小田急線複々線・10両化工事(2017・2018年取材[2]世田谷代田駅)

梅ヶ丘駅ホーム端からまもなく開通する緩行線を見る。3月ダイヤ改正で千代田線から直通する唐木田行きの急行は設定がなくなる。

朝からキーボードにウーロン茶をぶちまけてしまい大慌てな筆者でございます・・・(すぐ対処したので無事でした)

気を取り直しまして、完成間近の小田急線複々線化工事の状況の続きです。2回目の今回は世田谷代田駅から梅ヶ丘駅にかけての様子をお届けします。

[1]東北沢駅・下北沢駅の様子はこちら

■完成間近の緩行線の様子(続き)
 世田谷代田駅から梅ヶ丘駅にかけての緩行線も3月開通に向けて工事が大詰めを迎えています。今回は昨年9月19日(火)に調査した両駅の状況をお伝えします。(調査から半年ほど経過しているため、現在はさらに工事が進んでいるものとみられます。3月の緩行線開通後に再調査を行う予定です。)

●世田谷代田駅
地下化前後の世田谷代田駅の断面図
地下化前後の世田谷代田駅の断面図

 地上時代の世田谷代田駅は対向式ホーム2面2線のレイアウトでした。地下化後は地下1階が機械室、地下2階が緩行線の島式ホーム、地下3階が急行線となります。地下3階の急行線は新宿方面がシールドトンネルになっているため、柱はトンネル中心に1列のみとなっています。一方、小田原方面は数百m先で地上に出るため上り勾配になっており、駅の端では急行線が緩行線ホームの下に食い込んでいます。

2013年3月23日地下化時の世田谷代田駅の断面図
2013年3月23日地下化時の世田谷代田駅の断面図

 現在の世田谷代田駅は地下3階の急行線のみが開通しているため、急行線両側の空間に仮設のホームを設置しています。仮設ホームから地下2階の緩行線ホームの間はトンネルの一部を両側に拡幅して階段とエレベータを設置しています。3月の緩行線開通後この仮設ホームや階段は閉鎖となり撤去されます。

完成した世田谷代田駅の駅舎。駅前広場はまだ整備中。
世田谷代田駅改札口
改札口の脇には東北沢駅と同じ喫茶店がある。
左(1):完成した世田谷代田駅の駅舎。駅前広場はまだ整備中。
右上(2):世田谷代田駅改札口
右下(3):改札口の脇には東北沢駅と同じ喫茶店がある。

 東北沢駅などと同様に世田谷代田駅でも地下化後は地上の駅舎の工事が続いていましたが、昨年3月24日(金)に全て完成しました。翌25日(土)には改札口脇に東北沢駅と同じコーヒーショップ“STREAMER COFFEE COMPANY”がオープンしています。駅舎は完成しましたが、改札口前の駅前広場はまだ工事が続いているため駅に入るには仮設の通路を通る必要があります。

▼参考
STREAMER COFFEE COMPANY | HOME(公式サイト・英語のみ)

世田谷代田駅の駅舎内。東北沢駅と基本的なデザインは同じである。 駅舎最奥にあるエレベータ。右の囲いは使用を終了した仮設エレベータの跡。
左(1):世田谷代田駅の駅舎内。東北沢駅と基本的なデザインは同じである。
右(2):駅舎最奥にあるエレベータ。右の囲いは使用を終了した仮設エレベータの跡。


 世田谷代田駅の駅舎も東北沢駅と同様地上1階建てです。駅車内のデザインもタイルの色など細部に違いはあるものの、基本的には東北沢駅と同じ構成になっています。天窓が多数設けられており、昼間は日光が差し込みます。駅舎の最奥にある地下2階へ向かうエレベータはこれまで駅の中心から外れた仮設のものを使用していましたが、駅舎の完成に伴いホーム中心につながる新しいものに変わりました。

世田谷代田駅構内にある「小田急環境ルーム」
展示されている世田谷代田駅の断面模型
展示されている防音車輪
左(1):世田谷代田駅構内にある「小田急環境ルーム」
右上(2):展示されている世田谷代田駅の断面模型
右上(3):展示されている防音車輪

