品川駅再開発(1)2015年~2017年

品川駅に停車中の常磐線特急E657系

品川駅北側では現在旧田町車両センター跡地の再開発が進められています。この再開発の一環で山手線・京浜東北線には新駅「高輪ゲートウェイ駅」が新設されます。去る2019年11月16日(土)、この高輪ゲートウェイ駅開業に向けた最後の線路切替工事が実施されました。弊サイトでは2014年までこの品川駅再開発について調査していましたが、その後は諸事情により記事の作成が滞っていました。その間も細々と調査は続けていましたので、5年間の総集編として現在までの変化について記事にしたいと思います。

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カテゴリ:上野東京ライン・品川駅再開発 の記事一覧

■上野東京ライン開業と車両運用の効率化
神田駅付近で東北新幹線の上に建設された上野東京ラインの高架橋 上野東京ライン開業初日はE231系の一部編成に記念ヘッドマークが装着された
左(1):神田駅付近で東北新幹線の上に建設された上野東京ラインの高架橋
右(2):上野東京ライン開業初日はE231系の一部編成に記念ヘッドマークが装着された


 2015年3月14日、東海道線東京駅と東北本線(宇都宮・高崎線)・常磐線上野駅を結ぶ新しい路線「上野東京ライン」(建設中の名称は「東北縦貫線」)が開業しました。上野東京ラインは、東北新幹線建設前に存在した「回送線」を復活させたもので、この路線の開業により湘南新宿ラインに続く2本目の首都圏南北縦貫ルートが形成されました。上野東京ラインの開業後、東海道線と宇都宮・高崎線は終日全線に渡る相互直通運転、常磐線は品川駅までの片乗り入れを実施しています。

E231系とともに上野東京ラインで使用されるE233系。 上野東京ライン開業後はE233系(左)とE231系(右)を連結した営業運転も見られるようになった。
左(1):E231系とともに上野東京ラインで使用されるE233系。
右(2):上野東京ライン開業後はE233系(左)とE231系(右)を連結した営業運転も見られるようになった。


 東北線と東海道線の東京都心側の車両基地はそれぞれ上野駅(尾久駅)と品川駅にあります。2004年の湘南新宿ライン大増発時、首都圏北側の東北本線系統と南側の東海道線ではE231系1000番台が大量に投入されましたが、この時点では両車両基地間が直接はつながっていなかったため、ごく一部の車両が融通されるに留まっていました。上野東京ライン開業により、これらの車両基地が至近距離で結ばれるため、両系統で車両運用を完全に共通化することが可能となります。このため、品川の車両基地を大幅に縮小し、上野の車両基地へ機能を集約することとしました。
 これに備えて2011年以降は両系統に次期形式であるE233系3000番台が大量に投入され、国鉄時代から使用してきた211系を淘汰しました。このE233系は編成構成がE231系と同一であることに加え、E231系と連結運転が可能なシステムとなっています。上野東京ライン開業後は、両形式を連結した営業運転も頻繁に見られるようになり、運用効率化に貢献しています。

■品川駅の配線変更
配線変更着手前の品川駅構内概略図
配線変更着手前の品川駅構内概略図

 品川駅は在来線8面15線、新幹線2面4線、京急線2面3線のホームがある巨大な駅となっています。このうち、東海道線上下線間にある2面のホーム(7~10番線)は臨時ホームと呼ばれ、新幹線開業前は行楽シーズンを中心に多数の臨時列車が発着していました。また、在来線ホーム北側の東海道線上下線間には、この臨時ホームと直結した巨大な車両基地がありました。この車両基地は機関車牽引の列車に最適化された構内配線となっており、有効長の短い留置線や交差する全方向を行き来できる特殊なポイントを多用した複雑な構造となっていました。
 これらの設備は遊休化しほとんど使われていないものも多かった他、その歴史的経緯により東京方面から臨時ホームに入れない配線となっており、そのままでは上野東京ラインの折り返し運転が不可能でした。そこで、2009年より車両基地の再構成ならびにホームの形状を変更して東京方面への折り返し運転を可能にする大改良がスタートしました。
 再構成後の品川駅は全体を東側(東海道線下り線側)に詰めたレイアウトとされ、臨時ホームは中央付近から東に向けてカーブするような形状になります。また、前述の上野への車両基地集約の方針により、北側の留置線は本数が大幅に削減され、15両編成の電車に合わせたシンプルなレイアウトになります。車両基地の縮小に合わせて山手線・京浜東北線についても跡地利用に支障とならないよう東側へ移設します。この移設区間の途中に設けられるのが冒頭文で触れた高輪ゲートウェイ駅です。(これは次回以降詳説)
 上野東京ライン開業までの工事の推移は以下の通りで、おおむね1年に1本ずつのペースで品川駅ホームの形状変更が進められました。

