京葉線E233系5000番台

カテゴリ:鉄道:JRの車両 | 公開日:2010年08月05日01:45
千葉みなと駅に進入する京葉線E233系5000番台

去る2010年7月1日(木)、京葉線で新型車両E233系5000番台が運転を開始しました。7月10日(土)にこの車両について取材を行いましたので解説したいと思います。(写真は特に記載が無い限り7月10日に撮影したものです。)

■E233系の概要とこれまで
中央線E233系 京浜東北線E233系1000番台 東海道線E233系3000番台
左から中央線E233系(2007年9月1日武蔵小金井駅)、京浜東北線E233系1000番台(2010年2月6日浦和駅)、東海道線E233系3000番台(2009年1月6日品川駅)。
※クリックで拡大

E233系はJR東日本の首都圏の路線における標準車両として2006(平成18)年から既存の201系の老朽化が進んでいた中央快速線に導入が開始されました。その後、2007(平成19)年には209系の代替として京浜東北線に、2008(平成20)年には増発用として東海道線に、2009(平成21)年には203系の代替として常磐緩行線にそれぞれ導入が開始されました。(番台区分は京浜東北線が1000、東海道線が3000、常磐緩行線が2000。)このうち、京浜東北線については2010(平成22)年1月に209系の置き換えを完了し、中央快速線についてもこの夏に201系の置き換えを完了する予定となっています。
E233系は前世代の標準車両であるE231系を基本としつつ、安定性と更なるサービス向上を目指して

●故障に強い車両
動力系統、パンタグラフなど主要機器をを二重化し、故障が発生しても運転が継続できるようにする。

●ユニバーサルデザイン
車両の床面高さを下げ、ホームとの段差を縮小して足の不自由な乗客や車椅子での乗降をスムーズにできるようにした。また、車内の荷物棚、吊革の高さを下げ、身長の低い乗客でも利用しやすくした。

●快適性の向上
エアコン内に空気清浄機能を追加、抗菌加工された吊革の採用、座席幅の拡大(1人当たり45cm→46cm)

●情報化社会への対応
ドア上部に液晶ディスプレイ(LCD)を設置し、駅の案内や運行情報、動画広告などを配信する。

などの改良が行われています。

■京葉線E233系5000番台の変更点
京葉線のE233系5000番台では以上のような特徴は継承しつつ、路線条件や技術革新を反映した仕様変更が行われています。

●走行性能の変更
既存の201系・205系に合わせて加速度を2.5km/h/s(=0.69m/s2)、減速度を4.2km/h/s(=1.17m/s2)に低下させた。

●動画配信にWiMAXを採用
車内のLCDに表示する動画広告の配信に次世代の高速無線通信技術であるWiMAXを採用した。これにより従来と比べ高画質かつ高頻度の配信が可能となりよりタイムリーな情報提供が可能となった。

以下、7月10日に撮影した写真を交えながら細部について解説していきます。

蘇我駅に停車中の京葉線E233系5000番台
蘇我駅に停車中の京葉線E233系5000番台

この京葉線E233系5000番台は、1991年の205系以来約20年ぶりの純粋な新車導入となりました。
営業運転初日の7月1日には新習志野駅で出発式が行われ、初日にもかかわらず205系110km/h対応車と共通運用が組まれ、外房線にも乗り入れを行っています。今回取材した7月10日は営業運転をしていた3本がほぼ続行する形で運用が組まれていました。これは当形式がTIMSなど他車種とは大幅に異なる設備を持っているため、ダイヤ乱れなどが発生した場合の変更を容易にする目的があったものと思われます。

移動禁止合図器が試験導入されていた205系ケヨ1編成(矢印の先が表示器) E233系の表示器(矢印の先)
左:移動禁止システムが試験導入されていた205系ケヨ1編成(矢印の先が表示器)
右:E233系の表示器(矢印の先)

※クリックで拡大

車両の外観は中央線や京浜東北線のE233系とほぼ同じものですが、相違点としてはフロントガラス左下の編成番号の上部に新たにLED表示機が設置されていることがあげられます。これは205系ケヨ1編成で試験的に導入されていた移動禁止システムが本採用となったもので、この表示器が搭載されたことにより従来車両基地での洗車や分割併合時に使用されていた移動禁止合図器(赤い旗)が不要となる模様です。

京葉線E233系の車内
京葉線E233系の車内

車内は他路線のE233系と同じ暖色系をの色を基本とした内装となっています。座席の表地(モケット)は209系500番台などと同じ濃い青色となっています。

東京寄りの先頭車クハE232-5000形の後部屋根に搭載されたWiMAXアンテナ(矢印の先) ドア上部のLCD。WiMAX経由で受信したデータは左のモニタに表示される。
左:東京寄りの先頭車クハE232-5000形の後部屋根に搭載されたWiMAXアンテナ(矢印の先)
右:ドア上部のLCD。WiMAX経由で受信したデータは左のモニタに表示される。

