新京成新鎌ヶ谷駅周辺の高架化(2019年12月1日取材)

カテゴリ:鉄道:建設・工事 | 公開日:2020年04月13日06:44
新鎌ヶ谷駅高架ホームに到着する松戸行き8800形電車

2019年12月1日、新京成線くぬぎ山~鎌ヶ谷大仏間の上り線が高架化され、約20年間に及んだ新鎌ヶ谷駅周辺の高架化工事がついに完成を迎えました。少々時間が経ってしまいましたが、各駅について初日に調査をしてまいりましたので完成した各施設の様子をお届けします。

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新京成新鎌ヶ谷駅周辺の高架化(2019年4月9日取材)(2019年7月11日作成)

■新京成線連続立体交差事業の概要



 新京成線の路線のほぼ中央に位置する新鎌ヶ谷駅は北総線・東武野田線と接続する交通の要衝となっています。1999年の東武野田線の新鎌ヶ谷駅開設以降は、駅周辺では鎌ヶ谷市・独立行政法人都市再生機構(UR)が中心となった大規模な区画整理が進められており、2004年には駅前にイオンのショッピングモールが完成するなど鎌ヶ谷市の拠点としての整備が急速に完成しつつあります。また、2010年には北総線を経由して成田空港に至る成田スカイアクセス線(成田新高速鉄道)が開業し、成田空港・東京都心双方への所要時間短縮が実現するなど、引き続き交通網の整備も進んでいます。
 新鎌ヶ谷駅付近の新京成線は地上を走っており、急なS字カーブを描きながら千葉ニュータウンと松戸市を結ぶ国道464号と2度にわたり踏切で交差しています。この2か所の踏切と初富駅南側で交差する県道57号鎌ヶ谷松戸線の踏切は、いずれも1日当たりの自動車交通遮断量が5~7万台時に達する「ボトルネック踏切」となっており、渋滞の原因となっています。現在、千葉ニュータウンの東端から成田市の間では成田スカイアクセス線に並行する形で「北千葉道路」の建設が進められており、これと接続する国道464号の交通量は今後増大することが予想されています。このため、新京成線鎌ヶ谷大仏~くぬぎ山間3.3kmのを高架化し、上記3か所を含む10か所の踏切を解消することになり、1999年に都市計画決定がなされ、2002年より工事が開始されています。完成は当初、2010年とされていましたが、以前調査時の記事でもお伝えした通り北初富駅付近で用地買収が非常に難航したため、2024年に大幅に延期されています。このため、事業費も当初計画の約309億円から約495億円へ大幅に増額されています。

■着工から20年、ついに高架化完成
新鎌ヶ谷駅付近で建設中の高架橋と地上線を行く8800形電車。 完成間近の初富駅高架ホームと地上ホームに到着する8800形電車。
左(1):新鎌ヶ谷駅付近で建設中の高架橋と地上線を行く8800形電車。2010年6月12日撮影
右(2):完成間近の初富駅高架ホームと地上ホームに到着する8800形電車。2016年10月10日撮影


 用地買収の難航により大幅に遅れていた新京成線新鎌ヶ谷駅の高架化ですが、仮線切替が完了した2014年以降は急速に工事が進展しており、2017年10月には下り線が高架線に切り替えられました。続いて上り線の高架橋建設も順調に進められ、2019年12月1日(日)についに上り線も含めた完全高架化が完成しました。高架化完成に伴い、仮設だった各駅の改札口も高架下に移転・完成しています。今回はこれらの改札口周りを中心に各駅の様子をお届けします。

※この先画像が21枚(1.1MB)あります。画像はスクロールに従って自動で読み込まれます。(JavaScriptが有効の場合のみ)データ容量にご注意ください。

●初富駅
鎌ヶ谷大仏→初富にある新旧接続地点。高架化初日のため、軌道の調整が終わっておらず45km/hの速度制限がかかっていた。
鎌ヶ谷大仏→初富にある新旧接続地点。高架化初日のため、軌道の調整が終わっておらず45km/hの速度制限がかかっていた。(同じ場所の2016年10月10日の様子

 津田沼側の高架化区間は、初富駅から鎌ヶ谷大仏駅方面に3分の1程度進んだところ(初富3号踏切付近)から始まります。ここから初富駅の先までは、上り線(松戸行き)の隣に仮線用地を確保して上下線をそれぞれ1線分ずつずらし、空いた土地に高架橋を1線分ずつ建設する方法がとられました。(上り線は2013年2月、下り線は2014年5月にそれぞれ仮線化)
 下り線に続き、上り線も高架化されたことで新旧接続地点は元の直線の線形に戻りました。調査したのは高架線への切替初日だったため、軌道の調整がまだ終わっておらず45km/hの速度制限が設けられていました。線路脇には終日作業員が待機しており、列車の通過を監視しながら調整作業が続けられていました。

