武蔵小杉駅横須賀線ホーム増設工事(2021年2月19日取材)

廃車が始まったE217系と建設中の武蔵小杉駅下りホーム

武蔵小杉駅は駅周辺で当初予想を超える規模の住宅建設が進んだことにより混雑が著しくなっています。この問題を解決するため、現在横須賀線ホーム増設をメインとする混雑緩和対策工事が進められています。1月に新南口のレイアウトが変わるなど進展がありましたので、現在の状況をお伝えします。

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■横須賀線武蔵小杉駅開業と急激な利用者数増加
武蔵小杉駅横須賀線ホーム 横須賀線ホームの下に新設された新南口
左(1):武蔵小杉駅横須賀線ホーム
右(2):横須賀線ホームの下に新設された新南口


 横須賀線武蔵小杉駅の新設は2005(平成17)年3月に制定された川崎市の都市計画「川崎フロンティアプラン」の中に盛り込まれたもので、武蔵小杉駅周辺の工場移転に伴う再開発のメインをなすものとして位置づけられています。駅の設置位置は西大井~新川崎間の南武線との交差地点で、ホームは島式1面2線となっています。2010(平成22)年3月の開業後は、特急を含む横須賀線・湘南新宿ライン・相鉄線直通(2019年11月30日~)の全列車が停車しています。当駅の開業により東京駅まで乗り換えなしで移動することが可能となったことから、所要時間は従来(川崎駅経由)の40分から20分へ大幅に短縮されました。また、新駅の南側には新たに新南改札(横須賀線口)と駅前ロータリーが開設され、川崎市の新たな交通集結地として機能しています。

横須賀線武蔵小杉駅開業前後の乗降客数の推移 2018年4月に新設された横須賀線ホーム横浜寄りの入場専用エスカレーター
左(1):横須賀線武蔵小杉駅開業前後の乗降客数の推移
右(2):2018年4月に新設された横須賀線ホーム横浜寄りの入場専用エスカレーター


 横須賀線武蔵小杉駅周辺では工場跡地にタワーマンション建設が計画されており、当初1日7万人の利用を見込んでいました。しかし、新駅開業により東京都心への利便性が大幅に向上した結果、開業時には想定していなかった南武線北側でも大型マンションが次々と建設されるようになりました。これにより横須賀線武蔵小杉駅の利用者数は計画を上回るペースで増加し続けており、2016(平成28)年度には当初予測の実に3.5倍となる1日約25万人に達しています。
 この結果、武蔵小杉駅構内では横須賀線ホームを中心に激しい混雑が発生しています。これに対しJR東日本でも横須賀線ホームへの入場専用改札口の増設、南武線ホームの一部拡幅といった対応を行っていますが解決には程遠い状況です。当駅は高架橋が地下の武蔵野線(貨物線)と一体構造になっているという特有の制約があり、現在のホームにこれ以上階段などを追加するのが困難となっています。JR東日本と川崎市では武蔵小杉駅の抜本的な混雑緩和について検討を行い、2018(平成30)年7月に横須賀線下りホーム増設をメインする対策を行うことが決定しました。

武蔵小杉駅横須賀線ホームの断面図 武蔵小杉駅横須賀線下りホームの増設位置
左(1):武蔵小杉駅横須賀線ホームの断面図
右(2):武蔵小杉駅横須賀線下りホームの増設位置
※本図は国土地理院Webサイト「地理院地図Vector(試験公開)」で公開されている「淡色地図」「空中写真」合成レイヤーに加筆したものである。


 増設される下りホームはNEC玉川事業場の建物に重ならない範囲で最大限のサイズを確保することとし、平均の幅は5mになる計画です。ホームの位置は東京寄りの南武線ホーム連絡通路の利用者の流動を妨げないよう横浜寄りに55mずらされます。増設ホームの階段・エスカレーターは、上記の通りピーク時であっても上りホームほど多くの利用はないと予想されることから、2箇所ずつ設置することとし、その向きはホーム上の混雑を均等にできるよう決定されました。下りホームの増設後、現ホームは下り線側に柵を設置し上り専用ホームとして使用します。(2020年春にホームが増設された千駄ヶ谷駅・原宿駅と同形態)完成は2022年度末の予定で、これら新ホームの設置にかかる費用はJR東日本が負担します。
 これに加えて、南武線ホーム連絡通路の接続地点に新しい改札口が設置されます。新改札口は綱島街道・東海道新幹線・横須賀線の下を横断して新設される通路を経由し、駅西側のマンション群とのアクセスルートを形成します。新改札口は横須賀線下りホームの使用開始よりも後の完成が予定されており、設置にかかる費用約30億円は川崎市が負担します。

■新南改札が移動
 横須賀線下りホーム増設の決定後は予定地となるNEC玉川事業場の用地買収手続きが行われ、2020年春から本格的な工事が進められています。今回は改札口が移動した新南口周辺を中心に状況を説明してまいります。

