東急大井町線急行7両化工事(2017年10月7日取材)

二子玉川駅2番線の7両用停車目標

東急電鉄では、今年度中に大井町線の急行列車を、混雑緩和のため現行の6両編成から7両編成に増車することを計画しています。大井町線内の急行停車駅では、これに向けてホームの延伸工事が進められています。今年3月にこの工事について調査を行いましたが、その後も順調に工事が進み、7両化に向けた準備が最終段階を迎えています。先週末この工事について再調査を行いましたので、現地の様子をお届けします。

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■東急大井町線急行7両化の概要
大井町線の急行専用車両6000系電車
大井町線の急行専用車両6000系電車。2008年3月16日、二子新地駅で撮影。

 東急大井町線は東京都品川区のJR京浜東北線大井町駅から、東横線の自由が丘駅を経由し、世田谷区の二子玉川駅に至る全長10.4kmの路線です。2009(平成21)年には二子玉川駅で接続する田園都市線の混雑緩和対策として、二子玉川~溝の口間が複々線化され、大井町線の電車が終日溝の口駅まで乗り入れるようになりました。また、大井町線内でも信号システムのATC化、旗の台駅・上野毛駅への追い抜き設備新設などの改良が実施され、溝の口延伸に先立つ2008(平成20)年に急行が新設されました。急行の停車駅は大井町・旗の台・大岡山・自由が丘・二子玉川で、原則として6両編成の専用車両(6000系)により運行されています。これにより、田園都市線から品川方面へ向かうバイパスルートが形成され、田園都市線(池尻大橋→渋谷)の混雑率は延伸前の198%から184%(2016年度)へ緩和されています。

自由が丘駅に掲出されたホーム延伸工事のお知らせ
自由が丘駅に掲出されたホーム延伸工事のお知らせ。2016年12月30日撮影

 田園都市線から大井町線への利用者の転移が進んだ結果、大井町線(九品仏→自由が丘)の混雑率は172%(2016年度)と上昇しています。特に朝ラッシュ時の急行列車は混雑が激しくなっていることから、東急電鉄では急行を現行の6両編成から7両編成に増結することを計画しました。急行停車駅のうち、大井町・旗の台・自由が丘の3駅はホームが6両分ギリギリしかなかったため、ホームの延長工事を行います。工事は昨年10月以降順次着工しており、今年度中の急行全列車7両編成化を予定しています。(詳細後述)

■ホーム延伸はほぼ完成

昨年10月から始まった大井町・旗の台・自由が丘の3駅のホーム延伸工事は順調に進んでいます。10月7日(土)に調査したこの3駅の様子を中心に現地の様子を見てまいります。

●大井町駅
延伸工事が完了した大井町駅ホーム先端。 延伸されたホームには、従来と同じホームドアが設置されている。
左(1):延伸工事が完了した大井町駅ホーム先端。
右(2):延伸されたホームには、従来と同じホームドアが設置されている。


 大井町駅は、2000年代初頭に地下でりんかい線大井町駅が建設された際高架橋を全面改築しており、その時点で将来の6両編成の乗り入れに対応したホームが整備されていました。また、ホーム自体は6両編成分の長さだったものの、折り返し運転に必要なシーサスクロッシングは駅からかなり離れた場所に設置されており、信号システムが正しく動作しないことを無視すれば10両編成まで入線可能となっています。このため、東横線のホームドア輸送などの際実際に10両編成が入線したことがあります。
 このように大井町駅はかなり余裕をもったレイアウトになっているため、7両化では単純にホーム床面を二子玉川方へ1両分延長するだけとなっています。今年3月調査時はホーム床板の設置が進められていましたが、その後屋根など他の部分の工事も進められ、今月調査時にはホームドア(可動式ホーム柵)の設置まで完了していました。大井町駅では、2012(平成24)年に東急車両製造製のホームドアが設置されていました。その後東急車輛製造は、経営権がJR東日本に譲渡され、社名も総合車両製作所(J-TREC)に改称されています。今回増設されたホームドアは、従来品と同仕様となっていますが、製造メーカーの表記はなくなっています。

●旗の台駅
旗の台駅大井町方で行われているホーム延伸工事。こちらは延伸用ホームがかなり短い。 旗の台駅大井町方で行われているホーム延伸工事。こちらは延伸用ホームがかなり短い。
二子玉川方で行われているホーム延伸工事。将来のホームドア設置のため、点状ブロックは埋め込まれていない。 二子玉川方で行われているホーム延伸工事。将来のホームドア設置のため、点状ブロックは埋め込まれていない。
上(1・2):旗の台駅大井町方で行われているホーム延伸工事。こちらは延伸用ホームがかなり短い。
下(3・4):二子玉川方で行われているホーム延伸工事。将来のホームドア設置のため、点状ブロックは埋め込まれていない。


 旗の台駅は池上線の上を大井町線が斜めに交差するレイアウトになっています。大井町線ホームは2008年の急行運転開始時に対向式ホーム2面2線から島式ホーム2面4線に改修されており、終日急行の追い抜きが実施されています。旗の台駅の7両化では大井町方・二子玉川方双方にホームを延長します。今年3月調査時は双方の予定地でホームの基礎を埋め込む工事が行われていましたが、今月調査時は床面と屋根の骨組みの設置が完了し、残るは屋根の本体となる膜もしくは板を設置するのみとなっていました。
 なお、東急電鉄では2019年度までに東横線・田園都市線・大井町線の全64駅にホームドアを設置することを計画しています。このため、今回設置された延伸用ホームには点状ブロックが埋め込まれていません。東横線10両化時と同様、この部分はホームドア設置までの間接着式の点状ブロックを使用するものと思われます。

