小田急線複々線・10両化工事(2016年6月取材[2]登戸駅・代々木八幡駅)

ホーム延伸に伴い移設される代々木八幡1号踏切

小田急線複々線・10両化工事のレポートの続きです。2回目の今回は、1番線(下り緩行線)の工事がスタートした登戸駅の状況と10両編成に対応するため駅施設の全面改築がスタートした代々木八幡駅の状況をお届けいたします。(取材日は登戸駅が6月11日(土)、代々木八幡駅が6月9日(木)です。)

[1]東北沢駅・世田谷代田駅の様子はこちら

■登戸駅1番線の工事がスタート
和泉多摩川駅のホーム端から複々線化工事中の多摩川橋梁を見る。現在の上り線の橋梁が先に完成していた。
和泉多摩川駅のホーム端から複々線化工事中の多摩川橋梁を見る。現在の上り線の橋梁が先に完成していた。2008年10月19日撮影

 複々線化工事着工前和泉多摩川駅から向ヶ丘遊園駅手前までの区間は、途中多摩川を渡る橋梁があるため、盛土などにより高架化されていました。この盛土高架は現在よりも高さが低く、多摩川の堤防部分には踏切がありました。複々線化後は多摩川橋梁を含めたこの区間の構造物が全面的に改築され、線路の高さも旧来より若干高い位置に移設されました。

未完成の登戸駅1番線。土地が確保されている部分のみ線路敷設スペースが確保されている。
未完成の登戸駅1番線。土地が確保されている部分のみ線路敷設スペースが確保されている。
未完成の登戸駅1番線。土地が確保されている部分のみ線路敷設スペースが確保されている。
未完成の登戸駅1番線。土地が確保されている部分のみ線路敷設スペースが確保されている。

 この区間の途中にある登戸駅についても、対向式ホーム2面2線から最終的に島式ホーム2面4線に改築される計画となっています。4線化に必要な土地は川崎市が施工主体となっている登戸土地区画整理事業により確保される計画となっていますが、この区画整理事業は今年2月に事業施工期限が2026(平成38)年3月まで10年延長されるなど進捗が大幅に遅れているため、現在に至るまで4線化に着手できない状態が続いています。2009(平成21)年3月には、確保済みの土地を最大限活用して上り線のみ複線化を完了させていますが、下り線が単線のままであるため複々線区間の末端で優等列車と各駅停車が同時に乗り継ぎできないなどダイヤ・サービス上の大きな足枷となっています。

登戸駅下り線ホームの小田原寄り。将来1番線を合流させることを想定した高架橋・軌道構造になっている。 高架橋外側から同じ部分を見たところ。高架橋を拡幅可能な構造になっている。拡幅予定地は現在雑居ビルが立ち並んでいる。
左(1):登戸駅下り線ホームの小田原寄り。将来1番線を合流させることを想定した高架橋・軌道構造になっている。
右(2):高架橋外側から同じ部分を見たところ。高架橋を拡幅可能な構造になっている。拡幅予定地は現在雑居ビルが立ち並んでいる。


 現在の登戸駅のホームは、下り緩行線の高架橋がホームの途中まで完成しており、ホーム番号もこの線路(1番線)が欠番となっています。完成済みの高架橋既に将来の高架橋や線路の継ぎ足しは考慮した設計がなされており、下り急行線(2番線)の小田原寄りは将来1番線との合流部分を作れるようバラスト軌道になっているなどの準備構造が多数見られます。なお、この先向ヶ丘遊園駅までの複々線化※1は長期的に考えられてはいますが、下り線側の沿道は前述の区画整理事業の対象にはなっておらず、現地を見た限りでも用地の確保は特に行われていないように見受けられました。

▼脚注
※1:2000(平成12)年の運輸政策審議会第18号答申にある通り、最終的には6.3km先の新百合ヶ丘駅まで複々線化が検討されている。


下り線ホーム新宿方で製作中の仮設ホーム 下り線ホーム新宿方で製作中の仮設ホーム
下り和泉多摩川→登戸の前面展望。多摩川橋梁上の下り緩行線の軌道は敷設済みとなっており、急行線合流部から先は「安全側線」として機能している。 登戸駅小田原寄りの高架下の駐車場は、高架橋拡幅工事着手のため5月15日から立入禁止となった。
左上・右上(1・2):下り線ホーム新宿方で製作中の仮設ホーム
左下(3):下り和泉多摩川→登戸の前面展望。多摩川橋梁上の下り緩行線の軌道は敷設済みとなっており、急行線合流部から先は「安全側線」として機能している。
右下:登戸駅小田原寄りの高架下の駐車場は、高架橋拡幅工事着手のため5月15日から立入禁止となった。 


