御幣島駅(概説) - JR東西線(23)

JR東西線 前人未到の深さで大阪中心部を貫いた地下鉄道のすべて
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御幣島駅 8km430m~8km670m(中心8m550m)

▼参考
JR東西線(片福連絡線)工事誌 - 日本鉄道建設公団1998年 266~302・346・347ページ・断面図
特集「平成9年開業新線」Ⅱ.JR東西線(片福連絡線) - 日本鉄道施設協会誌1997年7月号13~24ページ

●概説

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JR東西線御幣島(みてじま)駅は国道2号線と大阪府道10号大阪池田線(みてじま筋)が交差する歌島橋交差点の北側にある地下駅である。工事はすべて鉄建公団が担当しており、建設中の仮称は前回触れた駅の南東にある橋の名称から「歌島橋」とされていた。
なお、駅の地上部(みてじま筋の西側)には1981(昭和56)年に建設された大阪市営バス「歌島橋バスターミナル」があり、駅の京橋方の地下には大阪市の大規模駐輪場(歌島橋駐輪場)(後述)が設置されているなど、御幣島駅は交通機関同士の結節が十分に配慮された設備となっている。これは御幣島駅が西淀川区の交通事情改善の切り札として位置づけられていたことにも起因しているものと思われる。

御幣島駅の断面図
御幣島駅の断面図

御幣島駅のトンネルは全て開削工法で建設されており、地下2層構造となっている。地下1階が改札口・コンコース・機械室、地下2階がホームとなっており、ホームは他の駅と同様長さが8両編成対応の165m、幅が7mとなっている。地下1階のコンコースと地下2階のホームは階段3か所、エスカレータ1箇所、エレベータ1箇所で連絡している。国道2号線から外れたことにより共同溝がなくなったため、駅を浅い位置に建設することが可能となり、地下2階の軌道深さは地表面下15m前後、尼崎方へ向けて2パーミルの下り勾配となっている。地上出入り口は駅の両端と中央付近の計3か所が設置されている。京橋方の1号出入口は西淀川区役所の前にあり、階段のみの設置となっている他、換気塔が併設されている。中央の2号出入口は歌島橋バスターミナルの敷地内にあり、エレベータが併設されている。尼崎方の3号出入口は階段のみ設置となっている。
このほか、地下1階の尼崎方にはJR東西線で2箇所目の変電所となる御幣島変電所が設置されており、専用の換気塔が歌島橋バスターミナル内に設置されている。
なお、御幣島駅工事中の1993(平成5)年4月10日には工事に使用した仮設桁の切断作業中に作業員1名が転落し死亡している。

●現地写真
→次回解説予定。

歌島橋駐輪場

歌島橋地下駐輪場の断面
歌島橋地下駐輪場の断面

先に触れたとおり、御幣島駅の京橋方の地下には大阪市が計画した「歌島橋地下駐輪場」が併設されている。この駐輪場は御幣島駅の1号出入口と接していることや駅本体と一続きの構造物となることから、御幣島駅建設に合わせて大阪市から鉄建公団に委託したうえで同時並行で工事が進められた。
駐輪場は地下1層構造の開削トンネルで、全長は73.6m、幅は18.3mであり、駐輪場の先には将来建設省の歌島橋地下横断歩道(交通量の多い歌島橋交差点の横断歩道を全面的に地下化するもの)が接続する予定となっていたため、そこへ続く地下道も併設している。前回解説したJR東西線の淀川シールドはこの駐輪場のすぐ下を通過しており、その離隔は最小で40cmしかないことから、シールド掘進時に駐輪場床下の土砂を一緒に取り込んでしまい、後に駐輪場躯体に変形を生じる恐れがあった。この対策として、駐輪場の土留壁の構造を工夫して駐輪場の床面を支持することに加え、上下シールド間に地盤改良を行うことでシールド掘進中・後も駐輪場躯体を十分に支持できる構成とした。これによりシールド掘進の際も特に沈下等の問題を生ずることなく工事は完了している。

●現地写真
→次回解説予定。

(つづく)
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