●自由が丘駅
自由が丘駅二子玉川方で行われているホーム延伸工事。 延伸ホームの点状ブロックは将来のホームドア設置を意識したレイアウトになっている。
左(1):自由が丘駅二子玉川方で行われているホーム延伸工事。
右(2):延伸ホームの点状ブロックは将来のホームドア設置を意識したレイアウトになっている。


 自由が丘駅は大井町線の上を東横線が斜めに交差するレイアウトになっています。大井町線ホームは対向式2面2線で、2008年の急行運転開始時に二子玉川方へ1両分ホームを延長しています。ホーム両端には踏切が近接していますが、ATCの機能の1つである過走防護パターン(ORP)を動作させ、停車時のオーバーランを確実に防止することにより踏切をできるだけ長い時間開放できるようにしています。
 自由が丘駅の7両化は、前回延長した二子玉川方のホームをさらに踏切直前まで延長します。延長できる長さは多めに見積もっても15mほどしかありませんが、現在のホームは両端に数mずつ固定柵でが設置されて使っていない部分があるため、合計すると辛うじて1両分の余裕を確保できています。昨年12月調査時は旗の台駅と同様ホームの基礎工事が進められていましたが、今月調査時は床板・屋根ともに完成し、床面の仕上げ(モルタル塗り)を残すのみとなっていました。延長されたホームの床面に設置されている点状ブロックは、将来のホームドア追加を意識したレイアウトになっており、終端部は乗務員室扉の開閉に支障が無いようホーム内側へずれています。また、増設された屋根は2008年に設置されたものとは異なり、屋根本体が膜ではなく波型の金属板となっています。

自由が丘駅1番線の7両用停車目標はATCの現行のA点と1mほどしか離れていない。
自由が丘駅1番線の7両用停車目標は現行のATCのA点と1mほどしか離れていない。

 なお、延長されたホームの先端は先述のORPでの停止(A点:踏むと非常ブレーキが動作)まで1mほどしかありません。このままではオーバーランに対する余裕が全く無くなってしまいますが、A点をそのままに7両化するのか、信号システムを改修するのかについては不明です。

■11/4より急行は順次7両編成に
自由が丘駅溝の口方面行きホームの停止位置変更のお知らせ
自由が丘駅溝の口方面行きホームの停止位置変更のお知らせ

 大井町線急行停車駅のホーム延長工事は順調に進んでいることから、各駅とも7両編成用の停車目標が設置されはじめています。そして今週からは、旗の台駅と自由が丘駅で、7両化後の乗車位置に合わせる形で列車の停止位置が順次変更されています。一例として自由が丘駅溝の口方面行きホームでは、急行・各駅停車ともに停止位置が5m大井町側へ移動しました。

東急6000系新造中間車組み込みと改番のイメージ
東急6000系新造中間車組み込みと改番のイメージ

 一方、8月末には大井町線の急行専用車両である6000系を7両化するため、新たに製造された中間車両が総合車両製作所から東急電鉄長津田検車区へ搬入されました。この中間車両は「デハ6300形」となっており、現在の6000系の3両目に組み込まれることになります。(4~6号車は5~7号車に改番)
 このように、大井町線急行の7両化に向けた準備は最終段階を迎えており、来る11/4(土)以降は6000系に順次新造車を組み込んで7両編成での営業運転が開始されることが発表されました。7両化完了後の来年3月に予定されているダイヤ改正では、大井町線のダイヤパターンが変更され、朝ラッシュ時は急行、日中は各駅停車を増発し、混雑緩和を図ることになっています。この増発には現有の6000系のみでは不足するため、田園都市線に導入が予定されている2020系をベースにした新型車両6020系を導入することになっています。

▼参考
田園都市線および大井町線の朝ラッシュ時の混雑緩和施策を実施 ピーク前増発や大井町線急行7両編成化など、都心方面の輸送力を増強するとともに、移動手段、働く場所、乗車時間の多様な選択肢を提供します |東急電鉄ニュースリリース
都心方面への輸送力を増強し混雑緩和を推進します! 大井町線急行列車の7両編成化と新型車両6020系の導入 |東急電鉄ニュースリリース
東急6000系中間車が甲種輸送される|鉄道ニュース|2017年08月30日掲載|鉄道ファン・railf.jp

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画像流用の件、NHKお昼のニュースで取り上げてましたね
2017/10/13 12:15 | URL | 投稿者:やまもと [編集]

いつも楽しく拝見してます。内容がとても詳しく興味深いです。私は南武線の宿河原に住んでおり、大井町線はたまに乗るのですが、朝の急行は本当に混雑します。南武線も最近は非常に混むので、東急を見習って欲しいです。

ちなみに東急のブレスリリースの写真、なんかこのサイトの写真と似てると思っておりました。
2017/10/16 20:26 | URL | 投稿者:葉山夏海
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