<品川駅改良工事年表>
2009~2010年:10番線使用停止・旧東京機関区の施設撤去
2011年10月3日:10番線使用再開・11番線移設・12番線使用停止
2012年9月23日:12番線使用再開・9・10番線使用停止
(2013年3月16日:田町車両センター廃止 ※東京総合車両センターと組織を統合の上で車両無配置化)
2013年11月24日:9・10番線使用再開・8番線使用停止・新車両基地26線使用開始(34時間運休工事
2014年12月7日:8番線使用再開・6・7番線使用停止
2015年3月14日 上野東京ライン開業

2014年12月時点での品川駅構内配線図
2014年12月時点での品川駅構内配線図 ※クリックで拡大(3450×1200px/187KB)

完成した品川駅8・9番線ホーム。東京寄りが下り線側に曲げられ、上野東京ラインの折り返し運転が可能となった。 10番線から新車両基地の端を通って東京方面へ出発する常磐線。この時点では線路の一部が未完成で徐行運転する区間もあった。
上野東京ライン品川始発列車の前面展望。左が旧田町車両センター跡地で後に高輪ゲートウェイ駅が建設される。 さらに進んだ地点。左側に旧札の辻群線が張り出していたため、暫定的に車両基地内へ本線を振っており速度制限があった。
左上(1):完成した品川駅8・9番線ホーム。東京寄りが下り線側に曲げられ、上野東京ラインの折り返し運転が可能となった。2015年11月21日撮影
右上(2):10番線から新車両基地の端を通って東京方面へ出発する常磐線。
左下(3):上野東京ライン品川始発列車の前面展望。左が旧田町車両センター跡地で後に高輪ゲートウェイ駅が建設される。
右下(4):さらに進んだ地点。左側に旧札の辻群線が張り出していたため、暫定的に車両基地内へ本線を振っており速度制限があった。2015年4月9日撮影


 上記の工事により、臨時ホーム9・10番線と東海道線下り11番線の各ホームについては東京方面への折り返しが可能となり、上野東京ラインの受け入れ準備が一応整いました。この時点では旧施設の一部が取り壊し中であるため上り本線の一部が車両基地内に迂回しており、徐行運転する区間がありました。また、留置線の一部も未完成であったため、特に常磐線ついてはごく少数の乗り入れに留まりました。さらに、東海道線の上り本線は旧田町車両センター西端に残ったままであるため、田町駅の直前まで約1.4kmに渡り上り線が2本存在し、合流待ちで所要時間が延びるなど数々の制約を残した状態での開業となりました。

■2015年以降の動き
 上野東京ライン開業約1年前の2014年6月、JR東日本は旧田町車両センター跡地再開発の着手について正式発表しました。その中に山手線・京浜東北線への新駅設置も盛り込まれ、2020年東京オリンピック開催に合わせて暫定開業することも明言されました。2015年以降はこれに間に合わせるべく旧田町車両センター跡地へ東海道線上り線・山手線・京浜東北線を移設する作業が進められます。
 これら現地の工事と並行して、旧田町車両センター跡地を含めた品川・田町地区全体の再開発計画が順次策定されています。これについては次回以降の記事で詳しく説明します。

●2016年9月6日:品川新駅の詳細計画発表
 新設が決定した田町~品川間の新駅について2016年9月に詳細な計画がJR東日本より発表されました。新駅駅舎の設計は新国立競技場の設計も手がけた隈研吾氏が担当し、建物は地上3階・地下1階建て、外観は日本の伝統的な建築様式である障子や折紙をイメージした膜屋根構造となります。駅舎内は改札口を南北2箇所に設け、中央には1000m2の巨大な吹き抜けを設けることで駅内外への見通しを演出します。また、ホームは島式2面4線で開業当初よりホームドアを設置します。
 新駅の工事はこの頃から始まり旧車両基地内では重機が多数見られるようになりました。

●2016年11月20日:6・7番線使用再開
2016年11月以降の品川駅構内配線図
2016年11月以降の品川駅構内配線図 ※クリックで拡大(3450×1200px/203KB)

2016年11月19・20日に実施された品川駅6・7番線使用開始に向けた線路切替工事。
車両基地内部へ迂回していた区間は今回の工事に合わせて直線化。(切替前日に撮影)
切替当日は品川発着の横須賀線が大崎駅発着に変更された。
左(1):2016年11月19・20日に実施された品川駅6・7番線使用開始に向けた線路切替工事。
右上(2):車両基地内部へ迂回していた区間は今回の工事に合わせて直線化。(切替前日に撮影)
右下(3):切替当日は品川発着の横須賀線が大崎駅発着に変更された。