 1番線の延長予定地は、前出の写真の通りまだ雑居ビルが3棟営業中です。しかし、今年4月に小田急電鉄から発表された鉄道事業設備投資計画において登戸駅1番線の整備着手が発表され、直後に登戸駅ホーム小田原寄りで仮設ホームの製作が開始されました。仮設ホームは2.5両分ほどの長さがあり、下り列車の停止位置を新宿方に移動させて小田原寄りのホームの一部を取り壊し、1・2番線の合流部分を作れるようにする目的があるとみられます。
 なお、現在の下り緩行線と急行線の合流部は多摩川橋梁上にありますが、将来登戸駅が4線化されることを見越して合流部の先も登戸駅のホーム直前まで下り緩行線の軌道が敷設済みとなっていました。この部分には、緩行線から急行線に入る列車が万一停止信号を過走した際、列車を敢えて誤進入させ脱線・停止させる「安全側線」として機能しており、途中には摩擦式の緩衝器も設置されていました。(→2011年1月15日に撮影した登戸駅ホーム手前の様子)仮設ホームの製作開始後はこの安全側線の末端部のレールと緩衝器が撤去されています。
 一方、登戸駅の小田原寄りは5月15日夕方以降高架下の駐車場の一部が立入禁止となりました。高架橋拡幅工事の着手は、予定地にある雑居ビルの立ち退き・解体の進捗次第になりそうですが、近日中に何らかの変化があるものと思われます。

■代々木八幡駅の10両化工事も本格化
※この先画像が11枚(654KB)あります。画像はスクロールに従って自動で読み込まれます。(JavaScriptが有効の場合のみ)データ容量にご注意ください。


ホーム延長工事が完了した南新宿駅。 同じく延長工事が完了した参宮橋駅。
左(1):ホーム延長工事が完了した南新宿駅。2012年6月23日撮影
右(2):同じく延長工事が完了した参宮橋駅。2015年6月28日撮影


 2017年度に代々木上原~梅ヶ丘間の複々線化が完了すると、連続立体交差事業区間の全駅で10両編成の停車が可能になるため、小田急では近郊区間(新宿~新松田・唐木田)の各駅停車を現在の8両編成から10両編成に増結することを計画しています。このため、小田原線の南新宿・参宮橋・代々木八幡の3駅と多摩線の五月台・黒川の2駅※2について、ホームの長さを現行の8両から10両に延長する工事を行っています。このうち、代々木八幡駅以外の各駅については工事が完了しており、2014(平成16)年3月15日のダイヤ改正では多摩線内を走る各駅停車の一部が10両化されました。

▼脚注
※2:はるひ野駅は2004年の開業当初から10両分のホームが建設済み


代々木八幡駅の10両化後のレイアウト
代々木八幡駅の10両化後のレイアウト

 昨年以降は残る代々木八幡駅の10両化工事が進められています。代々木八幡駅はホームの両端が踏切に挟まれており、そのままではホームを延長することができません。そこで、小田原寄りにある代々木八幡1号踏切をホーム端から離れた山手通りの陸橋下に移設し、延長スペースを確保します。同時に、現在の対向式ホーム2面2線は廃止し、新たに上下線間に10両編成対応の島式ホームを新設します。さらに駅舎についても橋上化し、バリアフリー化を図るとともに山手通り陸橋から直接駅へ入れるようホーム上空に通路を新設します。

10両化工事が開始された代々木八幡駅。上下線の間に重機や資材が大量に置かれている。 10両化工事が開始された代々木八幡駅。上下線の間に重機や資材が大量に置かれている。
10両化工事が開始された代々木八幡駅。上下線の間に重機や資材が大量に置かれている。

 代々木八幡駅は、昨年4月調査時に駅舎周辺の店舗が閉店しているのを確認していましたが、秋頃からは上下線の間に重機や資材が大量に搬入されるようになり、ホーム建設に向けた支障物の移設や軌道・ホームの構造変更(まくらぎの木製化やホームの仮設化)などが進められています。