初富駅に停車中の上り松戸行き8800形電車
初富駅に到着する上り列車を京成津田沼寄りのホーム端から見る。
初富駅を発車する上り列車を松戸寄りのホーム端から見る。
左(1):初富駅に停車中の上り松戸行き8800形電車
右上(2):初富駅に到着する上り列車を京成津田沼寄りのホーム端から見る。
右下(3):初富駅を発車する上り列車を松戸寄りのホーム端から見る。

 高架化後の初富駅は地上時代と同じ島式ホーム1面2線になります。上り線の高架化により前回調査時は仕切られていたホーム半分も使用を開始しました。上り線側の設備は先に使用を開始している下り線と同等のものになっています。列車の編成が6両に短縮されたため、使用されていないホームの前後2両分は上り線高架化後も柵で仕切られておりコンクリートの基礎や屋根の骨組みも剥き出しのままとなっています。

全面的に使用を開始した高架下のコンコース。トイレもここに移転。 仮駅舎へ通じていた通路跡。
左(1):全面的に使用を開始した高架下のコンコース。トイレもここに移転。
右(2):仮駅舎へ通じていた通路跡。


 上り線高架化と同時に、高架下のコンコースも全面的に使用を開始しました。仮駅舎内にあったトイレもコンコース内に移転しており、バリアフリー対応の多機能トイレも新設されています。仮駅舎はこの日から閉鎖されており、接続していた通路はバリケードで塞がれ通れなくなっています。

高架下に移転した改札口。 新しい改札口は早朝・深夜は無人であるためカメラ付きインターホンが設置された。
左(1):高架下に移転した改札口。
右(2):新しい改札口は早朝・深夜は無人であるためカメラ付きインターホンが設置された。


 仮駅舎閉鎖に伴い、改札口も高架下に移転しました。初富駅の乗降客数は新京成線の中で2番目に少ないこともあり、自動券売機・自動改札機ともに最小限の台数となっています。また、後ほど説明する北初富駅と合わせて改札口移転と同時に早朝・深夜の駅員無人化(インターホン・カメラによる遠隔監視化)も行われました。
 早朝・深夜の駅員無人化は、少子高齢化による利用者減少が顕著になったここ数年JR・民鉄問わず多く見られるようになっており、新京成線でも2007年以降利用者が少ない駅(1万人/日以下)にこのシステムの導入が進んでいます。駅員無人となるのは初電~7時と22時~終電の間で、自動券売機・精算機が使えないトラブルが発生した場合はインターホンに内蔵されている読み取り台に乗車券類を提示してオペレーターが必要な操作を行うことになっています。また、駅員がいる時間帯においても乗車券類の販売や乗り越し精算は窓口での取り扱いを行わないことになっており、常駐する駅員は機器操作の補助や非常時の利用客誘導などに徹することになりました。

高架下の駅入口周りはブルー 現状の駅入口は路地の奥にあるため、小型の看板が立てられている。
左(1):高架下の駅入口周りはブルー
右(2):現状の駅入口は路地の奥にあるため、小型の看板が立てられている。


 高架下の駅入口の周囲はブルーに着色されています。現状では周辺の整備が続いているため出入口のシャッターは改札正面側のみ開放されています。出入口前には、今後自動車が乗り入れられる駅前広場が整備される計画ですが、現状ではまだ用地買収すら着手していない状態であるため、当面の間は大通りから離れた路地から出入りすることになります。このため、仮駅舎時代と同様に目立つよう小型の電照式看板が立てられています。

鉄パイプで塞がれた旧上り線
鉄パイプで塞がれた旧上り線

 使用を終了した地上の旧上り線は鉄パイプでできたガードが設置されていました。その後線路・ホームともに撤去されており現在は更地となっています。地上の旧上り線跡は今後道路が整備されます。

●新鎌ヶ谷駅
上り線高架化により使用開始となった新鎌ヶ谷駅の折り返し用信号機とポイント。 ポイントの先の本線を引上線として使用可能になっており、入換信号機(白丸)や停車目標(黄丸)も設置されている。
左(1):上り線高架化により使用開始となった新鎌ヶ谷駅の折り返し用信号機とポイント。
右(2):ポイントの先の本線を引上線として使用可能になっており、入換信号機(白丸)や停車目標(黄丸)も設置されている。


