新日本橋駅(概説・現地写真(地上)) - 総武・東京トンネル(8)

最終更新日:2021年1月30日
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■新日本橋駅:1km342m11~1km019m71(L=322m40)
工期:1968(昭和43)年1月~1972(昭和47)年7月

●概説
新日本橋駅と関連施設の位置
新日本橋駅と関連施設の位置
国土地理院Webサイト地理院地図より抜粋


 新日本橋しんにほんばしは、江戸通りと昭和通の交差点から中央通が交差する室町3丁目交差点にかけての地下にある全長322mの地下駅である。工事誌においては「新日本橋トンネル」とも呼称されている。トンネルは地下4層構造で、最下層の線路階は東京方面に向けて1.0‰の下り勾配となっている。
 地上出入口は7箇所あり、両国寄りの端にある2箇所以外は馬喰町駅と同様江戸通り沿道のオフィスビルと一体構造である。また、換気搭についても同様にオフィスビルと一体構造である。また、中央通り地下には営団地下鉄銀座線(3号線)が通っており、すぐ南側にある三越前駅とは地下通路で直結している。
 なお、建設中の駅の仮称は本町ほんちょうであった。銀座線の三越前駅と接続されるにもかかわらず同名とされなかったのは、建設当時の国鉄が公共企業体であり特定企業のPRとなることを避けたためといわれる。
 新日本橋駅は、馬喰町駅の両端部分と同じ開削工法で建設された。建設当時地上の道路上を走っていた都電は、室町3丁目交差点で複数の路線(室町線と本通線)が交差しており、多数のポイントが設置されていた。馬喰町駅では工事期間中都電の線路を道路の外側に一時移設していたが、新日本橋駅ではポイントがあるためそのような方法をとることができず、土砂搬出用の設備は車道と歩道の境目のわずかな空間に押し込むこととなった。この設備はかなりサイズがあるため、沿道の商業施設を完全に覆い隠してしまい、オーナーからクレームが殺到する場面もあった。

銀座線交差部分の施工手順
銀座線交差部分の施工手順
①着工前
②銀座線トンネル周囲を掘削し、側壁・中柱にX字型の補強材を溶接する。
③銀座線トンネル下を掘削し、H鋼を挿し込む。
④その下で新日本橋駅のトンネルを掘削する。


 室町3丁目交差点下では、営団地下鉄銀座線と交差する。銀座線のトンネルは新日本橋駅地下2階に相当する深さに通っており、工事期間中は一時的にトンネルが宙吊り状態となり、完成後は新日本橋駅の梁や柱により支えられることとなる。このように既存の地下構造物を新しい構造物で支え直す方法を「アンダーピニング(Under Pinning)」という。
 銀座線のトンネルは幅は8.4m、高さは5.3mの1層構造で、極太の鉄製フレームを2mという狭い間隔で並べたあと、周囲をコンクリートで包んだ鉄鋼框てっこうかまちと呼ばれる構造となっていた。フレームを覆っているコンクリートは元々薄い上、昭和初期の建設から30年以上が経過していたため、わずかな衝撃を与えただけでボロボロと崩れてくるほど劣化していた。そこで、掘削に先立ち側壁と中柱にX字型の補強材を取り付けることとした。補強材を取り付ける際は、ボルト等の穴を開けるのが強度上好ましくないと判断されたため、全て溶接により取り付けを行っている。
 補強材取り付け後はトンネル床下を掘削し、工事期間中支えとなるH鋼を1.5m間隔で打ち込んだ。こうして重量1200トンに及ぶトンネルを支えながら、順次地下4階まで掘削を行った。これらの作業に使用した桁は、長期的な補強も兼ねてそのまま残すこととし、隙間にはモルタルを充填して新日本橋駅の構造体と完全に一体化した。

●現地写真(地上)
昭和通り上にある出口5 東京建物第3室町ビルにある出口8
左(1):昭和通り上にある出口5
右(2):東京建物第3室町ビルにある出口8


 両国寄り端の出口5は昭和通り南側の歩道上にある。階段は背中合わせに2箇所設けられており、降りたところで合流して細い通路で新日本橋駅本体に接続されている。地上部分のデザインは昭和中期の地下鉄出入口としては一般的なもので特筆すべき点はない。 出口8は江戸通りと昭和通りの交差点北側に建つ東京建物第3室町ビル1階にある。

