E217系機器更新車

CanonPowerShotA700・(8mm)・オート(1/200/F4/感度オート

すでに他のブログでも話題になっていますが、今年初め、横須賀線・総武快速線で使用されているE217系電車に機器を更新した車両が登場しました。ある程度概要がつかめたのでレポートしようと思います。

1枚目
錦糸町駅の留置線に並ぶE217系。左2本が更新編成。

■半導体機器の更新が中心
E217系は1994(平成6)年から横須賀・総武快速線に投入が始まり、横須賀線の運用が減少した2006(平成17)年には一部編成が東海道線に転属しました。すでに製造開始から10年以上が経ち、搭載機器、特に半導体部品に関しては生産が終了するなどし今後の保守に困難が予想される状況になりつつあります。そこで、これらの機器を最新のものに更新し、車両の延命を図ることになりました。更新工事は昨年の暮れ頃から始まっており、検査の入場時だけでなく車両メーカーも動員して施工され、そのスピードが次第に速まりつつあります。具体的な更新箇所は以下の通りです。

●車体の色・装飾の変更
先頭部に入っていた「E217」のロゴをE233系と同じ「JRマーク」に変更。
帯の色は全体的に明るくなり、幕板部は塗り分けが3段から2段に変わる。これまでもステンレス車では下地に合わせて色を明るめに調整することは行われてきており、今回の変更もそれに倣ったものと思われる。

●制御装置(VVVFインバータ)交換
左:CanonPowerShotA700・(6mm)・オート(1/50/F2.8/感度オート)・トリミング 右:CanonPowerShotA700・(8mm)・オート(1/13/F3.2/感度オート)・トリミング
左:更新前のVVVFインバータ
右:更新後のVVVFインバータ

製造時から搭載していた三菱電機製SC41形(GTO:ゲートターンオフサイリスタ素子)を、新品に交換。また、付随する遮断機やフィルタリアクトルなども交換している。装置の外形や動作音からE223系が搭載している三菱電機製SC85形(IGBT:絶縁ゲート形バイポーラトランジスタ素子)の制御ソフトウエアを変更したものと考えられる。これに伴い、停止直前まで回生ブレーキが動作するようになった。

●補助電源装置(静止型インバータ:SIV)交換
左:CanonPowerShotA700・(6mm)・オート(1/60/F3.5/感度オート)・トリミング 右:CanonPowerShotA700・(6mm)・オート(1/25/F2.8/感度オート)・トリミング
左:更新前のSIV
右:更新後のSIV 左の断路器も交換された。

製造時から搭載されていたもの(形式・メーカー不詳)を東洋電機製SC89形に交換。この装置は1つの箱の中に2系統のインバータが搭載されており、1系統が故障した場合でも通常運転を続けることが可能である。装置横にある遮断機もあわせて交換している。

●ブレーキ制御装置交換
制御装置の変更に伴うものと考えられる。エアの吐き出し音が静かになった。

ここから下は未更新車にも行われている内容です。

●デジタル列車無線設置
無線機本体とダイバーシティ運用アンテナ(運転室助手席側の窓際に設置)を搭載

●列車番号表示機のLED化
かなり前から続いている。こちらの記事を参照。
E217系列番表示LED化(2006年10月30日)

●グリーン車の座席交換
座席本体をE231系やE531系と同様のものに交換。ただし、片持ち式の台座はそのまま流用。

●自動放送・ドア3/4閉スイッチ設置
JR東日本発足20周年記念事業の1つ。自動放送に関しては中央総武緩行線と同じく2007年度中の整備予定だったが、全車への搭載にはまだ時間がかかるようで使用も開始していない。
全車両への設置が完了し、2009年7月1日より一斉に使用を開始した。内容は既に自動放送を導入している他線区とほぼ同様だが、総武快速線市川駅など常時ポイントの分岐側を通過する場所では「この先、電車が揺れますのでご注意ください。」などの注意放送が追加されている。

●車内LED表示機の表示内容変更(追加)

追加された「まもなく○○」の表示

これまで車内のドア上部にあるLED表示器は走行中は次駅の駅名(漢字→英語→カタカナをループ)を表示していたが、2009年初めより駅到着時に「まもなく○○(駅名)」と表示が出るようソフトが変更された。(ただし、位置検知が不安定なようでまれに表示されない場合もある。)また、一部車両では東海道線のE231系や常磐線のE531系で見られる運行情報のスクロール表示が可能であるとの情報もある。

●強化型スカートへの交換(追加)
危機更新着手後しばらくしてから、総武緩行線E231系で見られるような先がとがった大型のスカートへ交換が工事メニューに追加された。当初は機器更新と同時に行われていたが、2009年秋ごろから未更新車についても工場入場時に交換が行われるようになり、編成によって形状がバラバラとなっている。

■更新車と未更新車は区別無く運用
CanonPowerShotA700・(6mm)・オート(1/13/F2.8/感度オート)
未更新車(奥)と更新車(手前)の連結。

今回の更新工事は故障防止や機能維持が目的ですので、制御機器関係の交換が中心です。
注目すべきは更新を受けた基本編成と未更新の付属編成の連結が見られるなど両者を全く区別無く運用させていることです。VVVFインバータ制御では制御ソフトの変更で性能をある程度変えることは容易であり、このような使用方法は他社ではすでに当たり前に行われています。しかし、最近仙台地区に登場したE721系もそうですが、これまでJR東日本がメカニズムの異なる車両の混成に尽く消極的であったことを考えるとこれは異例とも言えるできごとです。
動作周波数が可聴領域より高く取れるIGBT素子のインバータに交換されたことで、VVVFインバータ特有の電磁音は大幅に低減されましたが、モーターは台車枠の構造の都合もあって従来のMT68形もしくはMT73形を流用しているようで、100km/h以上の高速域では相変わらずモーターの冷却ファンの風切り音がうるさく聞こえてきます。総武線を頻繁に利用する乗客としては車内にも何らかの改良が加えられるのではと期待していたのですが、普通車は全く変化なしという結果であり少々残念に感じました。

▼参考
首都圏輸送障害低減に向けた対策の強化について(JR東日本プレスリリース2006年12月5日)
会社設立20周年を迎えて(JR東日本プレスリリース2007年3月6日)
→機器更新・自動放送・ドア3/4閉スイッチの搭載について記述あり
東洋電機技報117号2007年総集編交通事業部編
東洋電機技報118号東日本旅客鉄道株式会社E217系用静止形補助電源装置
→E217系の補助電源装置について記述あり

(2009年11月23・30日一部追記) このエントリーをはてなブックマークに追加
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