首都高速大橋JCT見学会「山手トンネルウォーク」(その1)

カテゴリ:道路 | 公開日:2010年03月13日17:20


今月28日(日)、首都高速中央環状線西新宿JCT~大橋JCT間が開通します。これに先立ち、先週日曜日(7日)に大橋JCT内部を歩いて見学できる最後のイベント「山手トンネルウォーク」が開催されました。今回は昨年撮影した写真も交えて大橋ジャンクションとイベントの内容を2回に分けてお伝えしたいと思います。

■首都高速中央環状線の概要

全長47kmの首都高速中央環状線(C2)渋滞が慢性化している都心環状線(C1)の混雑緩和対策として、また首都圏全体をカバーする主要道路「3環状9放射」の1つとして建設が進められている高速道路です。1987(昭和62)年9月に湾岸線葛西JCTから現在の川口線江北JCT間が開通したのを皮切りに順次路線を延長し、現在は西側の4号新宿線西新宿JCT~湾岸線大井JCT間14kmが建設中となっています。このうち、江北JCTから西側の区間については成熟した都市内を通過することから2重高架やトンネルを多用した構造となっており、特に5号池袋線熊野町JCTから先の「中央環状新宿線」の区間では都市高速道路としては前例のない全区間が地下トンネルという形態で建設されるなど、用地の削減や騒音などによる沿道の環境悪化を最小限に抑える工夫がなされています。
このトンネルは「山手トンネル」といい、その名が示す通りほぼ全線で交通量が非常に多い山手通りの下を通るルートとなっています。このトンネルの工事に際しては地上掘削を極力減らすためほとんどの区間がシールド工法で建設されています。都営大江戸線と重複する中野付近では高速道路と地下鉄の駅舎を一体的に建設したり、山手通りとの接続ランプをパイプルーフ工法を用いて非開削で掘削するなど構造物が輻輳する都心部において地上にできるだけ影響を与えずに工事を行う工夫が随所に見受けられます。また、地下深部を走る自動車用トンネルという性質上、換気や事故発生時の安全対策なども十分な考慮がなされており、換気所については排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を80%以上、二酸化窒素(NO2)を90%以上除去できる浄化設備を設置。トンネル内での火災発生時にはトンネルとは別に設けられた通路を通って、被災者が煙にまかれる心配をせず迅速に避難ができるような構造となっています。
現在、この山手トンネルは熊野町JCT~西新宿JCTまでが開通しており、今月28日に3号渋谷線大橋JCTまでが新たに開通します。その先の湾岸線大井JCTまでの「中央環状品川線」の区間については2013(平成25)年度の開通を目指して現在トンネルの建設が進められています。

▼脚注
※3環状9放射
3環状:首都高速中央環状線、東京外環自動車道、圏央道の3路線
9放射:東関東自動車道館山線、東関東自動車道水戸線、常磐道、東北道、関越道、中央道、東名、第三京浜、湾岸道路の9路線(東関東自動車道館山線は京葉道路+館山自動車道)

■大橋ジャンクション

大橋ジャンクションの立体図
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今回見学したのはこの中央環状新宿線山手トンネルと3号渋谷線を接続する「大橋ジャンクション」です。この大橋ジャンクションは4号新宿線に設けられた西新宿ジャンクションとは異なり、十文字に交差する道路のすべての方向を連絡する構造となっています。(西新宿JCTは中央環状新宿線から都心方向へは向かうことができない構造。)3号渋谷線は当初から中央環状線との分岐を想定してこの大橋ジャンクションが設置された池尻付近で2重高架になっていましたが、中央環状新宿線が当初の予定とは異なる地下式での建設となったため、この大橋ジャンクションは高低差が実に70mに及ぶ道路どうしを接続することになりました。このため、両路線を結ぶランプはループを2回重ねて高低差を稼ぐ複雑な構造となっています。今回の「山手トンネルウォーク」では主にこのループ部分の道路(中央環状新宿線→3号渋谷線)を見学することになりました。