※クリックで拡大

京葉線E233系5000番台の最大の特徴は新しい高速無線通信技術であるWiMAXの活用です。
WiMAXはWorldwide Interoperability for Microwave Accessの略で、1基地局あたり最大で半径50kmをカバーでき、最大速度は70Mbit/sの高速通信が可能な規格となっています。都市部では現行の無線LAN(Wi-Fi)に代わる新たな無線によるインターネットの技術として、またブロードバンドが未整備の山間部におけるインターネット接続の最終手段としての活用が期待されており、現時点ではUQコミュニケーションズ※1により個人向けのサービスも開始されています。(段ボール箱に猫が飛び込む「入ってる?」のCMで有名なアレ。)このWiMAXは2009年10月に営業運転を開始した特急成田エクスプレスの新型車両E259系(近日記事作成予定)で車内のインターネットサービス提供技術としてすでに採用されており、京葉線のE233系5000番台では車内のモニタに表示する動画広告の配信システムとして利用することとしました。
実際の車内モニタを見ると画面の大きさが京浜東北線のE233系と同じ16:9(HDサイズ)に拡大されているのはもちろんのことですが、フレームレートや画質が以前と比べて明らかに向上しており高速通信が可能なWiMAXの威力を感じることができます。WiMAXの受信アンテナはE259系とは異なり東京寄りの先頭車クハE232-5000形の後部に2本※2搭載されており、ここで受信したデータをVIS経由で各車両のモニタに伝送しています。なお、右側のディスプレイについては従来と同じく駅の階段の位置、乗り換え路線、運行情報などを表示していますが中央線(0番台)・京浜東北線(1000番台)とは表示の仕方が若干異なっています。

京葉線E233系の行先表示
京葉線E233系の行先表示

この京葉線E233系5000番台は最終的に25編成250両が導入されることになっており、現在京葉線を走っている201系・205系は廃車(一部は転属との噂もあり)、209系はサハ2両を抜いて8両化し武蔵野線に転用する予定となっています。これまで「中古車の溜り場」と揶揄されてきた京葉線ですが、E233系への置き換え完了後はJR東日本が指定した「東京メガグループ」の1路線として相応しい姿を整えることでしょう。

▼脚注
※1:現時点でWiMAXの免許を持っているのはUQコミュニケーションズのみである。
※2:E259系では各車両に2本ずつアンテナを搭載。なお、2本搭載するのはダイバーシティにより受信品質を確保するためである。

▼参考
京葉線に最新型電車を導入 - JR東日本(PDF)(2009年9月2日)
JR東日本、WiMAXでニュース受信するE233系を京葉線に導入 | ライフ | マイコミジャーナル(2009年9月3日)
坂巻勇紀「E233系5000番台」鉄道ファン2010年7月号(通巻591号)交友社
WiMAX - Yahoo!ニュース(WiMAXの技術的な情報)

▼関連記事
中央線E233系(2007年1月20日作成)
京浜東北・根岸線E233系1000番台 (2008年1月5日作成)
京葉線の車両(現在の車両) - 京葉線新東京トンネル(26)(2010年4月10日作成)

このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサード リンク
テーマ:鉄道 ジャンル:趣味・実用
タグ:  鉄道  JR  京葉線  E233系

カテゴリ:鉄道:JRの車両 の最新記事

埼京線E233系7000番台(2014年11月17日作成)
JR東日本・仙台地区の車両(2010年08月19日作成)
京葉線E233系5000番台(2010年08月05日作成)
横浜線開業100周年(2008年10月10日作成)
さよなら「ゆとり」踊り子号@品川駅(2008年03月09日作成)
京葉線新木場駅・その2(2007年12月08日作成)
京葉線・東京モーターショー関連臨時列車(2007年10月29日作成)
E331系甲種回送(新習志野駅)(2007年10月27日作成)
南武支線(2007年10月09日作成)
鶴見線(2007年10月04日作成)
その他の記事はこちら

Facebookのコメント

コメント

コメント機能をご利用の際は必ず注意事項のページをご覧ください。
不適切な投稿内容は修正・削除される場合があります。また、内容によっては管理人からのレスが付かない場合がございます。確実に返信が欲しい場合はEメールをご利用ください。

管理者にだけ表示を許可する(管理人からの返信が付きません)


最新記事

首都圏外郭放水路庄和排水機場(2016/10/02)
相鉄・東急直通線建設工事(2016年取材②新綱島~日吉)(2016/09/10)
相鉄・東急直通線建設工事(2016年取材①羽沢~新横浜)(2016/09/07)
相鉄・JR直通線建設工事(2016年6月取材)(2016/08/27)
茨城県・守谷市のマンホール(2016/08/26)
東京メトロ千代田支線北綾瀬駅ホーム延伸工事(2016年6月4日取材)(2016/08/21)
東武伊勢崎線竹ノ塚駅高架化工事(2016年6月4日取材)(2016/08/14)
次期「書籍化」プロジェクトへの道すじ(2016/08/12)
JR飯田橋駅ホーム移設工事(2016年6月取材)(2016/08/06)
東急東横線10両化&関連工事(2015・2016年取材)(2016/08/03)
月別アーカイブ

全記事タイトル一覧

お知らせ

【総武・東京トンネル書籍化プロジェクト】COMIC ZIN様で欠品しておりました「総武・東京トンネル(上・下)」の販売を再開しました。詳しくは→こちら(2016,04,10)
さらに前のお知らせ

おすすめ&スペシャル

「総武・東京トンネル」書籍化プロジェクト 当サイトの前身であるYahoo!ブログから運営通算10周年を記念し、2008年に連載した「建設史から読み解く首都圏の地下鉄道① 総武・東京トンネル」についてほぼ白紙から書き直し、自主制作本(同人誌)にまとめるプロジェクトです。2015年3月のコミケットスペシャル6で総武線区間について取り上げた「上巻」、12月のコミックマーケット89で横須賀線区間について取り上げた「下巻」をそれぞれリリースし、昼過ぎに完売となる大好評となりました。現在書店(COMIC ZIN)様にて絶賛発売中です。

おすすめ記事

@takuya870625 Twitter