小田急線地下化・複々線化工事2014・2015(2:世田谷代田駅・10両化工事)

10両化に伴い島式ホーム化が決定した代々木八幡駅

小田急線地下化・複々線化工事の2回目の記事です。今回は世田谷代田駅から梅ヶ丘駅にかけての工事の状況についてお伝えします。また、この事業と並行して行われている南新宿駅・参宮橋駅・代々木八幡駅の10両編成対応化工事の概要や現在の状況についてもお伝えします。

1:東北沢駅・下北沢駅の状況はこちら

■駅舎の工事・緩行線のトンネル建設が進む(続き)
●世田谷代田駅
地下化前後の世田谷代田駅の断面図
地下化前後の世田谷代田駅の断面図


 地下化前の世田谷代田駅は、対抗式ホーム2面2線で、改札口はホームの小田原寄りの端にありました。(上り線側は営業時間限定の臨時改札口で、閉鎖時間中は下り線ホームから跨線橋を使い上り線ホームに出入りしていた、)
 地下化完成後の世田谷代田駅は、地下2階が緩行線用の島式ホーム、地下3階が急行線(通過)となります。世田谷代田駅の先は数百メートルで地上に出るため、地下3階の急行線は上り勾配となっており、小田原寄りの駅端では急行線のトンネルが緩行線のホーム下に食い込んでいます。一方、新宿寄りは下北沢駅まで続くシールドトンネルの発進・到達立坑になっていたため、上下線の間に1列壁が立つのみとなっています。
 現在は地下3階の急行線のみが完成しているため、地下2階の緩行線ホーム予定地の一分を改札口スペースとして使用し、地下3階の急行線両側の空間に仮設ホームを設置しています。地下2階・地下3階をつなぐルートもトンネルを暫定的に拡幅して確保しており、エスカレータは設置されていません。

旧世田谷代田1号踏切から世田谷代田駅を見る。地上の線路跡に駅入口の通路が移設された。
南側の道路から入る通路との合流部分。 南側の道路から入る通路との合流部分。
上(1):旧世田谷代田1号踏切から世田谷代田駅を見る。地上の線路跡に駅入口の通路が移設された。(同じ場所の2013年10月12日の様子
左下(2):南側の道路から入る通路との合流部分。
右下(3):地下化当初からある仮設階段。奥に進むとエレベータ・エスカレータがある。


 世田谷代田駅の地上は2013年10月の訪問時には旧軌道やホームなどの設備の撤去がほぼ完了していました。その後、後述する本設エスカレータの使用が開始に合わせて、これらの施設を大きく迂回する形で設置されていた通路が移設され、線路跡を直線的に通過するレイアウトに簡略化されました。

2014年7月22日より使用を開始した本設エスカレータ。 本設エスカレータ内は壁や天井のパネル取り付けが完了している。
本設エスカレータを地下2階側から見たところ。トンネルの左右中心に設置されている。 本設エスカレータと閉鎖された仮設上りエスカレータ。(右側のシャッター)
左上(1):2014年7月22日より使用を開始した本設エスカレータ。
右上(2):本設エスカレータ内は壁や天井のパネル取り付けが完了している。
左下(3):本設エスカレータを地下2階側から見たところ。トンネルの左右中心に設置されている。
右下(4):本設エスカレータと閉鎖された仮設上りエスカレータ。(右側のシャッター)


 世田谷代田駅は用地が狭いため、2013年の地下化時には地上と地下を連絡するルートに下りエスカレータが設置されませんでした。このため、地上から地下へ降りる場合106段もある仮設階段を利用するか、1機しかないエレベータを利用する必要があり、不便な状態となっていました。地上では旧駅施設の撤去が完了して本設の駅舎の建設が本格化しており、正規の位置にエスカレータが設置できたことから、昨年7月22日(火)に本設の上下エスカレータの使用が開始されました。
 本設のエスカレータは従来の仮設上りエスカレータよりやや南側に上下セットで設置されています。世田谷代田駅は完成時、地上に改札口が設置されることから、このエスカレータは最終的に「地上改札口と緩行線ホームをつなぐルート」になります。そのため、エスカレータはトンネルの左右方向中心(緩行線ホームの中心)に合わせて設置されており、上下のエスカレータの間に柱が入るレイアウトになっています。この部分は今後追加で工事をする予定は無いため、壁や天井の照明等の内装類も完成した状態になっています。
 なお、その後地上の駅舎の工事は順調に進んでいることから、来る2015年8月29日(土)に駅舎の一部の使用を開始し、改札口が地下2階から地上へ移転する予定になっています。駅舎切替後、地下2階は本来の用途である緩行線ホームへの転用に向けた工事が本格化することになります。