 高架化後の新鎌ヶ谷駅は島式ホーム1面2線になります。ホームの松戸寄りには片渡り線が1組設置されており、下り線(1番線)から松戸方面への折り返し運転が可能になりました。また、今回使用開始となった上り線(2番線)の出発信号機には入換信号機も設置されており、渡り線の先の本線を引上線として使うことで京成津田沼方面への折り返し運転も可能となっています。北初富駅側から見ると渡り線の先にはこのための入換信号機や各種標識類が設置されているのが確認できます。
 高架下の改札口とコンコースは昨年6月に使用開始済みとなっており、上り線高架化後は地上のホームが閉鎖になった以外変化はありません。

●北初富駅
北初富駅に停車中の上り松戸行き
北初富駅を発車して地上へ降りる上り列車
北初富駅の先の新旧接続地点
左(1):北初富駅に停車中の上り松戸行き
右上(2):北初富駅を発車して地上へ降りる上り列車
右下(3):北初富駅の先の新旧接続地点

 高架化後の北初富駅は地上時代と同じく対向式ホーム2面2線になります。上り線高架化により、建設中だったホームも使用を開始しました。上りホームの設備は先に使用開始済みの下りホームと同等になっています。北初富駅を出るとすぐに地上へ向かって下り始め、北総線の高架橋を斜めにくぐる直前で高架化区間は終了となります。こちらも調査時は初日ということで60km/hの徐行運転となっていました。

高架下のコンコース。床面には行き先をカラーでペイントしている。
改札口周りはグリーン
完成した高架橋と使用を終了した地上仮設ホーム
左(1):高架下のコンコース。床面には行き先をカラーでペイントしている。
右上(2):改札口周りはグリーン
右下(3):完成した高架橋と使用を終了した地上仮設ホーム

 北初富駅も上り線高架化と同時に高架下の改札口・コンコース・トイレの使用を開始しました。北初富駅はホームが2つに分かれているため、改札内の床面にはホームまでの動線が方面別にカラーで描かれています。(松戸方面がグリーン、京成津田沼方面がオレンジ)改札口の外はすぐに道路になっており、段差があるため数段の階段・スロープが設けられています。出入口周りはグリーンに着色されています。旧駅舎と地上の線路は金網で塞がれており、踏切部分はレールごとアスファルトで埋められました。こちらも現在は撤去が進んでいます。

■鎌ヶ谷大仏駅折返し設備廃止
新鎌ヶ谷駅付近の高架化完成により廃止された鎌ヶ谷大仏駅の折り返し設備。使用停止となった信号機には×印が取り付けられた。 新鎌ヶ谷駅付近の高架化完成により廃止された鎌ヶ谷大仏駅の折り返し設備。使用停止となった信号機には×印が取り付けられた。
新鎌ヶ谷駅付近の高架化完成により廃止された鎌ヶ谷大仏駅の折り返し設備。使用停止となった信号機には×印が取り付けられた。

 今回の高架化区間の端にある鎌ヶ谷大仏駅の京成津田沼寄りには、折り返し用のシーサスクロッシングが設けられていました。このポイントは1992(平成4)年に北初富駅経由での北総線と新京成線松戸方面の相互直通運転が終了するまでの間、京成津田沼駅から来る列車の本数調整などに利用されていました。その後は輸送障害時や毎年夏に松戸駅近くの江戸川河川敷で開催される花火大会に向けた臨時列車の折り返しなどに使用されてきました。(ただし、ここ数年は設定が無かった)
 新鎌ヶ谷駅の完全高架化により折り返し設備が使用可能になったことから、代替で鎌ヶ谷大仏駅の折り返し設備は廃止となりました。鎌ヶ谷大仏駅の京成津田沼寄りに設置されていた折り返し用の信号機は、12月1日朝より使用停止を示す×印が取り付けられており、関係するATS標識や停車目標なども黒いビニールで覆われました。

▼参考
連続立体交差事業 - 新京成電鉄株式会社
新鎌ヶ谷駅に新京成線専用の改札口を設置します(6/16~) - 新京成電鉄株式会社
鎌ケ谷市役所【関連リンク「新京成線連立事業ニュース」】
まちづくり室|鎌ケ谷市ホームページ
→駅前広場の整備について

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新京成新鎌ヶ谷駅周辺の高架化(2016・2017年取材)(2017年10月20日作成)
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