御幣島駅~加島駅(現地写真) - JR東西線(26)

JR東西線 前人未到の深さで大阪中心部を貫いた地下鉄道のすべて
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御幣島シールド 8km670m~10km225m(L=1555m)
御幣島換気所 9km780m

▼参考
JR東西線(片福連絡線)工事誌 - 日本鉄道建設公団1998年 93~96・157・158・310~312・335・336ページ・断面図
特集「平成9年開業新線」Ⅱ.JR東西線(片福連絡線) - 日本鉄道施設協会誌1997年7月号13~24ページ

●概説
前回の記事を参照。

●現地写真
御幣島2丁目交差点付近からみてじま筋の北を見たところ。沿道はマンションが多い。 御幣島6丁目交差点付近。交差点を過ぎるとみてじま筋は東海道線を越えるため陸橋となる。
左:御幣島2丁目交差点付近からみてじま筋の北を見たところ。沿道はマンションが多い。
右:御幣島6丁目交差点付近。交差点を過ぎるとみてじま筋は東海道線を越えるため陸橋となる。また、上部に阪神高速が重なる。

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JR東西線御幣島シールドは御幣島駅から御幣島6丁目交差点付近まではみてじま筋(大阪府道10号大阪池田線)の地下を走る。JR東西線の建設当時、この付近は町工場が立ち並んでいたようであるが、現在はマンションが多く立ち並び、それに付随する形で電器店やスーパーなどの商業施設が進出している。このような変化の理由としては、長引く不況や工業製品の生産拠点の海外移転が進んだことも背景にあるが、一番の要因はJR東西線開業による交通事情の劇的な改善にあると考えられる。(JR東西線開業以前に大阪駅まで行く手段は路線バスを利用して阪神本線の姫島駅や野田阪神駅まで出るか、路線バスで直接大阪駅まで行くなどの方法しかなく、時間が掛かっていた。JR東西線の御幣島駅から北新地駅までの所要時間はわずか7分。)
御幣島6丁目交差点を過ぎるとトンネルはみてじま筋から外れて西側の民有地の下へ入り始める。ここもやはり一部が工場から戸建住宅に変わっており、前回の記事で触れたプレス機の基礎がトンネルに支障した工場も消滅していた。

みてじま筋側から見た御幣島換気所。換気口のルーバーの形状が独特。 御幣島換気所を別角度から見る。換気口左の銀色のビルはトンネル上部に位置している。
左:みてじま筋側から見た御幣島換気所。換気口のルーバーの形状が独特。
右:御幣島換気所を別角度から見る。換気口左の銀色のビルはトンネル上部に位置している。

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みてじま筋が東海道線を越える陸橋に向けて上り始めたあたりに差し掛かると御幣島換気所の換気塔が見えてくる。御幣島換気所は地下1層目の一部が地上に飛び出した構造で、換気塔のほかにコンクリートの床面には資材搬入用のふたが設けられていることが確認できる。換気塔のルーバーは曲線を描いた独特な形状となっているが、手入れがほとんどされていないためか全体が黒く変色しており、きれいであるとは言い難い。換気塔に隣接する銀色のビルは地下の御幣島シールドのトンネル真上に位置しているもので、元々あった5階建ての事務所・社宅の基礎杭がトンネル建設の支障となったためそれを解体し、跡地に建設されたものである。
御幣島換気所のすぐ先にはみてじま筋をアンダーパスする道路が通っており、陸橋や阪神高速の存在も合わせかなり複雑な地形となっている。

御幣島換気所の先は佐川急便の配送センターがある。トンネルはこの建屋をかすめるように通る。
御幣島換気所の先は佐川急便の配送センターがある。トンネルはこの建屋をかすめるように通る。

御幣島換気所を過ぎるとJR東西線はみてじま筋から完全に外れて民有地の下を走るようになる。地上は運送会社や工場の倉庫になっている。脇を走るみてじま筋は阪神高速11号池田線の加島出入口が合流するため、かなり幅が広くなっており橋脚も道路幅一杯に広がっており、JR東西線は道路下を避けて民有地に食い込まざるを得なかったことを覗い知ることができる。


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みてじま筋から完全に外れると、JR東西線は加島駅に入るため半径250mの急カーブを描きながら民有地の下を横断する。このカーブの途上にあった明治製菓淀川工場は2004(平成16)年に神奈川県の小田原工場に統合する形で廃止された。工場内にあったプラント類は全て解体・撤去されたが、事務所の建物はそのまま残り、現在は振動関連の計測機器を製造しているIMV株式会社の本社として使用されている。敷地内には入れないのでGoogleマップの航空写真で確認したところ、プラント類の跡地は駐車場・倉庫の建設用地・グラウンドとして活用されている模様である。

▼参考
IMV株式会社

加島駅の手前にある東海道線をくぐる架道橋
加島駅の手前にある東海道線をくぐる架道橋

カーブしながら民有地の下を横断すると、今度は東海道線(JR神戸線)の線路の下を斜めに横断して加島駅に到達する。このあたりは薬液注入により盛土を補強してシールドトンネルを建設しているが、地上にその痕跡は特に無くトンネルの通過地点を正確に見出すことは難しい状態だった。
なお、加島駅の直前には東海道線の下をくぐる道路がある。この橋脚基礎はトンネルに一部重複しており、該当する部分についてはコンクリートの添梁を利用して基礎を断面外に移設している。架道橋の桁下の高さはわずか2.4mしかなく、背の高い大型トラックなどは通行できない。また、歩道部分の桁下高さはさらに小さく、立った状態では頭をぶつけるほどである。線路を支える桁は鉄製で、電車の通過時には轟音が響き渡る。JR東西線のシールドトンネルはこの架道橋のすぐ下に建設されており、今後も道路を掘り下げて桁下の高さを増すことは不可能である。このあたりの事情は当ブログで以前お伝えした東京の田町車両センターにある架道橋と似たものといえる。(ただし、こちらは車両基地の再開発に伴い改修される計画がある。)

(つづく)
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