左(1):新宿寄りの歩道橋から緩行線のトンネル掘削作業を見る。
右(2):同じ歩道橋から世田谷代田駅構内を見る。換気塔などの工事が進む。


 新宿寄りの地上では旧ホーム跡地で換気塔や非常階段の出口建屋の建設といった仕上げが行われています。また、下北沢~世田谷代田間では急行線のシールドトンネルの上層に開削工法で緩行線のトンネルを建設する工事が本格化しています。

●梅ヶ丘駅付近
環状7号線を跨いでいた鉄道橋は撤去が完了し、新たに道路橋が架けられた。 梅ヶ丘→世田谷代田の上り列車の前面展望。急行線両側で緩行線の軌道敷設が進む。
左(1):環状7号線を跨いでいた鉄道橋は撤去が完了し、新たに道路橋が架けられた。
右(2):梅ヶ丘→世田谷代田の上り列車の前面展望。急行線両側で緩行線の軌道敷設が進む。


 世田谷代田駅を出ると、すぐに環状7号線と交差します。環状7号線は地上の小田急線をアンダーパスする形で立体交差化が完了しており、トンネルはそのアンダーパスのさらに下に建設されました。小田急線の地下化後、環状7号線を上越ししていた小田急線の鉄道橋は撤去され、新たに周辺の生活道路どうしを接続する幅の狭い道路橋が架けられました。この道路橋は公募により「代田富士見橋」と命名され、今年4月28日(火)より通行可能となっています。
 環状7号線を過ぎると北沢川(暗渠)が流れる谷状の地形を利用して線路が地上へ出ます。この部分は2013年10月の訪問時には地上の線路を載せていた仮設桁が全て撤去されており、昨年12月の訪問時には早くも緩行線の軌道敷設が進んでいました。緩行線の線路は今後そのまま高架橋上にある梅ヶ丘駅構内まで延長され、外側の緩行線ホームへ接続されます。

▼参考
複々線化事業|鉄道事業|事業案内|会社案内|企業・IR・採用情報|小田急電鉄
シモチカ ナビ
北沢総合支所管内の街づくり - 世田谷区
環状七号線横断橋の名称について - 世田谷区
→世田谷代田駅西側の代田富士見橋の名称決定について

■新宿~代々木上原間の10両対応工事
 代々木上原~梅ヶ丘間の複々線化が完了すると、連続立体交差事業区間の全駅で10両編成の停車が可能になることから、小田急では近郊区間(新宿~新松田・唐木田)の各駅停車を10両編成に増車することを計画しています。このため、小田原線の南新宿・参宮橋・代々木八幡の3駅と多摩線の五月台・黒川の2駅についてホームの長さを現行の8両から10両に延長する工事を行っています。このうち、南新宿駅と多摩線の各駅については2013年までに工事が完了しており、昨年3月15日のダイヤ改正より多摩線内を走る各駅停車の一部が10両化されています。引き続き参宮橋駅と代々木八幡駅について工事が行われているため、その状況についてお伝えします。

▼脚注
※はるひ野駅は2004年の開業当初から10両分のホームが建設済み


●参宮橋駅
完成した参宮橋駅のホーム延長部分
完成した参宮橋駅のホーム延長部分(同じ場所の2012年6月23日/2013年1月27日の様子)

 参宮橋駅では、2012(平成24)年よりホームを小田原方面に2両分延長する工事が行われてきました。2014年までにこの工事はほぼ完成しており、現在は使用しない部分を仮設の柵で区切って立ち入り禁止扱いとしています。

●代々木八幡駅
山手通り下から見た代々木八幡駅の全景。
小田原寄りの踏切から駅構内を見る。 代々木八幡駅と山手通りの間にある代々木八幡1号踏切。今後後ろに見える山手通り陸橋下に移設される。
上(1):山手通り下から見た代々木八幡駅の全景。
左下(2):小田原寄りの踏切から駅構内を見る。
右下(3):代々木八幡駅と山手通りの間にある代々木八幡1号踏切。今後後ろに見える山手通り陸橋下に移設される。


