新京成新鎌ヶ谷駅周辺の高架化(2016・2017年取材)

カテゴリ:鉄道:建設・工事 | 公開日:2017年10月20日23:27
北初富駅の手前にある高架線との切替部分

新京成電鉄の新鎌ヶ谷駅周辺では現在高架化工事が進められています。この工事について昨年10月に調査しましたが、諸事情によりサイト上に掲載できないまま時間が経ってしまったため、今年6月にも再調査を行いました。今回は高架化前最後の調査として現地の各所の様子をお届けします。

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新京成新鎌ヶ谷駅周辺の高架化(2014年7月6日取材)(2014年9月30日作成)

■新京成線連続立体交差事業の概要



 新京成線の路線のほぼ中央に位置する新鎌ヶ谷駅は北総線・東武野田線と接続する交通の要衝となっています。1999(平成11)年の東武野田線の新鎌ヶ谷駅開設以降は、駅周辺では鎌ヶ谷市・独立行政法人都市再生機構(UR)が中心となった大規模な区画整理が進められており、2004(平成16)年には駅前にイオンのショッピングモールが完成するなど鎌ヶ谷市の拠点としての整備が急速に完成しつつあります。また、2010(平成22)年には北総線を経由して成田空港に至る成田スカイアクセス線(成田新高速鉄道)が開業し、成田空港・東京都心双方への所要時間短縮が実現するなど、引き続き交通網の整備も進んでいます。
 新鎌ヶ谷駅付近の新京成線は地上を走っており、急なS字カーブを描きながら千葉ニュータウンと松戸市を結ぶ国道464号と2度にわたり踏切で交差しています。この2か所の踏切と初富駅南側で交差する県道57号鎌ヶ谷松戸線の踏切は、いずれも1日当たりの自動車交通遮断量が5~7万台時に達する「ボトルネック踏切」となっており、渋滞の原因となっています。現在、千葉ニュータウンの東端から成田市の間では成田スカイアクセス線に並行する形で「北千葉道路」の建設が進められており、これと接続する国道464号の交通量は今後増大することが予想されています。このため、新京成線鎌ヶ谷大仏~くぬぎ山間3.3kmのを高架化し、上記3か所を含む10か所の踏切を解消することになり、1999(平成11)年に都市計画決定がなされ、2002(平成14)年より工事が開始されています。完成は当初、2010年とされていましたが、以前調査時の記事でもお伝えした通り北初富駅付近で用地買収が非常に難航したため、2024(平成36)年に大幅に延期されています。このため、事業費も当初計画の約309億円から約495億円へ大幅に増額されています。

■高架橋が完成

 新京成線高架化工事は2002年に着工しましたが、予定通り工事が進んだのは周辺の区画整理と同時並行で事業が進められた新鎌ケ谷駅周辺のみで、それ以外の区間では用地買収の難航により大幅に着工が遅れました。2012(平成24)年以降は用地の買収が大方完了したことから、各区間ともに仮線への移設や高架橋の建設が進められました。今回は昨年10月10日(月)に調査した事業区間全体の様子と今年6月24日(土)に調査した北初富駅周辺の様子を合わせてお届けします。

●初富駅
鎌ヶ谷大仏~初富間にある高架線との接続部分。昨年6月時点で軌道敷設もほぼ完了していた。 初富駅直前にある初富1号踏切。下り線の高架橋が上空に建設された。
左(1):鎌ヶ谷大仏~初富間にある高架線との接続部分。昨年6月時点で軌道敷設もほぼ完了していた。
右(2):初富駅直前にある初富1号踏切。下り線の高架橋が上空に建設された。


 津田沼側の高架橋開始地点は、初富駅から鎌ヶ谷大仏駅方面に3分の1程度進んだところ(初富3号踏切付近)にあります。ここから北初富駅の先にある事業区間の端までは上り線(松戸方面行き)の線路の隣に仮線用地が確保されました。初富駅付近では2013(平成25)年2月に上り線、2014(平成28)年5月に下り線がそれぞれ仮線に切り替えられました。以後、旧下り線の跡地では下り線の高架橋建設が進められました。昨年6月調査時には高架橋本体は全て完成しており、軌道敷設や防音壁の取り付けが進められていました。

2014年10月5日より使用開始となった初富駅仮駅舎
改札口からホームへ向かうには必ず地下道を経由する。
地下道内。右手前から2個目に分岐する通路は下り線ホームへ向かうもの。
左(1):2014年10月5日より使用開始となった初富駅仮駅舎
右上(2):改札口からホームへ向かうには必ず地下道を経由する。
右下(3):地下道内。右手前から2個目に分岐する通路は下り線ホームへ向かうもの。(同じ場所の2014年7月6日の様子

 高架化工事着工前の初富駅は、島式ホーム1面2線で京成津田沼寄りのホーム端(下り線外側)に駅舎があるレイアウトでした。駅舎は高架橋の建設予定地にあったため、2014年10月より予定地外側に確保した仮駅舎に移転しました。仮駅舎からホームへ向かう通路は、高架橋の構築作業の邪魔にならないよう近接している下り線ホーム側も含め一旦地下に降りる形を取っています。地下通路は2013年の上り線仮線化時に使用を開始しており、その時点で下り線ホームに上がる階段やエレベータの開口部は準備されていました。(使用開始までは板で塞いでいた。)

