銚子電鉄・・・お煎餅が切り開いた地方私鉄の未来

※この記事はYahoo!ブログから移行したものです。


気を取り直しまして(ぉぃ、銚子駅から今回の旅の目的である銚子電鉄に乗ります。昨年の訪問記、その後の銚子電鉄にまつわる話などを交えて紹介していこうと思います。

▼関連記事
銚子電鉄「醤油の香りが・・・」(2006年8月23日)

1年前との対比:醤油の香りと堆肥の香りと・・・


畑の中を走る銚子電鉄デハ1002。奥の茶色い屋根の建物が犬吠駅。

前回銚子電鉄に乗りに行ったのはちょうど1年前でした。
1年前の銚子電鉄は、地方で当たり前となりつつある「見放されつつある」私鉄に見えましたが、それでも1両に10~20人ほどは乗っており、県内で廃止の危機にあるいすみ鉄道などと比べれば、そこまで危機的状況ではないという感じがしました。その銚子電鉄に乗り、仲ノ町駅前のヤマサ醤油の工場から漂ってくる醤油の香りやその先の畑の中を走る際の強烈な堆肥の臭いなどを感じながら犬吠駅のそばにある「地球の丸く見える丘展望館」へと往復してきたわけです。
同じ月、銚子電鉄の親会社の社長が業務上横領で逮捕されたことなど知る由も無く・・・

「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです」


最近取り替えられたと思しき踏切の遮断機のモーター。犬吠駅付近にて。

それから3ヵ月後の2006年11月、銚子電鉄の公式Webページに衝撃的なメッセージが掲げられました。

電車運行維持のためにぬれ煎餅を買ってください!!
電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。


▼参考
ITmediaNews:ネットで「銚子電鉄を救え」名物「ぬれ煎餅」に注文殺到(当時の銚電HPの画像。)

発端となったのは銚子電鉄の親会社社長による業務上横領事件。社長は銚子電鉄の名義で銀行から融資を受け、その金を個人の借金返済に充てていたのです。この横領事件で社長は前述の通り逮捕され、今年6月に千葉地裁から懲役3年、執行猶予4年の判決が出ています。また、社長は銚子電鉄の駅舎改修を自身の経営する建設会社に大量に発注させており、社会的な信頼を著しく失墜。千葉県・銚子市からの補助金が停止され、金融機関からの融資も受けられなくなりました。
銚子電鉄は資金難となり車両の法定検査が発注できず、いよいよ正常運行維持がままならなくなるという窮地に立たされました。その結果、副業であるぬれ煎餅の生産に頼るほか無くなり、前述の「最後の嘆き」を掲げたのです。これはマスコミやインターネットで瞬く間に全国区の話題となり、銚子電鉄のオンラインショッピングにはぬれ煎餅の注文が殺到。現地やデパート・スーパーなどでの販売も好調で、生産が追いつかなくなったため8月現在もインターネットでの販売は休止したままという状況です。
これとは別に、踏切の警報機の著しい老朽化や枕木の腐食などの改善命令が国土交通省から出され、これに関しては有志で結成された「銚子電鉄サポーターズ」が募金活動を行っています。このサポーターズの会員には千葉ロッテマリーンズの小林雅英投手も加わっています。4月には国土交通省に改善措置完了の報告が提出されました。

このような絶大な支援により、懸案となっていた車両の法定検査も施工でき、毎年恒例の初日の出運行も無事に遂行することができたということです。「ぬれ煎餅で窮地を脱する」という史上稀に見る、地方鉄道の再生劇は、今後も美談として語られるに違いないでしょう。

銚子電鉄に乗車


桃太郎電鉄カラーのデハ1001。仲ノ町駅。

1日乗車券の「弧廻手形」(¥620)を買い、銚子電鉄に乗車します。
この日走っていたのはかつて営団地下鉄銀座線で走っていた1000形の2両(デハ1001・1002)でした。デハ1001はゲームソフトのハドソンがスポンサーの広告電車になっており、車両内外ともにテレビゲーム「桃太郎電鉄」の広告が貼られています。3年後の2010年までこの仕様で走る予定です。



左:犬吠駅。
右:駅前の広場にある車輪のオブジェ。

駅前にある相鉄モハ2000形の車体は一部再塗装が行われました。海が近いため、こまめな再塗装が必要です。前回は気づかなかったのですが、広場の脇には古い車輪を地面に半分埋め込んだオブジェ(?)がありました。

▼関連記事
犬吠駅と地球の丸く見える丘展望館(2006年8月24日)
→昨年の犬吠駅の様子。



外川駅。

今回は昨年行けなかった終点外川駅まで行ってみました。古い木造の駅舎です。テレビの撮影などでもたびたび登場しているのでご存知の方も多いでしょう。

お盆休みや団体のお客さんがいたということもありますが、どの列車も1両では捌ききれないほどの乗車率になっていました。一連のPR効果は半端では無いようです。
しかし一方で、現在でもレールがゆがんで大きく揺れる箇所や、腐食の進んだ踏切の警報機が見られるのが事実です。ここに地方鉄道再生の難しさを感じさせられました。



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