JR東日本・仙台地区の車両

カテゴリ:鉄道:JRの車両 | 公開日:2010年08月19日02:11
仙台駅で並ぶE721系とSAT721系

7月24日の取材分の続きです。仙台新幹線車両基地まつりに行った後は東北本線を松島駅まで北上し、高城町駅まで歩いて仙石線で仙台駅まで戻りました。今回はこの間に撮影した車両について解説したいと思います。(写真はすべて2010年7月24日撮影です。)

▼関連記事
第26回仙台新幹線車両基地まつり(2010年7月24日)(2010年8月17日作成)

■東北本線系統
東北本線は東京都の上野駅を起点に青森県の青森駅まで向かう路線ですが、栃木県の黒磯駅から北は電化方式が交流20,000V・50Hzとなっており、黒磯駅を境に使用される車種も異なっています。具体的には黒磯駅から北は交流電化に対応した車両となっており、車両の構造も3ドア・クロスシートなど地方向けの車両となっています。国鉄から継承された急行形電車である455系は2ドアで仙台駅周辺の混雑に対応できないことや車両自体の老朽化が進んでいたことから2008(平成20)年を持って引退しており、以後普通列車は719系、701系、E721系の3車種で運行されています。

●719系
仙台駅に停車中の719系。この日は新幹線車両基地まつりへ向かう客向けの臨時列車に抜擢された。
仙台駅に停車中の719系。この日は新幹線車両基地まつりへ向かう客向けの臨時列車に抜擢された。

719系は2ドアで混雑に対応できない455系などの急行形電車の置き換え用に1989(平成元)年から導入された車両です。全ての車両が2両編成となっており最大で4編成を連結(8両)して運行可能であることから乗客の多寡に応じて柔軟に輸送力を変化させることが可能です。
車体の基本的な構造は同時期に首都圏で導入が進められていた211系(東海道線・宇都宮線・高崎線)とほぼ同様ですが、仙台地区の低いホームにあわせてドア付近にステップを設けています。車内の座席配置はセミクロスシートですが、長距離の利用に配慮してクロスシートを集団離反形にして乗客同士が向かい合う形で座る人数を減らしています。
本系列の製造開始時点では黒磯駅を跨いで直流電化区間まで直通する列車はほとんど無かったことから交流電化のみの対応とされ、制御方式は当時の交流電化用の電車では一般的だった位相制御(架線から得た交流を半導体(サイリスタ)で直流に変換する際、任意の電圧に変化させることでモーターの速度制御を行う方式)を採用しています。

●701系1000・1500番台
松島駅に入線する701系1000番台。2両編成を3本連結した6両編成。
松島駅に入線する701系1000番台。2両編成を3本連結した6両編成。

701系は719系のコンセプトは踏襲しつつ1992(平成4)年から試験が行われていた901系(209系900・910・920番台:現在は廃車)の技術を取り入れた車両で、1994(平成6)年から導入されました。車内は仙台地区の混雑にあわせてオールロングシートとなり、利用者の少ない路線でのワンマン運転を考慮して車両間の間通路を広くするなどの変更が見られます。動力関係は制御方式がパワートランジスタ(PTr)素子を使用したVVVFインバータ制御となり、1000番台では列車本数の少ない路線での運行を考慮して電気ブレーキには発電ブレーキ(モーターで発生した電気を抵抗で熱に変えて放散する方式)を採用しました。
なお、一部の車両はVVVFインバータ装置をE721系(後述)で使用しているのと同じものに更新する工事が行われています。

●E721系・SAT721系(仙台空港鉄道)
仙台駅に停車中の仙台空港鉄道のSAT721系。 E721系の台車。
左:仙台駅に停車中の仙台空港鉄道のSAT721系。
右:E721系の台車。

※クリックで拡大

E721系は719系・701系と同じコンセプトを受け継ぎつつその後のE231系・E531系などで得られた技術発展を加味した改良を加えた車両です。特徴としては車体の低床化によるステップの廃止があります。これは車輪直径を860mmから810mm(いずれも新品の場合)に小さくすることで実現したもので、これに伴い車体の台枠構造も大幅に変更されています。また、車内は長距離利用に配慮して再びクロスシートを配置するなどの変化が見られます。このE721系は東北本線のほか、2007(平成19)年に開業した仙台空港アクセス線でも使用されており、後者については大型のスーツケースの利用などに対応できるよう荷物置き場などを完備した車両(500番台)となっています。なお、仙台空港アクセス線を運営する仙台空港鉄道のSAT721系は塗装が異なりますが車両自体の構造はこのE721系500番台とほぼ同じものとなっています。
このE721系の導入により国鉄から継承した急行形電車は順次置き換えが行われ、2008(平成20)年をもって仙台地区から完全に引退することになりました。

■仙石線
●205系3100番台
仙石線205系3100番台。 M2編成「マンガッタンライナーⅡ」。多賀城にて
左:仙石線205系3100番台。東塩釜にて
右:M2編成「マンガッタンライナーⅡ」。前面には「仮面ライダー」のラッピング。多賀城にて