今回の見学会の入口はループ内側に建つ大橋換気所。右の建物は東急電鉄の大橋変電所。


左:入口に掲げられた「ようこそ山手トンネルウォークへ」の文字
右:大橋換気所入口の文字

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今回の「山手トンネルウォーク」の入口はループ内側に建つ大橋換気所の建物です。この大橋換気所は山手トンネル(神山町換気所まで)と大橋ジャンクションランプ部分の換気を行う施設で、前述の通り排気ガス中の粒子状物質と窒素酸化物を除去する浄化施設が備えられています。また、換気所内部には緊急用の自動車が待機しており事故発生時には直ちに出動できるようになっています。ちなみに、この大橋換気所に隣接して窓がない古い建物がありますが、これは隣接する国道246号線の地下を走る東急田園都市線の大橋変電所です。この変電所は今後国道246号線を挟んだ反対側に移転し、取り壊される予定です。


ループトンネルを外から見たところ。この写真は2009年4月5日に撮影したものであるが、この部分は撮影時点でほぼ完成しており現在も特に変化はない。

ループ部分の道路は周辺が住宅地であることから騒音や排気ガスによる公害を防止するためすべてコンクリートのトンネルでおおわれています。ループは目黒川と都道に挟まれた三角形状の用地内に建設されたため、完全な円形ではなく楕円に近い形状です。構造物の最大幅は175mで国立競技場(新宿区)とほぼ同じサイズとなっています。

実際の見学ではループのほぼ中央から入り、いったんループ最上部(3号渋谷線との合流部手前)まで登った後、最下部のシールドトンネル入口まで降りるという順路となっていました。ただ、これでは説明がしづらいため今回の記事では最上部から下る方向で説明をしていきたいと思います。


左:東名高速方面の連絡路。奥は3号渋谷線の本線で自動車がひっきりなしに行き交う。
右:都心環状線谷町JCT方面の連絡路。3号渋谷線下り線をオーバークロスするため、上りこう配となっている。

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ループ最上部は3号渋谷線の東名高速方面と都心環状線谷町JCT方面の連絡路が分合流する地点となっています。3号渋谷線と合流する直前100m前後はすでにループのトンネルを抜け出して高架上となっていますが、この部分もシェルターで覆うことで騒音の拡散を防止しています。 なお、このシェルターの上部は開閉可能な窓となっており、万一この場所で車両火災が発生した場合はこの窓を開けることで煙を屋外に排出することができます。


連絡路架設前日の2009年4月5日の大橋JCTの様子。分割された橋桁と巨大なクレーンが目を引く。
※クリックで拡大


同じ場所の現在の様子。架設が完了した連絡路はすべてシェルターでおおわれた。

ちなみに、前回の訪問日である2009(平成21)年4月5日は中央環状新宿線→3号渋谷線の連絡路の3回目の桁架設工事前日でした。この時はループトンネル脇に分割された橋桁がいくつも並べられており、そのわきには桁の架設に使用する800トン釣の巨大なクレーンが鎮座していました。桁の架設工事は2009年1月19日、2月16日、4月6日、4月20日の4回に分けて行われ、いずれも供用中の3号渋谷線下り線の上空に架設するため3号渋谷線を午前1時~5時の間通行止めにして工事が行われています。


左:分岐点50m手前の路面と天井の標識。
右:分岐点600m手前の路面には「東名」「都環」の文字が大きく書かれている。天井の標識にも分岐までの残距離が書かれている。


今回見学した中央環状新宿線→3号渋谷線はループ最上部で東名高速方面と都心環状線谷町JCT方面に分岐します。このため、ループ内では走行レーン(路面)を東名高速方面は、谷町JCT方面はにそれぞれ着色することでドライバーを目的の方向へ自然に誘導できるようになっています。また、天井の標識にも分岐までの残距離を表示しておくことで余裕を持って分岐への準備ができるよう配慮されています。

(つづく) このエントリーをはてなブックマークに追加
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