十六銀行東京支店。左下に出口6がある。 十六銀行裏にある換気口。
左(1):十六銀行東京支店。左下に出口6がある。
右(2):十六銀行裏にある換気口。


 出口7は欠番になっており次の出口6は駅中央付近北側にある十六銀行東京支店ビル1階にある。ビル裏には換気口があるが、馬喰町駅とは異なりビルの側面にルーバーが開いているため航空写真を見てもその存在はわからない。
 日本橋室町地区は日本銀行本店が近い土地柄ゆえにこのような地方銀行の支店が軒を連ねている。十六銀行は岐阜県に本店があり、東海地方の地方銀行では最大規模を誇る。

東短室町ビル。左下に換気口(給気口)と出口4がある。 東短室町ビル裏にある排気口。
左(1):東短室町ビル。左下に換気口(給気口)と出口4がある。(建て替え中の様子:2008年7月12日撮影
右(2):東短室町ビル裏にある排気口。


 出口4は東短室町ビル1階にある。換気口はやはりビルの側面に開いており、江戸通り側が給気(地下への吸い込み)、裏側が排気となっている。排気口の前には非常階段があるためルーバーが見えにくいが、近づくと地下鉄特有のカビ臭い空気が出ているのがわかる。現在の東短室町ビルは2009(平成21)年に新築されたもので、以前のビルでは屋根に換気口が開いていた。建て替え期間中は出口・換気搭の機能を完全に停止していたが、地下のダクトで十六銀行の換気口と接続されており特に問題はなかったようである。

東京建物室町ビルにある出口2
東京建物室町ビルにある出口2

 東京寄り端の出口2は東京建物室町ビル(みずほ銀行日本橋支店)1階にある。この階段は奥行きが狭いため、踊り場を2箇所に増やして高さを稼いでいる。

室町3丁目交差点から銀座方面を見る。 現在の室町3丁目交差点。周辺のビルは再開発が行われ、超高層ビルに変貌を遂げた。
左(1):室町3丁目交差点から銀座方面を見る。2015年1月4撮影
右(2):現在の室町3丁目交差点。周辺のビルは再開発が行われ、超高層ビルに変貌を遂げた。


 残る出口1・3はいずれも江戸通りと中央通りが交差する室町3丁目交差点の角に建つJPビル(日本紙パルプ商事本社)敷地内にあった。室町3丁目交差点南側のビルは地権者である三井不動産が進めている大規模再開発事業である「日本橋再生計画」に伴い順次建て替えが進められており、JPビルについても2016~2018年に建て替えが実施され「OVOL日本橋ビル」として再築された。

JPビル敷地内にある出口3 OVOL日本橋ビル前に再建された出口3
左(1):JPビル敷地内にある出口3。2008年7月6日撮影
右(2):OVOL日本橋ビル前に再建された出口3。


 出口3は、JPビルの江戸通り側に道路から直角方向に向けて階段が設置されていた。ビル本体とは独立した構造になっており、階段脇には地下での火災時に消火用水を送り込む連結送水口が設置されていた。ビル建て替え後の階段は向きが江戸通りと並行するよう付け替えられたが、場所自体はほとんど変わっていない。また、連結送水口も防災上必要であることから引き続き設置されている。

JPビル(撮影当時は中国銀行東京支店)1階にあった出口1。
JPビル(撮影当時は中国銀行東京支店)1階にあった出口1。2008年7月6日撮影

 出口1はJPビル中央通り側の軒下に背中合わせで2箇所階段が設けられていた。案内板はサイズの小さいオリジナルのデザインとなっており、JR東日本や東京メトロのロゴも描かれていなかった。こちらの出口はビル建て替え後は地下階の商業施設フロア直結となり、地上へ通じる階段は廃止された。
 なお、出口前にある中央通りは日本経済の中心である日本橋から銀座にかけてのメインストリートであることから、景観には特に配慮がされており石材を使った路面舗装や花壇の整備が行われている。以前は街路灯もガス灯風のデザインだったが、LED照明化の際一般的なL字型のものに交換されている。

(つづく)


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