 世田谷代田駅には代々木上原~梅ヶ丘間の地下化・複々線化工事や沿線の環境対策についてPRする「小田急環境ルーム」が設置されました。以前下北沢駅で展示されていたトンネルの立体模型に加え、電車で実際に使用されている防音車輪や各種パネルを使い、地下区間の特徴について解説しています。事前申し込み制で小田急社員によるガイドツアーも行われています。

▼参考
小田急環境ルームのご案内|企業・IR情報|小田急電鉄

※この先画像が12枚(691KB)あります。画像はスクロールに従って自動で読み込まれます。(JavaScriptが有効の場合のみ)データ容量にご注意ください。

新宿寄りの歩道橋は廃止され、通路が地上に移設された。
新宿寄りの歩道橋は廃止され、通路が地上に移設された。
地上の通路から新宿方面を見る。左端に見える物体は世田谷代田駅の換気塔。
左(1):新宿寄りの歩道橋は廃止され、通路が地上に移設された。
右上(2):地上の通路から駅舎方向を見る。
右上(3):地上の通路から新宿方面を見る。左端に見える物体は世田谷代田駅の換気塔。

 駅舎裏では工事が終了したことからトンネル上部が完全に埋め戻されました。地上時代のホーム端にあった歩道橋は昨年9月に廃止となり、代わりに地上に線路跡を横断する通路が設置されました。今後は下北沢駅までの廃線跡には遊歩道や駐輪場が整備されます。

地下2階緩行線ホームは仕上げが最終段階を迎えている。
地下2階緩行線ホームは仕上げが最終段階を迎えている。

 地下2階の緩行線ホームは2013年の地下化時に仮設の改札口が設置されていました。仮設改札口は2015年夏に地上へ移転し、その後はホームとしての仕上げ工事が急ピッチで進められてきました。昨年夏以降は工事中のエリアと一般開放されているエリアの間の防護板が全て取り外され、緩行線ホームが全て見えるようになりました。昨年9月時点では壁のタイル貼りなどは全て完了しており、床のタイル貼り付けや天井の案内板類の取り付けが進められていました。世田谷代田駅も東北沢駅・下北沢駅と同様にホームドア設置の前段階として固定柵の設置が予定されており、床面にはそのための取り付け穴が設けられていました。

エレベータ乗り口前の天井にある光ダクト
エレベータ乗り口前の天井にある光ダクト

 地上駅舎の完成に伴い使用を開始した新しいエレベータ乗り口前の天井には地上へ通じる竪穴が設置されています。竪穴内部の壁は鏡になっており、地上から日光を導入するための光ダクトになっています。

緩行線の線路を横断して設置されている地下3階へ向かう通路
緩行線の線路を横断して設置されている地下3階へ向かう通路

 地下3階のホームへ向かう階段とエレベータはトンネルを外側に拡幅して設置しています。このため、階段・エレベータの設置部分のみ仮設の床板を設置して出入できるようにしています。世田谷代田駅の200mほど先で線路は地上に出るため、通路上に立つと奥に地上から光が差し込んできているのが見えます。緩行線開通前日の3月2日(金)終電後この通路は撤去されます。

地下3階ホームへ向かう通路から小田原方面を見る。すぐ先で地上に出るため光が差し込んでいる。 通路上から新宿方面を見る。ホームの終端はややカーブしている。
左(1):地下3階ホームへ向かう通路から小田原方面を見る。すぐ先で地上に出るため光が差し込んでいる。
右(2):通路上から新宿方面を見る。ホームの終端はややカーブしている。


●梅ヶ丘駅
梅ヶ丘駅へ向かう上り列車の前面展望。この付近は比較的早く緩行線の軌道敷設が完了していた。
梅ヶ丘駅へ向かう上り列車の前面展望。この付近は比較的早く緩行線の軌道敷設が完了していた。

