東急大井町線・急行運転に向けた改良工事

※この記事はYahoo!ブログから移行したものです。

前回の記事では東急田園都市線の複々線化についてお伝えしました。今回は関連する大井町線の急行運転とそれに向けた設備の改良についてお伝えしようと思います。

大井町線の急行運転


旗の台駅に進入する大井町線8500系

大井町線の急行運転は田園都市線の混雑緩和を目的として、今年3月から開始されます。停車駅は二子玉川、自由が丘、大岡山、旗の台、大井町の順で、所要時間は現在の各駅停車24分から急行18分に短縮されます。各駅停車は現在と同じく5両編成、急行電車は6両編成の新型車両が使用される予定で、大井町線内では追い越し設備設置・ホーム延伸など設備の改良が行われます。改良点は以下の2つです。

1:信号システムの変更
現在使用しているATS(地上信号)からATC(車内信号)に変更されます。

2:駅施設の改良・急行通過線の設置
これまで大井町線に追い越しのできる駅が無かったため、上野毛・等々力(地下化)・旗の台の各駅に追い越し設備が設置されます。また、急行停車駅ではホーム延伸など駅施設の大幅な改良が行われます。このうち、二子玉川は1999年、大岡山は1997年の地下化時、大井町は2002年のりんかい線建設時、それぞれ改良を済ませています。

以下、改良工事の状況をお伝えしていきます。

上野毛駅


上野毛駅に停車中の8000系。ちなみに、東横線で走っていた8000系は明後日13日に「さよなら運転」が行われ、引退する予定。

上野毛駅の改良は当初計画になかったものです。計画変更には隣の等々力駅が関係しています。急行の追い越し設備は等々力駅を地下化した上で設置される予定ですが、等々力駅の近くには都内では貴重な自然渓谷である「等々力渓谷」があります。等々力駅の地下化が発表された際、周辺住民を中心として「地下水脈が破壊され、等々力渓谷の湧水が失われる」と反対意見が出ました。このため、東急電鉄・有識者・住民が一体となって詳細な調査を行い、地下水脈に影響を与えない地下化の方法を策定しました。(「参考」「関連記事」も参照。)
等々力駅の調査の間工事が着工できなかったため、急行運転開始までに通過線の設置が間に合わなくなりました。そのため、暫定措置として隣の上野毛駅に上り線のみ通過線を設置し、急行運転開始に対応することとなったわけです。



上り線に設置されたポイント。“←”の部分も動くようになっており、高速通過が可能。

上野毛駅は掘割の中に駅がある構造です。上り急行通過線は新たに用地買収はせず掘割を切り広げて設置されます。また、これに合わせ現在は1つの駅舎を2つにし、改札口を増やします。1月現在、仮設のホームになっており、その下には新しい上り線の線路が隠れています。また、駅の前後では上り線の分岐器(ポイント)の設置が完了しています。この分岐器は新幹線でも採用されている「ノーズ可動分岐器」と呼ばれるタイプで、レールに隙間ができないため高速通過が可能になります。
大井町線の急行運転の最大の目的は田園都市線の朝ラッシュ時の混雑緩和です。上り線の急行運転がいかに重視されているかが、この高速分岐器設置からも伺い知ることができます。

旗の台駅


旗の台駅大井町線ホーム

旗の台駅は池上線との乗換駅です。改良前の大井町線ホームは片面ホーム2面2線の構造でしたが、追越を可能にするため島式ホーム2面4線に改良されます。一部は盛土構造を切り崩してコンクリートの高架橋に改築するという大掛かりなものになりました。現在はほとんどの施設が完成し、外側2線を使って運行しています。駅の屋根は白いテント状になっています。イメージとしては先に改良された東横線元住吉駅に近い感じです。(「関連記事」も参照。)

そのほかの駅
等々力駅
1月現在地下水脈の調査以外は行われていません。

自由が丘駅
ホームの延伸工事や東横線との乗り換え設備のバリアフリー化が行われています。



大岡山駅に停車中の大井町線8500系。2007年9月15日撮影。

大岡山駅(完成)
駅の地下化・目黒線との方向別ホーム化が1997年に行われました。目黒線が6両編成(将来8両編成)のホームであるため対面に乗り入れる大井町線ホームも同じ長さとなっておりホーム延伸は不要です。

大井町駅(完成)
2002年のりんかい線(地下)建設の際に地下のトンネルに被る高架橋100mを改築、140mを補強しました。また、これにあわせてホーム延伸・拡幅(9mから16m)を行いました。

ATC化


旗の台駅の地上信号機(左)とATC地上子(右)。

前述の通り、大井町線は現在ATS(地上信号)を使用していますが、このままでは予定されている急行を含めた1時間に20本の高密度運転ができません。このため保安度向上・増発のため東横線で使われているのと同じATC(車内信号式・地上子併用)に信号システムを更新します。1月現在線路脇にATCの閉そく境界標識(「出発」「1」「2」・・・と書かれた標識)・列車種別表示機・駅停車パターン地上子の設置が進んでいます。まもなくATCを使用した試運転(夜間に線路閉鎖をして行う?)が始まるものと思われます。


まだ公式な情報は出ていませんが、Web上の情報によると急行運転に使われる新型車両「6000系」も入線が始まっているようです。急行運転開始に向けて急ピッチで準備が進んでいる東急大井町線の状況をお伝えしました。



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