SL/DL南房総号撮影レポート(5)撮影マナー考

※この記事はYahoo!ブログから移行したものです。








ここまで4回シリーズで「SL/DL南房総号」の撮影レポートをお送りしてきましたが、すでに存知の通り今回のイベントに際し、撮影者の線路ない立ち入りによる運行妨害や撮影者と見物に来た地域住民などとのトラブルが残念ながら発生してしまいました。以下はそれを扱った新聞記事です。


この他の場所でもこの新聞記事ほどではないもののやはり危険と取れる行動やいくつかイザコザが起きたのが事実です。こういった状況を鑑み、この稿では「トラブルを未然に防ぐ鉄道撮影のマナー」について考えていこうと思います。鉄道ファンでない方にもぜひ考えていただきたい内容です。

鉄道ファンにとってのマナーとは
鉄道写真を扱ったホームページ(特にベテランカメラマン)や雑誌ではしばしば「鉄道撮影に関するマナー」というものが扱われています。よく言われることとして

<1>線路敷地内に入らない
<2>走行中の列車に向けてフラッシュを炊かない
<3>ごみは持ち帰る
<4>他の撮影者さんに失礼な態度を取らない
<5>先にカメラを構えている人のアングルに入らない


<1>線路敷地内に入らない
一般常識として当然のことですが、冒頭に述べたとおり今回はこれを守らない方がかなりいらっしゃいました。新聞記事の緊急停車が発生した富浦-那古船形間は私が電車で通過したときには線路脇に「立入禁止」のテープが張られ千葉県警の警察官やJR社員などが厳重に警備を行っていました。もはや異常事態です。
国鉄時代は「自己責任」の下、線路内に立ち入っての撮影もある程度は黙認されていたようです。しかし、JR、つまり株式会社になった今では事故が起きた際に企業としての責任が問われるため認められていません。今回はSLということで中年~ご年配の方も多く撮影に出られていましたが、そういった方々が線路敷地ぎりぎりに立ち入っているのを目撃しました。差別する意図はありませんが、この点はインターネットや実際の撮影の場で痛いほど知っている若い方のほうがマナーが良かったように感じます。列車の速度も格段に向上している現在では「昔の感覚」で撮影を行われるのは非常に危険です。また、列車の乗務員の方々にも無用な心配をかけることになります。(笑顔で手を振っていたSLの機関士さんも内心気が気ではなかったのではと思いますよ。)
イベント列車の見物や撮影は正常運行という前提があって初めて成立するものです。列車が遅れるとイベントに関係の無い一般の方の迷惑にもなります。くれぐれも危険な行為は慎んでください。

<2>走行中の列車に向けてフラッシュを炊かない
晴天だったこともあって特に問題として明るみになることはありませんでした。走行中の列車に向けてフラッシュを炊くと、残像によって運転士さんの視界が妨げられ、信号確認など安全運行に支障が出る場合があります。この点は鉄道ファンでない方もぜひ覚えておいていただきたいと思います。

<3>ごみは持ち帰る
弁当の容器など大きなごみの投棄は基本的に無かったように感じます。しかし、タバコのポイ捨ては私の周囲だけでもかなり見受けられました。すでに承知のことと思いますが、吸殻のポイ捨てをしないことは鉄道撮影のマナー以前の基本的な社会規範です。植物に引火して火災が起きたり(乾燥した冬場は特に危険)、野生動物が誤って吸殻を食べてしまうなど、大きな事故が起きる場合も考えられます。タバコを吸うなとは言いませんので、携帯用灰皿を用意するなど個人個人で準備をお願いします。

<4>他の撮影者さんに失礼な態度を取らない
よく言われるのは「挨拶をしよう」ということです。今回はあまり重要視されておらず、気分次第で挨拶をしたり雑談をしたりと様々でした。
ここからはちょっと余談。今後を考えるとこの習慣が続くかどうかは正直疑問です。


小さいお子さんがいらっしゃらない方は嘘だとお思いになるかもしれませんが、物騒なご時勢、今の学校ではこういう指導をしています。こういう教育を受けた世代(私もそのうちの1人だけど)がこれからどんどん大人になっていきます。そうなると、鉄道の撮影の場でも必要があるのにほかの人に声をかけ辛くなってしまうのではという一種の懸念を持ちました。必ず挨拶をしろとは思いませんが、撮影者同士で気軽に声をかけられるという雰囲気を絶やしたくないと感じました。

テツの常識と一般常識の衝突
<5>先にカメラを構えている人のアングルに入らない
これが今回一番気にかかったことです。鉄道ファンの間では当然のことです。

今回は数十年ぶりのSL運行ということで鉄道ファンも沿線住民の方々も半端ではない数でした。鉄道ファンの方々は経験豊かな方が多かったのか鉄道ファン同士でのトラブルはほとんど無かったように感じます。しかし、カメラを構えている鉄道ファンの前に住民の方や家族連れなどが入ってきてしまうケースが多発しました。米粒程度にしか写らないにもかかわらずそういった人たちに対して鉄道ファンから容赦ない排除の目が向けられたのは正直見当違いだと思いました。