解体中の旧北口駅舎 ホーム中央に新設された仮設北口駅舎
上り線ホームの旧北口跡。跨線橋の階段も閉鎖されている。 新宿方に延長された上り線ホーム
左上(1):解体中の旧北口駅舎
右上(2):上りホーム中央に新設された仮設北口駅舎
左下(3):上り線ホームの旧北口跡。跨線橋の階段も閉鎖されている。
右下(4):新宿方に延長された上り線ホーム


 さらに、今年4月12日(火)始発からは、上り線ホームの小田原寄り端にあった北口改札が閉鎖となり、ホーム中央付近に仮設の北口改札が新設されました。同時に、北口改札を入ってすぐのところにあった跨線橋の階段も閉鎖されています。(ホームを奥に進んだところにもう1か所階段があるため、跨線橋自体はまだ使用可能。)また、上り線ホームの小田原寄り0.5両分ほどが閉鎖となり、新宿方に0.5両分ほどの長さの仮設ホームが作られ、停止位置が移動しました。使用を終了した旧北口駅舎は取り壊しが進められており、今後橋上駅舎建設のためのスペースとして使われることになります。

下りホーム端にある南口駅舎(2015年4月28日) 下りホーム端にある南口駅舎(2016年6月9日)
下りホーム端にある南口駅舎。左が2015年4月28日、右が2016年6月9日の様子で、ほとんどが解体され仮設になっていることがわかる。

 下り線ホーム端にある南口駅舎についても、建物の解体・仮設化が進められています。改札の有人通路は改札外側から見て右側から左側に移転しています。

順番は前後しましたが、次回は6月9日(木)に開催された下北沢駅の報道公開の模様を中心にお届けします。

[3]下北沢駅報道公開の様子はこちら

▼参考
複々線化事業|鉄道事業|事業案内|会社案内|企業・IR・採用情報|小田急電鉄
2016年度の鉄道事業設備投資計画 - 小田急電鉄ニュースリリース(PDF/594KB)
川崎市:登戸土地区画整理事業

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小田急線地下化・複々線化工事(2016年1月8日取材)(2016年3月25日作成) このエントリーをはてなブックマークに追加
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コメント


向ヶ丘遊園までの複々線化の件で、下り線側が区画整理の対象になっていないとの事ですが、上り線側は区画整理の対象になっているようです。
このことから、今の上り急行線は、本来下り急行線として使用する予定で、今の上り緩行線は、上り急行線とし、その外側に上り緩行線を新たに敷設する計画であると予想したのですが、いかがでしょうか。
2016/06/30 03:57 | URL | 投稿者:入力してください
各駅停車10両編成で
代々木八幡10両化により、八両編成は不要になります。
現在の小田原方面からの快速急行が新宿手前で、下り小田原方面行きの
快速急行の発車後の入線になっています。
この時、下り小田原方面行きの快速急行の隣には小田原方面行きの急行が
いますので、下り小田原方面行きの快速急行が出るまでは満線になっています。
各駅停車が10両化で、小田原方面からの快速急行が折り返し各駅停車なら、
すんなり地下線に入線できます。この後の各駅停車が折り返し快速急行になれば
スムーズに入線できると思います。
各駅停車が10両化により中途半端な輸送力の八両編成は不要になります。


2016/07/20 18:17 | URL | 投稿者:HS [編集]
開成~足柄の10両ホーム化
江ノ島線の6両ホームの駅と違い、開成~足柄の各駅はホーム延伸用地は十分
あると思います。
この各駅も10両ホーム化で、●急行も10両化になり、小田原発初電急行も
相模大野行が新宿行にすることが出来ます。
日中は、快速急行がこの間通過で、急行が●急行にすることにより
新松田折り返しも大幅に減らす事が出来ます。
現在の小田原発の快速急行は毎時2本が3本で完全な20分毎になります。
各駅に停まる本数が4本が3本に減りますが、10両化で輸送量は増えます。
6両が残るのは、江ノ島線のみとなります。
省エネ車両ですので、両数が増えても電気代の影響は少ないと思います。

2016/08/05 19:49 | URL | 投稿者:HS [編集]
快速急行新松田行きは
快速急行新松田行で、新松田乗り換えで小田原まで行くと
次の急行が後から直ぐに到着する。
新宿では直ぐ後に出ますが、結局所要時間が変わらない。
上記の運行になれば良いと思います。
2016/11/15 06:27 | URL | 投稿者:HS
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