上り仮ホームから建設中の高架ホームを見上げる。 東側(仮駅舎側)から建設中の高架ホームを見る。
左(1):上り仮ホームから建設中の高架ホームを見上げる。
右(2):東側(仮駅舎側)から建設中の高架ホームを見る。


 下り線の仮線化後は跡地で下り線とホームの高架橋を構築する作業が進められました。高架橋本体は昨年6月時点でほぼ全て完成済みとなっています。高架化完成後は従来と同じ島式ホームに戻ります。高架ホームは線路側に風除けの高い壁が設けられています。住宅が近接しているためか、壁には透明な部分がほとんどありません。

●新鎌ヶ谷駅
新鎌ヶ谷駅京成津田沼寄りにある新鎌ヶ谷1号踏切から仮線のホームと建設中の高架ホームを見る。 仮線ホームと北総線下の改札口を結ぶ通路。コンコースの工事開始に伴い、天井や壁が仮のものに変わった。
左(1):新鎌ヶ谷駅京成津田沼寄りにある新鎌ヶ谷1号踏切から仮線のホームと建設中の高架ホームを見る。
右(2):仮線ホームと北総線下の改札口を結ぶ通路。コンコースの工事開始に伴い、天井や壁が仮のものに変わった。


 高架化工事着工前の新鎌ヶ谷駅は、対向式ホーム2面2線でそれぞれのホームが跨線橋で結ばれていました。この付近は、区画整理に合わせて複線分の仮線用地が確保できたことから、2004(平成16)年に上下線一括で仮線に切り替えられています。仮線のホームは従来と異なる島式1面2線となっており、地下道を通じて北総線高架下にある改札口と結ばれています。
 仮線切替後跡地では、複線分の高架橋が一括して建設されました。高架橋の床までは2010年頃までにほぼ完成済みとなっており、その後長らく放置された状態が続いていました。2015年以降は前後の区間も高架橋完成の目処が立ったことから、ホームの構築工事が本格的に進められました。新しいホームは仮線のホームと同じ島式ホームで、高架下にコンコースが設けられます。新しいコンコースは現在使用中の地下道の途中から接続されるため、地下道の一部では天井や壁が壊され仮のものに置き換えられています。

●北初富駅
北初富1号踏切から見た建設中の北初富駅高架ホーム(2016年10月10日) 北初富1号踏切から見た建設中の北初富駅高架ホーム(2017年6月24日)
北初富1号踏切から見た建設中の北初富駅高架ホーム。左が2016年10月10日、右が2017年6月24日。

 高架化工事着工前の北初富駅は、対向式ホーム2面2線で現在よりも松戸寄りにホームがありました。北初富駅付近では、長らく仮線用地の買収が難航しており、事業に着手できない状態が続いていました。2014年末に土地収用法の適用によりようやく最後の1軒の立ち退きが完了したことから、新鎌ヶ谷駅付近と同様に上下線一括で仮線が敷設されました。仮線のホームは初富駅と概ね同様の構造になっています。
 仮線切り替え後跡地では急ピッチで高架橋の建設が進められ、今年初めまでにほぼ完成しました。高架化後のホームは従来と同じ対向式ホームとなり、その位置は仮線ホームと同じ地点(旧駅より京成津田沼寄りに移動)となります。これは、北初富駅のすぐ松戸よりで新京成線が北総線の下をくぐっており、高架橋から地上へ線路を下す区間を確保する必要があるためです。

高架ホームの下り線ホーム側。ホーム幅は上下線ともほぼ同じサイズが確保されている。
高架ホームの下り線ホーム側。ホーム幅は上下線ともほぼ同じサイズが確保されている。

北初富駅を出ると高架橋の高さが徐々に低くなり、地上の線路と合流する。 北初富~くぬぎ山間の高架線接続部分。
左(1):北初富駅を出ると高架橋の高さが徐々に低くなり、地上の線路と合流する。
右(2):北初富~くぬぎ山間の高架線接続部分。


 北初富駅を出ると高架橋は徐々に低くなり、カーブして北総線の下をくぐる直前で現在線と合流します。この部分は今年に入ってから軌道敷設が進められ、6月調査時には架線柱を立てる作業が行われていました。

■明日10/21(土)から下り線が高架化

 当初計画よりも大幅に遅れたこの新京成線新鎌ヶ谷駅周辺の高架化事業ですが、本格着工後は急速に工事が進捗しており、明日10月21日(土)初電から下り線が高架線に切り替えられることが決定しました。上り線の高架化は2年後の2019(平成31)年度を予定しています。ここ最近は減便や駅の早朝無人化など後ろ向きの話題が多かった新京成電鉄ですが、要約次の時代へ向けた「進化」を遂げることができそうです。

▼参考
連続立体交差事業 - 新京成電鉄株式会社
連続立体交差事業「鎌ヶ谷大仏~くぬぎ山」、下り線を高架化(10/21) - 新京成電鉄株式会社
(平成29年10月)新京成線連続立体交差事業(鎌ヶ谷大仏駅~くぬぎ山駅間)下り線を高架化します!/千葉県
鎌ケ谷市役所【関連リンク「新京成線連立事業ニュース」】
千葉県議会平成28年2月定例会(第4日目)議事録(事業期間の延長に関する言及。直接リンクができないため、こちらより検索してご覧ください。)

▼関連記事
新京成新鎌ヶ谷駅周辺の高架化(2010年6月12日取材)(2010年8月9日作成)
新京成新鎌ヶ谷駅周辺の高架化(2012年10月20日取材)(2012年11月19日作成) このエントリーをはてなブックマークに追加
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