《鉄道ファンの方へ》
こういった大きなイベントには大勢の方が「見たい」という思いを持ってやってきます。それは鉄道ファンだけではありません。ですから、事情を知らない人が多少なりともアングルに入ってしまうのは仕方がありません。撮影者の年齢や意気込みも様々ですので「何としても列車がきれいに写った写真を撮りたい」という気持ちを持つ方がいらっしゃるのもわかります。年齢相応の関係もあります。人が入ってしまうのは「自分の趣味を傷つけられた」と深く悩んでしまうかもしれません。しかし、米粒程度にしか写らない人を「邪魔だ」といって排除するのはやりすぎです。あなたが撮影を行っているのは公共の場所です。あなただけの場所ではありません。ここは「見物人もイベントの一部」と割り切れるくらいの寛容さが必要だと私は思います。
また、大きく写ってしまう場合は移動してもらう必要があるでしょう。ただ、私の前で起きたーケースでは、理由も告げずにただ「邪魔」といって事情を知らない一般人をどかせ、さらに「どいて当然」のごと「ありがとうございます」の一言さえ言いませんでした。また、「ちばDC号」では学校ぐるみで来た小学生たちがアングルに入ってしまい先生が容赦ない非難を浴びたと聞きます。これは失礼以外の何物でもありません。こういうことをするから「鉄道ファンは世間知らず」と冷ややかな視線が注がれるのです。撮影に熱中すればそれだけいい写真が撮れるでしょう。「ここはマナーが悪い」違います。マナーが悪いのではなく、彼らはマナーを知らないのです。移動して当然ではないのです。ですから、もし移動していただきたい場合は事情を丁寧に説明し、移動してもらったら必ずお礼を言うこと。熱中するがあまり一般常識を忘れてはいけません。
また、小さいお子さんをお連れになった方への厳しい言葉も気になりました。お子さんが怖がっていました。かわいそうです。お子さんにとっては人生で初めての経験であり、とても楽しみにしています。こういう方々には特に優しく接してあげてください。その子にとって思い出に残る1日になるように。

《一般の方へ》
「見たい」という気持ちはみなさん一緒です。鉄道ファンの方々は特にその気持ちが強い方々です。中には有名な写真展に出品するくらいの意気込みで来た方もおります。家族写真や風景を撮るとき、目の前に邪魔者が入っては困るでしょう。鉄道ファンが列車を撮るときも同じ気持ちです。動いている列車では撮り直しが利きません。その一瞬のために遠方から長い時間と高いお金をかけていらっしゃる方もおります。日本の鉄道写真ではそういう方々のために「先にいる人のアングルを邪魔しない」というルールが育ってきました。どうかそのことを知ってください。そして、見物する列車が近づいたらもう一度後を振り返ってください。カメラを構えた方がいませんか?そのアングルにあなたが入ってしまいませんか?もしアングルに入りそうだったら大変申し訳ありませんが、どうかそこを開けていただけないでしょうか?鉄道ファンの「撮りたい気持ち」もどうか尊重してあげてください。お願いします。
また、蛇足ながら家族連れの方にお願いがあります。お子さんを絶対に線路に入れさせないで下さい。列車が来ない間に線路内でお子さんを遊ばせているお父さん・お母さんがいらっしゃいましたが、とても危険です。今の電車は音も無く近づいてきます。「危ない!」と気づいたときにはもう手遅れです。お子さんにはまず「線路は絶対に入ってはいけない場所」ということを教え込んでください。周りの方々からの批判を浴びないため、そして何より大切な我が子の命を失わないための基本です。

まとめ
今回私は地元で行われる大イベントという絶好の機会に、駅での撮影からの「卒業」という意味も込めて、手間もかかり難易度も高い沿線での走行写真中心の撮影を決行いたしました。結果は5回のレポートの通りです。帰りの電車内ではSLが写った写真を眺めながらニヤニヤしている私がいました。SL南房総号でのイザコザを見てしまった後、電車内で私は「あそこで自分は何か出来なかったのか」と問い続けました。良くも悪くも「十分すぎる」内容です。
この「ちばデスティネーションキャンペーン」は千葉県の観光促進を目的としたキャンペーンです。房総地区では今後も多数の臨時列車運行やイベントが行われます。また、それ以外の地区でもたくさんのイベントが行われています。皆さんぜひ千葉県にお越しください。千葉県民としておすすめいたします。

楽しいイベントレポートをこのような文章で締めくくるのは本当に心苦しい限りですが、みなさんにもぜひ一度考えていただきたくあえて書かせていただきます。あくまで私の見方ですのでどうぞ批判・指摘等をお寄せください。

長文お読みいただきありがとうございました。(おわり)
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