小竹向原~千川間連絡線新設工事(2015年6月20日取材)

千川駅ホーム端から工事中のB線側連絡線を見る

東京メトロ有楽町線・副都心線小竹向原~千川間では2011年より平面交差となっている両路線の分岐部分を立体交差化する工事が進められています。2013年の新木場方面行き線路の立体化完成後は、和光市方面行き線路の立体化が引き続き進められています。6月下旬にこの工事の状況について現地を再調査してまいりましたので、現在の状況をお伝えします。

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小竹向原~千川間連絡線新設工事(2013~2014年2月取材まとめ)(2014年4月11日作成)

■小竹向原駅立体交差化工事の概要
小竹向原駅4番出入口。 小竹向原駅のホーム。
左(1):小竹向原駅4番出入口。2008年6月14日撮影
右(2):小竹向原駅のホーム。2011年1月9日撮影


 小竹向原駅は東京メトロ有楽町線・副都心線と両路線と直通運転を行っている西武有楽町線が乗り入れる、島式ホーム2面4線の地下駅です。有楽町線・副都心線の小竹向原~池袋間は全線に渡り要町通り(都道441号池袋谷原線)の地下を通っており、地下鉄建設と同時並行で用地買収・道路建設が行われました。
 小竹向原駅が開業したのは1983(昭和58)年の有楽町線池袋~営団成増(現・地下鉄成増)間と西武有楽町線小竹向原~新桜台間が開業した時のことです。以後、各方面とも延伸開業を続け、有楽町線は和光市駅で東武東上線に、西武有楽町線は練馬駅で西武池袋線と直通運転を行うようになりました。さらに、1994(平成6)年には有楽町線と同時に建設されていた13号線(現在の副都心線)の小竹向原~池袋間を先行供用する形で有楽町新線が開業し、現在の線路の形態が完成しました。

小竹向原駅東側の有楽町線と副都心線の平面交差のイメージ
小竹向原駅東側の有楽町線と副都心線の平面交差のイメージ

 有楽町線と副都心線が分岐・合流する小竹向原駅の東側(池袋方)は上下線がそれぞれ3線になっています。この6線区間を走る列車のうち、小竹向原駅の外側2線から有楽町線に出入する場合と内側2線から副都心線に出入りする場合、必ず双方のルートが平面交差する配線となっていました。有楽町新線の開業時点は新線側の列車本数が極端に少なかったため、この平面交差が問題になることはありませんでしたが、2008(平成20)年に副都心線が池袋~渋谷間が全線開業し列車本数が大幅に増加すると、交差待ちによる列車の停車が多発するようになり、日々の定時運行すらままならない事態となりました。

東急東横線菊名駅で並んだ東急5050系と東京メトロ7000系。
東急東横線菊名駅で並んだ東急5050系と東京メトロ7000系。2013年8月29日撮影

 副都心線は全線開業から約5年後の2013(平成25)年3月16日より、渋谷から東急東横線への相互直通運転を開始しました。小竹向原駅を改良することなく、この直通運転を開始した場合、平面交差による列車遅延がさらに深刻化することが危惧されました。そこで、東京メトロでは小竹向原駅の平面交差部分に関して以下のような検討を行いました。

1案:平面交差が発生する運行(和光市~有楽町線・西武有楽町線~副都心線)を削減する。
2案:小竹向原駅西側(練馬方)に有楽町線専用トンネルを増築し、立体交差化する。
3案:小竹向原駅東側(池袋方)に有楽町線専用トンネルを増築し、立体交差化する。

詳細な検討の結果、1案は利用者数に偏りが発生し、混雑悪化が懸念されること、2案は地上が住宅地であり、小竹向原駅本体の大規模な改良や用地買収が発生し、コストや工期が増大することが判明したため、既存の道路用地内で工事が完結する3案で改良を進めていく方針とされました。

連絡線の建設位置とトンネルの構造
連絡線の建設位置とトンネルの構造 ※クリックで拡大

 小竹向原駅の立体交差化工事は、小竹向原駅東側の6線区間のさらに外側に有楽町線専用の連絡線を掘り、千川駅直前の地点で地下2階を通る有楽町線ホームに合流させます。連絡線が建設される小竹向原~千川間のうち、小竹向原駅寄りの一部は地上の道路がトンネルになっているため、連絡線の建設区間はこれを避けた千川駅寄りの全長410mの区間とされました。連絡線の中央付近は既存のトンネルの外側に単線のトンネルを建設しますが、地上から掘り下げる開削工法や、一般的な正円形のシールド工法では道路内に収まらないため、縦長の特殊なシールド工法(シールドマシンの模型写真を使って建設されています。また、小竹向原駅側・千川駅側の連絡線の取り付け区間は、既存のトンネルの側壁を取り壊してトンネルを拡幅します。