 現在の代々木八幡駅は山手通り東側に対向式ホーム2面2線を持ち、改札口は上下線とも小田原寄りのホーム端にあります。代々木八幡駅のすぐ先では、東京メトロ千代田線が小田急線の上下線間に割って入ってくるため、代々木八幡駅構内は小田原方面に行くに従って上下線間隔が大きく広がっています。駅構内は全長に渡り半径200m以下の急カーブとなっており、通過列車でも45km/h程度まで速度を落とします。
 代々木八幡駅の10両化については、これまで小田急電鉄の設備投資計画等で言及はされるものの、実際の工事には着手されない状態が続いてきました。これは周辺住民の反対(何に反対していたのかは不明)があったためと言われています。その後、やはり経緯は不明ですが2014年中に渋谷区や警察等関係機関との協議が整った模様で、区議会議員の活動報告等で徐々に代々木八幡駅の10両化に関する情報が明らかにされるようになりました。

代々木八幡駅の10両化後のレイアウト
代々木八幡駅の10両化後のレイアウト

 それによると、現行の対向式ホームは廃止し、ホームを小田原方面に2両分延長した上で上下線間に移設して島式化します。これに伴い、現在小田原寄りのホーム先にある代々木八幡1号踏切は、山手通り下に移設されます。あわせて駅舎は線路上空に移設して駅の南北から階段・エレベータ等で出入りできるようにし、さらに小田原寄りで線路上空を交差している山手通りの陸橋から直接駅へ出入りできるよう、ホーム上空に通路を設置することとされています。

4月30日で閉店した南口(下り線ホーム改札口)の売店
4月30日で閉店した南口(下り線ホーム改札口)の売店

 6月28日訪問時は、まだ特に工事等は行われていませんでしたが、改札口前にあった売店や宝くじ売り場が閉店していました。閉店期日はともに春頃となっており、時期的にホーム延長工事の着工準備であると見て間違いなさそうです。
 続いて7月上旬には、地元住民への工事説明会も開催されたようで、完成予想図等が掲載されたパンフレットも配布されたことが上原銀座商店街のTwitter等複数の地元サイトにおいて報告されています。工事期間は今年度から2018年8月頃までのおおむね3年間で計画されており、新宿口の各駅停車10両化に向けた準備が大詰めを迎えることになります。

次回はこの小田急線複々線化工事に合わせて行われている、東京メトロ千代田線を経由した小田急線とJR常磐緩行線の相互直通運転に向けた車両改造の動向についてお伝えします。

▼参考
2015年度の鉄道事業設備投資計画 - 小田急電鉄ニュースリリース(PDF/531KB)
渋谷区議会民主党議員吉田かよこ氏公式サイト活動報告(平成26年9月)(PDF/519KB)
→2・3ページに代々木八幡駅ホーム延伸工事について
上原銀座商店街@代々木上原(@ueharaginza)さん | Twitter
代々木八幡駅改良工事パンフレット(表紙:7月10日投稿)
代々木八幡駅改良工事パンフレット(内側:7月12日投稿)

▼関連記事
小田急線複々線・連続立体交差化工事(1・完成区間)(2010年1月30日作成)
小田急線複々線・連続立体交差化工事(2・工事中区間)(2010年2月1日作成)
小田急線複々線・地下化工事(2011年・2012年取材まとめ)(2012年2月1日作成)
小田急線地下化&ホーム延長工事(2012年6月23日取材)(2012年7月3日作成)
小田急線地下化工事(2013年1月27日取材)(2013年3月8日作成)
小田急線地下化完成(その1:概要・代々木上原駅~東北沢駅)(2013年4月29日作成)
小田急線地下化完成(その2:下北沢駅)(2013年5月1日作成)
小田急線地下化完成(その3:世田谷代田駅~梅ヶ丘駅・今後の計画)(2013年5月4日作成)
小田急線地下化・複々線化工事(2013年10月12日取材)(2014年5月31日作成)
小田急線地下化・複々線化工事2014・2015(1:東北沢駅・下北沢駅)

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コメント

各駅停車10両編成で
各駅停車10両化で、新宿駅での折り返しがスムーズになります。上り各駅
停車が折り返し、急行や快速急行なったり。
同じく上り急行や快速急行が折り返し各駅停車になれば、ダイヤがスムーズ
になります。
現在、小田原方面からの快速急行が新宿手前からで鈍足になり、下り快速急
行の発車後の入線になってます。折り返しが各駅停車なら地下ホームにスム
ーズに入線できます。後続の各駅停車を折り返し快速急行にできます。
ダイヤが乱れたときも効果的です。
2016/06/13 08:50 | URL | 投稿者:サカ [編集]
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