 品川駅の5回目の線路切替工事は、2016年11月19日午前~20日早朝にかけて約20時間に渡り上野東京ラインの列車を運休して実施されました。この切替工事では6・7番線が東海道線上りホームとして使用開始(再開)となり、代わりに東海道線上り本線として使用していた5番線が使用停止になりました。また、品川~田町間では東海道線の上り本線が1本に統合されるとともに、車両基地内部へ迂回していた線路が完成形の直線に変更され、速度制限が撤廃されました。
 なお、品川駅では早朝・深夜に臨時ホームを発着する横須賀線が存在します。切替工事当日は臨時ホームも封鎖されたため、当該列車は大崎駅発着に変更されました。

使用を再開した品川駅6番線 先に切り替えられた線路と同様東京寄りは下り線側に向けてカーブしている。
6番線は第二場内信号機やTC型省力化軌道など本線として使用することを前提とした設備となっている。 5番線側がブルーの装飾となっているベンチ
左上(1):使用を再開した品川駅6番線
右上(2):先に切り替えられた線路と同様東京寄りは下り線側に向けてカーブしている。
左下(3):6番線は第二場内信号機やTC型省力化軌道など本線として使用することを前提とした設備となっている。
右下(4):5番線側がブルーの装飾となっているベンチ


 この時点ではまだ品川駅ホームの最終的な完成形態については発表されていませんでしたが、使用を再開した6番線はホームの前後にポイントの分岐側を通る部分が一切ないことに加え、TC型省力化軌道やホーム中間に第二場内信号機が設置されるなど、明らかに恒久的に本線として使用することを意図した仕上げがなされていました。さらに5・6番線のホーム上に新規に設置されたベンチでは5番線側の装飾がブルーになっているなど不可解な点が多数あり、これ以降各方面で「5番線が京浜東北線に転用されるのでは?」という推測がされるようになります。

●2017年3月31日:品川駅北周辺地区まちづくりガイドライン策定
 旧田町車両センター跡地の具体的な利用計画については、これまで検討が進められてきましたが、2017年3月に開発主体となるJR東日本・東京都・都市再生機構(UR)の3者により具体的なガイドラインが策定されました。これは再開発地区内の大まかな道路の位置や構造、日照や通風に配慮したビルの間隔・壁面の後退量などのルールを示すものです。詳細は長くなるため、JR東日本のサイトにあるPDF文書をご覧ください。

▼参考
品川駅北周辺地区まちづくりガイドライン - JR東日本(2017年3月31日発表/PDF23MB

●2017年10月14日:ダイヤ改正で常磐線直通列車大増発
 品川駅構内の徐行運転区間解消および旧施設取り壊しのため使用できなかった一部留置線(月見1~4番線)が完成したことから、2017年10月のダイヤ改正より品川駅を発着する常磐線直通の上野東京ラインがおよそ1.5倍へ大増発されました。品川駅を発着する特急は朝ラッシュ時を除き30分間隔(毎時15分が「ひたち」、45分が「ときわ」)で運行されています。ダイヤ改正当日、常磐線の土浦駅ではヘッドマークを装着した普通列車の出発式が開催されました。


(2)2018年~2019年 に続く


▼参考
宇都宮・高崎・常磐線の東京駅乗り入れについて(東海道線との相互直通運転) - JR東日本(2002年3月27日発表)
宇都宮・高崎・常磐線の東京駅乗り入れ工事の着手について - JR東日本(2008年3月26日発表・PDF/62KB)
田町~品川駅間に新駅を設置し、まちづくりを進めます - JR東日本(2014年6月3日発表・PDF/1.41MB)
「上野東京ライン」開業により、南北の大動脈が動き出します~開業時期、直通運転の概要について~ - JR東日本 (2014年10月30日発表・PDF/27KB)
東海道線品川駅線路切換工事に伴う列車の運休について - JR東日本(2016年9月13日発表・PDF/353KB)
2017年10月ダイヤ改正について - JR東日本(2017年7月7日発表・PDF/709KB)
「上野東京ライン常磐線 品川直通列車増発出発式」開催について - JR東日本(2017年10月10日発表・PDF/108KB)
品川駅改良工事(第1回・第2回切換)について - 鉄道と電気技術2012年5月号33~38ページ
東北縦貫線「上野東京ライン」開業に向けて-東北縦貫線計画と開業を見据えた駅改良計画- - 土木施工2014年4月号42~44ページ
品川駅乗降場改修工事-配線変更に伴う供用中の駅ホーム改修- - 土木施工2014年4月号52~54ページ
品川駅周辺地区 | UR都市機構

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