)(2008年8月9日作成)
新橋駅(現地写真(改札内)) - 総武・東京トンネル(21)(2008年8月10日作成)
新橋駅改良工事(2011年3月26日取材)(2011年8月21日作成)
新橋駅改良工事(2012年3月3日取材)(2012年3月26日作成)
新橋駅改良工事(2013年5月5日取材)(2013年5月24日作成)
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