小竹向原~千川間の連絡線新設のイメージ
小竹向原~千川間の連絡線新設のイメージ

 工事は地上のスペースの問題などからA線(新木場方面行き)・B線(和光市方面行き)同時に行うのは難しいため、朝ラッシュ時の混雑が問題となるA線側を先に建設することとなりました。A線側の工事は2010(平成22)年春に着工され、昼夜兼行の突貫工事を続けた結果、東横線との直通運転の直前である2013年2月9日に連絡線への切り替えが完了しました。
 なお、A線側の工事では取り壊し中の壁の一部がトンネル内に落下して信号ケーブルを切断し、長時間に渡り列車が運転を見合わせるなど、突貫工事ゆえに重大なトラブルが多発していました。この反省からB線側についてはスケジュールに余裕を持たせるため、完成予定が当初計画より1年延期した2015(平成27)年度末とされ、現在も工事が進められています。地上の原状回復を含めたすべての工事が終わるのは2016(平成28)年度の予定です。

■B線側の連絡線がまもなく完成

 A線側の連絡線が開通した2013年春以降は、B線側のトンネル掘削が引き続き進められました。こちらは工期に十分余裕を持たせたことから、大きな事故もなく順調に工事は進んでいます。以下、このB線側の連絡線の建設状況を中心に6月20日(土)に調査した現地の様子をお伝えします。

●千川駅
千川駅のホーム端からB線和光市方面を見る。A線側と同様、トンネル天井が切り抜かれている。 奥をアップ。保守用側線のトンネルが取り壊され、連絡線の軌道敷設が進む。
左(1)::千川駅のホーム端からB線和光市方面を見る。A線側と同様、トンネル天井が切り抜かれている。
右(2):奥をアップ。保守用側線のトンネルが取り壊され、連絡線の軌道敷設が進む。
※クリックで高解像度画像を表示

 B線側もA線側と同様に千川駅のホームが終了した直後に現行の有楽町線の本線と連絡線の分岐器が挿入されます。この部分はもともと保守機材を置く側線が設置されており、連絡線は既存のトンネルを拡幅して設置されます。A線側と同様、側壁だけでなく天井も一部切り取られています。6月訪問時点では、トンネル躯体の加工はほぼ完了しており、連絡線の軌道敷設が進められていました。奥に見える連絡線のトンネルは、A線側と異なりインカーブ側にあるため、軌道が敷設されている部分のほかにもう1つ空間があるのが確認できます。(何に使用するのかは現時点では不明)
 なお、この工事のため有楽町線B線は今年5月30日から来年2月13日までの予定で徐行運転が実施されており、一部列車で運行ダイヤが変更されています。徐行区間は千川駅構内から連絡線の分岐部分にかけてで、45km/h程度の徐行運転となっています。

千川駅1・2番出入口に向かう通路は連絡線の工事に伴い床が嵩上げされた。 1番出入口につながる通路の途中に開けられた工事用の出入口。
左(1):千川駅1・2番出入口に向かう通路は連絡線の工事に伴い床が嵩上げされた。
右(2):1番出入口につながる通路の途中に開けられた工事用の出入口。


 千川駅の和光市寄りの端にある1・2番出入口周辺は、真下に連絡線のトンネルが建設されることから、2012年夏ころより側壁の取り壊しや床の嵩上げなど通路の形状が度々変化しています。A線側に加え、B線側も工事が本格化していることから、6月訪問時は改札口へ向かう通路も含めて床が大きく嵩上げされていました。嵩上げされた部分と元の高さの部分の間はスロープにより接続されています。また、通路の一番奥にあった第1空調機械室と第2空調機械室の間仕切り壁もすべて取り壊されており、白いシートで覆われています。1番出入口へ通じる通路はB線の上を通過しますが、連絡線のトンネル掘削範囲からは外れているため、壁の一部に穴が開けられた以外は大きな変化はありません。

千川駅1・2番出入口周辺の通路変更のお知らせ掲示
千川駅1・2番出入口周辺の通路変更のお知らせ掲示
※クリックで高解像度画像を表示

 1・2番出入口周辺は、6月の訪問以降も工事が続いており、7月からは1番出入口へ通じる通路の位置が変更されています。1番出入口へ通じる通路は、改札口から和光市方面に向かってきた通路の突当りの左側から分岐していました。この部分は真下にB線の連絡線の接続部分があることから、7月下旬~8月末の間この分岐部分を閉鎖し、右側の2番出入口の途中からダ1空調機械室跡地の中を通る仮設の通路が使用されています。この仮説通路は間もなく使用を終了し、9月1日からは元の通路に戻る予定です。