横浜方面に小移動した新南改札 旧改札跡地は天井パネルが外されるなど撤去が進む
左(1):横浜方面に小移動した新南改札(同じ場所の2020年8月11日の様子
右(2):旧改札跡地は天井パネルが外されるなど撤去が進む(同じ場所の2010年4月3日の様子


 今年1月24日(日)初電より、横須賀線ホーム横浜寄りの高架下にある新南改札が20mほど横浜方面に移動しました。これは、旧改札施設の一部(有人窓口や券売機のバックオフィスなど)が新ホーム予定地内に飛び出しており、一時撤去が必要となったためです。移動後の改札口は工事期間中の仮の物であるため事務室などはプレハブで作られていますが、自動改札機や券売機のはラッシュ時の混雑に対応するため従来と同等の台数を設置しています。

新南改札正面のNEC社員用通用口。右のアコーディオンフェンスの中は入場専用改札口。
新南改札正面のNEC社員用通用口。右のアコーディオンフェンスの中は入場専用改札口。

 新南改札の前には駅前ロータリーに向かう通路の他に隣接するNEC玉川事業場へ直接通じる社員専用通用口(7時~19時のみオープン)がありました。この通用口も新ホームの予定地上にあったことから、高架橋の工事が終わった場所に移動しました。通路の突き当りには準備中の案内板もあり、今後も工事の進捗に応じて通路の形状が変わることが予想されます。

新ホームは横浜寄りにずれるため、現ホームの先でも工事が続く。
新ホームはコンクリートの梁の上に直接ホーム桁や床版を置く構造
左が既存の高架橋、右が新ホームの柱で双方を湾曲した梁で連結し一体化している。
左:新ホームは横浜寄りにずれるため、現ホームの先でも工事が続く。
右上:新ホームはコンクリートの梁の上に直接ホーム桁や床版を置く構造
右下:左が既存の高架橋、右が新ホームの柱で双方を湾曲した梁で連結し一体化している。
上:新ホームは横浜寄りにずれるため、現ホームの先でも工事が続く。
中:新ホームはコンクリートの梁の上に直接ホーム桁や床版を置く構造
下:左が既存の高架橋、右が新ホームの柱で双方を湾曲した梁で連結し一体化している。

横浜寄りのホーム端では新ホームの屋根まで完成している。 新ホームの屋根は外側からの片持ち構造になっており、ターンバックルが付いた斜めの棒材で屋根を柱に向けて吊っている。
左(1):横浜寄りのホーム端では新ホームの屋根まで完成している。
右(2):新ホームの屋根は外側からの片持ち構造になっており、ターンバックルが付いた斜めの棒材で屋根を柱に向けて吊っている。


 横浜寄りの市道と交差する付近では、新ホームの高架橋が一部完成し、ホーム本体の設置が開始されています。新設するホームは、高架下の空間を確保するためコンクリートまたは鉄製の梁の上に直接ホームとなる鉄桁やコンクリートのパネルを置く構造になっています。柱は1列のみ設置されており、そこから既存の高架橋との間に湾曲した梁を渡して完全に一体化しています。
 現ホーム横浜寄りの端付近が最も工事が進んでおり、新ホームは床面の設置が終わって屋根の組み立てが進められています。前回の記事でも説明した通り、現ホーム屋根の支柱は新ホーム使用開始後も現在の位置にそのまま残るため、ホーム上の見通しを確保する目的で新ホームの屋根は外側からの片側支持となっています。片側から支えるため、屋根は通常の鉄骨の上に斜めの棒材を追加した構造になっています。

ホーム東京寄りでも新ホームの高架橋の鉄筋組み立てが進む 高架下の南武線連絡通路でも内装の撤去準備中
左(1):ホーム東京寄りでも新ホームの高架橋の鉄筋組み立てが進む
右(2):高架下の南武線連絡通路でも内装の撤去準備中


 これ以外の部分でも新ホームの工事が順次進められており、高架橋の鉄筋やコンクリートの型枠などが随所に設置されています。また、高架下の南武線ホーム連絡通路でも内装の一部を撤去するための準備が行われています。今後も引き続き完成まで定期的に工事の状況を調査する予定です。

▼参考
JR横須賀線武蔵小杉駅及び駅周辺の混雑緩和に向けた取組を進めます - JR東日本ニュースリリース(PDF/526KB)
横須賀線武蔵小杉駅の混雑緩和に向けて下りホーム新設工事に着手します - JR東日本ニュースリリース(PDF/434KB)
川崎市:JR横須賀線武蔵小杉駅及び駅周辺の混雑緩和に向けた取組
横須賀線・武蔵小杉駅、ホームと改札増設 混雑緩和へ  :日本経済新聞

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