※クリックで拡大

仙台~石巻間(全長52km)を走る仙石線は宮城電気鉄道という私鉄を戦時中に国が買収した路線で、東北地方のJR線では唯一の直流電化となっており最近までは首都圏で余剰になった103系を改造して運行していました。しかし、海沿いを走ることから老朽化が著しく、52kmに及ぶ路線でありながら一切トイレが設置されていなかったため沿線自治体から繰り返し車両へのトイレの設置の要請がなされるなど明らかに実情に合わない状況となりました。
一方、2002(平成14)年に東京の山手線でE231系500番台の導入が始まると、同線で大量の205系が余剰となることからこの車両を改造した上で仙石線に移すこととなりました。仙石線への導入に際しては先頭車が不足することから中間車(サハ205形)に運転台を取り付けが行われたほか、冬季の長時間停車時の車内の保温のためドアの半自動機能の追加、さらに懸案であった車両への車椅子対応トイレの設置も行われ3100番台に区分されることとなりました。なお、元になった車両は大多数が山手線を走っていたものですが、それだけでは先頭車が不足するため一部埼京線の6ドア車組み込みにより捻出された車両なども転用しています。この結果、同一編成内でドアの窓のサイズが異なる(元山手線の車両は小さい)という現象が発生しています。・

M2編成「マンガッタンライナーⅡ」のロング/クロス可変座席(2WAYシート)。 石巻側先頭車クハ205形3100番台の車椅子対応トイレ
左:M2編成「マンガッタンライナーⅡ」のロング/クロス可変座席(2WAYシート)。
右:石巻側先頭車クハ205形3100番台の車椅子対応トイレ

※クリックで拡大

仙石線は仙台市内の通勤路線である一方、日本三景とした名高い松島などの観光地へのアクセス路線という性格も持ち合わせています。このため全部で19編成ある仙石線の205系3100番台のうち、5編成(M2・3・4・5・8の各編成)の先頭車は長距離の利用を考慮してロングシートとクロスシートの2種類の座席配置に変更できる「2WAYシート車」となっています。また、仙石線の終点石巻は漫画家石ノ森章太郎の生誕地であり彼の業績を記録した「石ノ森萬画館」が設置されていることから、M2編成とM8編成には「仮面ライダー」「ロボコン」「サイボーグ009」など石ノ森章太郎作の漫画の絵が描かれており「マンガッタンライナー」という愛称が付けられています。


次回はこの仙石線で今年度中の導入が予定されている新しい信号システム「ATACS」について解説する予定です。


▼参考
交友社「鉄道ファン」2006年5月号(通巻541号)83~89ページ「新車ガイド E721系500番台」
交友社「鉄道ファン」2006年11月号(通巻547号)85~97ページ「こちら首都圏205系情報局スペシャル2」
マンガッタンライナーについて - 石ノ森萬画館
など

▼関連記事
第26回仙台新幹線車両基地まつり(2010年7月24日)(2010年8月17日作成)

このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサード リンク

カテゴリ:鉄道:JRの車両 の最新記事

埼京線E233系7000番台(2014年11月17日作成)
JR東日本・仙台地区の車両(2010年08月19日作成)
京葉線E233系5000番台(2010年08月05日作成)
横浜線開業100周年(2008年10月10日作成)
さよなら「ゆとり」踊り子号@品川駅(2008年03月09日作成)
京葉線新木場駅・その2(2007年12月08日作成)
京葉線・東京モーターショー関連臨時列車(2007年10月29日作成)
E331系甲種回送(新習志野駅)(2007年10月27日作成)
南武支線(2007年10月09日作成)
鶴見線(2007年10月04日作成)
その他の記事はこちら

Facebookのコメント

コメント

コメント機能をご利用の際は必ず注意事項のページをご覧ください。
不適切な投稿内容は修正・削除される場合があります。また、内容によっては管理人からのレスが付かない場合がございます。確実に返信が欲しい場合はEメールをご利用ください。

管理者にだけ表示を許可する(管理人からの返信が付きません)


最新記事

首都圏外郭放水路庄和排水機場(2016/10/02)
相鉄・東急直通線建設工事(2016年取材②新綱島~日吉)(2016/09/10)
相鉄・東急直通線建設工事(2016年取材①羽沢~新横浜)(2016/09/07)
相鉄・JR直通線建設工事(2016年6月取材)(2016/08/27)
茨城県・守谷市のマンホール(2016/08/26)
東京メトロ千代田支線北綾瀬駅ホーム延伸工事(2016年6月4日取材)(2016/08/21)
東武伊勢崎線竹ノ塚駅高架化工事(2016年6月4日取材)(2016/08/14)
次期「書籍化」プロジェクトへの道すじ(2016/08/12)
JR飯田橋駅ホーム移設工事(2016年6月取材)(2016/08/06)
東急東横線10両化&関連工事(2015・2016年取材)(2016/08/03)
月別アーカイブ

全記事タイトル一覧

お知らせ

【総武・東京トンネル書籍化プロジェクト】COMIC ZIN様で欠品しておりました「総武・東京トンネル(上・下)」の販売を再開しました。詳しくは→こちら(2016,04,10)
さらに前のお知らせ

おすすめ&スペシャル

「総武・東京トンネル」書籍化プロジェクト 当サイトの前身であるYahoo!ブログから運営通算10周年を記念し、2008年に連載した「建設史から読み解く首都圏の地下鉄道① 総武・東京トンネル」についてほぼ白紙から書き直し、自主制作本(同人誌)にまとめるプロジェクトです。2015年3月のコミケットスペシャル6で総武線区間について取り上げた「上巻」、12月のコミックマーケット89で横須賀線区間について取り上げた「下巻」をそれぞれリリースし、昼過ぎに完売となる大好評となりました。現在書店(COMIC ZIN)様にて絶賛発売中です。

おすすめ記事

@takuya870625 Twitter