千川駅1番出入口通路の変更イメージ。 千川駅1番出入口通路の変更イメージ。
千川駅1番出入口通路の変更イメージ。

千川駅の地上。A線側の作業帯(左)は廃止になり、B線側に作業帯(右)が設けられた。
千川駅の地上。A線側の作業帯(左)は廃止になり、B線側に作業帯(右)が設けられた。

 千川駅の地上は2013年春以降も一部残工事のためA線側の作業帯が残されていましたが、その工事もすべて終了したことから、A線側の作業帯は完全に廃止となり、B線側の作業帯が拡幅されています。工事が終了したA線側は一部覆工板がなくなり、掘削箇所が埋め戻されています。本格的な路面復旧はB線側の完成後に行われる予定となっており、埋め戻した部分はアスファルトの仮舗装です。

●小竹向原~千川間(駅間)
副都心線和光市方面行き列車の後面展望。右側に工事中の連絡線が見える。
副都心線和光市方面行き列車の後面展望。右側に工事中の連絡線が見える。
※クリックで解説入りの画像を表示

 小竹向原駅側は、6線区間に入った直後のトンネルを左右に拡幅し、現在は副都心線専用となっている一番外側の線路を連絡線に付け替えます。B線側の拡幅部分についても既存のトンネル側壁の切り抜きが完了しており、新しいトンネルの内部では軌道敷設などの開通に向けた準備が進められています。
 なお、線路階の天井はA線側と同様に現在は上層階に渡した仮設の梁から吊り下げる形で支持されています。天井を支える新しい中柱は連絡線への切り替え後現在の線路跡地に設置されます。(詳細は2014年4月公開の記事を参照

B線側の地上作業帯。円筒形の物体は地下の作業現場に空気を送る送風機。 A線側の作業帯は工事終了に伴い機材がなくなった。
左(1):B線側の地上作業帯。円筒形の物体は地下の作業現場に空気を送る送風機。
右(2):A線側の作業帯は工事終了に伴い機材がなくなった。


 地上の作業帯は道路幅が広いため引き続きA・B線両側に設置されています。B線側は地下の作業が続いているため、地上には地下へ下りる階段や空気を送り込む送風機などが置かれています。一方、A線側は工事が終了しているため、地上の機材類はすべて撤収されており、作業帯の空間のみが残っている状態です。A線側はトンネルの埋め戻しが開始されており、完了次第作業帯もなくなるものと思われます。

小竹向原駅側の工事現場脇にある「連絡線展示室」。看板が坑内の写真を背景にしたものに交換された。
小竹向原駅側の工事現場脇にある「連絡線展示室」。看板が坑内の写真を背景にしたものに交換された。

 小竹向原駅側の工事現場脇には、沿線住民向けに工事の進捗状況をPRする「連絡線展示室」が2011年8月より開設されています。工事の進捗に伴い、今回施設の前面に掲出されている看板がトンネル坑内の写真を背景として使用したものに交換されているのを確認しました。


このように小竹向原~千川間の連絡線建設は、B線側についても順調に進んでいることから、今年度中の完成は確実なものとなっています。引き続き、完成まで工事の動向に注目してまいります。

▼参考
東京メトロ:小竹向原駅~千川駅間(有楽町線)連絡線設置工事のご案内
→東京メトロによる連絡線工事の解説。トンネル内での工事の写真なども。
東京メトロ有楽町線・副都心線の安定運行を目的とした線路交差解消の連絡線を計画 - 日本鉄道施設協会誌2010年12月号
東京メトロ有楽町線(小竹向原駅~千川駅)連絡線設置工事について(現地配布のパンフレット)
[現場ルポ]東京メトロ有楽町線小竹向原駅~千川駅間連絡線設置工事 - DOBOKU技士会東京第52号(PDF)

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コメント


こんにちは。
記事、大変興味深く拝読致しました。非常に丁寧に観察されており、工事の様子が大変良く理解できました。
地下鉄線内の工事は、車窓に眺めてもなかなか見えることもなく、外から見る訳にもいかず、全貌を把握するのはまず無理ではないかと思っておりましたので、こちらで初めて、何がどのようになっているのかが理解できました。
次に小竹向原を通ることがあれば、楽しんで暗い車窓を眺めることになりそうです。
他の記事も楽しませて頂きます。
今後とも、宜しくお願い致します。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/?pc
2015/09/14 13:03 | URL | 投稿者:風旅記 [編集]
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