 世田谷代田駅から梅ヶ丘駅の間は北沢川(現在は暗渠)により形成された谷を利用して地下から高架へ駆け上がります。このトンネル出口付近は地上の線路を支えていた仮設桁を撤去した後すぐに軌道敷設が開始され、2015年頃にはほぼ完成していました。昨年秋以降は信号機、架線の設置が行われています。新しい信号機は3月3日まで使用しないため、運転士が誤認しないよう白色の×印が取り付けられています。

梅ヶ丘駅の端から新宿方面を見る。上り線は安全側線がそのまま緩行線に接続された。
梅ヶ丘駅の端から新宿方面を見る。上り線は安全側線がそのまま緩行線に接続された。

 梅ヶ丘駅は緩行線開通後急行線と緩行線の合流部分を撤去し、完全な棒線駅に変わります。上り線は元々合流部分の手前に安全側線が設置されていたため、そのまま延長して緩行線に接続されました。下り線は急行線から緩行線が単純に分岐するだけだったため、事前に線路を接続することはできず3月2日の終電後に軌道の移設工事が行われることになります。棒線化に伴い急行線も信号機の配置が変わるようで、合流部分の先に新しい信号機が2個準備されています。

上り線の分岐器改修前後の比較。車輪が乗り上げずに直進できるようレールの一部が交換された。 上り線の分岐器改修前後の比較。車輪が乗り上げずに直進できるようレールの一部が交換された。
上り線の分岐器改修前後の比較。車輪が乗り上げずに直進できるようレールの一部が交換された。(左が改修後、右が改修前で白く囲んだ部分が車輪が乗り上げて通過する部分。)

 上り線の安全側線は、ブレーキ故障で列車が暴走した場合などを除き列車が進入することはありませんでした。そのため、ポイントの直進側は列車がほとんど通過しないことを前提にレールの交差部分で車輪が乗り上げて通過する構造になっていました。3月3日の緩行線開通時この部分のレール交換をせずに済ませるため、事前に車輪が乗り上げずに通過可能な一般的なポイントに改修されました。右の写真で白く囲んだ部分が交換されたレールで、交換前は直進側のレールがカーブしていくレールの上に重なっていたため、車輪のフランジが通過できない構造だったことがわかります。
 なお、緩行線開通2週間後に予定されているダイヤ改正では、緩行線にも10両編成の列車が運行されるようになります。現在の梅ヶ丘駅は本来10両分あるホームの一部を潰して急行線との合流部分を設置しているため、緩行線開通後は停止位置を新宿寄りに移動して10両の有効長を確保します。合流部分はカーブで車端がはみ出す分ホームのブロックをを削っているため、緩行線開通からダイヤ改正までの2週間でこの部分を本来の形状に修正することになります。

■世田谷代田駅の現ホームは“幻”に

小田急線世田谷代田駅急行線仮設ホーム - YouTube 音量注意

 世田谷代田駅では、来週予定されている緩行線開通後現在使用している仮設ホームは閉鎖となり撤去されます。ホーム端の非常口は残されることになりますが、地下線であることから通常は一切立ち入りができない空間になります。京王線新宿~笹塚間にあった旧初台駅のように「幻のホーム」と呼ばれる場所になることでしょう。

 さて、本日は「シモチカウォーク」(世田谷代田駅付近の緩行線トンネル見学会)の開催日です。筆者もこのイベントに応募したところなんと当選してしまいました。イベントの模様はひとまずTwitterにてお届けすることになると思いますので、Twitterのアカウント(@takuya870625)をご覧ください。

▼参考
複々線化事業|鉄道事業|事業案内|会社案内|企業・IR・採用情報|小田急電鉄
複々線スペシャルサイト「HELLO NEW ODAKYU!」|小田急電鉄
ODAKYU VOICE station 「小田急線、新ダイヤへ」|小田急電鉄
2018年3月、新ダイヤでの運行開始 - 小田急電鉄ニュースリリース(PDF/1.13MB)
新ダイヤでの運行開始日を決定! - 小田急電鉄ニュースリリース(PDF/520KB)
複々線での運転を開始します - 小田急電鉄ニュースリリース(PDF/1.17MB)
シモチカ ナビ
下北沢駅周辺地区 | 世田谷区

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