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中央線連続立体交差事業(2011年1月15日取材)
公開日:2011年08月11日23:02

当ブログで以前からお伝えしているJR中央線三鷹~立川間の連続立体交差事業ですが、2010年11月7日に西国分寺~立川間の上り線の高架化が完了し、全線で踏切が解消されました。去る2011年1月15日に高架化された国立駅と引き続き工事が続いている武蔵小金井駅について取材を行いましたのでその状況をお伝えします。
西国分寺~立川間の高架化が完了

三鷹~立川間の配線図(2011年現在)
中央線連続立体交差事業はJR中央線三鷹~立川間13.1kmを高架化し、18か所の踏切を解消するとともに9か所の都市計画道路の立体交差化を図るものです。中央線は平日朝ラッシュ時の運転間隔が日本一短い1分50秒となっており、これまで開かずの踏切が深刻な問題となっていました。高架化完了後は踏切による交通渋滞や事故の危険性が解消されるほか、鉄道による地域の分断が無くなり均衡ある都市の発展が期待できます。
<事業の歴史>
1980年 事業に向けた調査を開始
1994年5月 都市計画決定
1995年11月 事業認可取得
1999年3月 着工
2007年7月 三鷹~国分寺間下り線を高架化
2009年1月 西国分寺~立川間下り線を高架化
2009年12月 三鷹~国分寺間上り線を高架化
2010年11月 西国分寺~立川間上り線を高架化
なお、当初の計画では三鷹~立川間の複々線化も盛り込まれていましたが、環境面・コスト面などの諸問題から高架化のみの実現にとどまっています。複々線化については高架橋直下に地下線を新設して行う計画も存在しますが、確定事項で無いうえ、今後の人口減少による利用者の減少などを考慮すると実際に整備されるかは微妙な状況といえそうです。
2011年1月15日の状況
西国分寺~立川間の上り線の高架線切り替えは2010年11月6日21:30頃~7日6:30頃にかけて行われました。工事中の時間帯は西国分寺~立川間の上り列車が全面運休となり、下り線のみの単線運転やバス代行輸送が行われたほか、国分寺~西国分寺間の上り列車の単線運転が行われました。
●国立駅

上り線が高架化された国立駅
高架化された国立駅の上り線は暫定的に中線(2番線)を上り本線として使用しており、ホームも島式の片側のみを仮設の柵で仕切って使用している状態です。ホームの意匠は2009(平成21)年1月に高架化された下り線とほぼ同一となっており、下り線側と違和感なく接続されています。


左:ポイントの分岐側を通って国立駅に進入する上り線立川方。
右:東京方は将来国立支線へ接続する直進部分を本線として利用。
※クリックで拡大
国立駅では中線を上り線として暫定使用するにあたり、立川方にある上り本線・中線の分岐部分は同じく中線を暫定的に本線として使用している武蔵小金井駅(後述)と異なり、完成時の形状で敷設されました。このため、上り列車は国立駅進入時に全て分岐器(ポイント)の分岐側を通過することになり、60km/hの速度制限が課せられています。一方、東京方については上下線の本線と中線を接続する分岐器までは完成時の形状で敷設されていますが、そこから先については仮設の状態(本線として使用できる線形)で敷設されています。これは東京方の中線の分岐器が上下本線の他に直進して国立支線(武蔵野線新小平駅へ続く連絡線)にも接続できるような形状となっており、その部分を本線として利用できたことに起因しているためと考えられます。加えて、立川方は直結軌道、東京方はバラスト軌道となっていることから、工事に困難が伴う直結軌道の移設・再敷設を避けたと見ることもできます。
中線の隣にある地上上り線跡地ではすでに高架橋の建設が進められており、数年後には正規の上り線(3番線)に切替が行われるものと思われます。


左:高架下の通路。左へ進むと南口、右へ進むと北口へ出る。
右:北口の仮設駅舎。
※クリックで拡大
完成時の国立駅は他の駅と同様高架下に駅施設が入る予定となっていますが、今回はまだ切替から時間がたっていなかったため従来からある仮設の駅舎を引き続き利用しており、高架下の通路もまだ内装が全く取り付けられておらず高架橋の躯体がむき出しになった状態でした。左写真の左端にある通路を進むと2006(平成18)年まで三角屋根の駅舎があった南口、右端にある通路を進むと北口(右写真)にそれぞれ出ることができます。北口へ向かう通路の途中には11月まで使用していた地上の上り線ホームへ向かう階段が柵で塞いだ状態で残されていました。
国立駅前後の区間の状況については列車内から動画で撮影しましたのでご覧下さい。
中央線快速立川→西国分寺(上り線高架化後)前面展望 - YouTube 音量注意!
●武蔵小金井駅(4番線)


左:武蔵小金井駅前の歩道橋から工事中の上り本線(4番線)の東京方を見る。
右:同じ歩道橋から立川方を見る。
※クリックで拡大
三鷹~国分寺間は2009(平成21)年12月に上り線の高架線切替が行われ、上下線の完全な高架化が完了しています。しかし、武蔵小金井駅構内については用地幅の関係上上り本線(4番線)の高架橋が未完成となっており、暫定的に副本線(3番線)を上り本線として使用しています。高架化が完成し、地上の線路が撤去された跡地では上り本線の高架橋建設が鋭意進められており、今回訪問時点ではすでに大半の橋脚が建ち上がっているという状況でした。今後1年程度で高架橋の建設が完了し、4番線の使用が開始できるものと思われます。
高架下利用「中央ラインモール」構想
今回、中央線上下線の高架化が完了したことにより、約10kmにわたる高架下の空間の利用方法がJR東日本・沿線自治体により検討されています。JR東日本では「中央ラインモール(仮称)」と銘打ち、高架下に商業施設や公園などを整備する方針を打ち出しています。また、国土交通省の指針により高架下の空間のうち15%は沿線自治体が使用できることになっており、各自治体では行政施設や駐輪場などを整備する意向を示しています。高架橋に並行する側道と合わせ、地域住民の生活向上につながる施設の整備が期待されています。
▼参考
中央線高架化工事に伴う列車の運休等について - JR東日本(2010年8月25日発表)
JR中央本線(三鷹~立川間)他連続立体交差事業の概要 - 小金井市公式WEB
JR中央本線(三鷹駅から立川駅間)ほか連続立体交差事業|国分寺市
国立駅周辺まちづくり|国立市公式ホームページ
asahi.com(朝日新聞社):中央線の高架下、どう使えば効果的?知恵巡らす各自治体 - 鉄道 - トラベル
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